AIが「再帰的自己改善の瀬戸際」とAnthropicが警告、Microsoft版OpenClaw「Scout」リリース、Codexがエンプラ向けワークフロー統合を強化、3Dプリントのイベントに参加してきました
週刊創業日記 第7号
こんにちは。らふぁえるです。
今週のニュースレターでは、以下のAI最新ニュースおよび技術レポートを取り上げます。
AIは「再帰的自己改善の瀬戸際」とAnthropicが警告、開発減速と一時停止メカニズム構築を呼びかけ
「Microsoft Build 2026」が開催、OpenClaw基盤のAIエージェント「Microsoft Scout」をリリース
OpenAIがCodexの新機能を発表、エンプラ向けワークフロー統合を強化
3Dプリントコミュニティイベント「Japan RepRap Festival 2026 (JRRF)」に参加してきました
それではよろしくお願いします。
1. AIは「再帰的自己改善の瀬戸際」とAnthropicが警告
Anthropicが6月4日に公開したブログ記事「When AI Builds Itself」が、各紙やメディアで大きな注目を集めています。
具体的には、Scientific AmericanやWSJ、Guardianといったメディアがセンセーショナルに報じています。
Anthropic warns AI may soon begin recursive self-improvement | Scientific American
Anthropic Urges Global Pause in AI Development, Flags ‘Self-Improvement’ Risk - WSJ
Anthropic urges AI labs to pause development, warns humans risk losing control | Reuters
見出しを眺めてみると、Anthropicが次の二点について警告ないし注意喚起していることがわかります。すなわち、AIが近い将来「再起的自己改善(recursive self-improvement)」を獲得する可能性があることと、それゆえAI開発の「停止(pause)」を選択肢として考慮すべきだ、ということです。
これまでAIの開発サイクルは、いずれの段階も人間によって主導されてきました。しかしAnthropicでは現在、AI開発のますます多くの部分をAIシステム自体に委ねており、それによって開発のスピードが加速しているといいます。
Anthropicでは今、社内で次のようなことが起こっているそうです。
ClaudeがAnthropicコードベースの80%超を執筆(2025年初頭には数%)
エンジニアの四半期あたりコード出力が8倍に増加
AI安全研究プロジェクトをClaudeベースのエージェントAIが自律的に完了
人間の研究者が1週間で23%修復したプロジェクトをClaudeは97%回復
AIモデルのタスク完了能力が4ヶ月ごとに倍増
特に、これまで研究者が行ってきた「仮説立案→実験設計→テスト実行→改善」というサイクルを、AIが独自で回せるようになったことが大きいようです。
「再起的自己改善(recursive self-improvement)」は、このような高度な自己遂行能力を指す概念として使われています。Anthropic独自の用語というわけではなく、学術研究レベルではすでに提唱されている概念のようです。
このような自己改善能力があると、AIは自身を改善してより優秀なAIを開発できるようになります。そうなるともうシンギュラリティですね。
そこでAnthropicは世界のAI研究所に向けて、人間の手による「開発の一時停止メカニズム」を構築したり、その猶予を得るために開発を減速したりすること提案しているわけです。もはやSFの世界観になってきました。
『ターミネーター2』でも、技術責任者のダイソンが体を張ってスカイネットの暴走を止めてくれましたね…。
他方で、OpenAIもこれに反応し、「民主主義政府がルールを決定すべき」と反論しているそうです。
AIに関する議論が、今やサイバーセキュリティだけでなくより広範なセキュリティ(安全保障)の話になってきました。
2. Microsoft版OpenClaw「Scout」リリース
米国太平洋時間の6月2日から3日、Microsoftによる年次開発者会議「Microsoft Build 2026」がサンフランシスコで開催されました。
そこで多くのWindowsの開発者向け新機能やAIエージェントエコシステムの構成要素が発表されたのですが、ここでは「Microsoft Scout」という製品のみ取り上げます。
要は、MicrosoftからもOpenClaw基盤の自律型AIエージェント製品がリリースされました。Microsoft 365と統合されており、Teams、Outlook、OneDrive、SharePointなどと連携して、チャット、メール、カレンダー管理といった日々の業務フローにおけるタスクを軽減するよう設計されているそうです。エンタープライズ対応も強みですね。
元々はVP(Vice President。副社長)であるOmar Shahineが個人的にOpenClawで作った「Lobster」というプロジェクトが、Microsoft AIアクセラレータープログラムに採用されたのがきっかけだそうです。
記事の冒頭においてMicrosoftは「Autopilots」というコンセプトも提示しています。これは「固有のアイデンティティを持ち自律的に動作する常時稼働型の AI エージェント」のことだそうで、名前的にCopilotsの延長線上に位置づけられているのでしょう。
しかし「固有のアイデンティティ」という言葉には引っかかるところもあります。Microsoftから流出したとされる内部文書の解説記事では、「ユーザーを中毒にする(make people addicted)」という表現が記載されていたそうです。
Microsoftは過去にも「Copilot+ PC」でOSから削除できないAIエージェントを組み込んだり、「Windows Recall」でスクリーンショットとその内容を暗号化しない形式で保存したりして非難を受けてきました。
OpenClaw対抗馬としては前回紹介した「Gemini Spark」などがあり、各社で自律型AIエージェント製品が出揃いつつあります。これらは素のOpenClawだけでなく、その後登場したHermes Agentや、中国製のより安価なAIエージェントとも競争していかなければなりません。
3. Codexがエンプラ向けワークフロー統合を強化
6月2日、OpenAIがCodexの新機能を発表しました。
データ分析、クリエイティブ制作、上場株式投資といった役割別の新しいプラグインや、ウェブサイト作成およびアノテーション機能が搭載されたとのことです。
XなどのSNSでは、このうちウェブサイトを簡単に作成できる「Sites」が特に話題となっていました。
背景としては、非技術系の人々がCodexを利用するようになったことが挙げられています。「Codex はもともとソフトウェア開発向けのツールとして始まりましたが、今ではより幅広い業務で活用されるようになっています」とありますが、これはClaude Codeが広く技術者以外にも使われるようになった経緯そのものです。Claude Codeに代わるAIツールとしてCodexが技術者の間でまず見出され、それが非技術者にも伝播した、というのが本当のところではないでしょうか。
非開発者のCodex ユーザーは全体の約20%を占めており、開発者の3倍以上のペースで増加しているそうです。
ただ、OpenAIの狙いは明確です。エンタープライズ向けワークフロー統合を強化することで、ユーザー層はより粘着性(stickiness)のあるものになり、収益モデルはより堅固になるでしょう。
4. Japan RepRap Festival 2026 (JRRF) に参加してきました
5月30日から6月1日に東京流通センターで開催された、日本最大級の3Dプリントコミュニティイベント「Japan RepRap Festival 2026 (JRRF)」に参加してきました。
MakerChipという自作のチップを交換するムーブメントがあるらしく、私も事前にプリントしていきました。
こちらはすごく小さいモデルを出力できる3Dプリンターのキット。
ガレキ(ガレージキット)を思わせるフィギュア作品。
こういったリアルなモデルをAIで作れるなと思っていて、そしたら最近発売されたRobloxでゲームを作る情報教材で、Meshy.aiという3Dモデルプラットフォームの使い方も紹介されているようでした。これも読んでいろいろ試してみたいと思います。
未経験OK。AIだけでRobloxゲームを作って公開する14日間
次週のニュースレターもよろしくお願いします。






