日記|2026年5月 梅雨と連休とカレー
1日(金)
息子が朝、遊びたいと言って登園をしぶるので「保育園でいっぱい遊んでおいで」と言うと「いつも、ほいくえんでいっぱいあそんでるよ」「いっぱいじゃない方がいい」「おうちのおもちゃがさみしいっていってるよ」と返ってきた。びっくりした。気持ちをとてもまっすぐ伝えられるようになっていて凄い。一生懸命伝えてくれてうれしい。そして申し訳ない。そうだよね。明日から連休でよかった。
2日(土)
息子と1日1話ずつ見ていた仮面ライダーガヴ、ついに最終回。びっくりするほど泣くわたしに息子が戸惑っている。「なにがあったの?」と聞かれるも「ラキアが、ラキアが、」と思い出し泣きで喋れない。息子は終始困惑。「ねぇなにがあったの?ねぇ!」「うぅ、、ラキア、、っ、ずびっ、」
3日(日)
仕事したい欲と息子と一緒にいたい欲が戦い、結局息子が圧勝。家族みんなでヒーローショーを見に行った。
4日(月・祝日)
一泊2日で宜野座村へ。家を出るときは降っていなかった雨が、すこしずつ降り、高速に乗るときには大雨になっていた。なぜか大雨の中高速道路を走ると、何かから逃げているような気分になる。昔、タクシーの運転手さんが「もうとっくに梅雨入りしてるのに、GWに観光客を減らしたくないから、梅雨入り発表遅らせてるんだはず」と言っていたのを思い出した。わたしもその読みに1票。
5日(火・祝日)
1泊2日の宜野座村は、金銭的な意味で暮らすような旅だった。遠方にいるだけで特別なのに、なにかにつけて特別を追加しなくても十分にたのしい。
6日(水・祝日)
夜、息子が最近「ママみたいになりたい」とか「ママの作ったご飯おいしい」とか、わたしが喜ぶことをたくさん言ってくる。どうしたんだろう。うれしいより不安が勝ってしまう。わたしは彼に「よい子」に育ってほしくない。前に母の友に書かれていた「よい子は権力者を付け上がらせる」という言葉が頭に残っているからだ。頼むからクソガキに育ってくれ。
7日(木)
夜、取材メモを見返していると、息子に「ママより、おしごとはやいよ」とささっとお絵描きしてマウントを取られる。
8日(金)
取材先で、人気コンサルタントの方の資料を見せてもらった。「前よりちょっとマシ、も業務改善」というキャッチコピーに感動。「業務改善」のところを「成長」や「関係修復」に言い換えてもよさそう。
9日(土)
雨。家にこもって息子がやりたいことをやりたいタイミングにやらせ、わたしも息子とやりたいことを思いついたタイミングでやるという自由な日を過ごした。なにも予定がなく「退屈」とも呼べるような1日だったが、子どもにとっては予定がない方がいいのかもしれないとふと思ったのだった。こういう日を増やしてもいいかもしれない。
10日(日)
夫ワンオペの日。午後、打ち合わせをしていたら、帰ってきた息子が延々と仕事部屋のドアをノックし続ける。頑張って無視。夫に大事な仕事だからどうにかして欲しいとメッセージを送ると、テレビの音が聞こえはじめる。打ち合わせを終えてリビングに行くと、母の日のお花が置いてあった。早く渡したかったんだね!ごめん!!ありがとう!とっても綺麗なお花、うれしい!と、全力でお礼と謝罪を伝えるも、息子はすでにテレビに夢中。
11日(月)
飲食店取材。このご時世に常連さんから「もっと値上げした方がいい」と心配されるほど、クオリティが高いのにとても安いお店であった。なぜ値上げをしないのか聞くと「ひとりでなんとか回してるから人件費かからないし、なんとかやれてるから...。いや、もしかしたら自信がないのかもしれません」とおっしゃるので思わず「こんなにおいしいものを作って自信がない、は嘘です」と突っ込むと、笑いながら「はは、そうですね。自信がない、は嘘です」と言ってくれてなんかよかった。
しかし値上げしない理由は最後までわからなかった。なににでも理由があると思ってはいけないかもしれない。けれどわたしは密かに、この方は料理のことだけを考えていたくて、実のところ値上げについて考えるのがめんどくさいのでは、と踏んでいる。つまり商売人ではなく料理人なのだと思う。そういう人の料理は絶対的においしい。
12日(火)
苦手分野でしかなかった発酵に興味を持ち、学びはじめた。なにごとも出会うタイミング次第。
13日(水)
息子がお友だちに謝らない問題。怒らず目を見て、なるべく伝わる言葉で話そうと心がけるも、頑なにわたしの目を見ない。怒ってないよと伝えても、震えながらわたしを避ける。こういう話いやだよね。でも大事なんだよな。難しい。夜、思い立ってソーキを仕込みはじめた。
14日(木)
朝からうれしい報告。わたしが携わった文章によって契約が取れたとのこと。書いたわたしより契約を決めたその人がすごいのに、なんて性格がいいのだろう。わたしが文章でやっているのは「その人の等身大」を伝える努力のみだ。効果があったとしたら、それはその人の等身大が魅力的だったということである。
とはいえ読み手に魅力が伝わってうれしいな!とウキウキしていたら、午後は安請け合いした仕事に振り回されて嫌になった。人生である。
15日(金)
夜、夫が飲みに行ったので息子とふたりで過ごしていると、突然「ちょっとひとりで、おそとにいってくる!」と言うので「え?なんで?夜だよ、暗いよ、怖いよ」と言うと「ちょっと、おそらのほしを、みたいだけなんだよ」と言う。素敵か。「わたしも行く」「いいよ」とふたりで外に行く。息子は星ではなく、よその家の光を眺めながら「おきてるひとは、なにをしてるんだろう」と呟いた。
16日(土)
夜、息子に「おまえ」と呼ばれたので「お前って言わないで」と言うと「ゆみ」と名前を呼ばれ、大いに照れた。「なんで名前知ってるの?」と聞くと「しってるよ!ゆみでショ!」と言う。照れるじゃん!!
17日(日)
夜、ここ一か月続いていた鼻血が出なくなっていたことに気づく。
18日(月)
体調が悪い。書いては寝て、書いては寝る日中だった。進みが悪いことと何度も寝ることに罪悪感を抱き、スーパーに買い出しに行く。悪化。夫に「弁当とかすき家とかでいいよ」と言われイラっとする。体にいいものを自力で作ってやると燃え、鶏すきと野菜たっぷりの味噌汁をつくる。漬け込んでおいたきゅうりのキムチと、ゴーヤーの酢漬けも出す。どれもおいしい。まいったか。完食するとすこし元気になった。自分の体調は自分で治す。
19日(火)
思いつくままエッセイを立て続けに3本書いた。どれか1本生き残ればいい方。肝心の納期が迫った原稿は極めて進みが悪い。
20日(水)
カレーフェスの手伝い。こういう仕事が時々あるとたのしい。わたしの仕事の多くはそれだが、その場限りの人間関係が好きなのだ。
夕方、息子のお迎え後、久々に晴れたので公園に行った。公園でよく会う小1の男の子ふたりが下品な替え歌や変なポーズをして、息子を笑わせてくれる。うんちという言葉が飛び交えば、それだけで男子は笑うのだと再確認するひとときであった。とことん男子ワールドで正直ちょっと疲れたが、この場にいられるのは母親の特権だなとも思う。
21日(木)
カレーフェス手伝い2日目。中日だからかとてもゆっくりで、雑談回。時間が経つのは遅いが、こういう時間が久しぶりすぎてぬるま湯に浸かっているような心地よさを感じた。昔、フィジーのプロゴルファーとともにゴルフ場でグリップを売った日々を思い出す。陽気でよくサボる人だった。
22日(金)
いい連絡と悪い連絡を同時に受信している間、わたしはひたすらカレーを売り続けた。
23日(土)
「ママのてに、げんきがでる、えを、かいてあげるね」と、息子がわたしの手の甲にゴボウの絵を描いてくれた。
24日(日)
カレーフェス最終日。さみしさと解放感と、カレー臭と心地よい疲労感と微熱。
25日(月)
今日の琉球新報・連載「戦わない覚悟」にあった、「自由と平和がないと文化は進まない」という一文に目が留まる。日本は世界有数の文化大国。戦争=日本が強くなると考えている人もいるようだけど、全く逆ではないかと思う。
26日(火)
息子が首が痛いと言うので病院へ。医者に「お母さんは触ってみて腫れていると思いましたか?」と聞かれ「ちょっと腫れてるかなって思います」と答えると「え?お母さんがわからないとわたしには分かりませんよ」と言われた。なんだこいつ。
診察という診察はほぼなく、息子が着ているアンパンマンの服を指し「君はバイキンマンでしょ!ねぇアンパンマンじゃなくてバイキンマンだよね!」と絡んで息子に嫌な顔をさせ、わたしに母子手帳を使いこなせていないと説教をした。きっとこの医者は仕事に飽きている。看護師さんをチラ見すると、なにもかもに慣れた人の表情だった。
27日(水)
息子のお迎え。水筒がない水筒がないと探していると、息子が「ママ」とわたしの左肩にかかっているものを引っ張る。左肩にかかっていたのがまさに水筒だった。さらに夜は、息子がわたしの探しものを3つ見つけてくれた。ありがたすぎて感謝しきりだったが、寝る直前にふと、もしかしたら探しものの大半は息子が隠したものだったかもしれないと思った。
28日(木)
この人とこの人をつなげたい、という欲が発動し、場をセッティングしたら案の定とてもおもしろかった。はたから聞いたらぜんぜん意味が分からないような会話が次々と展開され、聞きたいと喋りたいがあふれる時間にたいへん満たされた。
29日(金)
ここ数日、よく褒められるのに喜べない。自分が出来栄えに満足できていないからだろう。せめて素直さだけでも取り戻したいと思い、ゲッターズの占い本をパラパラめくる。ページ下部の「開運のつぶやき:心をしっかり成長させないと、大切なことは見えてこない」という文が目に留まる。心をしっかり成長させるには、なにをすればいいんだろう。
夜、息子がお絵描きしたいと言うので、使っていない方眼ノートを渡す。「好きにつかっていいよ」と伝えると、ビリビリビリ!と聞こえてきて驚いた。息子が迷いなく表紙を斜めに引き裂いたのだ。子どもってすごい!と目をひらき、おもしろくなって大笑いする。息子は笑うわたしに得意げな顔を見せ、ノートの表紙とマスキングテープで「でんわ」を作った。息子は「でんわ」に向かって「もしもし?ああ、もうしわけございません。いえにおいておいてください」と言っている。おそらく夫の電話(置き配)を真似ているのだろう。
30日(土)
台風前だからか体が重い。食料を買い、ガソリンを満タンにし、100均で家で遊べるグッズを買った。子どもができてから台風対策が二重に必要になった。夜、息子とコンビニに行き、アイスを大量に買った。これは対策ではなくちょっとしたイベント感。
31日(日)
先日から何度も読んでいるエッセイを模写。あらためて自分がなぜその文章に惹かれるか書き出すと、今自分に足りないものが浮かび上がる。先日ジャケ買いした『究極の鍛錬』というマッチョな本をぱらぱらめくってみた。今自分にできる鍛錬を考えてみたが結局浮かばず、GPTにアドバイスを求めると「実は今の優実さんの課題はここです」と指摘され、思わず「そうだ」と声が出た。でも本当にそうか?とりあえずやってみよう。違っていたらすぐにやめよう。
