NEXCO西日本 徳島自動車道4車線化 2区間で工事、1区間で計画が進捗
徳島自動車道の4車線化事業は、四国地方の交通インフラ整備において重要な位置を占める大規模プロジェクトである。本インタビューでは、NEXCO西日本四国支社徳島工事事務所の池田順一所長に、4車線化事業の進捗状況、技術的課題、耐震補強の進捗状況、そして若手技術者の取組みについて詳しく聞いた。(井手迫瑞樹)

徳島工事事務所管内4車線化事業の概要図

4車線化によって期待される事業効果
3区間17.3kmの4車線化事業が進捗
3区間17.3kmの4車線化事業が進捗
耐震補強 今年度は2件の工事を発注
――徳島自動車道4車線化事業の全体概要について教えてください
池田所長 徳島自動車道は全体で106kmありまして、その内の3箇所の区間で4車線化事業を実施しています。事業化された時期がそれぞれ違いまして、古い順から申し上げますと、まず脇町IC~美馬ICの4.8km区間が平成31年3月に事業化されております。次に土成ICから脇町IC間のうちの7.7km区間が令和2年3月に事業化されました。一番新しいのが、西側の美馬ICから吉野川IC間のうちの4.8km区間で、令和6年3月に事業化されています。それとは別に阿波市場スマートIC(SIC)事業が令和元年に事業化されており、令和8年内の開通に向けて工事を順次進めている状況です。

管内で建設中の橋梁一覧
――耐震補強工事についても同時に進められているとのことですが、その規模はどの程度でしょうか
池田 徳島工事事務所管内区間としては徳島IC~井川池田ICまでの耐震補強を実施しており約4割が完了している状況です。この区間については4車線化していない区間が多いため、ほぼ全部が対象となっています。4車線化区間の対象範囲にも耐震補強する場所があり、今回見ていただいた脇大谷川橋のⅠ期線なども耐震補強の対象となっており、4車線化工事と併せて一緒に耐震補強を行っています。


耐震補強の施工状況
耐震補強の施工状況②
現在も脇(その2)工事として奥村組土木興業が4橋6脚で下部工補強と支承部の対策を行っています。
今年度は、2件発注予定で、橋梁数は11橋、橋脚数は72基となっています。特殊橋はありません。下部工補強及び支承部対策を行います。
――特殊橋に該当する橋はありますか
池田 特殊橋については次のとおり全て竣工しています。
・西段橋(上下共有)(トラス) 脇町~美馬(R5.6竣工)
・露口橋(上下共有)(トラス) 美馬~井川池田(R5.6竣工)
・吉田谷橋(上下共有)(トラス) 脇町~美馬(R6.2竣工)
・玉振谷橋(上下共有)(トラス) 脇町~美馬(R6.2竣工)
新たな盛土は必要ない
――4車線化区間について、新たに盛土を行うべき箇所はありますか
池田 Ⅰ期線の時に、将来の4車線化を企図した形で盛土しているため、新たに盛らなくてはいけない箇所はほとんどありません。路床および舗装などを行なうだけで基本的には事足ります。
土成IC~脇町IC トンネルの地盤はかなり悪い
橋梁は主に下部工が進捗 指谷川橋のみ上部工桁製作中
――土成IC~脇町IC間の工事進捗状況はいかがですか
池田 この区間については、トンネル工事と橋梁の下部工工事が全盛期となっています。土成工事では、浦ノ池トンネル(延長178m)が貫通し、水田第一トンネル(同540m)の掘進を進めています。水田第二トンネル(同219m)については、第一トンネルが完了後に施工を進めていきます。

3トンネルとも、砂岩と頁岩の互層であるため脆い地盤であり、地上との土被りも薄く、さらにはⅠ期線との離隔も小さいため、仮吹付インバート、AGF及び長尺鏡ボルト工、さらには上下半だけでなくインバート支保工を1mピッチで構築しながら施工しています。施工は青木あすなろ建設・大日本土木JVが担っています。

水田第一トンネルの掘進状況
切幡工事では、下部工工事およびトンネル工事を施工中です。同工事の施工範囲は秋月トンネル(延長204m)、切幡第一トンネル(同366m)、同第二トンネル(同248m)、切幡高架橋(橋長139m)下部工、指谷川橋(橋長113m)下部工となっています。秋月トンネル(同204m)はこれから着手予定で、現在は切幡高架橋の下部工を施工中です。施工は大林組です。

工事区内では高架橋や橋梁の工事も進んでいる
市場工事では高西谷川橋(橋長202m)、上喜来高架橋(橋長717m)、日吉高架橋(橋長159m)、柿ノ木谷高架橋(橋長258m)の橋脚を今構築している状況です。鹿島建設が施工している阿波市場SICを挟んで、日吉高架橋、金清トンネル(同535m)、柿ノ木谷高架橋、切幡高架橋(橋長139m)までが工事に含まれています。施工は竹中土木です。

上喜来高架橋(市幡工事)
秋月トンネルと切幡第一トンネルの中間にある指谷川橋についてはPC上部工を三井住友建設に発注済みで、工場で桁を製作している状況です。 指谷川橋下部工も大林組が施工中です。
殿開高架橋(橋長185m)と熊谷橋(橋長79m)の下部工についても現在施工中です。施工はノバックです。

指谷川橋の施工状況
――土成工事の3トンネル、浦ノ池、水田第一、同第二トンネルでは、脆い地盤への対応が必要とされていましたが、この区間の他のトンネル工事の地質条件はいかがですか
池田 水田第一トンネルと同様に、非常に脆弱な地質となっています。一つの大きな山と見れば一緒ですので、多分やわらかいだろうと考えています。発破掘削も全トンネルで予定が無く、全部機械での掘削を考えています。全部補助工法を使う予定です。各トンネルとも、ほとんどが支保工Dパターンですね。掘削に要する時間は相当かかると考えています。
――橋梁の基礎工についてはどのような構造になっていますか
池田 基礎工に関しては、直接基礎はほとんどなく場所打ち杭が基本ですね。山岳部は深礎杭が基本となります。橋脚高は高いところで上喜来高架橋の30m弱ぐらいになります。基本的には密実断面の橋脚になる予定です。
上部工形式はPC箱桁あるいは、鋼鈑桁です。ラーメン橋は殿開高架橋で予定しています。ラーメン橋は、流動性の高いコンクリートや、暑中コンクリート対策を行うなど、適切な対策を施していきます。
――阿波市場SICの特徴と進捗状況は
池田 四国で事業中(観音寺SICと阿波市場SIC)として2例目となる環道型退出路を備えたSICです。徳島行きの入口と、徳島方面からの出口の2ランプからなるハーフICです。同事業は将来の4車線化を考慮して、ランプ橋の暫定線形を考慮する、四国で初めて跨道橋の撤去を行い、新たな跨道橋に架け替える(SCBR工法を採用)、市道を盛り上げて、その下にボックスカルバートを新設して交わす、さらに本線橋との交差部にFCB盛土を構築するなど、様々な工夫を施しています。

阿波市場SIC事業概要



阿波市場SICの施工状況(井手迫瑞樹撮影)
現在は、ほぼ土工部が概成しており、今後は舗装工の施工に入っていきます。
土工および構造物の施工は鹿島建設。舗装施工は大林道路です。
――同SICの構築に当たってはDXやICT施工などの導入は行っていないのですか
池田 はい、切盛土工においてICT施工を導入しております。
脇町IC~美馬IC間 2橋で桁架設が完了
2主鈑桁PC床版を採用
――脇町IC~美馬IC間の4車線化工事状況はいかがですか
池田 現在進んでいる4車線化工事で先行して工事着手している区間です。下部工は全て完了(奥村組土木興業が施工)しており、これから上部を架設するための準備を行っている状況です。脇大谷川橋は見ていただいた通りで、桁架設を終えて床版工の準備中です。隣接する山根谷第一高架橋(橋長53m、鋼単純合成2主鈑桁(片側剛結))と同第二高架橋(橋長44m、鋼単純合成2主鈑桁(片側剛結))は桁架設の準備段階です。同上部工は日本橋梁が製作・架設を進めています。

脇町IC~美馬IC間の4車線化工事状況

各橋梁の施工位置

脇大谷川橋の施工状況①(井手迫瑞樹撮影)

同②(NEXCO西日本提供)

山根谷第一高架橋、第二高架橋
その西側、新町谷川橋(橋長168m、鋼4径間連続合成2主鈑桁)、城の谷橋(橋長116m、鋼2径間連続合成2主鈑桁)、袋谷橋(橋長56m、鋼単純合成2主鈑桁)、馬木谷橋(108m、鋼2径間連続合成2主鈑桁)の4橋も下部工が完了済みで鋼上部工が進捗中です。新町谷川橋と袋谷橋は桁架設を完了しており、床版工の準備を進めています。他2橋は桁架設の準備中です。同上部工はJFEエンジニアリングが製作・架設を担っています。

馬木谷橋


吊り上げ架設を行った新町谷川橋


袋谷橋の上部工架設
本現場の7橋は全て鋼2主鈑桁の現場打ちPC床版を採用しています。床版打設は暑中コンクリートになるため、対策が必要です。
美馬IC~吉野川SIC 橋梁は1.5km
上下線で橋長が大きく異なる箇所も
――美馬IC~吉野川SIC間は計画段階と聞いています。構造物は8橋を予定していると聞きますが、どんな構造になりそうですか
池田 これから詳細設計していきます。概略段階では土工が3.3km、橋梁が1.5kmとなっています。橋梁形式はPCと鋼橋の両方を想定していますが、これから一般図を作成して橋梁アドバイザー会議などを経て、形式検討、形式決定していく流れになっています。

美馬IC~吉野川SIC間の概要図
――4車線化の計画段階の橋長を見ると中条橋がⅠ期線45m、Ⅱ期線260m、馬谷川橋がⅠ期線31m、Ⅱ期線111mなど、上下線で橋梁長が大きく異なる箇所がありますが
池田 これは現地の地形に合わせて、上り線は盛り土ができるけれど下り線はできないかも知れないという状況によるものです。 しかしいずれにしても、現在は計画段階ですので、構造形式や橋長がフィックスしたわけではありません。
現場はⅠ期線と比べて家が非常に近接している箇所があります。土工だと構造的にも圧迫しますし、施工中も住民の皆様にご迷惑をかけてしまう可能性があります。ただ、橋梁もそれが皆無というわけではなく、悩ましいところです。
――現在4車線化が進んでいる箇所以外でも各地に暫定2車線区間が沢山ありますが、そうした箇所の新規事業化はどのように進めていきますか
池田 当社としてはどんどんされることを期待しています。







