Interview

エム・エム ブリッジ 辻󠄀 広登新社長インタビュー 「難易度の高い構造物を製作・施工していくことが使命」

2026.05.28

維持管理及び更新を主軸に、新設がおおよそ3割、港湾ほかで1、2割程度のイメージ

Tag
鋼橋
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>辻󠄀 広登氏

エム・エムブリッジ株式会社
代表取締役社長

辻󠄀 広登

 エム・エム ブリッジの新社長に辻󠄀広登氏が就任した。橋梁営業畑が長く、三菱重工業時代から、同社が関わる多くの大型プロジェクトに関わってきた。新設橋梁が大きく減少し、維持管理や更新工事のウエイトが増加する現状において、どのように会社を発展させ、技術を継承し、次代の経営資源を獲得し、若手技術者に希望を持たせていくのか、その思いを聞いた。(井手迫瑞樹)

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橋梁 完成したものが地図に残り、その雄大な姿を見ることができ、その後の地域の歴史も形作る

大学時代の卒論は「新規上場株の収益性」

プラントなど大きな構造物に何らかの形で携わりたい

 ――大学時代学んだこと、またこの業界に入ったきっかけは

 辻󠄀新社長 私は横浜国立大学経済学部の出身で、大学時代の卒論は「新規上場株の収益性」というものでした。当時は平成初期のバブル全盛時代で新規上場株が数多くあったことから、それらの収益性に興味を持って論文を書きました。

 学生時代にはプラントなど大きな構造物に何らかの形で携わりたいという考えがありました。私は文系ですからエンジニアとしてではなく事業計画的な形で、ですね。三菱重工業入社時は、本四架橋など国家プロジェクトが最盛期になる中、橋梁分野に配属され、今に至っています。橋梁はプラントとは多少異なりますが、完成したものが地図に残り、その雄大な姿を見ることができ、その後の地域の歴史も形作っていきます。とても役に立つ意義のある分野に関わることができ、嬉しく感じています。

 入社後は、ずっと橋梁の営業に携わってきました。また、橋梁だけでなく、海洋構造物など多様な鋼構造の営業にもタッチしてきました。

 また、2年ほどですが。国交省に官民交流で出向し、それまで未経験の海洋、大気、生物、土質などの環境行政、または事業を円滑に進めるための枠組み作りにも関わりました。この行政側の視点を学べたことは、今でも役立っています。

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新交通「ゆりかもめ」に携わる

レインボーブリッジも含めると10万tにも達する鋼橋事業

 ――橋梁以外の鋼構造物とは具体的にはどのようなものですか

 辻󠄀 例えば成田空港のターミナルビルの建設、港湾関係の浮桟橋や鋼製・ハイブリッドケーソンの製作・据付などにも携わりました。最近では社長室長、社長室調査役などの経営企画分野に従事させていただき、このほど社長に就任させていただきました。

 ――心に残っている携わった案件は

 辻 東京都で建設された新交通「ゆりかもめ」ですね。入社したての駆け出しのころ1990年代前期に携わりました。レインボーブリッジも含めると10万tにも達する鋼橋事業で、これに携われたことは、本当に大変でしたが、ありがたく思っています。

 また、羽田空港に新設されたD滑走路では、国家の一大プロジェクトにも携われることができました。

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難工事でも、臆することなくチャレンジする技術者魂

まじめで誠実に物事をこなす

 ――エム・エム ブリッジの誇るべき長所は

 辻󠄀 まじめさと誠実さに裏打ちされた実行力にあると思っています。

 社内には向上心が強い人が多く、難工事でも、臆することなくチャレンジする技術者魂があります。建設~技術~生産管理~営業に至る横の連携も強く、総動員で難工事を進めることができる組織力も有しています。吊橋(現在、日本における最後の道路橋吊橋『豊島大橋』は同社の前身三菱重工鉄構エンジニアリングが携わった。2008年供用)や斜張橋(最近では岩城橋、気仙沼湾横断橋)、アーチ橋、トラス橋、都市部の交差点立体化事業(岡山2号立体やたつみ橋交差点立体化事業)や拡幅事業(佐世保拡幅)など多くの経験がございます。今後はこうした技術の伝承を図り、長所を維持し、さらに伸ばしていきたいと考えています。


豊島大橋

有明筑後川大橋

気仙沼湾横断橋

岩城橋

舘高架橋

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維持管理や更新事業などより多様なニーズに対応

長崎県の長大橋の維持管理を行うPPP事業の優先交渉権獲得

 ――新社長として取り組みたいことは

 辻󠄀 社内の風通しをさらに良くすると共に、市場環境を鑑み新設橋を主体とする体制から、維持管理や更新事業などより多様なニーズにフレキシブルに対応できる体制にすべく、技術者の多能化を図っていきます。

 加えて、弊社は難易度の高い構造物を製作・施工していくことが使命であると考えております。技術の伝承を確実に進めると同時に業務効率を高めるため、今年度新設したDX室を強化し、実効性ある取り組みにつなげていきます。

 ――ここ数年の経営状況は

 辻󠄀 新会社設立以来、ここまで順調に成長し売上は200億円から300億円規模となりましたが、現状は足踏み状態で、1、2年は少し軟調であると、見込んでいます。しかしその後は、大阪湾岸道路西伸部が本格化するし、その後も下北道路なども見込めると考えています。さらには高速道路のリニューアル事業にも積極的に関わっていきたいと考えています。

 また、長崎県で国内初となる長大橋の維持管理を行うPPP事業の優先交渉権を獲得し、取り組んでいく予定で、こうした地方自治体の長大橋管理にも保有する技術や知見を活かして収益を上げると共に社会貢献を図っていきます。



長崎県が管理する長大橋


 ――中期的な目標は

 辻󠄀 維持管理及び更新を主軸に、新設がおおよそ3割、港湾ほかで1、2割程度のイメージで、2030年度には、市況の復活と共にここまで最高値を上回る規模を目指します。

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