新卒2年目でTech Confリーダーに。現場のリアルと向き合った舞台裏
新卒2年目でバックエンド開発を担当しながら、自社テックカンファレンス『STORES Tech Conf 2025 “What Would You Do?”』のリーダーを務めた太田さん。コンセプトづくりから採択・レビューまで走り切る中で、"現場のリアル"をどう伝えるかに向き合い続けました。炎上プロジェクトの開示を決断し、運営を通じて得た視点の変化とは?ご本人の言葉で振り返ってもらいました!
PROFILE
otariidae さん(太田 一輝さん)テクノロジー部門/プロダクト統合本部
ポイントシステム開発チームのバックエンドエンジニア。新卒入社後、ポイントシステム開発を担当。2025年のSTORES Tech Conf “What Would You Do?” ではリーダーとして、コンセプト設計からキーノート選定、セッション採択・レビューを推進。
Tech Conf運営に飛び込んだきっかけ
──まず、普段のお仕事と担当領域について教えてもらえますか?
普段はポイントシステム周りのバックエンドを担当しています。ネットショップと実店舗の購買を統合した共通ポイントシステム「STORES ロイヤリティ」の機能を支える裏側の実装が中心ですね。新卒入社2年目で、今年は体制変更に伴うチーム異動も挟みつつ、今はまたポイントシステムのチームに戻っています。
──テックカンファレンスの運営に参加することになったきっかけは?
きっかけは、藤村さん(CTO)に「やらないか」と声をかけてもらいました。僕が新卒1年目の頃に社内ブログを2〜3本書いていて、その内容が面白かったから「その視点がカンファレンスにも活きるんじゃないか」ということで声をかけてもらった、という感じです。
──「運営リーダーやらない?」と言われたとき、心の第一声は?
いや、それはもう「重圧」ですね。重圧。
何すればいいのかも分からないし、どういうことが求められるのかも分からないし。選択の方向性を決めるということは、失敗したときのダメージも大きくなっていくので、そのプレッシャーは結構大きかったです。でも、「せっかくならやってみようか」と思って、お引き受けさせていただきました。
“What Would You Do?”が形になるまで
──テックカンファレンス運営では、具体的にどういう役割を担当していたんですか?
カンファレンス全体の「コンテンツのリーダー」みたいな役割ですね。
コンテンツ分科会という形でチームを組んで取り組みました。その中で、「じゃあ具体的にどういう方向性でいくのか」「どういうコンテンツをどれくらいやるのか」みたいなところを、僕が中心になって考えるという感じでした。
もちろん一人で全部決めるというよりは、藤村さんや今泉さん、angelさんと僕の4人でだいたい決めていくんですけど、最終的に僕の“味”を出すというか、そこを求められていた感覚はあります。
──今回のコンセプトは、どんなものだったんでしょう?
前回の Tech Conf「New Engineering」では、我々としての「新しいエンジニアリングの在り方」や「何をすべきか(What to do)」を提示しました。
今回は「あなたならどうするのか?」と参加者にも問いかける形にしたいよね、という話になって。その問いかけの材料として「我々は実際こうしてきた」というのを見せる。終わりには「What Would You Do?」というか、我々の「What I Did」──我々は実際こうしてきた、で参加者に問いを返す、というコンセプトでした。
──コンセプト決めって抽象度も高いし、言語化も難しそうですが、どういうプロセスで形になっていったんでしょう?
まずは前回からの1年間で「自分たちは何をやってきたんだっけ?」を振り返るところから始めました。2025年3月にスタンダードプランを出しましたが、そのためにいろんな基盤を変えていったり、システム統合の話があったり。そういうのが、我々が実際にやってきたことだし、それが STORES のユニークさとか仕事の面白さを形作っている部分だよね、という話になって。
それから「じゃあカンファレンスが終わったときに、参加者にどういう読後感でいてほしいか」を決めて、そこから逆算してコンセプトを詰めていきました。もちろん僕が一人で考えたわけではなくて、藤村さんや今泉さん、angelさんから、いろいろ助け船をもらいながら進めて「次のコンセプトはこういうことになるんじゃないか」というところに落ち着いていきました。
──コンセプト決めにはどれくらい時間をかけたんですか?
当初は1ヶ月くらいでいけるかなと思ってたんですが、まあ普通に伸びましたね(笑)。5月末にキックオフして、だいたい7月くらいに固まったと思います。


これを抜きに語るのは、“嘘”だと思った。
「炎上プロジェクト」をめぐる意思決定
──コンセプトが決まったあと、セッションはどんなふうに決めていったんでしょう?
セッションとコンセプトはセットで、「このコンセプトならキーノート・セッションはこういう構成が合いそうだよね」っていうのを運営側で組み立てていきました。たとえば「STORES のリアル」って文脈なら、開発の現場感とか、プロダクトのリアルをちゃんと語れる人にお願いしたい、みたいな感じです。
その中でも象徴的だったのが、3月のスタンダードプランのリリース後に起きた、難易度の高い局面に向き合うプロジェクト(炎上プロジェクト)です。スタンダードプランを出したあと、4〜5月あたりは結構カオスで。いろんなシステムをつないでいる分、予期しない課題が次々と発生しました。その“ど真ん中”で向き合っていたのがP山さんだったので、「この人にお願いするのが一番リアルを語れる」と考えて、登壇をお願いしました。

──かなり踏み込んだ内容だったと思うんですが、「炎上プロジェクト」として社外向けのカンファレンスで扱うことに対して、どんな迷いがありましたか?
これを社外に公開するリスクって、結構あると思うんですよね。「炎上」という言葉自体が強いですし、単に「ハードワークしてハッスルしているだけの会社」と誤解される可能性もある。だからこそ、出し方を間違えると、意図と違う伝わり方をしてしまうな、と。
──それでもこのセッションを「やる」と採択した理由は?
この出来事を外してしまうと、この1年の成果を語るうえで“きれいに整えすぎ”になってしまう気がしたんです。分科会メンバーの中でも「社外に出す怖さはあるけど、象徴的な出来事だからこそちゃんと出そう」という認識は全員一致だった気がします。大変な局面があったこと自体よりも、そこから、個人としてどう向き合って、どう行動して、何を学んだのか。その営みこそが価値だと思いました。
──内容の出し方については、どんな工夫をしたんでしょう?
アウトラインを見た段階で、「これだと違うニュアンスで伝わるかもしれない」という懸念はありました。社外から見たときに「単に危なっかしいことをしている会社」に見えかねない。
なので、発表者のP山さんに、かなり時間を取ってもらって、壁打ちをしながら表現を磨いていきました。このセッションを通じて「大きな課題にぶち当たることもあるけど、エンジニアとして熱意を持って取り組んでいる」「あなたはどこに熱を持って仕事していますか?」という参加者への問いにつながる内容にしたかった、というのが一番です。
リスクも含めてきちんと開示しつつ、その中でどういう判断をして、何を捨てて、どこにコミットしたのか。そこまで含めてセットで伝えることが大事だなと思っていました。
セッション採択・レビューで見えた「気づき」
──コンセプトが固まってからは、どんな役割や動きが中心でしたか?
コンセプトが固まってからは、採択とレビューを回すところに一番力を使いました。セッション数やポスター数、審査基準みたいな設計が一気に前に進むので、以降は実務フェーズに入っていきました。具体的には、プロポーザルを集めて、分科会で一本ずつ見て採択して、アウトラインや構成をレビューする。それをひたすら回していました。
最終的には、9セッション、15ポスター、5パンフレット記事、2キーノート、みたいな構成になっていて、けっこうボリュームはありました。ピークは9月末〜10月で、週1ペースでレビューが入る感じで、3〜4時間かけて分科会でレビューする日もありました。いつもとは違うロール・別の頭の使い方をするので、妙な疲れ方をする感じでしたね。


──運営を通じて、一番印象に残っている気づきはなんでしたか?
一番は、レビューする側としても、される側としても、「うまくGiveできてないな」と感じる場面が多くて。みんなが時間をかけてプロポーザルを書いて、アウトラインを作って、話す準備をしてくれている中で、僕が返せた貢献というのはまだ少なかったな、という実感が残りました。もちろんコンテンツに意思を込めるとか、コンセプトを決めるとかは頑張ったつもりなんですけど、それ以上に「もっとGiveできるようにならないとな」という感覚が強く残りました。
──太田さんにとって「Giveできている状態」というのは、どういう状態なんでしょう?
ただ指摘するだけじゃなくて、「こういう方向がいいと思う」という提案までセットで出せる状態ですね。「こういう観点で見るともっと良くなるんじゃないか」とか、「ここをもう少しこういう構成にしてみませんか」とか、そういうディレクションまで含めてGiveできるようになりたい、という気持ちがあって。
コンテンツ分科会の藤村さん、今泉さん、angelさんに、頼り切ってしまった部分がたくさんあって、自分はわりとテイクしがちだったな、という反省はあります。レビューでも、「いいアドバイス」や「より良いディレクション」ができる場面を、結構取りこぼしてしまった感覚があって。「もっと良くできたはずなのに」というモヤモヤは、終わってからもずっと残っていますね。
「自分は何をGiveできるか」が問いに
──振り返ってみて、テックカンファレンス前と後で、視点はどう変わりましたか?
言葉にしづらいんですけど、テックカンファレンスを経て「自分はここで何をGiveできるか」という視点は、前より強く意識するようになりました。藤村さん(CTO)は、やっぱり引き出しが多いですし、観点の出し方もすごくて。今泉さんも、どういう思考のアプローチで観点を出してくるのか、というところは実際にやり取りしてみて初めて分かる部分がありました。
普段の業務では触れにくい視点に触れたからこそ、「自分はまだここまで到達していないな」というギャップを、割と生々しく感じた部分はあります。それはしんどさでもあるんですけど、同時に「こうなりたい」という目標にもなるので、テックカンファレンスならではの良い学びだったなと思っています。レビューにしても、プロジェクトの進め方にしても、「ただ評論するだけじゃなくて、じゃあ自分は何を差し出せるのか」というところですね。
──次のテックカンファレンス、どんな関わり方をしてみたいですか?
テックカンファレンスって、その年、その人の「カラー」がすごく出るイベントだと思うんですよね。なので、自分がもう一度リーダーをやるよりは、別のカラーを持った人をサポートする役が良さそうかな、と思っています。いろんな人のカラーでこれを体験して、体現していってもらうことで、毎年新しい発想で、新しいアプローチが生まれますから。
セッションについては「今年やれることを、やりきった」感覚がある一方で、「もっとGiveできた」という反省も残っています。次はもう一歩踏み込んで伴走できるようになりたいですね。

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