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『10年ぶりに覗くファインダー、風景に立ち止まれるようになった今』 「社員リレー#08」

社会人1年目と聞いて、改めて振り返ってみると、自分が新入社員だったのはもう13年前。
「あっという間だったな」と、少し感慨深い気持ちになった。
 
新卒で入社した会社は、さまざまな部門を持つ会社だった。
営業、商品企画、制作開発、バイヤー業務、受注対応――。
 
本当にいろいろな経験をさせてもらった。
 
当時の自分は、「興味が持てない」「意味があるのかな」と感じる仕事も多かった。
けれど今振り返ると、その経験のひとつひとつが、確かに今の自分を形づくっている気がする。
 
あの頃は、目の前のことで精一杯だった。
毎日をこなすだけで、自分がどこへ向かっているのかなんて、考える余裕もなかった気がする。

OM-3
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8

社会人3年目の頃、初めて一眼カメラを買った。
友人が持っていたカメラに憧れたのがきっかけだった。
 
けれど当時の私は、毎日の忙しさに追われ、風景に目を向ける余裕なんてなかった。
 
ちょうどiPhoneのカメラ性能も進化していたこともあり、一眼カメラは気づけば箪笥の肥やしになっていた。
 
今思えば、写真を撮る余裕がなかったというより、
“立ち止まる余裕”そのものがなかったのかもしれない。

OM-3
M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8

当時の私は、「自分に向いていること」が何なのか分からなくなっていた。
気持ちもどこか沈みがちだったと思う。
 
そんな頃、仕事でカメラマンの方とご一緒する機会が増えた。
 
汗を流しながら、一枚の写真、一つの作品に向き合う姿。
その真剣な眼差しに、強く惹かれたのを覚えている。
 
ただ写真を撮っているのではなく、
「誰かの心を動かそう」としていることが伝わってきた。
 
そして気づけば私は、30代になってカメラの会社へ転職し、10年ぶりに一眼カメラを手にしていた。
 
久しぶりにファインダーを覗いた瞬間、不思議と心が動いた。
 
光の入り方。
風の匂い。
何気なく過ぎていく時間。
 
昔の自分なら、きっと見過ごしていた景色だった。
でも今は、その一瞬が愛おしいと思える。
 
シャッターを切るたびに、「ちゃんと今を生きている」と思えた。

OM-3
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PRO

今、幸運にも、自分に合った仕事をさせてもらっていると感じる。
 
でもそれは、遠回りに思えた経験も含めて、これまで積み重ねてきた時間があったからこそだと思う。
 
当時は無駄だと思っていた経験も、
悩みながら過ごした時間も、
気づけば全部、今の自分につながっていた。
 
社会人1年目の頃の私は、きっとそんな未来を想像できなかったと思う。
 
もしあの頃の自分に、今の景色を見せられるなら、
「大丈夫だよ」と伝えたい。
 
焦って遠回りした時間も、
悩み続けた日々も、
ちゃんと意味があったのだと。

OM-3
M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO

最終的に、自分の経験を「無駄だった」ことにするのか、
「意味のあるもの」にするのかは、自分次第なのかもしれない。
 
30代後半に差しかかって、
以前よりも、風景の前で立ち止まることが増えた気がする。
 
急いでいた頃には見えなかった景色を、
今は少しだけ、ちゃんと見られるようになった。
 
ファインダーを覗くたびに、
昔の自分が、少しだけ報われていく気がしている。

文・写真:EC企画 Shogo

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