【親子実験】20万円の楽器をあきらめて塩ビパイプで作ったら最高の夏休みになった
親子で選んだ塩ビパイプが、本物になった日
「夏休みにデジュリドゥ作りたい」
息子が言いだした。
「ブゥオーーーン、ブゥウオオーーーン」
腹の底から響くような低い音がする。
きっかけは昨年、何気なく見ていたユーチューブの動画だった。
長い木を咥えた民族衣装の男が演奏をしていた。
調べると「ディジュリドゥ」というオーストラリアの先住民アボリジニが使う楽器らしい。
久しぶりに鳥肌が立ち、どっと引き込まれた。
「おあーー!これー!やってみたい!」
更に調べると、どうやらユーカリの木の内側をシロアリが食べて空洞になったものを使うらしい。
いったい何年掛かるんだろう?そんな事を思いながら値段を見ると・・・
「に、に、に、にじゅうまん?!!」
本場のディジュリドゥは安くても4~5万、良いものは10万、20万はくだらない。
黒く変色した蜜蝋の吹き口を見てふと「内側って臭いんだろうな~」そんな事が頭をよぎった。
多分、プロになるような人たちは、そんな小さなことに悩まず、やってみたい情熱が勝った人たちなのだろう。
正直、負けた、悔しいが私は負けた。
何十年も人から人へ大切に使われてきた伝統の楽器を何十万も払ってお迎えする勇気はなかった。
しかも吹き方が独特で循環呼吸という常に息を吐き続ける呼吸法を使うらしい。
やってみると分かるが無理無理無理無理となる。
今までもそうだった。
興味はあるけど、いろんな理由をつけて自分には無理かもなとあきらめる。
今回もそうなるものの一つかな?
そう思い始めていた時、見つけた!
練習用デジュリドゥ?!
白いプラスチックの筒で吹くところにはゴムがついている。
何て衛生的!しかも値段は5000円。
「これかもしれない!」
取りあえず、音も出るか分からない、でもやってみたい、
そんな男の夢をかなえるには十分すぎる値段だった。
ポチッと購入し、次は循環呼吸の練習。
調べるとストローを水の入ったコップに突っ込んで途切れずに吹く練習をするようだ。
「ぶくぶくぶくぶぶぶぅ・・・・」
やばい、まったく続かない。
でも、もう購入したのでやめる訳にはいかない。
部屋でぶくぶくしていると子どもたちが寄ってくる。
またなんか変なことしてる、そんな表情だ。
説明すると吹奏楽でトランペットをしている娘が一言。
「私、できるかも」
ストローを吹いて
「ぶくぶくぶくぶく・・・・・」
うそー!
続いている、途切れない、でも呼吸している、何で?
驚きと興奮でいっぱいだ。
コツはほっぺの中に空気をためてそれをほほの筋肉で押し出しながら鼻から空気を吸うらしい。
娘からそんな説明を聞いてやってみる。
いつの間にか息子も参戦している。
うーん、難しい。
感覚がつかめない。
すると隣で
「ぶくぶくぶくぶく・・・、お!出来たー!」
息子が早くもコツをつかんだようだ。
やはり子どもは、のみこみが早い。
その後もしばらくお風呂の中で練習を続けてなんとか雰囲気はつかめるようになった頃、練習用デジュリドゥが届いた。
「俺が先、俺が先」
息子が自信たっぷりに一番に試す。
「ぷしゅー、ぷしゅー」
音が出ない。
「かしてみな」
娘が分捕り、やり始める。
「ブゥオーーーン、ブゥウオオーーーン」
おー、あの音だ!
さすが吹奏楽部。
最初からばっちり音が出ている。
息子は悔しそうな表情で姉にコツを聞く。
どうやら唇の振動を筒に伝えるイメージが大切らしい。
すると息子も
「ブゥオーーーン、ブゥウオオーーーン」
おー、出た出た。
ここでも子どもたちの上達は早い。
おててきぼりのおじさんをしり目に色んなリズムを刻みだした。
「ぶぃーぶぶ、ぶぉいーぶぶ」
娘は循環呼吸で途切れることなく演奏し出す。
そして数週間がたち、夏休みが始まると、もっと大きいのが欲しくなったようだ。
「おれ、夏休みの工作でデジュリドゥ作るわ」
息子が言いだした。
「作るってお前、どうやるん?」
「もっと長いのが欲しい」
「え~、うーん、調べてみるか」
息子と一緒に調べると何と塩ビパイプで自作している人がいた。
これは作れるかも。
息子と父の一大プロジェクトが始まった。
まずは設計図。ディジュリドゥには形状によって呼び名があるらしい。
長くて先端が広がるイダキと、短くて比較的音の出しやすいマーゴ。
せっかくなので両方作ることにした。
息子と長さや太さを大まかに決めてメモをする。
設計図を持って息子と一緒にホームセンターへ。
塩ビコーナーで業者に混ざって、色々組み合わせて行く。
あの親子何やってんだろ?
はたから見るとそんな声が聞こえてきそう。
何やら紙を片手に塩ビパイプを真剣な表情で繋げては外すを繰り返す親子。
家に帰ると一回洗ってから乾かして、早速組み立てる。
息子と一緒にプラモデルを作っているような感覚になった。
そして、イダキとマーゴの出来上がり。
少しあきれ気味の妻と娘をよそに俺たちのデジュリドゥが完成した。
上手な息子はイダキを、やっと音が出始めた私はマーゴを手にさっそく演奏。
「ぶぅぅぅーおおおーーん」
「ぶぅううーーん、ぶぅううーーん」
いい感じでそれぞれの音の特徴が出ている。
親子で作った楽器を親子で演奏する。最高の夏休みの思い出になった。
夏休みが終わると誇らしげに夏休みの工作を持って行く息子の姿があった。
そして数か月後の秋の文化祭。
息子のクラスは現代版 桃太郎の劇をやる事に。
見に行くと、鬼役の息子がイダキを手にしている。
「ぶおおーーーーーん」
会場に響く低音。
20万円の楽器は買えなかった。
でも、あの日ホームセンターで塩ビパイプを選んだ時間や、
一緒にストローで練習した時間も、
全部ひっくるめて最高の楽器だった。





ピートンさん、手づくり楽器さいこーですね❣️
初めて聞いた名前の楽器ですが、
アボリジニ民族由来?なんですね。
音を聞いてみたい🥰💕︎💕︎
凄いです。これぞ子育てのかがみ✨️
何でも自分で調べてやってみる、作ってみる…親子ともに何年経っても忘れられない思い出になります😆💕
30年以上前ですが…アボリジニの村へ行った事があります。あの時吹いて見せてくれた楽器がこれだったんですね。30年経って名前を知りました(笑)
デジュリドゥφ(..)メモメモ