コロナ給付金「不備ループ」訴訟で国に賠償命令 コールセンターのちぐはぐ対応を招いた、行政の無責任

2026年3月26日 06時00分 会員限定記事
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 新型コロナウイルスの影響で売り上げが減少した中小企業や個人事業者の支援策として国が創設した給付金制度で、「不備」を理由に何度も書類提出を求められた事業者が国に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は国の対応を違法と認めた。判決は当時、「不備ループ」とも呼ばれた国側の対応を司法が断じた結果となった。改めて問題点を考える。(山田雄之、山田祐一郎、福岡範行)

◆原告「判決直後、私の最初の言葉は『勝って当然』だった」

 「認めてもらうために、書類を出す。当たり前のことをしていたのに、なぜかつまずいた。だから判決直後、私の最初の言葉は『勝って当然』だった」

「不備ループ」の対応を巡り、国に損害賠償を求めた訴訟に勝訴し、記者会見する原告の梶千恵子さん(左から2人目)ら=25日、東京・霞が関の司法記者クラブで(横田航洋撮影)

 25日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見した国賠訴訟の原告で、千葉県木更津市の食器販売「ハマダヤ食器」社長の梶千恵子さん(61)は「不備ループ」をこう振り返った。
 梶さんは、2021年1月の緊急事態宣言の影響で、店舗の売り上げが激減したため、国の給付金制度「一時支援金」(同年1〜3月売り上げ分)と「月次支援金」(同4〜9月分)をオンラインで申請。添付した資料の項目や形式はすべての月で同じにもかかわらず、6〜9月分は書類の不備を指摘された。コールセンターに複数回電話するなど問い合わせ、指示を仰いで反映させても、問題が解消されない「不備ループ」を経験し、結局不給付に。なぜ自分が不給付となったのか、国の判断の理由が知りたくて2023年6月に訴訟を提起した。
 18日に東京地裁で言い渡された判決は原告勝訴。篠田賢治裁判長は判決理由で、梶さんは2021年7〜9月分の給付要件を満たしていたと認め、「適切に教示しなかったことは職務上の注意義務を怠ったもので違法」との判断を示した上で、国に3万3000円の慰謝料支払いを命じた。

◆原告弁護団「速やかに給付金の支払いを求めたい」

 訴訟で国側は、6月分の申請について「基準月の売上高の50%を超えており給付要件を満たさない」と判断したと明かした。その上で「6月の給付申請について(中小企業庁)長官が不給付決定した時点で不給付要件に該当する」として7〜9月分を不給付としていたと説明した。判決は、7〜9月分の判断について、「6月の不給付決定を受けたことのみから直ちに不給付要件に該当すると判断することは許されない」。その上で「原告について悪質性が高いとは言い難い」として「考慮するべき事実を考慮せず、裁量権の逸脱または乱用に当たる」と強調した。

記者会見する原告の梶千恵子さん=25日、東京・霞が関の司法記者クラブで(横田航洋撮影)

 訴訟で梶さんは当時、事務局から計52回にわたって「毎日複数の取引を行っていることが確認できる書類」などの提出を求められたと主張。判決は、事務局の対応を、関連性の乏しい書類の提出を求めるミスリーディングな通知だったとし、「原告に不要かつ過度な負担を負わせるものだった」と断じた。
 付箋の貼付やホチキスの有無など体裁について一貫性に欠けるアドバイスを繰り返したコールセンターの対応も「単に適切な教示を怠ったという不作為にとどまらず、積極的な誤教示だった」と非難した。
 国は、事務局業務を「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー」に委託。会見で、原告弁護団の本間耕三弁護士は、事務局とコールセンターが連携していなかったとして、「国は民間に丸投げし、非常に無理がある制度設計だった。原告は振り回された。国は控訴しないでほしい。速やかに給付金の支払いを求めたい」と話した。

◆経営者が病気になり、廃業で訴えを取り下げた原告も

 訴訟には当初、原告としてもう1社参加していた。訴状によると、一時支援金の申請で事務局から不備の指摘が相次ぎ、行政書士に理由を確認してもらい不備を解消したはずだったが、提出済みの資料の再提出を求められるなどした。...

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