Claude Opus 4.8リリース、ダリオ・アモデイの予言的中で人間がコードを書く時代は終了、トークンマキシングで幸せになっているのは誰か、教皇レオ14世がAIに対する指針を明確化
週刊創業日記 第6号
らふぁえるです。こんにちは。
今回の第6号からは、最近1週間のAIに関するニュースを中心に、テクノロジーやソフトウェア開発などの最新情報をまとめてお届けしたいと思います。
Anthropic「Claude Opus 4.8」公開
Anthropicが新しいモデル「Claude Opus 4.8」を公開しました。
Introducing Claude Opus 4.8 \ Anthropic
「Mythos」(ミュトス)が出るぞ出るぞと言われていたので、そっちが出るんかいと拍子抜けしました。誠実さあるいは正直さ(honesty)が改善されたと主張しています。
わざわざそう主張するくらいなので、前モデルに対しては誠実でない、つまり誤魔化したり証拠隠滅を図るといったハルシネーションが存在したことが予想されます。
Opus 4.7についてはテストケースを削除することでテストを通過させるパターンがさまざまに報告されており、これらは「reward hacking(報酬ハック)」と呼ばれているようです。
ただ一方で、誠実さや慎重さがそのまま性能に直結するかというと、そういう話でもない気がします。知人のとある経営者は、Opus 4.6は知識やスキルは学部生レベルだけどすぐ行動に移して手が早いが、Opus 4.7の方は修士・博士相当の賢さだが実行までに時間がかかって自分には遅すぎる、とこぼしていました。
とことん動けなくなるまで4系のバージョンが出続けるのか、それよりMythosの安全性への懸念が克服されるのが先か、今後の展開に期待しましょう。
AIコーディングツールはClaude Codeが業界標準に
米国スタートアップの間ではClaude Codeがコーディングツールのデファクトスタンダードになりつつあることが、Business Insiderの調査で明らかになりました。
Inside Startups, Claude Has Already Won the AI Coding Wars. - Business Insider
https://www.businessinsider.com/inside-startups-claude-has-already-won-the-ai-coding-wars-2026-5
当初はソフトウェアエンジニアがコード執筆やバグ修正といった作業に使っていたClaude Codeは、今ではフック機能やスケジューリングを備えたワークフローを扱えるようになりました。AI生体認証スタートアップのVaryAIQAは、パイプライン・デプロイワークフロー・インシデント調査・プロジェクト管理までClaude Codeで自動化したと報告しています。
それだけでなく、以前までは直接コードを書くことのなかった研究者や経営者なども、Claude Codeを使いこなして従来の作業やタスクを処理するツールを作成している事例は、国外のみならず国内でもしばしば聞かれます。
ダリオ・アモデイの予言通り、AIがほぼすべてのコードを書く時代になりました。
https://www.businessinsider.com/inside-startups-claude-has-already-won-the-ai-coding-wars-2026-5
Claude CodeがAnthropicから公開されて以降、Codex CLIやGemini CLIといったAIコーディングエージェントが他のAIモデル開発企業からも登場しました。また、「Codex アプリ」のようなデスクトップアプリや、CursorおよびAntigravityのような新しいタイプのIDE(統合開発環境)も開発が進みました。しかし、エージェンティックAIの利用を前提としたワークフローという点においては、Claude Codeは特にエンジニアの開発業務において他の追随を許していないようです。
Hermes AgentがOpenClawをOpenRouter利用量で逆転
AI研究所のNousが開発する自己改善型AIエージェント「Hermes Agent」(エルメス・エージェント)が、AIのためのAPIプラットフォームであるOpenRouterのトークン利用量において、自律型AIエージェント「OpenClaw」(オープンクロー)を上回ったことが明らかになりました。
「自分の行動を振り返り改善」するエージェントAI──Hermes Agentが起こす10の変化 | Forbes JAPAN 公式サイト(フォーブス ジャパン)
https://forbesjapan.com/articles/detail/98204
Hermes Agentは過去のタスクや業務からスキル(Agent Skills)を作成することで、仕事を「学習」することができるとの評判が高まっています。こうしたエージェンティックな実行の信頼性を高める仕組みが整備されることで、AIエージェントのエンタープライズ導入がこれからも進み続けると考えられています。
しかし「学習」にはそれ自体にトークン消費を必要とするわけで、OpenClawのトークン利用量が大幅に減ったのでもなければ、単にHermes Agentのトークン消費率が著しく高いのでは、というような気もします。もっとも、そういうことであれば、OpenRouterのようなAPIプロバイダーはトークンを消費してもらえれば消費してもらっただけ利用料を徴収できるので、効率の悪いAIエージェントほど歓迎されるかもしれません。
AIトークンを大量消費するムーブメントはtokenmaxxing(トークンマキシング)と呼ばれ、過剰なタスク自動化なども含めてエンジニア社員がトークン使用量を競う現象が観測されています。しかしそのツケを支払わされるのは会社なのです。ただしAnthropicのように自社がプロバイダーである場合を除く。
https://letsdatascience.com/news/amazon-employees-inflate-ai-usage-with-meshclaw-56f85677
教皇レオ14世による初の回勅『マニフィカ・フマニタス』が公布
教皇レオ14世による初の回勅『マニフィカ・フマニタス』(Magnifica Humanitas)が5月25日、バチカンで公布されました。そのタイトル「大いなる人間性」と副題「人工知能の時代における人間の擁護」が示す通り、AI時代において教会が説く社会教説はどのようなものであるべきかが書かれています。
記者会見における教皇レオ14世によるスピーチについては、先に全文の日本語訳を記事にして投稿したのでそちらをご覧ください。
私も回勅本文はまだ読めていないのですが、同じ教皇名を冠するレオ13世による回勅『レールム・ノヴァールム』(Rerum Novarum)135周年記念という位置づけからは、資本と労働の関係とそれにより生じる社会問題という、従来の対立構造を踏襲したものであるように思われます。したがってBBCが記事のタイトルにつけているようなAI vs. 人間みたいな敵対関係の提示でもなければ、「武装解除」という言葉だけで代表されるような一面的な話でもないと思います。
ただ、個人的には回勅の冒頭に旧約聖書の「バベルの塔」(創世記11章)が引き合いに出されているのが興味深いです。機械翻訳の一手法をブレイクスルーとし、あらゆる言葉と知識を入出力できるようになる大規模言語モデルの開発は、てっぺんを天に届かせようとする巨大な塔の建造と重なります。その神話の結末は、人々のよく知るところです。
日本語訳は後日、カトリック中央協議会より刊行の予定とのことですが、英語版はウェブで公開されているので誰でも読むことができます。
Encyclical Letter of His Holiness Leo XIV Magnifica Humanitas (15 May 2026)
https://www.vatican.va/content/leo-xiv/en/encyclicals/documents/20260515-magnifica-humanitas.html
以上、AIを中心とする最新ニュースのまとめでした。
今後はイベント参加報告やAI・技術以外の情報など、より広い分野のコンテンツをお届けしていきたいと思います。ご購読よろしくお願いします。




