オリエンタル白石 5年後には売上げ900億円を目指す
オリエンタル白石の新社長に照井満氏が就任した。照井氏は東北大学の工学部土木工学科を卒業後、三井建設(当時)を経て、2000年に当時のオリエンタル建設に入社、現場では先々代社長の井岡氏の薫陶も得て現場に従事、長大、もしくは特殊な技術を有する現場も経験、工事畑を中心に歩んできた。近年ではグループの鋼橋ファブである日本橋梁の副社長も経験している。照井新社長に同社の今後の戦略について聞いた。(井手迫瑞樹)
PC橋新設、リニューアル、ケーソン、建築、鋼構造の5本柱
00年にオリエンタル建設に入社 日本橋梁でも副社長を務める
常磐道の木戸川橋 東北では初めてスパンバイスパン工法を使って建設
――大学時代専攻した分野は
照井新社長 大学は東北大学の工学部土木工学科でベーシックな勉強をしてきましたので、当業界に入るのに違和感はありませんでした。1987年に三井建設(当時)に入社し13年間同社で働いた後、00年に当時のオリエンタル建設に入社しました。後に社長になる井岡さんとは大学の先輩後輩の間柄です。そして、18年には日本橋梁に出向し、副社長として3年間勤めた後、当社に戻って工事部長さらには土木事業本部長を務め、昨年度から経営企画部長の任に当たらせていただき、4月1日から新社長に就任しました。
大学時代の専攻をもう少し詳しく話すと、土木インフラの計画検討の研究を行っていました。中小の市町村の持続可能なインフラの維持管理ですね。グローカルな見方を大学では培うことができました。今回、社長になるに当たって、この学びは改めて役に立ちそうです。もちろん構造工学や水理学、コンクリート工学などの基礎も同じく学びました。
――オリエンタル白石に入社してから、心に残っている現場は
照井 常磐道の木戸川橋です。2年半現場におり、先々代の社長である井岡(隆雄氏)が現場事務所長を務め、私は副所長兼主任技術者という立場で従事しました。同橋と隣接する井出川橋と合わせて2kmにもわたるPC長大橋で、東北では初めてスパンバイスパン工法を使って建設した橋梁でした。私は計画からプレキャストセグメントの製作、桁架設、さらには現場の精算まで携わり、そこで初めてPC橋建設の何たるか、という基礎を学んだように思えます。

木戸川橋
同現場は職員20人、職人は200人に及ぶ、ちょっとした企業体のような巨大な現場でした。
もう一つは第二京阪の讃良橋PC床版工事です。国土交通省近畿地方整備局発注の工事ですが、難工事でした。市街地も通る鋼桁の上の床版工事ですが、規模は上下線合計2kmに及ぶもので、その桁の上にプレキャストPC床版を設置する工事でした。国土交通省が供用見通しを発表したこともあり、滋賀と当時稼働していた岡山のPC工場をフル稼働してプレキャストPC床版をつくり、架設しました。プレキャストPC床版の枚数は1,000枚に達したことを覚えています。

第二京阪の讃良橋PC床版工事
架設に当たっても、市街地もあるため、下のヤードからクレーンで揚げて架設するオーソドックな手法を使うことができない箇所も多々ありました。そのため、桁上にクローラークレーンを設置し、桁上からトレーラーで床版を運び架設する手法を採用しました。現在の大規模更新工事を先取りしたような工事ですね。これで、クリティカルパスを回避し、さらに間詰めコン(ループ継ぎ手)の打設も必死に施工し、何とか間に合わせました。疲弊しましたが、何とかなるものです。
今年度末の受注残はOSJBHD発足以来、過去最高の1,000億円見込む
日本橋梁 重要な鋼構造セクターの子会社
――さて、前中期経営計画の達成状況について教えてください
照井 同計画で目標にしていた年間営業利益62億円という数字は、初年度(2023年度)に早々に達成しました。その後も62億まではいきませんが50億程度で利益額は堅調に推移しています。売り上げは2023年度が680億、24年度が650億円、25年度は660億円を予想しております。しかし、今年度末の受注残はOSJBHD発足以来、過去最高の1,000億円に達する見込みです。
セクション別の売り上げで申しますと、PC橋新設分野が、23、24年度は130~140億円前後で推移しており、25年度は少し減少となる見込となっています。まず安定しているといっても良い内容で、今後も堅調に推移すると見通しています。
ケーソンは23年度が115億円、24年度が99億円、25年度も同程度の見込で、今後も同じように推移すると考えています。
リニューアルを含む補修補強分野は、約200億円の売上を3年間安定して維持する見込です。今後も同程度の売上げを維持していきたいと考えています。

リニューアル工事例①(プレキャストPC床版『SLJスラブ』を用いた床版取替)

SLJスラブはトンネルの床版に用いられている


リニューアル工事例②(SCBR工法による桁の架替え)
建築は一番の成長株です。ずっと年間20~30億円程度の売り上げでしたが、ここにきて建築分野でもプレキャスト需要が高まっています。
その要因は防衛分野のリニューアル工事や半導体の建屋、物流倉庫などの需要が非常に旺盛であるということです。以前からゼネコンの下請けとして、PC梁や柱、スラブの製作施工、小学校など公共施設の耐震補強などを地道に行っていましたが、そうした活動がついに花開いた感じとなっています。
当社は鋼構造物セクターの子会社として、日本橋梁を有しています。ここ3年の年間売上げは70~80億円で推移しており、今後漸減傾向にあると考えています。楽観視できる状況とは言えません。
しかし、当社にとって日本橋梁は重要な会社です。橋梁の補修補強やリニューアルは、今や鋼・PCの垣根がありません。新設についても複合構造はざらにあります。そうした中で国土強靭化が進められる中、補修・補強、リニューアル、耐震補強あらゆる分野で複合的な構造を有する現場の需要に鋼もPCも取り扱えるグループとして対応していくために、日本橋梁の設計・架設技術水準の維持ができるよう、新設も含めて積極的に受注していきたいと考えています。


新設橋も積極的に受注していく(写真は徳島道のNEXCO西日本四国支社発注の徳島道 脇大谷川橋上部工、井手迫瑞樹撮影)

箱島インターチェンジ橋 (群馬県発注)
いかに収益の波を抑えるか
デンカリノテックを傘下に 脱塩工法、再アルカリ化工法などコンクリート構造物の維持管理技術もブラッシュアップ
――新しい中期経営計画の策定について教えてください
照井 大詰めを迎えています。
肝要な点は3つあります。
1つ目は、いかに収益の波を抑えるかという点です。
完工利益の年度ごとの差を抑えるといっても良いかもしれません。年度ごとに安定した収益を見越すことができなければ、競争力は維持できません。また、将来的に言えば技術者も安心して仕事ができません。重視していきます。
2つ目は、技術者が乏しくなっている市町村などに対し、新設から維持管理も含めた包括的な提案を進めていけたら良いと考えています。自治体、とりわけ基礎自治体においては、過去のインフラストックに押しつぶされそうな自治体が少なからずあります。並行道路がある場合は、トリアージも選択肢でしょうが、それでも撤去工が発生します。さらには、並行道路が無い場合は維持管理を行っていかねば、橋の向こうにある集落は生活を維持できません。
当社は新設・保全に関わらず橋梁(鋼・PCとも)の設計から製作・架設・補修補強に関する技術を蓄積してきましたが、これを包括的に提案する事業を進めていきます。既に国交省のPPPに基づくスキームを主体とした国交省のモデル事業に参画しており、高い評価を頂いております。
3つ目は新事業へのチャレンジです。とりわけ海外事業へ挑戦したいと考えています。最近では大林組の下でインドネシアのジャカルタにおいて、巨大なケーソン構築工事のスーパーバイザーとして参画しています。
また、高効率アクアポニックスシステムや鶏糞由来のメタンガスの循環的な利用を目指すハイブリッドメタン、コンクリート製造にかかるCO2排出量を約65~85%削減できる土木構造物向け低炭素型コンクリートの開発、スランプフロー45cmの締固めを必要とする高流動コンクリートを採用して生産性の向上を図り、添加剤(硬化促進剤)を配合することで、年間を通して蒸気養生を行わずに早期の強度発現性を実現できるエフキュア®コンクリートなど環境に配慮した技術開発も進めていきます。

低炭素型コンクリート

同コンクリートを用いて製作した消波ブロック

エフキュア®コンクリート
加えて新たなPC橋架替え工法『dVIP桁』や、PCT桁間詰め部に関する補修工法『DiFi工法』、腐食する鉄筋を使わない新たなプレキャストPC床版『CFRPスラブ』などを積極的に開発、展開していきます。
CFRPスラブの施工状況

dVIP桁とその特徴図

DiFi工法の施工状況
基礎分野では、ニューマチックケーソンの自動化、遠隔施工の更なる深化も図っていきます。

ニューマチックケーソンの自動化、遠隔施工の更なる深化も図っていく
昨年は、デンカの関連工事会社であったデンカリノテックを傘下に収めました。同社の持つ防食工法、脱塩工法、再アルカリ化工法などコンクリート構造物の維持管理技術もブラッシュアップし、現場へ広く展開していきます。

脱塩工法概要図と施工フロー

最アルカリ化工法施工フロー





