何かあると必ず呼ばれるのに、何もないと存在を忘れられる職種
情シスというのは、おかしな職業です。
何かが壊れたとき。 システムが落ちたとき。 誰かがパスワードを忘れたとき。
必ず呼ばれます。
「ちょっといいですか」 「情シスさん、急ぎで」 「今すぐ来てもらえますか」
ぼくはそういう連絡が来るたびに、複雑な気持ちになる情シス担当者を何人も見てきました。
「また自分だ」と思いながら、それでも走っていく人たちです。
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でも、何も起きていないとき。
静かな一日。システムが正常稼働している月曜日。 バックアップが粛々と完了している夜。 パッチ適用が予定どおり終わった週末。
そのとき、情シスは「存在を忘れられます」。
廊下ですれ違っても誰も声をかけません。 会議に呼ばれることもありません。 「最近どう?」と聞かれることもない。
当たり前です。 「何も起きていない」というのは、情シスが仕事をした結果です。
でもその結果は、誰の目にも見えません。
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これが、情シスという仕事の本質的な矛盾です。
うまくいっていると「いなくてもいい人」に見える。 失敗すると「なぜ防げなかったんだ」と責められる。
貢献が見えにくく、失敗だけが可視化される。
これほど理不尽な評価構造は、なかなかありません。
ぼくは正直に言います。
この構造の中で「やりがい」を見出すのは、相当な精神力が必要です。
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では、どうすればいいのか。
ひとつ言えることがあります。
「何も起きていない」状態を、自分で言語化することです。
「今月、こういうリスクに気づいて、こういう対応をした」 「このまま放置していたら、半年後にこうなっていた」 「パッチを当てたことで、この脆弱性が塞がれた」
静かな貢献を、自分の言葉にする。
誰かに報告するためではなく、まず自分のために。
自分がやってきたことを、自分で認識する。
それが、消耗せずにこの仕事を続けるための、最初の一歩だと思います。
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情シスの仕事は、目に見えない防波堤を作り続けることです。
波が来なければ「いらない」と言われる。 波が来たら「なぜ止められなかった」と言われる。
でも、防波堤がなかったら、街は沈んでいます。
あなたがいるから、何も起きていないのです。
それだけは、忘れないでください。

