ピーエス・コンストラクション 2030年には売上1,600億円、土木・建築それぞれ5割ずつを目指す
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ピーエス・コンストラクションの新社長に櫻林美津雄氏が就任した。東北学院大学で土木工学を学び、「橋梁の建設に携わりたい」と当時のピー・エス・コンクリートに入社、現場と設計を交互に経験しながらPC橋のスペシャリストとして業務に携わってきた。そんな現場畑出身の新社長は、現場のエッセンスを大事にしつつ、組織に横串を通すことやプレキャスト化をさらに進めることで、業務の効率化や技術の向上に力を入れたいと話している。そのインタビューをまとめた。(井手迫瑞樹)
とにかく橋梁に携わりたかった
とにかく橋梁に携わりたかった
片持ち張出し架設の詳細設計ができるまでは設計から出さない
――大学時代に学ばれたことと、PC業界への入社の経緯について教えてください。
櫻林新社長 工業高校から東北学院大学に進学し、土木工学を学びました。ゼミは橋梁研究室で、卒業論文は道路のボトルネック解消方法について書きました。コンクリートについては大塚先生に師事しました。
――当時、PC橋のファブリケーターであったピー・エス・コンクリートに入った理由は
櫻林 1982年に入社しました。とにかく橋梁に携わりたかったんです。当時はPCもメタルもそれほど意識していませんでしたが、求人票を見て選びました。結果的に、たまたま入社したのが当社でした。
――入社後の経歴について詳しく教えてください。
櫻林 管理部門以外は、ほぼすべての業務に携わりました。新入社員の時は、秋田の現場でPC桁の製作に携わりました。主桁18本のうち、中央の6本だけが同じような桁で、両サイドはバチ形状。1本ごとに長さが異なる現場でした。
――新入社員なのにいきなりハードな現場でしたね
櫻林 本当にそうですね。でもなんとかなるものです。現場には3年ほど従事し、その後5年間、設計業務に従事しました。
――設計業務ではどのような仕事をされましたか。
櫻林 PC橋の設計や照査を担当しました。当時はパソコンや電算がまだ発達していなかったので、手計算が中心でした。基本は電卓で、部分的にパソコンの計算結果を活用する程度でした。その後、また現場に出てから設計に戻ると、設計ソフトウェアがかなり進化していました。当時は従業員数が少なかったこともあり、現場と設計を定期的にローテーションしていました。
道路橋示方書を片手に計算していた時代で、先輩からは「片持ち張出し架設の詳細設計ができるまでは設計から出さない」と言われたことを覚えています。
――印象に残っている現場はありますか。
櫻林 1993年に秋田県で発生したアーチ橋の落橋事故、その復旧工事が心に残っています。場所は玉川温泉の入り口に架かる玉川温泉大橋で、当時としては新しい「合成アーチ巻立て工法」を用いて建設していたものでした。斜吊りで架設していくアーチ橋でしたが、組立て後にアーチ部の頂上付近にズレが見つかり、そのズレを修正作業中に崩落し、重大災害が起きました。

玉川温泉大橋(ピーエス・コンストラクション提供、以下注釈なきは同)
現場は秋田県の山中で冬場は雪で半年ぐらい閉鎖されてしまう現場でした。約3年をかけて復旧しました。管理を徹底し、設計図通りに作り直しました。
もう一つ印象に残っている工事はPCCVです。
原子力発電所の格納容器製作にも携わる
圏央道の兵道高架橋では国内の高速道路初のUコンポ桁に関わる
――PCCVとは 、どのような構造物でしょうか
櫻林 原子力発電所の格納容器です。関西電力の大飯原子力発電所での工事が非常に印象に残っています。内側のライナー工事は三菱重工、その外側のPCCVはスーパーゼネコン4社のJVが施工しました。当社はその一次協力会社としてPC鋼材の配線・緊張・シース内へのグリース注入を担当しました。緊張材のボリュームが非常に大きい現場で、D51の鉄筋が数多く配置されている中に直径15~16cmのシースを逆U字に配管し、φ12.5mm×55本のPC鋼より線に1本あたり約80N/mm2の緊張力を導入しました。また、施工後も点検が行うことができるようにグリースで防錆処理を行いました。

大飯原子力発電所
――新設橋では
櫻林 設計や計画に携わった橋梁ではUコンポ桁です。NEXCO東日本での圏央道の兵道高架橋では、この形式が国内の高速道路で初めて採用されました。国内初の橋梁計画・積算に携われたことは、大きな成果として記憶に残っています。

兵道高架橋ではUコンポ桁の計画に関わった
――ピーエス・コンストラクションの長所や持ち味は何でしょうか。
櫻林 新しい技術に挑戦する際、会社全体が一丸となれる点が当社の強みだと思います。例えばPC波形鋼板ウェブ箱桁橋に取り組んだ際は、設計、計画、製作、現場が一体となったプロジェクトチームを組成しました。
また、岩手県の早池峰ダムでの長大PC方杖ラーメン橋(橋長207m、うすゆき大橋)の施工では仮支柱の面白い架設計画を行いました。当時、日本で一番長い方杖ラーメンの張出し施工を計画しました。施工が進むにつれて桁の重みで仮支柱が縮むため、ジャッキアップを行いながら施工する必要がありました。施工が進むごとに方杖の付け根に大きな応力がかかることから、それを解消させる形で仮支柱とジャッキを設けたんですね。JVを組んでいた三井住友建設と綿密に検討しながら施工しました。
このように新しい分野や難しい技術的課題に一丸となって対応する特質は、例えば大規模更新事業における床版継手「MuSSL工法」のスムーズな開発にも表れています。

MuSSL工法(マッスル工法):PCaPC床版接合部の底型枠不要工法で安全性と生産性を向上
大成とのシナジー 共同購入によるコストダウン図る
今年度は連結ベースの売上額が1,480億円程度、当期純利益は85億を見込む
――大成建設グループとのシナジー効果について教えてください。
櫻林 大成建設とは、土木・建築を問わず技術交流を盛んに行っています。床版取替工事などでも互いに技術を有しており、床版継手工法の相互融通など、現場に応じて使い分け、シナジーを発揮しています。また、鉄筋などの資材については、大成建設との共同購入によるコストダウンも進めています。シナジーを発揮できる余地はまだあると考えており、そのためにもスピード感を持って進めていこうと考えています。
――新社長として取り組みたいことは
櫻林 現在進めている中期経営計画2025(2025~2027年度)は順調に推移しています。売上、利益についても目標を超えるような数値で推移しています。一方でNEXCOの大規模更新事業の発注量がややペースダウンする可能性もあり、動向を注視しています。
今年度は連結ベースの売上額が1,480億円程度、当期純利益は85億を見込んでいます。
特に力を入れたいのは、土木本部、建築本部、技術本部、製造本部、管理本部といった縦割り組織に横串を通して、全社が一丸になるための組織作りをしたいと思っています。
ピー・エス・コンクリートを吸収合併して製造本部を立上げ
土木・建築・製造の3本部に横串を通す
――具体的には
櫻林 4月1日に連結子会社であるピー・エス・コンクリートを吸収合併して製造本部を立上げました。これからの時代はプレキャストが重要なキーワードになると思っています。土木・建築・製造の3本部に横串を通すことで、製造本部ではコスト縮減を図り、土木・建築本部ではプレキャストの新しい領域に挑戦することで、新しい領域や製品を作っていきたい。そのためにも風通しを良くしていきたいと考えています。
――現在でもそうした横串的な社内組織はないのですか
櫻林 DX分野では、社長直属のDX推進室を設置しています。管理部門も含めた様々な部署から実務に明るい人材を入れた組織です。土木・建築・技術・製造・管理の垣根を超えた社内DXの推進を図り、共通で使えるDX、土木・建築双方で使えるDXを取捨選択しながら技術開発の促進、プラットフォームの共同運用し、業務効率化につなげています。
今年度中には、現場社員ほぼ全員にタブレットを配布する予定です。






