日本型組織とキングダムの蒙驁将軍の共通点
皆さん、こんにちは。柳本です。
ご存知の方も多いかもしれませんが、私は漫画が大好きです。主人公が目指す理想、胸が熱くなるバトル、修行や努力、そしてチームプレイなど、大人になっても少年の心を持ち続ける私にとって漫画は大切な娯楽です。
一方でこの漫画にはビジネスに役立つ要素が含まれています。「ONE PICE」や「キングダム」などこれらの漫画を解説したビジネス書があるくらいです。
今回はその中で「キングダム」のあるシーンを切り取りたいと思います。
「キングダム」をご存知ない方のために簡単に説明だけ。この漫画は中国の秦の始皇帝が誕生するまでのお話です。統一国家建国のために群雄割拠の世で天下の代将軍を目指す下僕出身の主人公である信と秦の王 嬴政(えいせい)の物語です。
今回は「キングダム」の秦に使える将軍”蒙驁”(もうごう)とその部下の在り方について話を進めていきます。
蒙驁軍はなぜ強い?
この蒙驁将軍は白老と呼ばれる大柄なおじいちゃんです。性格は温和で、息子の蒙武将軍ほどの個人としての武力は持ち合わせていません。漫画読んでいてもこの人いいおじいちゃんだなぁとほのぼの感じます。
本人が使える戦術も極めて凡庸。しかもこの人強敵と戦うと現実逃避しちゃったりするんです。ダイジョウブか!
しかし彼の軍の強さは本人の武や知略のチカラに非ず。では何が彼の軍を強くしているのか?
それは副将である桓騎(かんき)、王翦(おうせん)の存在。彼らはずば抜けて高い戦術と戦力を持っているのです。この優秀な副将のおかげで白老こと蒙驁将軍は戦果を挙げてきました。
一方で彼が優れているのは部下への信頼の厚さです。桓騎は元野党、王翦は自分が王を目指すことを示唆する危険な思想を持つ、それぞれ個性的な将軍。蒙驁はその2人をしっかりと掌握しています。部下の命を大切にせよという珍しいタイプの将軍です。また信のような若く芽のある人材の発掘が出来る点も優れています。
この副将や信達の活躍が魏の山陽平定戦に挑むエピソードで描かれます。詳しくはぜひ漫画を読んでいただきたいと思いますが、この戦いで蒙驁将軍は副将の力を信じ最大限活かして強敵に戦として勝つのです。
この話を読んで、どこかで聞いたことあるようなと思ったそこのあなた!勘が良いですね!そうです、これは日本型組織に非常に近似した話です。
日本型組織としてのタテ社会
日本型組織と蒙驁将軍の軍との共通項とは何か?
それはリーダーが必ずしも優秀や屈強でなくても組織として成り立っている点です。先程の私の説明でも、蒙驁将軍ってすごい優秀な人材には見えないしょう?これって日本でも同じだと思いませんか?
優秀なリーダーの下で働くことももちろんあるとは思いますが、組織の協調性を重んじる人がまだまだ皆さんの周りにはリーダーとして残っているのではないでしょうか?
この日本型組織の話は中根千枝の著書「タテ社会の人間関係」で詳しく述べられています。関連部分を要約すると、下記のようになります。
日本型組織のリーダーは目的達成は重要ではなく、人間関係の和を保つことがその存在理由。日本型組織のリーダーには個人の能力ではなく、人間的な情や包容力が重視される。
おお!これはまさに蒙驁将軍とその副将の関係性ではないですか!蒙驁は先ほども述べたように武力もそこまでなく、知略も凡庸、しかし情や部下への熱い信頼により、優秀な将を抱えることで組織として成果を上げています。
日本型組織も、今なお多くの企業でリーダーが方向性や戦略を提示せずとも現場の優秀な人のおかげで組織が成果を出してきました。そして機能している組織のリーダーは情に厚い人が多い印象です。
リーダーが組織で力を発揮するためには当たり前ですがリーダーたる正当性が必要です。要は言うことを聞いてもらうために何がいるのかって事ですね。
その正当性については過去から日本では、仕事ができることよりも年長であることや人徳に求められがちです。
日本には儒教の精神もまだまだ根付いていますので、年長者を敬うという行動規範が根底にあります。そして年長者で徳がある人が組織のリーダーを任される。その方が現場やる気になるから。そう考えるとこれまで日本型組織が年功序列で年長者をリーダーに置いてきた理由も納得ですね。
あらためて日本型組織のリーダーには個人の能力ではなく、人間的な情や包容力が重視されるということです。そしてリーダーの優れた戦略や方向性の提示やよりも内部事情をいかにうまくまとめるかが集団の実力を表しているのです。
良く「あの人が言うなら仕事を引き受ける!」なんて言う人を見かけますが、まさにこの人徳ですね。
今もそうした文化が根付いている企業は沢山あると考えています。
これからの時代の日本型組織のリーダーの在り方
いやいや、うちのリーダーは仕事もできるし、リーダーシップもある!両方できるよ!と声高に仰る方もいるでしょうし、事実そういう側面もあるだと思います。でもそれは今たまたまそういう組織や人に属しているダケかもしれません。
この日本型組織の考えは過去からの歴史に紐付いて脈々と受け継がれています。10年や20年前にできた話ではなく、100年単位です。ですので日本型組織を機能させる上でこの文化的な背景はやはり押さえておく必要があります。
では、今後の日本型組織のリーダーに若くしてなる人は何を身につけるべきか。規模に関わらず言えることは人徳を磨いてください。これに尽きます。そうしないと組織がうまく回りません。能力も大切ですが、今改めて求められている部分はここです。そして自分自身の人を受け入れる包摂力を高めることです。
人徳を高めずに起きた不祥事の数々を皆さんも目にしていると思います。人に対してハラスメントをしない、自分の美徳に沿って行動することは本当に大切なんです!
しかしいきなり人徳高めろと言われても…という方も多いと思いますが方法は様々です。自分の組織以外の人とも定期的に交流して視野を広げる、自然やアートに触れる、書道や華道、武道など日本旧来からある道を探求する、これらを通して徳は高められます。
人間関係においても相手の事を思いやり配慮を続けることです。
人徳を軸に組織運営における必要な能力という観点をもう少し広げると、下記のような要件になります。
【小規模企業】想定:経営者 必要な力:ビジョン・戦略策定力、実務力、人徳、組織内の人間関係調整力、やりきらせる力
規模が小さいので部下に任せるのが難しいケースがあります。その場合現場を掌握するために実務をしっかりできる必要があります。そしてその実務を機能させるための戦略を作り遂行する。組織を機能させる上で正当性を担保する徳も高めつつ組織の人間関係を最適にする気配りも必要です。あー、やることいっぱい!!!
【大中規模企業】想定:マネジャー 必要な力:人徳、組織内のキーパーソンの育成、包摂力、仕事の中身の推定力
ある程度大きな企業では企業内に桓騎、王翦のような人材を見出すことも、外からその人材を引っ張ってくることも可能でしょう。だからその人材が多少異端でも活躍できるように企業内の包摂力を高めておく必要があります。そしてこれらの人材をまとめる上でやはり人徳は磨いておかなければなりません。マネジャーでもリーダーたるには人徳を磨くしかないですね。
実務力もあったほうが良いですが、無くても組織は優秀な部下がいるか育てばまわせます。というか組織の規模が大きくなると全ての実務を知ることは不可能になるので、事実から仕事の中身を推定する力が必要です。
今の時代に求めれらることはどっちの規模の組織も多いですし、リーダーは大変だなぁ。
当然のリーダー拝命に備えて
キングダムでは主人公の信が天下の大将軍を目指すという王道のストーリーなのですが、現実に当てはめたときにみんなでこれやる必要があるか?というとないですね。
船頭多くして船山に上る、のパターンになるからです。なので私は全員がリーダーになる必要もないと思いますし、多様な選択肢や働き方があってよいと考えています。
しかし、もしあなたが、組織のリーダーになりたいと思う人なら、また組織のリーダーを意図せず任されたなら、ここに書いてある能力をぜひ身に着けて下さい。自分ですべてやり切る必要もないですし、優秀な人を引っ張ってきて人徳で慕ってもらうことも手です。
少子高齢化が叫ばれ、日本の働く力が弱まる今だからこそ、過去の資産を最大限活用し、日本型組織の強みで世界に討って出ましょう!
私たちにできることを一歩ずつ
参考文献
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