植田ショックの「みそぎ」は、5年では終わらない!
どうも、オプショントレーダーの熊谷です。
今日は「証拠金」の話をしてみますね。
オプションや先物を触っている方なら、最近めちゃくちゃ高くなっていることを痛感されていると思います。「いつになったら下がるんだろう…」と祈っている方も多いんじゃないでしょうか。
結論から言うと、当面は下がってこないと思った方がいい ⚠️ んです。今日はその理由を、計算ロジックの部分から噛み砕いて話してみます。
📝 そもそもVaR方式って何?
1年半ほど前まで、証拠金の計算は「SPAN方式(スパン方式)」というやり方でした。それが「VaR方式」に変わったタイミングで、根本から計算方法が変わっています。
VaR方式は、ざっくり言うと「過去に実際に起きた最悪のシナリオ」を使って証拠金を決めるやり方。机上の空論ではなく、現実にマーケットで起こったボラティリティの跳ね上がりを参照するんですね。
つまり、一度大きな暴落が起こると、そのデータが計算式に組み込まれて、証拠金が高止まりする構造になっています。
💥 直近3年で残った3つの「傷」
ここ数年、市場には大きなショックが立て続けに起こりました。
2024年8月の植田ショック(令和のブラックマンデー)
2025年4月のトランプ関税ショック
2026年3月から続く中東リスク(イラン戦争)
どれも一過性じゃなくて、ボラティリティを跳ね上げた事案です。日経VIは半年くらい30前後をうろうろしている状態で、これは一昔前なら考えられなかった水準なんですよね。
⏳ VaR方式は「約5年」傷が消えない
ここがポイントなんですが、VaR方式は約1250営業日分(およそ5年)の過去データを参照します。
つまり、2024年8月の植田ショックの数字は、2029年の夏くらいまで計算式に残るということ。1回傷を負ったら、そう簡単に消えてくれないんです。
「植田さん、やってくれたなぁ…」って感じです。
しかも、2008年以降のいわゆる「ストレスシナリオ」に該当する大きな事案は、5年経っても消えないことがあります。10年に1回、20年に1回クラスの暴落だと、いつ外れるのか正確には分からない。JSCC(日本証券クリアリング機構)からも明示的なアナウンスはないので、こちらが想像するしかない世界なんです。
💰 おまけに、株価水準も上がっている
証拠金が高くなる理由は、ボラティリティと計算ロジックだけじゃありません。日経平均そのものの水準も大きく上がっています。
昔は日経平均が2万〜2万4千円くらいでうろうろしていたのが、今はその3倍近く。ラージ1単位はおよそ6,000万円、ミニでも600万円規模になっています。原資の価格そのものが上がっているので、必要な証拠金もそれに比例して上がるのは当然なんですよね。
実際の金額感でいうと、6月限の59,500円コールを1枚売ろうとすると、ATM近辺でも証拠金は400万〜500万円ぐらい必要だったりします。昔は同じ感覚で150万くらいで1枚売れていたので、本当に景色が変わりました。
🎯 これからどう組み立てるか
「待っていれば証拠金が下がる」という時代ではもう、ないんだと思います。仮にボラティリティが20〜22まで落ち着いても、ベースの計算値が高止まりしているので、昔の感覚には戻りません。
なので、私たちトレーダー側が組み立て方を変えていくしかない。たとえば、
ミニオプションやミニ先物を活用する
デビット系の戦略(買いを使った組み合わせ)にシフトする
バタフライなど証拠金を抑えやすい構造を選ぶ
長くオプションをやってきた人ほど、昔の感覚のまま枚数を持つと、思った以上にリスクを取っていることになります。「同じ枚数」が「同じリスク」じゃない時代になっているので、ここは意識して切り替えたいところです。
😌 おわりに
証拠金は、これから今の水準より上がることはあっても、下がることはあまり期待できなさそう。それを前提に、改めて自分の使っている証券会社のシミュレーターで、ポジションごとの証拠金を確認しておくのがおすすめです。
頭の中のイメージを「今の証拠金水準」にアップデートしておくだけでも、無理のないトレードがしやすくなると思います。
ちなみに本文中の「植田ショック」は、2024年8月5日の暴落のこと。日銀の植田総裁の利上げ示唆をきっかけに「令和のブラックマンデー」と呼ばれた一日ですね。
それではまた、次回のポッドキャストでお会いしましょう。



