株価が5,000円逆に動いても利益になる ― オプション売りという第3の選択肢
「自分が買ったら下がる。売ったら上がる」
投資をしていると、本当によく感じる現象ですよね。
実はこれ、初心者だけの話じゃないんです。
プロでも、短期の株価の方向を当てるのは本当に難しい。
ところが、株価の方向を当てなくていい投資手法、というのも存在するんですよ。
今日はそんな話をしてみたいと思います。
少し前に、「丸腰で戦場に立つのはもうやめにしよう」というタイトルで、なぜ個人投資家こそオプションが必要なのか 📝 という話を書きました。
今回はその続編です。
前回が「問題提起」だったとすると、今回は「問題解決の入口」のような位置づけ。
オプションのいちばん核心的な仕組み ― 「方向を当てなくても利益が出る」というところを、ひとつだけ深掘りしてみます。
前回をまだ読んでいない方は、先にざっと目を通してもらえると、今日の話がぐっと立体的に見えるはずです。
🎯 プロでも、短期の方向当てはほぼ無理
ちょっと、ここ最近の相場を思い出してみてください。
2023年。バフェットさんが来日して日本の五大商社を爆買いしました。
「日本株は割安だ」というメッセージで、日経平均が一気に急騰したんですよね。
正直、当時は「日本株なんてもう大して上がらない」と思っていた人が多かった。私もそうでした。
2024年8月。今度は植田ショックで日経平均が暴落。
「令和のブラックマンデー」「日本発のブラックマンデー」とまで言われた急落です。
そして2025年4月、トランプ関税ショック。また急落です。
どれも「まさか」の出来事で、ピンポイントで当てた人なんてほぼいません。
短期の方向を当てるのはプロでも難しい。これが現実なんですよね。
しかも、人間の記憶って都合よくできていて、外した時のことばかり強烈に残るんです。
「なんで私が買った瞬間に下がるんだろう」 ― あの感覚、誰しも一度はあるはずです。
実際は、当たりも外れも半々くらいで起きているはずなのに、外しの記憶だけが残る。だから余計に「自分は下手だ」と思い込んでしまうんですよね。
ここで、ひとつだけ、あまり大きな声で語られない事実があります。
そもそも、方向を当てるという土俵で戦っていることが不利な前提を背負っているんです。
株・先物・FX・仮想通貨。どれも「上がるか下がるか」の2択しかない商品ですから。
50%しか正解がない勝負を、何度も繰り返している ― これが普通のトレードの構造です。
⏰ オプションには「時間」が値段としてついている
オプションが普通の投資商品とまったく違うのは、商品の中に「締め切り」が組み込まれている ⏰ ことなんですよね。
普通の株や先物、FX、ビットコイン。これらは、自分で利確かロスカットしない限り、基本的に締め切りがありません。
いつまでも持っていられます。だから時間に値段がつかない。
でも、オプションは違います。
日経225オプションの場合、通常のオプションだと毎月「第2金曜日」が締め切り(SQ)です。
これは絶対的なルールで、信用取引の6ヶ月期限みたいな「ふわっと先送り」もできません。
「来月の第2金曜日までに、株価がこの水準を超えるか・超えないか」を当てるチケットなんですよね。
時間が後ろに戻ることはありません。
なので、SQまでの残り日数が減るほど、オプションの期待値(時間価値)はじわじわ目減りしていきます。
1ヶ月あったものが、3週間、2週間、1週間、1日と縮んでいく。
3000円株価が上昇する期待は、1ヶ月あれば実現しそうだけどあと1日しかなかったらかなり厳しいですよね。だから時間が過ぎれば、到達していないオプションの期待値は日に日に下がっていきます。
このカウントダウンに、ちゃんと値段がついている、というのがオプションの大きな特徴です。
時間が、商品の中で値段になっている。
ここがオプションを「唯一無二」の商品と言ってもいい部分です。
普通の株や先物の世界に「時間」という軸はありません。
買って上がるのを待つだけ。下がってきても、自分で損切りしない限り何も起きない。
オプションは、ここに「締め切り」という強制的な区切りを入れることで、まったく違う投資手法ができる商品になっているんですよね。
💡 2択ではなく3択、しかも「2.5択」が正解
ここからが、今日いちばん伝えたい話です。
普通の株・先物は「上がる」「下がる」の2択。
でも、オプションには 「横ばい」という3つ目の選択肢 💡 が加わります。
1ヶ月、相場が大きく動いて結局スタートと同じくらいに戻ってきた ― こういうとき株を持っていても利益はゼロです。
でもオプションは、横ばいでも利益にできる。むしろ、動かなければ動かないほど嬉しいといったような戦術がとれるんですよね。
ちょっと具体例を出してみます。
日経平均が65,000円のとき、「2週間後にさすがに70,000円までは上がらないだろう」と思ったとします。
そのときに「70,000円のコール」を300円で売ると、その瞬間に30万円が入ってくる。通常のオプションは1000倍なので、300*1000=30万円というわけです。
あとは、2週間後のSQまでに株価が70,000円を超えなければ、まるまる30万円が利益として残ります。
ここで面白いのは、株価が「上がっても」OKだということ。
5,000円上がって70,000円でもOK。
仮にここで先物を売っていたら、70000円まで上がった時点で5,000円分の負けですよね。
でもコールを売っていれば、5,000円も逆方向に動いたのに、利益のまま 🎯 着地できる。
つまり3択のうち、ざっくり「2.5択」が正解になるんです。
「70000円まで上がらない」という相場感は、
・株価が下がるのはOK
・株価が横ばいでもOK
・株価が上がっても+5,000円までならOK
だから「上がる」「下がる」「横ばい」の3択のうち、2.5択までOKだというわけです。
方向を外しても、利益になる余白がある。
この感覚は、2択の世界で戦っていると、まずお目にかかれません。
普通の信用売りで「逆方向に5,000円動いたけど、利益になりました」なんて、ありえない話ですよね。
でもオプションの売りなら、これが普通に起こりうる。
「当てる」じゃなく、「大きく外さない」だけで利益が積み上がる。この発想の転換が、私にとっては一番大きな気づきでした。
⚠️ ただし、バラ色ではないから誤解しないでほしい
ここで急いで補足しないといけないのが、「オプションの売りは決してバラ色ではない」ということです。
さっきの例も、もし株価が72,000円や75,000円まで突き抜けていたら、損失はかなり膨らみます。
オプションの売りは、一歩間違えると損失が一気に拡大する商品です。なので、押さえておきたい前提があります。
ロスカットラインを先に決めておく
必要に応じてヘッジ(保険)を組む
証拠金の仕組みを理解する
最小ロットから始める
ここを飛ばして「動かなければ儲かるんでしょ?」と入っていくと、たぶん退場が早いです。
特に証拠金の動きと、急変時にどこまで損失が膨らみうるか ― この2つは、最初に必ず手を動かして確認してほしいポイントです。
ただ、こうしたルールをきちんと押さえれば、勝率が高く、方向を少しくらい外しても利益にできる ✨ ― そんな戦い方ができるのは、オプションだけだと私は思っています。
機関投資家がオプションを当たり前のように使うのは、こういう構造的な強みがあるからなんですよね。
逆に言うと、個人投資家がオプションを使わずに「現物株だけ」「先物だけ」で戦うのは、丸腰で戦場に立っているようなものだと私は感じています。
それくらい、3択と2択は、勝負の土俵としての有利不利が違います。
✅ おわりに
株価の方向を当てるのは、プロでも難しい。だからこそ、「当てなくていい」手法を持っておく価値があります。
オプションの売りは、その代表的な選択肢のひとつ。読んでくれてありがとうございました。
最近はAIに聞けば、オプションの基本もすぐ調べられる時代です。
正直、教科書を分厚く読み込むより、AIと対話しながら最小ロットで触ってみる方が、絶対に身につきます。
「オプションってこんな面白さがあるのか」 ― そう感じるきっかけになれば、私としてはこの記事を書いた甲斐があります。
「2択しかない」と感じてしんどくなったこと、これまでありませんでしたか?
よかったらコメントで聞かせてくれると嬉しいです。


