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    <title>マナリ</title>
    <description>小説を書いてます。良ければ読んでみてください。</description>
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    <lastBuildDate>Sat, 18 Apr 2026 21:11:45 +0900</lastBuildDate>
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      <title>【お詫びとお知らせ】Slitを読んで下さってる方々へ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="CE880754-9189-4254-B13E-1999BFAB0C04" id="CE880754-9189-4254-B13E-1999BFAB0C04">23が遅くなってしまい、申し訳ございませんでした。家族が怪我をして入院したりして、ちょっと書いている場合じゃなかったりしたのです。お陰様でもうすぐ退院できそうなので、ご心配には及びませんが、アップが遅くなってしまった事を心から深くお詫び申し上げます。物語はネクストフェーズへと進行しました。今後ともご愛読いただきますよう何卒宜しくお願い申し上げます。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/ndf06a3f837ff'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 18 Apr 2026 20:35:02 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ㉓</title>
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      <description><![CDATA[<p name="65c98933-6ce8-4014-a3b6-b1c01cf1bb03" id="65c98933-6ce8-4014-a3b6-b1c01cf1bb03">■<br>私は定位置の赤い空間へと戻ってきた。<br> <br>「シンパン、今はどこにも飛ばすなよ」<br><br> <br>私はどこにも飛ばされないことを知ってるくせに、敢えて言った。<br><br> <br>「飛ばさないよ。約束しただろう」<br><br> <br>シンパンはすぐに応答してきた。<br>これももう、織り込み済みだ。<br><br> <br>「ありがとう、シンパン。助かるよ」<br>「いや、僕は約束を守っただけだ。それで、次はどうしたいんだ？前に言ってたように一時間ぐらいここで考え事をするのかな？」<br>「いや、それはごめんだ。そんな事をしてる間に、僕のライフタイムがどんどん削られてしまうからね」<br>「じゃあ、この後、君はどうするつもりなんだ？」<br>「生き返るのさ。こことはおさらばするよ」<br>「ええ？そんな勝手な真似はハザマが許さないよ。君が君と奥さんの命を救うためには、白川さんの動きを止めないといけないんだが、君は白川さんのタマシイに触れただけじゃないか」<br>「タマシイ？センスなんだろう？」<br>「ああ、そうなんだが…」<br>「何だ、シンパン。声が小さくなっていってるじゃないか。しかも弱々しい。どうしたんだい？」<br>「声が小さい？そ、そんな事はないだろう…」<br>「君は、僕が生き返ると困るのかい？」<br>「いや、それは…」<br>「シンパン、もう大丈夫だ。僕は全部分かったんだから。ここはパラレルワールドなんかじゃない。ここはずっと、死にかけてこん睡状態にある僕の心の中だろう？そして、君とバンニンは僕の中の弱気な心だ。違うかい？」<br>「何で、そう思うんだ？」<br>「ここが矛盾だらけだからじゃないか。君はここには時空は関係ないと言っておきながら、飛んでいく度に、日にちが経っていく。大体、7日間しかないとかいうのが、おかしいんだよ。この7日間とかっていう具体的な日数は、僕が救急で病院に運ばれた時に、朦朧として意識が混濁してる時に、医者か看護士が言ったんじゃないか？それだけを僕は覚えて…なあ、シンパン、そうだろう？」<br>「君は本当にそんな風に思ってるのか？」<br>「ああ」<br>「随分と浅はかだな」<br>「浅はかで結構だ。僕はこれが事実だと思う」<br>「まあいいよ。それで、この後はどうするんだ？」<br>「さっきも言っただろう。僕は僕の愛する妻と可愛い一人娘まで巻き込んだ張本人に会って、直接話をするのさ」<br>「張本人とは誰だ？」<br>「それはここでは言えないね。言ってしまったら、僕は生き返れなくなるかもしれないじゃないか」<br>「自分の弱気に負けてか？」<br>「そう、その通りだ」<br>「じゃあ、訊くが、この度の件の君が見立てた全容を教えてくれないか？」<br>「シンパン、それはもう君にも分かってるんじゃないか？」<br>「いや、私は何も知らない。白川瞳は何故、君の妻である冴島瑤子を殺してしまったんだ？」<br>「それは簡単だ。瑤子が白川瞳に陥れられたからさ。ホストに対する売り掛け金で、白川さんが困った状況になってる時に、瑤子がいらん任侠心を持って、おせっかいを焼いたのがすべての始まりだと思う。瑤子は大酒飲みだから、いっぱい酒を飲むと、どうしても気が大きくなってしまうんだ。僕の想定はこうだ。瑤子と白川瞳は、学校の父兄会か何かで出会った。出会ったと言っても、二人は顔見知りだったんだけどね。そして、二人は旧交を温めるとかという名目で、瞳の店かどこかの酒の飲める場所へ一緒に行ったんだと思う。そこで、白川瞳からホストの件を聞かされたんだと思ってる。そして、それを聞いた瑤子が勝手に息巻き、ホストと話をつける役を買って出たんだ」<br>「それがこじれて、瑤子さんは白川さんに殺されたのか？」<br>「そうだ。でも、それは白川瞳が作った罠だったんだけどね」<br>「罠？」<br>「その罠に嵌まって、瑤子は死ぬ羽目になったんだ」<br>「白川さんは、どうしてそんな罠を仕掛けたんだろう？」<br>「それは、彼女と娘の芽衣ちゃんが僕を恨んでいたからさ。僕への恨みを晴らすために、うちの家族を陥れたんだ」<br>「白川さんが君を恨んでいた？それはどうしてだ？」<br>「それには彼女たちを捨てた亭主が大きく関わっているらしい」<br>「亭主？それが張本人なのか？」<br>「そうだ。だから、彼に直接会って確認するのさ」<br>「そのために、君は生き返るというのか？」<br>「ああ、そうだ。シンパン、君は僕の弱い心だと思っていたが、どうやらそうではないようだね」<br>「…」<br>「君は恐らく死神だ。三途の川の船頭とかじゃないか？そして、バンニンが僕の弱い心だ。違うかい？」<br>「どうして、そう思うんだ？」<br>「そりゃ簡単さ。この話をし始めた時から、君にどんどん力がなくなっていってるからだ。それに、ここにはバンニンは一度も現れない。バンニンが現れないのは、僕の中に弱い心が消えてるからだ」<br>「なるほど…だとしても、まだ判明してない事が沢山あるぞ。大町の事や、君の会社の再編等はこれにどう関わってくるんだ？それに瑞希ちゃんが学校でいじめられてた件もある。ああ、そうそう、大町さんと瑤子さんの密会の件だって不可解だ」<br>「それもこれも、亭主と会えば、大体分かってくるんじゃないかなと、僕は思ってる。だから、僕はもう行くよ」<br>「君はもう全体像が見えてると思ってるのか？」<br>「ああ、アウトラインがくっきりし始めてるよ」<br>「そうかな？」<br>「どういう事だ？」<br>「甘いな。現実は苦いぞ」<br>「苦い？」<br>「君は私を死神だと言った。それは思い違いだ」<br>「なら、何だっていいよ。僕には時間がないんだ。どうせ、生き返っても、瑤子はこの世にはいないんだろうから、僕が生き返らないと瑞希が可哀そうだ」<br>「瑞希ちゃんのために生き返るのか？」<br>「勿論そうさ。瑞希のために、そして瑤子の名誉のために僕は生き返って、亭主に会う必要があるんだ」<br>「どうしてもか？さっきも言ったが、現実は甘くないぞ」<br>「苦いんだろう？まあ、覚悟するよ。とにかくシンパン、君が死神ではないのなら、これ以上僕をここに引き留める理由はないだろう？僕は行くよ」<br>「確かに私は死神ではないが、さっき君が思っていた君の弱い心には近い存在だぞ」<br>「じゃあ、なおさらおさらばだ。今の僕には弱気は必要ないからね」<br>「分かった。じゃあ、頑張ってくれ」<br>「ありがとう、頑張るよ」<br><br> <br>スリットが開いた。<br><br> <br>僕は吸い込まれた。<br><br> <br>赤いスライムから出て行く時、シンパンの最後の言葉がうっすらと聞こえた。<br><br> <br>「何があっても、絶望するなよ」<br><br> <br>吸引される空気の音で、聞き取りずらかったが、シンパンは確かにそう言ったと思う。<br><br> <br>絶望？<br><br> <br>する訳がない。<br> <br> <br>■<br>「鵜塚さん、鵜塚さん、聞こえますか？吉田さん、向井先生を呼び出して、すぐに鵜塚さんの部屋に来てもらうようにして！鵜塚さんが目を覚ましたのよ！」<br><br> <br> <br>僕は生き返った。<br> </p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n4d5c091d1099'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 18 Apr 2026 19:39:29 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ㉒</title>
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      <description><![CDATA[<p name="effd1c62-ff51-48c0-8da0-e0385bf21b63" id="effd1c62-ff51-48c0-8da0-e0385bf21b63">■<br>エレベーターで3階に上がり、私は白川の店に入った。<br>中には誰もいなかったが、店内は程よく明るく、エアコンは温風を吹き出しており、空気にはほんのりとメンソールタバコと安物の酒の匂いがした。<br><br> <br>「すいません、誰かいませんか？」と、私は奥に向けて話しかけてみた。<br>「いるけど、いないわ」と、中年女性の声が答えた。<br>「どういう事？」<br>「私にはもう肉体なんてないのよ」<br>「ああ、そういう事か…それなら納得だよ。白川さんだよね？」<br>「そう。あなたは冴島さんの旦那さんね？」<br>「そんなに回りくどく言わなくてもいいよ。知ってるんだろう、僕が鵜塚喜一郎だと？」<br>「ええ、まあ」<br>「それにうちの瑞希の事も、全部知ったうえで、君はうちの家内にママ友として近づいたんだろう？それに君の娘の芽衣ちゃんも瑞希に近づけた。違うかい？」<br>「どうして、そう思うの？」<br>「まあ、結論を急ぐなよ。君は夜の仕事をやる前は、何をしていたんだい？」<br>「言わないわ」<br>「言うと核心に触れるから言えないんだろう？じゃあ、代わりに僕が言うよ。君はうちの会社のCR本部によく出入りしていた編集プロダクションのブリッジワンにいたろう？」<br>「…」<br>「白川と聞いて、僕は何となく覚えがあるような気がしてたんだが、それが誰だか、ずっと思い出せなかった。君はうちの会社で下の名前で瞳ちゃんって、呼ばれてたからね。みんなが瞳ちゃんって言うんで、僕は君の旧姓が白川だった事を本当に思い出せなかったんだ。合ってるだろう、白川瞳さん？」<br>「合ってないわよ」<br>「嘘つけ、君が瞳じゃなかったら、どうしてこの店の名前がスナック瞳になるのか、教えてほしいね」<br>「…」<br>「そして、君は、ブリッジワン時代に家内の会社、日葉マガジン社とも付き合いがあったし、君はおそらくだが、マガジン社にも行ってたと思う。そして、そこで君は大町取締役とも会ってるんだ」<br>「…」<br>「それで、君はうちの家内や大町さんに動き、娘の芽衣ちゃんは瑞希にちょっかいをかけたりして、また、ひょっとしたらうちの社長である佐伯さんも操作して、僕を陥れようとしたんだろう？」<br>「…」<br>「で、君は少々やり過ぎた。だから、うちの瑤子は転落死し、君も僕も巻き沿いになった」<br>「…」<br>「君はもう死んでるんだろう？成仏しきれてないだけで…」<br>「…何で？」<br>「簡単さ。今、君は肉体を持ててない。ハザマが承認しなかった証だ。君はもうムソウは使えない。今、僕と話してるのは、ハザマが僕が助かるかどうかの瀬戸際だから、話すのを許可してるんだろうと思う、違うかい？」<br>「私には分からない。あなたは全容が分かったの？」<br>「いや、ザックリだね。細かい繋ぎ目はきちんと合わさってないから、無理やり僕の都合がいいように解釈して強引に結論づけようとしてるのかもしれない。そんな事はいいんだよ。詳しい事情を聞いて、正しい事実を求めてる場合じゃないんだ。時間がないからね。ひとつだけ聞きたい」<br>「何よ？」<br>「何で、君は僕を陥れようとしたんだ？どうせ、新しい会社の社長だって、大きな落とし穴が掘ってあるんだろう？就任したら、すぐに電広社の配下でいろいろと画策されるとか…君は、どうして僕をそこまで憎むんだ？」<br>「それは…それは、あなたが私の夫を陥れたからよ。彼は悲しんだ。そして、自暴自棄になった。あなたは気づかなかったでしょうけどね。そして、彼は私と芽衣を捨てた。こんな理不尽な事ある？自分がうまくいかなくなったら、彼は私たちを捨てたのよ。私は彼を恨んだ。でも、その恨みはすぐにあなた方家族に振り向けられた」<br>「なるほど、それだけ聞ければ十分だ」<br>「これで十分なの？」<br>「ああ、残りはあなたの旦那さんから聞く事にするよ」<br><br> <br>私はカウンターの上にある赤いコースターを見つめた。<br><br> <br>スリットが現れて、私は吸い込まれた。<br><br> <br>吸い込まれる時に、私にまとわりついた酒の匂いが消える事を願った。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n3542b6b8f0bd'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 08 Apr 2026 14:46:48 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ㉑</title>
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      <description><![CDATA[<p name="12bfce2d-8be7-480b-899f-ab32b9126b37" id="12bfce2d-8be7-480b-899f-ab32b9126b37">■<br>私は赤いスライムの中に戻った。<br>という事は、5日目が終わったという事だ。<br><br><br>「シンパン！シンパン！いるんだろう？時間がないんだ。すぐに出て来てくれないか？」<br>「時間がない？随分と急かすねえ。どうしたんだい？」<br>「僕がここに戻ったという事は、The Day　５が終わったという事なんだろう？」<br>「そうだね」<br>「だから、時間がないんだ。シンパン、お願いがある」<br>「なんだい？」<br>「ここに戻ってきたら、僕はいつもすぐに眠っちゃうだろう。そうじゃなくて、ゆっくりここで考えをまとめる時間が欲しいんだ、眠らずに」<br>「それは難しいな。回復の時間が必ず必要なんだよ」<br>「そこを何とかならないか？」<br>「無理だね。それはこのワールドのルールに反するからできない相談だ」<br>「でもね、僕の身になってみてくれよ。毎日、毎日、どこに飛んでいくのか、時間も場所も全く知らされる事なく、ヒズミの思惑で、僕はポンポン、ポンポンと色んなところに放出される」<br>「悪いが、ここはヒズミではない。ハザマだ」<br>「ああそうか、悪かったよ。ここは赤いもんな。でも、ハザマが僕を情け容赦なしに放出してるのは事実だろう？」<br>「それは仕方ないね。君には7日間しか猶予がないんだからね。どうしても一日の間で、色んなところへ行かされてしまう」<br>「それは分かるんだが、それでは色んな情報を得ても整理する暇がない」<br>「だが、それは明日起きてから、次のワールドに飛んだ後に考えるしかないんだ」<br>「それはそうなんだろうけど、頭の中が散漫になってしまって、考える事に集中できない。だから、頼むから、一時間でいい、一時間でいいから、ここでゆっくり考える時間をくれないか？」<br>「困ったね。ここには時間も空間も存在しないんだ。あるのはイシキだけなんだよ。今の君が肉体を無くしてる事で分かるだろう？」<br>「ああそうか…じゃあ、とにかく頭を整理する事に集中するので、それまでは放出しないで欲しいんだ」<br>「いかん、ちょっとばかりお喋りが過ぎてしまった。君はもう休まなくてはならない。だから、こうしよう、次に君が目覚めたら、考えたらいい。そして、ハザマには明日放出する先に全部、フラッシュのように出してもらうように話してみる。それでいいか？」<br>「出来れば、今から今日会った事をまとめたいんだが…」<br>「それは無理なんだよ。大体、君はもう眠いはずだし」<br><br><br>そう、私はもう眠たかった。<br><br><br>疲れた…<br><br><br>「分かった。君の言う通りにするよ。だから、次に起きた時はすぐに放り出したりしないでくれ」<br>「それは、この後、ハザマと話し合うよ。」<br>「お願いするよ」<br>「では、お休み」<br>「お休み」<br><br><br>私は寝た。<br><br><br>思った通りだ。</p><p name="66a2fc43-585b-4257-ad69-a643fc75ec96" id="66a2fc43-585b-4257-ad69-a643fc75ec96"><br>#6<br><br>■<br>起きたが、私はまだ赤い空間の中にいた。<br><br>試しに「シンパン、いるのか？」と、声をかけると、シンパンは「おはよう」と返してきた。<br><br><br>まだ、絶対ではないし、そういう意味では何も証拠を得た訳ではないのだが、何故か私の中には確信めいたものが固まりつつあった。<br><br><br>それが何かは今はまだ言えない。<br>言うのはもう少し先だ。<br><br><br>「おはよう、シンパン。ありがとう、起き抜けからどこかに飛ばさずにいてくれて。でも、もういいんだ。今日と明日で全部解決するよ」<br>「できそうかい？」<br>「まあ、何とかなると思う。そこで、シンパン、二つ願いがあるんだ。この願いを聞いてくれたら、もう時間はいらないし、フラッシュで駆け抜けも必要ない」<br>「そうか、で、どうすればいい？」<br>「一つ目は、今日だが、白川さんに僕を会わせてくれないか？」<br>「君が彼女に会う？どこで？」<br>「僕は場所は問わないよ。会えればどこでもいい。何ならここで会ってもいいぐらいだ」<br>「ここ？ここは無理だ。ここは君だけのスペースだからね」<br>「じゃあ、A界でも、B界でも、どこでもいいから会いたいんだ」<br>「それは今は無理だね。君は既に肉体を無くしてるもの」<br>「ムソウを使って、肉体を無くした事かい？」<br>「そうだ。だから、君は今まで行った事があるパラレルワールドでは肉体を取り戻せない」<br>「そんな筈はないだろう？ムソウは無双の筈だぜ」<br>「それはそうなんだが…僕はムソウを使った事がないものだから、よく分からないんだ」<br>「ああそうか…それは分かるよ。じゃあこうしよう。僕が今まで行った事がないC界で僕は白川さんと会う。これなら、できるだろう？」<br>「それならできるかもしれないが、それは君がムソウを上手く使いこなせるかどうかにかかってると思う」<br>「どうすればいいんだ？」<br>「目を瞑って念じるのさ。ただひたすら念じるんだ。彼女と会うシチュエーションを…具体的な場所や時間なんかをね」<br>「分かった」</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/ncf01b5db4118'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 06 Apr 2026 20:19:41 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit⑳</title>
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      <description><![CDATA[<p name="4596d3c4-d0e9-4879-8c13-c67f437357b2" id="4596d3c4-d0e9-4879-8c13-c67f437357b2">■<br>安っぽいシャンデリアもどきの電灯がほんのりと灯り、暗い店内を薄暗いと思える程度に照らしていた。<br><br>ここは、どこかのスナックだ。<br><br>閉店後なのか、そもそも客が来ない店なのかは分からないのだが、客席には誰もおらず、カウンターの中に白いニットを着た女性が一人で立っており、酒を飲み、電子タバコをふかしながら電話をしていた。<br><br> <br>「そう、今から店を出るから、15分後ぐらいにはそっちに着くんじゃないかしら」<br>「―」<br>「じゃあ、席は大丈夫ね。後は手はず通りでお願いね」<br>「―」<br>「絶対にバレちゃダメよ。芝居がかったりしないでね」<br>「―」<br>「まあそうね。さんざん女を食い物にしてるあんたなら、きっと上手くやるわよね」<br><br> <br>彼女は普段タバコを吸わないんだろうと思う。<br>じゃなけりゃ、あんなに忙しなくポッポ、ポッポと煙を吐き出したりしないはずだと思うからだ。<br>電話で話しながら、彼女はグラスも何度も口に運び、タバコを吸った。<br>酒は飲める方なんだろう。一回、一回の飲む量が多く、背の低い大ぶりのグラスに並々と注いである茶色い酒を三口で飲み干し、グラスが空くと、そこに新しい酒を注いでいた。<br><br> <br>彼女はイラついている？<br>いや、焦ってる？焦れてる？<br><br> <br>何に？<br><br> <br>奥からドアが開く音が聞こえて、すぐに違う女性が戻ってきた。<br>よく見るまでもなく、その女性は瑤子だった。<br><br> <br>「じゃあ、出かけるから、また後でね」<br>白いニットの女は、瑤子が出てくると、慌てたように電話を切った。<br>そして、瑤子に向かって言った。<br> <br>「向こうの店に電話したわ。今なら席が取れるみたい」<br>「そう、良かったじゃない。私は化粧も直したし、すぐに出かけられるわ。白川さんは、もうお店閉められるの？」<br>「他に客もいないし、電気を消して、鍵をかけるだけでいいから、すぐに出られるわ。でも、鵜塚さん、本当にいいの？」<br>「いいに決まってるじゃない。じゃなきゃ、こんなに飲んでるのに、今からホストクラブに一緒に行こうだなんて言う訳ないわ」<br>「それはそうだけど…私の困り事にあなたを付き合わせるのが、良心が痛むわ」<br>「それももう言いっこなしよ。あなたからさっき聞いたばっかりの話だけれど、やっぱそのハルトっていう子は許せないわ。ハルトは白川さんに「真面目に好きだ」って言ったんでしょう？白川さんは最初は年の差があり過ぎるので断ってたのに、ハルトはずっと連絡してきて…それで、白川さんは店に通わなきゃならなくなって…まだ、お金的には続いてるうちは良かったものの、今はもう違うんでしょう？だったら、今、ハッキリさせないといけないと私は思う。大体、そんなの嘘に決まってるじゃない。中年になっても女は女よ。カッコイイ男に口説かれたりしたら、嫌な気はしない。でも、それは疑似。ハルトは真面目にって言ったかもしれないけど、でも、疑似は疑似よ。それをハッキリさせるために、今から出かけるのよ。そして、私立ち合いの元できっぱり手を切るの。じゃないと、さっき聞いたハルト君の売掛金の300万円は絶対に消えない」<br>「それは分かってるんだけど…でも、ハルトがやっぱり「真面目に」って言ってきたら…」<br>「それはさっきから私が何度も言ってるように、あり得ないのよ。あんな店の中の恋愛感情なんて、全部疑似体験に過ぎない。ここで、あなたが揺れたら、また同じ事の繰り返しになるわよ。今から、私と行って、ハルトと話して、あなたが判断して、きっぱりと300万は払えないと言わないと、色んな手を使って、このトラブルを解決する事が出来ないの。今日、あなたがお金は払えないと宣言しないと、次のフェーズには進めないのよ。あなたが、それを言うのを私が直接聞いて、私は証人になる。それで、やっと、トラブル解決に向けて動き出せるの。あなた、お金の問題を解決したいんでしょう？」<br>「そうなんだけど…でも、鵜塚さん、あなたはうちの娘の芽衣とあなたのところの瑞希ちゃんが友達で、私たちも親しくなったママ友の付き合いだけじゃない？そのあなたを巻き込むのは、違うんじゃないかなと思ってて…」<br>「今となっては違わないわよ。芽衣ちゃんは中学から瑞希の学校に編入してきて…瑞希は芽衣ちゃんが仲良くしてくれて、色々と助かってると思ってる。それで、私があなたにお礼をする機会を待っていたら、ひょんな事から、あなたがこのお店のオーナーでママをやってる事を知った。私は主人から蟒蛇と言われるほどのお酒好きだから、挨拶がてら、飲みに来た。いっぱい飲む私にあなたは良くしてくれた。そのあなたが、シングルママのあなたが困ってると、初めて私に困り事を打ち明けてくれた。話を聞いて、私は助けようと思った。だから、今から行くの。これって、ヘン？どっかおかしい？」<br>「いや、おかしくはないけど…」<br>「じゃあ、出かけましょう。電気を消して」<br>「分かった」<br><br> <br>瑤子は店を出た。<br><br> <br>少し遅れて、白川は電気を消し、店を出て、鍵を閉めた。<br><br> <br>ロックする音を聞いて、私はポツンと赤く灯る有線の電源ボタンの灯りを見た。<br>そして、その赤に吸い込まれた。</p><figure name="e2dcfc74-81fb-44d3-a679-6e0e969f997f" id="e2dcfc74-81fb-44d3-a679-6e0e969f997f" data-src="https://note.com/vast_mimosa147/n/ncf01b5db4118" data-identifier="ncf01b5db4118" embedded-service="note" embedded-content-key="embd761d1ff2ef8"></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n4ebb7c55b42a'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 25 Mar 2026 20:58:13 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑲</title>
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      <description><![CDATA[<p name="ede0d4ec-ad43-4279-b86e-0ce6bca7e5c0" id="ede0d4ec-ad43-4279-b86e-0ce6bca7e5c0">■<br>次は随分見慣れた場所だった。<br>ここは私の会社の会議室だ。<br>ただ、普段と違っているのは、今の時間だ。<br>窓の外が白じんでいる。<br>夜が明けたばかりの様相だ。<br>壁にある時計を見た。<br>時刻は４時40分過ぎだ。<br>という事は、夏の早朝だ。<br><br><br>私はこの会議室の窓際の隅の天井から下を見ている。<br><br>LED電灯の眩しいばかりの光が会議室を明るくしているのだが、下にいる人間は全員頭を下げ、室内の空気を重くしている。<br><br>ロの字にレイアウトされた長机の廊下側の一辺に二人が並んで座っている。<br>二人とも軽そうなサマージャケットの背中は皺くちゃで、肩を落として頭を下げ、座っている。<br>右に座っているのは桜井局長で、左は迫田部長だ。<br><br>二人はただ項垂れて、自分の間の机の表面を見ているようだ。<br><br>重苦しい静寂が、室内に充満している。<br><br>迫田が頭を上げた。<br><br>まるで静けさの重さに耐えきれなくなったかのようだ。<br><br><br>「部長、やっぱりこれは鵜塚の性にしませんか？」<br><br><br>桜井さんが部長？という事は、私がまだ局長だった頃の事だ…<br>私の性にする？何を？<br><br><br>「バカ野郎、それはさっきも言っただろう。ヤツは今週ずっとKU食品の件で、アメリカに出張中だろう？しかも帰ってくるのは来週末だ。そんなヤツが関われる訳がないじゃないか。おまけに浅野君はご丁寧にも遺書を社内イントラのチャットで大町取締役に送っている。私に送ってるのなら揉み消しようもあるが、これではどうしようもない」<br><br><br>そうか…<br><br>あの時私は、KU食品がアメリカの商品見本市に出展するのをサポートする業務についていた。<br>それで、ボストンの展示会場に二週間も行ってた。<br>だから、私は浅野君の事件の詳細をよく知らなかったのだ…<br>勿論、会社からはすぐに第一報がチャットで届いたし、新しい情報が出る度に、どんどん続報は来た。しかし、佐伯社長と大町取締役の判断で、局長の私はすぐに帰国する事にはならず、業務を完了させ、オンスケジュールで行動した。<br><br><br>だから、私が帰国した後は、もう既に浅野君の葬儀は終わっており、警察の捜査も終わっていた。<br><br><br>浅野君がチャットで大町さんに遺書を送ってた？<br>その事実を私は知らなかった…<br>それで合点がいった。<br>浅野君の自殺は桜井さんと迫田さんのパワハラの性だと、割と早い段階で断定されていた。<br>それは、この遺書のお陰なんだろう…<br><br><br>「で、ですが…このままだと、我々二人の立場が悪くなる一方じゃないですか…」<br>「それは、そうなんだが…今のところ、有効な手立ては見つからん。だから、せめてこの席だけでも穏便に乗り切る事だけを…」<br><br><br>ドアが開いた。<br><br>島田常務が入ってきた。<br>彼はいつも以上に顔色が悪く、ややフラフラした足取りで机に辿り着き、椅子を引いて座った。<br><br>「待たせたね。夜明け前からずっと、僕の方に佐伯社長やら、ホールディングスのお歴々から立て続けに電話が入ってね。対応に時間がかかってしまったんだよ。それで、桜井君、警察に行ってきたんだね？」<br>「ええ、ビルの管理事務所から連絡があって、その後私はすぐに会社に来まして…浅野君がビルの屋上から落下したという事で…私が会社に着くと、もう辺り一杯にパトカーが来てまして…そのまま私は刑事さんから事情聴取を受けたのですが…浅野君の事は、鵜塚君から私が今の部を引き継いで間がなかったもので、あまりよく知らなかったので、うちの部にずっといる迫田君に来てもらい、一緒に事情聴取を受けました」<br>「それで、警察の見解は？」<br>「まだ、鑑識の調査結果が出てないので断定はできないのだが、ほぼ間違いなく飛び降り自殺だろうという事でした」<br>「それで、今後警察とはどんな連絡体制になってる？」<br>「会社にはまだ、私たち以外にも事情を訊く必要があるかもしれないと言ってました」<br>「分かった。それは総務局長の近藤君に対応してもらうようにしよう。それで、二人はどうする？」<br>「どうするとは？」<br>「浅野君が大町本部長に送った遺書の件だよ」<br>「島田常務は中身を読まれましたか？」<br>「ああ、ここに着いてすぐに大町君に見せてもらった」<br>「そうですか…しかし、私は…」<br>「桜井君、君はこの期に及んで言い逃れができると思ってるのか？遺書の内容からして、君の立場は相当に不利だぞ」<br>「いや、ですが…私はまだ、その中身を読んでませんので…」<br>「いや、それは今後警察に提出する証拠になるので、当事者である君には見せる事が出来んのだよ。それより、君たちにここにいてもらったのは、もう少しまともな申し開きを言ってくれる事を期待したからだ。もういい。君たちの処遇は今日開く臨時取締役会で話し合う事になる。君たちは自宅待機しておいて欲しい。但し、社用スマホは欠かさずに携帯して、なったらすぐに応答するように、いいかね？」<br>「分かりました…」<br>「じゃあ、もう帰ってくれ」<br>「失礼します…」<br><br>二人は席を立ち、トボトボと出て行った。<br><br>二人が出て少ししてから、またドアが開き、今度は大町取締役が入ってきた。<br>大町は島田の隣に座り、コソコソと話し始めた。<br><br>「島田常務、桜井と迫田は信じましたかね？」<br>「ああ、信じない訳にはいかんだろうね。でも、あの文章だと、浅野君を苦しめたのは桜井君に間違いないんだろう？」<br>「まあ、そうですね。彼は流石に氏名を特定するような真似はしなかったので、桜井さんと断定する事はできないんですが、「部長」と何回も書いてますからね」<br>「それに迫田君の事は「S先輩」と書いている」<br>「流石にこれじゃあ、言い逃れは出来ないですよ」<br>「そうか、じゃあ、決まりだな。しかし、浅野君は遺書を何で君にだけ送ったんだろう？」<br>「それは私にも分かりませんが、推測するに、恐らく去年まで部長だった鵜塚君に知らせるのは憚られたため、その上の私に送ってきたんじゃないかと思ってます。」<br>「まあ、そうだろうね。それで、浅野君の遺体は実家に運ばれる手はずになっているのかね？」<br>「ええ、検視が終わり次第、彼の実家へと搬送する手はずです」<br>「葬儀を含めて、一切合切手を抜く事なく、うちで執り行うように君から近藤君へ伝えてくれないか？」<br>「分かりました」<br>「それともう一つ。鵜塚君への連絡だが…」<br>「彼にはもうチャットで第一報は入れました。彼からも返信は受け取ってますし、彼は大事なクライアントと同行中ですので、業務を優先して欲しい旨伝えてあります」<br>「それはいいのだが、浅野君の遺書に書かれた彼を示している部分の取り扱いはどうする？」<br>「あれは単に前の部長としか書かれてませんから、鵜塚君を特定するものではないと思ってます。幸い、私だけに届いたメール文面ですので、敢えて全文公開する必要はないと思ってますので、鵜塚君には一切関わりない事で通します」<br>「それなら良かった。その線で進めてくれ。ホッとしたよ、こんなんでまた佐伯社長から叱られるんじゃあ、私の胃は持たんところだった。ほんと、良かった。一気に気持ちが軽くなったよ。大事なミッションも道半ばだからね。こんなところで頓挫させる訳にはいかない」<br><br><br>衝撃だった。<br><br>浅野君は、遺書で私に何かを伝えようとしていた。<br><br>そんな話は全く知らない。<br><br>それどころか、A界では私は彼の存在ごと<strong>ない事</strong>にしていた。<br><br>彼は私に、何を伝えたかったのか？<br><br><br>知りたい…<br><br><br>「それは十分に心得ておりますので、ご心配になられなくて結構です。では、私は近藤局長と打ち合わせがありますので、これで失礼します」<br>「ああ、私は早速、自室に戻り、佐伯社長へ電話で報告するとするよ」<br><br><br>そう言うと、二人とも会議室を出て行った。<br><br><br>窓の外を見ると、街路灯に赤いタペストリーが一つだけ掛かっていた。<br>他の街路灯には掛かっていない。明らかに不自然だ。<br><br><br>これ以上は、情報がないという事か…<br><br><br>悟った私は、そのタペストリーを凝視した。<br><br>すぐにスリットが現れ、私は吸い込まれた。</p><figure name="498c7ccd-5f88-4b34-9fae-52a51b2b798d" id="498c7ccd-5f88-4b34-9fae-52a51b2b798d" data-src="https://note.com/vast_mimosa147/n/n4ebb7c55b42a" data-identifier="n4ebb7c55b42a" embedded-service="note" embedded-content-key="embfc1613cab5ba"></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/nd8d2c3da5861'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 18 Mar 2026 16:36:48 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑱</title>
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      <description><![CDATA[<p name="6ccea903-9c06-472e-b98a-2639513b34ae" id="6ccea903-9c06-472e-b98a-2639513b34ae">■<br><br>夜の東京上空にいた。<br>思いを前の場面に残したままだ。<br><br>最後に聞いた芽衣の冷たい声が未だに耳に響いてる。<br><br>「あの子、弱いんだから、まだ潰しちゃダメなんだよ」<br><br><br>潰す？<br><br><br>芽衣は、この後どこかのタイミングで瑞希を潰すつもりなのか？<br><br>何のために？<br><br>瑞希は芽衣に恨まれるような事をしたのか？<br><br>全く分からない。<br><br><br>分からない事に腐心していても埒が明かないという事は分かっている。<br><br>だから、今は気持ちを切り替えて、このワールドに注意を向けなければならない。<br>そう思い、まずは今いる場所を特定しにかかった。<br><br>東京タワーが近くによく見える場所だ。<br>その向こうにレインボーブリッジが見えるという事から、恐らくここは虎ノ門で、私の前に建っている大きなビルは虎ノ門ヒルズに間違いないと思う。<br><br><br>私はビルの屋上を見渡す空を漂っている。<br><br><br>上空を吹く風は凍えるような冷たさではなく、どちらかと言えば、ホッとするようなひんやり感なので、今は夏の終わりか、秋の始まりの頃なんだろう。そして、時間は西の空がまだほんのりとオレンジがかっているので、まだ夜が始まったばかりの時間、恐らく7時過ぎとかなんじゃないだろうか…<br><br><br>屋上にはバーがあった。<br><br><br>中年のカップルが入って来て、カウンターに腰掛けた。<br><br>二人はバーテンにそれぞれ酒を頼んだ。<br><br>私は二人の正面に回って顔を確認した。<br><br><br>ゲッ！<br><br><br>女は瑤子だ！そして、男は大町さんだ！<br><br>何で、二人が？<br><br><br>私は二人の会話がよく聞こえるところまで近づいてみた。<br><br>「それにしても、悪かったね。急に誘ったりして」<br>「いえ、大丈夫ですわ。まだ早いので、ここで一杯だけ強いお酒をいただいて帰るぐらいなら時間は取れます」<br>「いや、この度は冴島さんには大変お世話になったと思っててね。お礼をしなければならんから、少し話をするついでに、ここで一杯だけ飲もうと思ったんだ」<br>「お礼だなんてそんな…お気遣いいただかなくても大丈夫です。私はご要請を受けた事を対応しただけですから」<br>「いや、そのお陰で、うっとおしい邪魔な記者たちを早期退職へ導く事が出来たんじゃないか。私は新聞社出身だから、雑誌社の事はよく分からないんでね。あなたがアドバイスしてくれたお陰で、いらない人と残したい人の選別が出来た。そして、辞めてもらう人たちは何とか年内中に退職してもらえそうだ。本当に今回は冴島さんの貢献が大きいと私は思っている」<br>「いやそれは、単に使えない人たちが自分で辞めていってるだけで、私は使えない人が誰かを教えただけですわ」<br>「それが役立ってるんじゃないか…お陰でホールディングスの目標はあっさり達成できたんだから、大したもんだよ」<br>「お役に立てたのなら、それは何よりです。それより、常務、そのミッションの報酬については、お忘れではないでしょうね？」<br>「それは大丈夫だ。君は来年の定期異動の時に、広報部長になる。これはマガジン社の松岡社長も了承済みだし、ホールディングスも認めているからね。君は記者ではなくなる」<br>「ありがとうございます。これで娘に時間が割けます。記者だと、どうしても娘の都合に合わせるのが難しかったので…」<br>「まあ、そうだろうね。これで良かったじゃないか」<br>「良かったです。これで、安心して、飲める時には飲みたいだけお酒も飲めますし」<br>「飲みたいだけ飲むか…冴島さんは本当に酒好きなんだね？」<br>「ええまあ…」<br>「強いんだろう？」<br>「そんな…好きなだけですわ」<br><br><br><br>そうか…<br><br><br>大町さんはうちに来る前に、日葉マガジン社に二年ほどいて、その時もリストラを担当する役員だった。<br><br>瑤子は大町さんに加担して、社員整理を手伝ったというのか…<br><br>大町さんが、マガジン社でリストラを完了させつつあるタイミングだから、今から4年前の事だろうと推測できた。<br><br>しかし、会社側に立って、同僚、仲間を売るような真似を瑤子がしたなんて、到底信じられない。<br><br><br>あの正義感が強い瑤子が、どうして？<br><br><br>瑤子が酒好きなのは、結婚する前からだが、彼女は瑞希が産まれてからは、外で飲む酒を控えていた。<br><br>しかし、数年前から、真夜中過ぎにぐでんぐでんに酔っ払って帰ってくる日が目立つようになっていた。<br><br><br>数年前？4年前？<br><br>符合する気がする。<br><br><br><br>大町さんは、マガジン社のリストラを完了させた後、彼はホールディングスに戻る事無く、直接うちに来て、今度はうちのCR本部の別会社化を主導している。（た？）<br><br><br>二人の酒が届いた。<br>会話が途絶えた。<br><br><br>何となく嫌な感じがした。<br><br>会話がない二人に、ぎこちなさがなかったからだ。<br>むしろ、親密な感じを思わせるほどに、身体の距離は微妙に近い。<br><br>瑤子は華奢なグラスのカクテルで、大町さんはトールグラスの琥珀色の泡立つ酒だ。<br><br>私は一滴の飲めないので、二人の前の酒が何なのかは全く分からなかった。<br><br><br>二人は乾杯をして、グラスに口をつけた。<br><br><br><br>瑤子は一気に飲み干し、バーテンにお代わりを頼んだ。<br><br>「それで？私を誘ったのは、他にも御用がおありなんでしょう？」<br><br>瑤子は飲み干したカクテルグラスをバーテンの方へ押し出しながら、大町を見て言った。<br><br>「ああ、適わないな、君には…お見通しのようだ。今晩は遅くなってもいいのかな？」<br>「電車があるうちなら…」<br>「下に部屋を取ってあるんだが、続きは部屋でルームサービスを食べながら話さないかい？」<br>「またあ…何度もお誘いいただいてますが、大町さんは若い娘が好きなんでしょう？私みたいなおばさんじゃなくて」<br>「いや、それはケースバイケースだよ。なあ、いいだろう？話っていうのは、君の旦那さんがいる日葉広告社の事だし…旦那さんが大きく関わる事なんだよ」<br>「ええ？それって何？」<br>「いや、ここでは一目があるから言えないから。だから、ちょっとだけ部屋で話そう」<br>「分かりました。じゃあ、行きましょう」<br><br><br>そのタイミングで瑤子が頼んだカクテルが届いた。<br>瑤子はそれを一気に飲むと、スツールを立った。<br><br>大町がそれに続いた。<br><br><br>二人はバーを出て、エレベーターホールに向かった。<br><br>私は続こうと思えばついていけた。<br>だが、私はそうしなかった。<br><br><br>嫌だったからだ。<br><br><br>真相に近づくためにはついていった方がいいのは分かってる。<br>しかし、私は嫌だった。<br>吐き気がするほどにだ。<br><br><br>大町さんと瑤子が？<br><br><br>考えただけで、吐きそうになる。</p><p name="7116d847-4c1c-4ad4-bda2-5fdfa8a2fd27" id="7116d847-4c1c-4ad4-bda2-5fdfa8a2fd27"><br><br>何もなく、ただ食事をして、酒を飲むだけかもしれない。<br><br>でも、スウィートだぜ…<br><br>決して、ついていけない…<br><br>私は目を閉じて、赤を思い浮かべた。<br><br>スリットが開いた。私はこの胸糞悪いワールドから出た。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n3e181d026b6b'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 08 Mar 2026 22:41:38 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑰</title>
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      <description><![CDATA[<p name="8f3e307c-46b8-45be-9090-32451756f202" id="8f3e307c-46b8-45be-9090-32451756f202">#4<br> <br>■<br> <br>目が覚めたら、周りは真っ赤だった。<br>しかも、瞼に年月日を記される事もなく、自然に目覚めた。<br><br> <br>「こういう起き方もハザマ流なのか？」<br><br> <br>私は返事がある事はあまり期待せずに、独り言のように呟いた。<br><br> <br>「ああ、ここから先は完全にイシキの世界だからね。ゲンショウのような時間や空間は必要なくなるんだ。ここから先、君は行きたいところへすぐに飛べる。フラッシュするんだ。その時の注意点は一点だけだ」<br><br> <br>予想に反して、シンパンは答えてきた。<br>そうなら、まずは朝の挨拶から始めないといけない。<br><br> <br>「おはよう、シンパン」<br>「ああ、おはよう。目覚めは爽やかかい？」<br>「ああ、とっても快適だ。心が澄んでいて、身体が軽く感じられる」<br>「言ったろう。今の君には身体なんてないんだ」<br>「ああ、そうだった。忘れてたよ。とにかく軽くて清々しい気分だ」<br>「それは良かった。じゃあ、これから先の注意点を話しておくよ」<br>「ああ頼む」<br>「さっきも言ったように、この後君はイシキのままにどんなワールドにも飛んでいける。ただな、飛んでいく先は全部、君がその場にいなかった場面で、それを選ぶのはスリットの役目だ。一つ一つの場面で、君が何をしようが、何を話そうが、それは君の勝手だが、その場面には君はいない筈なのだから、君が何かをしても、何を言っても、その場にいる人間には超常現象が起きたようにしか思えない。だから、基本的に君はその場を目撃するだけで、何もしない方がいいと思う」<br>「分かった」<br>「一つの場面から出る時は、赤をイメージすればいい。ただ、頭の中で赤い色をイメージするんだ。そうすれば、ワールドからワールドへフラッシュしていくように飛んでいける」<br>「赤い色をイメージすればいいんだな」<br>「そう、君が頭の中に赤をイメージすれば、次のワールドの向けてスリットが開く」<br>「分かった」<br>「じゃあ、もう放出してもいいかな？」<br>「後もう一つだけ。シンパンは、これからもずっと話する事は出来るのかい？」<br>「出来るよ。次にこっちに戻ってきて休息に入る前や、今のように起きた後の数分間は話せる」<br>「分かった。じゃあ、もう放出してもらっていいよ」<br><br> <br>そう返事をするや否や、僕は真っ赤な筒の中を滑っていった。<br><br> <br>ズブ！<br><br> <br>僕はワールドに飛び出た。<br><br> <br> <br>■<br>出た先は、教室だった。<br>私は天井の隅から教室の中を俯瞰して見ていた。<br>春先の午後早い時間だと思った。<br>そういう光の加減だと思ったからだ。<br> <br>校庭では、部活の声が聞こえていた。<br>沢山の声がしていたが、どうやら陸上部とサッカー部が練習をしているのだろうと推測した。<br><br> <br>ここは瑞希が通っていた中学校だ。多分…<br><br> <br>窓際の後ろから二番目の席に女の子が一人座っていた。<br>その子は机に突っ伏して両腕に顔を乗せて泣いていた。<br>嗚咽する度に背中が小刻みに震える。<br><br> <br>もしや、瑞希？<br><br> <br>着ているのが制服なので、瑞希かもしれないし、そうじゃないかもしれなかった。<br> <br>何とかその子の顔を見て、瑞希なのかを確認したいのだが、彼女は腕に顔を伏せているので、それは出来ていない。<br><br> <br>いや、ハザマがわざわざ私をここに送り込んだのだ。だから、あの泣いてる子は間違いなく瑞希のはずだ。だが、私には自信がない。だから、少々情けない気持ちになった。<br> <br>普通の親なら、その当時の瑞希の髪型や体格で、識別できるのかもしれないと思う。<br><br>残念な事に、その頃私は「ギョギョっと、ギョーザ」が順調にバズっていたため、無茶苦茶忙しかった。だから、中学校時代の瑞希の髪型とかの特徴なんか、全く記憶がない。<br>覚えているのは、瑞希は小学6年生の時に急に背が伸びた事ぐらいだ。<br>中学校に入る時、瑞希はもう160㎝以上あり、入学式の写真を見ると、ローヒールを履いた167㎝の家内の肩ぐらいまでにはなっていた。<br>そして、中学を卒業する頃には、瑞希は瑤子を追い越し、170㎝まで背が伸びた。<br> <br>しかし、残念な事に、今、机に臥せっている子は、座っているので、身長が高いのかどうかが分からない。<br> <br>この子の髪は、ショートではないが、すごく長い訳でもなさそうだ。<br><br> <br>嗚咽しかしてないので、声でも判別できない。<br><br> <br>マジで分からん…　何とか顔を上げてくれないか…</p><p name="88f4419b-65c9-4a4e-b84b-7b5a45f0935b" id="88f4419b-65c9-4a4e-b84b-7b5a45f0935b"><br> <br>引き戸が開き、私が知らない女の子が入ってきた。<br>女の子は、真っ直ぐに泣いている子の元へやって来た。<br> <br>「瑞希ちゃん、もう大丈夫だから。私が静香ちゃんたちを追っ払ってやったから、もう来ないよ」<br><br> <br>やっぱり瑞希か…<br><br> <br>学校でいじめられてる？<br><br> <br>中学時代に、いじめられてたなんて話は、私は一切聞いてない。<br> <br>「うん、ありがとう、芽衣ちゃん」<br><br> <br>芽衣ちゃん…　白川芽衣？<br><br> <br>「静香界隈はさあ、マジでムカつくよね。何様って感じでさあ。静香は、瑞希ちゃんが自分よりも背が高いのをやっかんでるんだよ。あの子、マジでモデルになりたいらしいからね」<br>「背が高いのは、私が望んだわけじゃないよ。私はこんなに背が高くなりたくなかった」<br>「ええ？ギリ160しかない私なんて、羨ましくて仕方ないんですけど…まあ、いいじゃん。瑞希ちゃんカッコいいよ。スタイルもいいし…もうすぐ高校に上がるじゃん。そしたら、原宿とかでスカウトされちゃうかもよ」<br>「スカウトなんかいいよ。でも、マジ憂鬱なんだよねえ、このまま高校に上がるの。うちさあ、お母さんがこの学校気に入ってて、私を小学校から入れたのね。だから、何度言っても他の学校受験させてくれなかったの」<br><br> <br>話の流れから、今は瑞希は中三で、季節はやはり春先だ。春休みが過ぎれば、瑞希は高校生になる。という事は、一年前の事だ。<br><br> <br>「受験？受験なんかしない方がいいよ。瑞希ちゃんがいなくなっちゃうと私が寂しいもん」<br>「そう言ってくれるのは、芽衣ちゃんだけだよ。芽衣ちゃんは中学からこの学校に入ってきてるから分からないと思うけど…小学校からずっと一緒の子らって、嫌な子ばっかなんだよ。あっ、待って…お母さんからLINEが来た。あっそうだ。今日は歯医者の日だ。ゴメン，芽衣ちゃん、私、帰るわ。ありがとう、芽衣ちゃん」<br>「ありがとうだなんてそんな…いいよ、普通の事だよ。ちゃんと涙拭いてから帰りなよ」<br>「うん、分かった。じゃあね」<br>「うん、また明日ね」<br><br> <br>瑞希は、そのままスクールバッグを抱えて出て行った。<br><br> <br>芽衣も教室を出て行く。<br><br> <br>もう、ここには用はないな。<br><br> <br>私はそう思い、目を閉じ、瞼の奥で赤をイメージした。<br> <br>すると、ハザマが呼応してくる感じがした。<br> <br>もう少しでスリットが開く。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/nea754c63459a'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 05 Mar 2026 20:35:05 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑯</title>
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      <description><![CDATA[<p name="96c08e4f-f2b6-45a2-a66a-c7249c7cd15f" id="96c08e4f-f2b6-45a2-a66a-c7249c7cd15f">■<br><br>そんなのは分かっていた。<br><br><br>だって、赤いタオルだぜ。違わない方がおかしいぐらいだ。<br>飛び込んだヒズミは、いつも通りプルンプルンのスライム状だが、色が違っていた。いつもの乳白色ではなく、ほんのりピンクがかっていた。<br><br> <br>「バンニン、どうして変わったんだい？これはどういう事なんだ？」<br>「ここはヒズミではないからだ」<br><br> <br>あの声だ！<br><br><br>さっきヒズミから放出された時に聞こえた野太い男の声だ。<br>さっき聞いた時は、単に野太い声だと思ったのだが、今聞くと、よく通るバリトンの美声なんだと分かった。<br> <br>「ヒズミじゃないって？じゃあここは、どこなんだ？」<br>「ここは、ハザマだ」<br>「ハザマ？何と何のハザマなんだ？」<br>「ゲンショウとイシキのハザマだ」<br>「ゲンショウとイシキ？よく分からないな。分かるように説明してくれないか、ムソウ」<br>「ムソウ？私はムソウではない。ムソウとはチカラの事だ。私はシンパンだ」<br>「シンパン？アンパイアの事か？」<br>「野球で言えばそうなるな。だが、私の下す審判は重い」<br>「まあそうだろうね。それでハザマについて教えてくれよ」<br><br> <br>私はシンパンの事を同性であり、声の感じから年も近そうな感じを持った。そのため、親近感が湧き、思わず言葉遣いが砕けた。<br><br> <br>「よかろう。お前はこれまでの間スリットから放出される場面、この場面の事を我々はワールドと言うんだが…そのワールド毎に、自分の肉体を伴っている事について、意見を言った。これでは真相に中々近づかないと言ってな」<br>「確かに。僕が経験した場面、ワールドだけを見てたんじゃ、さっきみたいに自分で意識して違う行動をしなければ、今まで知らなかった事に遭遇出来なかった。大町さんの逮捕や桜井さんや迫田さんの懲戒解雇、そして、瑤子の依願退職、瑤子はそれだけじゃない。僕の街のホストクラブで問題を起こしたりしていた。こんなの僕は全く知らなかった。それに浅野君の自殺だ。浅野君なんて、さっき名前を聞かなければ、僕は覚えてもいなかった。これは君たちが言う「なかった事になる」って、ヤツだろう？こんなあっちこっちが穴だらけのジグソーパズルは、いつまで経っても完成しないよ。もう三日も経ってしまったんだろう？残りは後四日しかない」<br>「ほう、今日がもう終わりだと分かってたのかい？」<br>「分かるさ。赤いタオルだぜ。何かが進行するんだって思うじゃないか」<br>「それはすごいね。どうして三日経った事が分かった？こっちはさっき放出する時に、意図してDAY3とは出さなかったのに」<br>「それもそうだと思ってたよ。僕を試してるんだろう？」<br>「ああ、そうだ。こんなに細切れにタイムリープを繰り返して、それも一つ一つは、そんなに長い時間じゃなくて、大抵の人はこれを続けると時間感覚を無くすんだ。でも、君は無くさなかった」<br>「それは当たり前だろう。上手く正解に辿り着いて白川さんが瑤子から殺されないようにしないと僕も瑤子も死んでしまう。そしたら瑞希はどうなる？いや、待てよ。僕も瑤子も死んだら、瑞希なんて、そもそも存在しない事になるのか？」<br>「まあそうなるね。全てはなかった事になる」<br>「じゃあ余計に困る。僕はあの子に生きて欲しいからね。時間がないんだ、シンパン。さっき君が言ったゲンショウとイシキのハザマの事を教えてくれよ」<br>「肉体は現象でしかない。分かるか？大事なのは意識だ」<br>「肉体は現象だって？じゃあ、僕が生きてる身体はあってもなくてもいいものなのか？」<br>「なくてもいいなんて言わないが、ある事に重大な事が備わっているかと言えば、それはNOだ。人間はいつもそれを間違える。だから宇宙と交信できないんだ」<br>「宇宙と交信は話が逸れるから止しておいて、もし身体がないとなれば、僕はどこにアイデンティティを求めればいい？それがイシキなのか？」<br>「そうだ、イシキだ。人間は身体が死を迎えると、死後の世界について、色々と誤解している。死んだら、天国に行けるとか、悪い事をすれば地獄に落ちるとか…そんなのは全部人間が作った寓話でしかない。人間は肉体を無くす時に初めて解放されるんだ」<br>「解放？つまり、肉体からイシキが解き放たれるという事か？」<br>「そう、その通りだ。人間は魂と言うだろう？それも人間が作ったストーリーさ。魂なんてない。あるのはイシキだけだ。それが証拠に君はA界で、マンションの自分の部屋から飛び降りて死んだはずなのに、B界で起きた原因となる事件を未然に防ごうとしているじゃないか。これは、実は君は肉体を伴ってないんだよ。分かるか？君は都合良くB界にまだ辛うじて残っている君の肉体を活用しているだけだ。それも、後四日すれば出来なくなる」<br>「僕の存在が「なかった事になる」からだね」<br>「そうだ。だから、今でも君はイシキだけで飛んでいく事が出来る。このハザマを抜けてね」<br>「なるほど…詳しくは分からないが、ハザマって言うのは肉体を伴うか、どうかのハザマなんだね？」<br>「だいぶショートカットしてしまったが、まあいいだろう。その通りだ」<br>「じゃあ、僕はこのハザマで休息を取れば、次に放出される時はイシキとして、色んなところに飛んでいける訳だ」<br>「原理的にはそうなるが、そうなるには大きな決断と覚悟がいる」<br>「大きな決断と覚悟、それは何だ？」<br>「まず、覚悟だが、これから君がイシキとして放出されると、君は今まで以上に見なければよかったと後悔するようなワールドに多数出くわす事になる」<br>「でも、それを見なければ、今の窮地を脱する事は出来ないんだから、覚悟は出来てるよ」<br>「まあ、それはそうだろうな。しかし、決断は大変だぞ」<br>「何を決断するんだ？」<br>「肉体の喪失さ。君が今後イシキとして、ワールドの中をタイムリープし続けると、いつの間にか肉体に戻れなくなってしまう場合がある。よく人間が亡くなった人のうちで、この世に未練がある場合に成仏出来てないとか言うだろう。あれだ。君のイシキはB界の中で浮遊し続ける事がありえる」<br>「幽霊か…それも仕方ないな。今のままじゃ、僕も瑤子も幽霊にさえなれなくなっちゃうもんな。何せ「なかった事になる」んだから」<br>「分かった。じゃあ、決断もしたんだな。結構だ。それでは、これから君はハザマの中で休息を取る。眠って、起きた時にはイシキとして放出される。ムソウはそのまま使える。赤いタオルが目印だ。いいね？」<br>「分かった。大丈夫だ」<br>「じゃあ、寝てくれ」<br><br> <br>その声を合図に、僕の周りのピンク色がどんどん濃くなっていった。<br>しまいには、全部が赤く染まった。</p><figure name="809da032-8728-451c-ad16-1c3b19f81c59" id="809da032-8728-451c-ad16-1c3b19f81c59" data-src="https://note.com/vast_mimosa147/n/nea754c63459a" data-identifier="nea754c63459a" embedded-service="note" embedded-content-key="emb1e4f7fe6166d"></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/na3100ada8d47'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 25 Feb 2026 21:45:47 +0900</pubDate>
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      <title>りくりゅうペアが優勝しました！</title>
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      <description><![CDATA[<p name="E1BE3A5E-EFB6-4428-91AC-3A7637F8BF9F" id="E1BE3A5E-EFB6-4428-91AC-3A7637F8BF9F">朝から僕は嬉しくてたまりません。お二人を心から祝福させていただきます。<br>こんなに嬉しく思える事を深く感謝します。<br>ありがとうございました！</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/ne043018872e5'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 17 Feb 2026 09:27:27 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑮</title>
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      <description><![CDATA[<p name="a7538b98-6dfc-4877-834a-92c0097dd7f5" id="a7538b98-6dfc-4877-834a-92c0097dd7f5">■<br> <br><strong>ムソウ、聞こえるかい？<br> <br>ムソウ、いるんだろう？<br> <br>何も答えてくれないのかい？<br> <br>…</strong><br> <br>そうかあ…僕はまだ、あなたとコンタクト出来ないんだね…<br> <br>じゃあ、いいや…<br> <br>とにかく、一人で話をさせてくれ。<br> <br>そうしないと、僕はもうガラガラと崩れ落ちそうなんだよ。<br><br> <br>何だ、これは？<br><br> <br>大町さんが逮捕？<br>桜井さんと迫田さんが懲戒解雇？<br>そして、瑤子は失言で依願退職だと？<br>最後にとどめは、浅野君の自殺だ。<br><br> <br>こんなの僕がいた世界では全くなかった事だ。<br><br> <br>どうしてこうなる？<br><br> <br>この世界は、何故こんなに辛く厳しい？<br><br> <br>どうなってるんだ…<br><br> <br>全く理解できないよ…<br><br> <br>ツラい…<br> <br>心が痛い<br> <br>キツイ…<br><br> <br>泣きたくなんてないのに、何でか涙が溢れてきて、止められない。<br> <br> <br>疲れた…<br><br> <br>「そうだろうな。じゃあ、ゆっくりお休み」<br>「えっ、その声はムソウ？」<br><br> <br>返事はない。<br><br> <br>そして、僕は眠りについた。<br><br> <br> <br>ピコ<br><br> <br>目が覚めた。<br> <br> <br><strong>2025年8月29日（金）</strong><br> <br> <br>瞼の裏側に印字された。<br> <br> <br>スコン<br> <br> <br>私は放出された。<br> <br> <br>うっ…私は横に倒れた。<br><br>揺れる。<br> <br>目が覚めた。<br> <br>私は、もう人が少なくなっている各駅停車の車内にいた。<br> <br>眠りこけてたのだろう。<br>駅に停車する時に、電車が少々乱暴に止まったので結構揺れた。<br>その揺れの性で、私は他に誰もいない長いシートに横倒しになった。<br> <br>時計を見た。<br>午前0時半。<br>駅を見た。<br>私の駅までもう少しだ。<br> <br>という事は、今はもう8月30日だ。<br> <br>数分後に、私は電車を降りた。<br><br> <br>改札を抜けて駅を出ると、すぐに商店街の通りに出る。<br>うちに帰るには、この商店街を抜ける必要がある。<br> <br>商店街には雑居ビルが連なっており、路面店も含めて、色んな飲食店が沢山ある。<br> <br>私は丸きりの下戸なので、いつもなら通りを足早にスルーし、出来るだけ早く家に帰ろうとするのだが、今日は違う。スリットは意思をもって私をここに送り込んでいる筈だから、これから起こる事全部を見逃す訳にはいかない。<br>今日は、月末で週末だ。だから、終電がなくなっているにも限らず、通りには酔客で溢れており、まるで地面がグニャグニャになっているように、みんなで一斉に千鳥足で動いている。<br>酔っ払いの吐く息が臭い。酒が飲めない私はその息だけで酔いそうになる。<br>その通りを息を止めて、小走りに抜け、一気に自宅マンションまで向かいたい気持ちが高まるのだが、一生懸命に堪えて、酒飲みたちの間をすり抜けるようにステップを踏んで、ゆっくりと歩く。<br><br> <br>何か起きるんだろう？早くしてくれないか？<br>じゃないと、吐きそうで、もう限界を迎えそうなんだよ。<br><br> <br>私は夜空を見上げてそう祈った。<br><br> <br>夜空は商店街の明るい照明の性で、星も見えないが、空に向かって祈ると、ムソウに届く気がした。<br> <br><br>我慢して通りをゆっくりと歩いていると、遠くでサイレンの音が聞こえるなと思っていたら、あっという間に、救急車がこの通りに進入してきた。<br>酔客は、モーゼの十戒のように、左右に分かれ、その真ん中を救急車は走り、私の前で停まった。<br><br> <br><strong>これだ！</strong></p><p name="867d532a-883c-4aaf-8fa7-bc604d21b6fb" id="867d532a-883c-4aaf-8fa7-bc604d21b6fb">きっとこれが私が見るべきシーンなんだ。<br> <br>そう思い、私は成り行きを見守る事にした。<br><br> <br>救急隊員は、オレンジの担架を引き出し、三人で目の前の雑居ビルに入っていった。<br>すぐにストレッチャーを出さなかった理由が分かった。<br>エレベーターが小さすぎて、ストレッチャーが乗らないのだ。<br> <br>五分待っても、救急隊は降りてこなかった。<br>すると、通りで私同様見守っていた酔っ払いどもは、緊急性がないと悟り、急に緊迫した空気が薄れ、次第に散り散りにこの場から離れていった。<br> <br>私も、これは関係ないのではないかと思い始めていた。<br> <br>また、サイレンが辺りに鳴り響き、今度はパトカーが到着した。<br>警官は、すぐに雑居ビルの中に消えた。<br><br> <br>「チクショー！放せ、放せってんだよー！」<br><br> <br>ビルの上階から女性のヒステリックな金切り声が響いた。<br>その声は、あまりに甲高くて、狂気じみていたので、私はギョッとした。<br>普段聞き慣れないような不気味な声だった。<br> <br>何を言ってるのかはよく聞き取れなかったが、警官が少し大きめな声で宥めているのが分かった。<br> <br>女は、警官の声のトーンに合わせて、自分の声も抑え始めた。<br>そして、興奮も収まってきてるようだった。<br> <br>暫くして、先に担架を持った救急隊員が下りてきた。<br>次に、警官二人と、救急隊員一人に囲まれるようにして、女性が下りてきた。<br>女性は、額と左腕を怪我してるようで、止血処置がされていた。<br><br> <br>女性の顔がはっきり見えた。<br><br> <br><strong>瑤子！</strong><br> <br><br>えっ？マジで？<br> <br>いや、でも、間違いなく瑤子だ！<br><br> <br>何という…<br><br> <br>瑤子は、救急隊員に促されて、救急車に乗り込んだ。<br> <br>すぐ後ろに、ホストらしき若者がついてきており、救急車のドアが締められる前に瑤子へ話し始めた。<br> <br>「瑤子さん、あんた、飲み過ぎだよ。それにハルトに入れ込み過ぎだって。ハルトはさあ、まだ21歳だぜ。ハルトがあんたになびく訳ないじゃん。分かんないの、あんた、ビジネス雑誌の敏腕記者なんでしょう？分かった方がいいと思うけどなあ」<br>「何？ナオキ！私はあんたなんかに用はないわよ。ハルト、連れてきなさいよ」<br>「ハルトさあ、ビビっちゃって、ここまで来れなくなってるんだよ。俺は店長として、これじゃ困るんだよな。営業妨害だよ。あんたさあ、今回は自分で果物ナイフで腕切っただけだし、おでこはその拍子に転んでテーブルの端っこで切っただけで、うちの店の実害は0だから、告訴したりしないけどね。もう二度とうちの店に来ないでくれる？もう一回来たら、今度は営業妨害で正式に訴えるからね。あんた、出禁は今回だけじゃないでしょう？歌舞伎でも六本木でも出禁食らってるんでしょう？うちの業界は狭いからさあ、そんなんは俺らの耳にも入ってるんだよ」<br>「訴える？上等じゃないの。訴えなさいよ。そしたら、私はあんたたちを詐欺で訴え返してやるから。ハルトに出してやった300万はどうなってるのよ？」<br>「もう二人ともやめて下さい。冴島さん、あなたはもう興奮しないで。病院が決まりましたので、発車しますから」瑤子の側にいた救急隊員が割って入った。<br>「ええ？もうちょっと…」<br>「ダメです。車を出します」<br><br>救急車のドアが隊員によって閉められた。<br>救急車が動き出した。<br> <br>横でやり取りを見守っていた警官がナオキと呼ばれた男に事情聴取のために、店に入りたいと申し出たので、ナオキと警官はエレベーターで上がっていった。<br> <br>周りを取り囲んでいた酔っ払いは散った。<br> <br>通りには、私だけが残され、立ち竦んでいた。<br> <br>私はタオルを捜した。<br> <br>街路樹に赤いバスタオルがぶら下がっているのが見えた。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n314060d92b37'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 16 Feb 2026 16:15:16 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑭</title>
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      <description><![CDATA[<p name="7e1f9f04-f3fe-4086-9c34-aa17e646e9a5" id="7e1f9f04-f3fe-4086-9c34-aa17e646e9a5">■<br>「バンニン、バンニン！」<br> <br>ピコ<br> <br><strong>2025年11月28日（金）</strong><br> <br>印字されてしまった。<br> <br>今まで気にしてなかったが、年月日が印字される時に、ピコっと音がするらしい。<br> <br> <br> <br>さっきの場面にもう一度戻りたくて、私はバンニンを呼んだのだが、その声は届かなかったようだ。<br>大体、一度入ったところにもう一度入れるのかどうかでさえ分からない。<br>だが、あれは確かに瑞希だった。<br>何故、あそこに瑞希が現れたのか、それがどうにも気になる。<br>今日が終わってヒズミに戻ったら、その事をバンニンに訊いてみよう。<br>いや待てよ…バンニンにも分かる訳ないか…<br> <br> <br> <br>スポッ<br> <br> <br>放出された。</p><p name="21ba75c4-a2e7-407a-b490-2ada0356bd54" id="21ba75c4-a2e7-407a-b490-2ada0356bd54"><br> <br> <br>「鵜塚局長、鵜塚局長」<br> <br>えっ、僕を呼ぶのは誰？<br> <br>「局長、寝てらっしゃるのですか？」<br> <br>私は、自分の状況を俯瞰してみた。<br> <br>ここは佐伯社長の秘書室だ。<br> <br>僕は待合用のソファに座り、肘掛けに左肘を乗せ、顎を手に載せて、ボーっとしていたようだ。<br> <br>呼んでるのは、秘書の田中女史だ。<br> <br>「鵜塚さん、寝てます？」<br> <br>僕は、慌てて居住いを直し、田中女史の方を向いた。<br> <br>「ああ、いや…ちょっと色々と考え事をしていたもので…」<br><br> <br> <br>こんな放出のされ方は、乱暴だな。<br>しかし、僕はこの制御の仕方を知らないから、どうしようもない。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/naa3e786b9610'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 11 Feb 2026 16:17:09 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑬</title>
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      <description><![CDATA[<p name="b93b0002-f810-48ff-a3f1-d4337b1767fb" id="b93b0002-f810-48ff-a3f1-d4337b1767fb">■<br>しかし、うちの本部のリストラの噂の次は、中学時代の瑞希の友達からの嫌がらせの話か…<br><br>実際、二つとも覚えがあるので、僕は当時と同じように遭遇したのだろう。<br>でも、分からないのは、白川さんという人が、瑤子に殺された件に、この二つが関わってるという事だ。バンニンも言ってたが、スリットは無駄には開かない筈だから、きっと、何かの関係性があると思うのだが、瑞希の件は、まだ白川さんの娘である芽衣ちゃんがいる関係で理解できる。しかし、うちのリストラ話がどうかかわってるのか、今のところ、皆目見当がつかない。<br><br><br>どうしたものか…<br><br><br>そもそも、私は、会社に入ってから先、こんな事で頭を一杯にするなんて事をしてなかった。いつも頭の片隅には必ず仕事の事があった。<br><br>だから、仕事以外の事に、フルで頭を使う事に慣れてない。<br><br><br>いや、参ったなあ…<br><br><br>でも、分かった事もある。<br><br><br>前の二件では、僕は当時と同じ対応をしてしまった筈だ。</p><p name="13bf9628-fadd-41ff-9b4f-76a1ec89817c" id="13bf9628-fadd-41ff-9b4f-76a1ec89817c"><br>あまりよく覚えてないが、多分そうだと思う。<br><br><br>それでは、きっといけないのだ。<br><br>真実を突き止めるという視点が必要だ。<br><br><br>何かが起きる。ちょっとしたデジャブ感を覚える。<br><br><br>その次だ。僕はアクティブに対応しなければならない。<br>そう、真実を求めて、どん欲にならなければならない。<br>そのためには、今までにはない別の視点が必要なんだ。<br><br><br><br>そうだ。次はこれを忘れないようにしよう。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n2e5f35544e35'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 09 Feb 2026 20:11:15 +0900</pubDate>
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    <item>
      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑫</title>
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      <description><![CDATA[<p name="5a996cb8-b87f-46a2-bd64-91320abb16d0" id="5a996cb8-b87f-46a2-bd64-91320abb16d0">■<br>「バンニン、いるんだろう？返事をしてくれ」<br><br><br>私は、スリットに入り込んだ時に、一瞬ではあるが毎度毎度、ヒズミの乳白色の中に溶けている事に気づいていた。<br><br>そこで、私はバンニンを呼んでいる。<br><br><br>「どうしたの？」<br>「急に次の時空へ飛ばすのは止めてくれないか？ちょっと、ここで頭の整理をしたいんだ」<br>「それは大丈夫よ。丁度、DAY1はこれで終わりだから、あなたはヒズミの中でゆっくり休める。その間に存分に考えをまとめればいい」<br>「ええ？DAY1はもう終わりだって？それはちょっと早くないか？」<br>「一つ目のエピソードは、ほぼ半日ぐらいだったけど、二つ目は一時間もなかったものね。でも、もうDAY1は終わりなの。そして、後の時間は、あなたは休息に充てなければならない」<br>「休息か…じゃあ、バンニン、考える前に、いくつか質問させてもらってもいいか？」<br>「何かしら？」<br>「僕は、今のところ二つのエピソードに入っていった。入ってすぐに、僕は、以前、僕が実際に経験したエピソードだと認識した。全部、鮮明に記憶していた訳ではないが、確かに二つのエピソードは、僕が実際に経験したものだった」<br>「それで？」<br>「これなら、A界でもB界でも、僕は同じように決断をし、分岐を乗り越えてきた事になる」<br>「あなたがそう思うのであれば、そうかもね」<br>「それなら、今の僕は、僕が元々いたA界の中でタイムリープしてきただけなんじゃないかという疑問が湧く。そうではないのか？」<br>「それはたまたまだと思うわ。でも、本当のところは私には分からない」<br>「何故だ？」<br>「私はヒズミの中の住人だからよ。私は「並び立つ世界」のどこにも存在しない」<br>「なるほど、それはそうか。仕方ない。じゃあ、もう一つだけ質問したい」<br>「いいわ、何？」<br>「さっきも言ったように、これまでのエピソードは、僕が実際に経験してきたものだった。しかし、それに入っても、僕にはそのエピソードが白川さんが死ぬ事の原因を突き止めるファクターだと理解する事しかできない。僕が意外だと思っても、そのエピソードが関わっているから、スリットから放出されるんだろうからね」<br>「それはそうね。スリットは無駄には開かない」<br>「でも、それでは僕は結論には辿り着かないと思うんだ。だって、僕が経験したものばかりだからね。リアルタイムの時に、二つのエピソードは、あの当時、僕は何も感じてなかったし、何も不審に思わなかった。そんな過去の出来事にもう一度入ったところで、僕が新たに何かを掴めるのか、僕には自信がない」<br>「それで、どうしたいの？」<br>「次のエピソードに入る時は、僕がリアルに経験した事じゃなくて、肉体はなくていいから、もっと核心を突いた場面に入りたいんだ。それはできるのかな？」<br>「自分がいない場面に入り込みたいのね？」<br>「そう、僕の存在がないところで、今回の結論を導き出せるようなヒントになる事を誰かが話してたりするところに居合わせたいんだ。上から俯瞰にして、観察したりとか…」<br>「つまり、肉体はなくて、イシキだけでエピソードに入るという事でしょう？」<br>「そう。それって、出来るものなのかな？」<br>「それは、あなたがムソウを使いこなせるかが、重要なカギになるわ」<br>「ムソウを使いこなす？」<br>「そう」<br>「それって、どうやるんだ？」<br>「イシキを集めるのよ。結論に近づけるようにフォーカスするの」<br>「どうやって？」<br>「それは私には分からない」<br>「分からない？」<br>「だって、私は使った事ないもの」<br>「ああ、そうか…じゃあ、自分で会得するしかないんだな」<br>「そうね。頑張って！」<br>「頑張れだって？君は呑気にそう言ってられるからいいんだろうけど、僕は大変だぜ。何せ、正解に辿り着かないと、僕も瑤子も白川さんもみんな死んでしまうんだから」<br>「それはそうね。でも、私には、そう答えるしかないの。分かって？」<br>「ああ、仕方ないね」<br>「じゃあ、これから休息に入って。時間が来たら、自動的にスリットが開いて、次のエピソードに入ってるわ。そのエピソードで、あなたが思ってるようになる事を祈ってるわ」<br>「ああ、祈っててくれ」<br>「じゃあ、おやすみなさい」<br>「おやすみ」<br><br><br>私の意識は途絶えた。</p><figure name="bd359c2b-9a07-42e1-84fd-d30bd6372b55" id="bd359c2b-9a07-42e1-84fd-d30bd6372b55" data-src="https://note.com/vast_mimosa147/n/n2e5f35544e35" data-identifier="n2e5f35544e35" embedded-service="note" embedded-content-key="embc785e22683fa"></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n712e46645e02'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 21:56:14 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/n712e46645e02</link>
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    <item>
      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑪</title>
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      <description><![CDATA[<p name="aad96771-78f3-47f2-a34a-7d2a3cbb4c82" id="aad96771-78f3-47f2-a34a-7d2a3cbb4c82">■<br><strong>2022年6月19日（日）</strong><br><br>またも瞼に、年月日が表示された。<br><br>なるほど、これがデフォルトなんだな。<br><br><br>2022年6月？</p><p name="38d15bef-754c-47cf-b2f2-9767fc4de6bf" id="38d15bef-754c-47cf-b2f2-9767fc4de6bf"><br>はて？何があったんだ？<br><br><br>考えてるうちに、私は放出された。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n009ce69dc2fe'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 02 Feb 2026 20:28:11 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/n009ce69dc2fe</link>
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    <item>
      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑩</title>
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      <description><![CDATA[<p name="adb261ee-68d8-4d77-9ec2-b945ea2ec6a4" id="adb261ee-68d8-4d77-9ec2-b945ea2ec6a4">■<br>午後1時に、私は会社に着いた。<br>台湾出張の報告をするために、自分の席に寄らず、真っ直ぐに大町取締役の部屋を訪ねると、生憎大町取締役は不在だった。<br>平の取締役は、自分が統括するフロアの片隅に、四畳半ぐらいの広さの個室があるのだが、部屋の前の壁はガラスになっており、ブラインドで閉じられていなければ、中にいるかどうかはすぐに分かる。<br>大町さんの部屋は、今はブラインドは開いており、消灯しているため、不在が一目で分かった。<br>大町取締役の部屋の角線上に桜井局長のデスクがある。桜井さんに、大町取締役の動静を聞こうかと思い、桜井さんの席を見ると、席に座っている桜井さんの横で、迫田部長が相談者用の椅子に座っているのが見えた。二人は何やらひそひそ話をしているようだった。<br><br><br>くわばらくわばら<br><br><br>触らぬ神に祟りなしだ。<br><br><br>私は桜井さんの元に行く事を断念し、自分の席へと向かった。<br><br>桜井局長は、私が今務めている制作三部の部長を7年もやっていた人だ。ずっと、昇進できずにいたのだが、今年念願の局長になった。<br><br>迫田部長は、制作一部の部長で、部長在任が5年となる最古参の部長だ。<br><br>この二人は、私が三部の部長に昇進してからずっと、私に嫌がらせをしてきてる存在だ。<br>二人とも、どうも私がジャンプアップした事が気にくわないようだ。<br>それに気がついてから、私はこの二人に極力近づかないようにしている。<br>特に今日は、役員などへ報告がある事は分かってたので、普段着慣れないスーツ姿でネクタイまで締めている。いつもの私は管理職とは言え、現場仕事を優先している関係で、カジュアルな格好を続けているので、スーツ姿を二人に見つかってしまえば、茶化されるに決まっている。二人ともいつもスーツを着て出社しており、カジュアルな服装の私に時折嫌味を言ってきたりしてるからだ。だから、尚の事、出来るだけあの二人には会いたくなかった。<br><br>いつもは、桜井さんは局長なので全く無視という訳にはいかないのだが、桜井さんと話す時は、出来るだけ迫田さんが席を外しているタイミングを狙ったりしてたりする。<br>それぐらい、あの二人への接触には気を遣っている。<br><br><br>その二人がひそひそ話…<br>絶対に良い話ではない。<br><br><br>そんなところへのこのこと割って話に行くのは、全くのやぶ蛇だ。<br><br><br>二人は、顔を突き合わせて小声で話し合っているので、私が出社した事に気づいてないようだった。<br><br>桜井さんには、迫田さんがいなくなってから、出張報告をしに行けばいい。<br><br>そう思って、私は桜井局長からは見通せない私の席に座り、PCを開いた。<br>社内イントラで、大町取締役の動静を確認しようと思ったからだ。<br><br>大町取締役は、自分が元いた日葉新聞社へ行ってるようで、帰社は三時予定となっていた。<br><br>それを確認していると、私の部下の葛西君がやって来た。<br><br>「鵜塚部長、おかえりなさい」<br>「ああ、葛西さん、留守中、ご迷惑をお掛けしました」<br>「ご迷惑だなんて、そんな。何もないですよ。それより、部長、今ちょっと話せます？」<br>「何だい？」<br>「ここじゃ、何なんで、打ち合わせブースでもいいですか？」<br>「ああ、構わんが…そうだな、外の自販機でコーヒーでも買って飲もうか」<br>「いいですね」<br><br>そう言って、私たちはCR本部の正面のドアを出て、エレベーターホールまでの短いスペースにある来客用の打ち合わせブースに向かった。<br>ブースの端の自販機で、私は二人分の缶コーヒーを買って、席についた。<br><br>「何だい？何かトラブルでもあったのかな？」<br><br>私は葛西君に缶コーヒーを手渡しながら訊いた。<br>大体において、席ではなく打ち合わせブースまで呼び出されるような類の話は良い話である事は少ないからだ。<br><br>「いや、今朝から急に噂が出回ってるんですが、CR本部は、近々リストラがあるんですか？」<br><br><br>あっ、そうだったなあ…<br>あの噂で持ち切りになったのは、この頃だったか…<br>この噂は、二、三か月も燻ぶってた筈だ。<br><br><br>そうか、この火種は今日からだったか…<br><br><br>「いや、今のところ、局長からも本部長からもそんな話は聞いてないけど…どうして、そう思うんだい？」<br>「いや、ここのところ、大町本部長の動きがキナ臭くて…先週金曜日は午後からずっと新聞社で、そのまま直帰でしたし、週明けの今日は午前中は佐伯社長、島田常務と打ち合わせで、午後からはまた新聞社だそうで、これは何かあると思うのが普通じゃないですか？」<br>「それは考え過ぎじゃないか？何か、新聞社との間で協議する案件でも発生してるんじゃない？」<br>「でも、大町さんって、リストラ担当役員ですよね。うちに来る前に新聞社から日葉マガジン社に取締役で降りられて、マガジン社のリストラを実行した人だと聞いてます。彼は新聞社で経営企画とか管理部門だけを渡り歩いてた人でしょう？そんな人がCR本部長だなんて、リストラをやりに来たとしか思えないじゃないですか？」<br>「それは大町さんがうちの本部長に着任した時の挨拶で、「マガジン社を出た後に新聞社に戻ろうと思ったら、自分が戻れる席がなかったので、うちに厄介になる事になった」と言ってたのが、本当の事なんじゃないかい？」<br>「ええ？鵜塚さんは、随分楽天的ですねえ。僕にはそんな風には思えないんですけど…」<br>「そう言われてもなあ…今のところ、僕は何も聞いてないので、残念ながら何も答えは持ってないよ」<br>「じゃあ、部長が何か聞かれたら、僕にも教えてもらえませんか？」<br>「分かった。僕は三時にちょっと出かけなきゃならんので、これでいいかな？出張中のデスクワークが溜まってるんで、出かけるまでに出来るだけ消化しておきたいんだ」<br>「分かりました」<br><br>私たちは打ち合わせブースを出て、それぞれの席に戻った。<br><br>私は席に座る前に、もう一度桜井さんの席を見た。<br><br>桜井さんはまだ迫田さんと話をしていた。ひそひそ話は終わったようで、比較的大きな声でゴルフの話をしてるようだった。<br><br>私はまた、二人に見つからないように自席につき、一時間ほど、集中してデスクワークをした。<br>月末が近くなってきてるので、会社に報告する書類仕事ばかりだ。さっさと片付けなければならない。<br><br><br>二時半になった。<br><br><br>私は銀座四丁目のカフェで待ち合わせをしてるので、出かけた。<br>席を離れる時、また桜井さんの席を見ると、桜井さんはまだ迫田さんとゴルフ話をしていた。<br><br>あの人たちも、ひそひそとリストラの話をしていたんだろうな…<br><br>そう思いながら、私はオフィスを出た。<br><br><br>■<br>約束した地下のこじんまりとしたカフェに三時に着くと、待ち合わせてた斎藤君はもう既に来ていた。<br>私は彼の前に腰掛けた。<br><br>「待たせたのかな？」<br><br>彼の前には空になったコーヒーカップがあった。<br><br>「いや、自分の都合で早めに来ただけです」<br>「そう、僕もコーヒーを頼むけど、君はもう一杯飲むかい？」<br>「ええ、飲みます」<br><br>私は、店主にコーヒーを二つオーダーすると、すぐにコーヒーは供された。<br><br>私は一口、コーヒーを飲んだ。<br><br>熱い！<br><br>でも、香り立つ美味いコーヒーだ。<br><br>彼もコーヒーを一口飲んだ。<br><br>切り出していい頃だ。<br><br>「それで、君の最終的な判断を聞かせてもらえるだろうか？」<br>「ええ、よく考えた結果、鵜塚さんからのオファーにお応えしようと思います」<br>「本当に？」<br>「ええ、本当です」<br>「そりゃ、良かった。うちの上も喜ぶよ。ありがとう。じゃあ、年明けから移籍という事で話を進めてもいいかな？」<br>「大丈夫です」<br><br><br>斎藤誠二は、フリーの売れっ子CMクリエイターだ。<br><br>しかし、彼は二年ほど前に、多忙の余り身体を壊し、この一年は前線での仕事をストップしていた。<br>そして、体調が戻り、いよいよ復帰するとなった時、彼はフリーであり続ける事に不安を感じた。<br><br>フリーの身は、自分に何かあった時に、収入も仕事量も、全く0ベースになってしまうからだ。<br><br>最初は、自分が元いた制作会社に戻ろうかとも思ったらしいのだが、それでは仕事量をコントロールするのが難しいと感じ、そこで大学の先輩である私に相談してきたという訳だ。<br><br>しかし、実際に話を前に進めようとすると、彼に躊躇いが起きた。<br><br>彼が今まで仕事をしてきた広告業界トップ２広告会社である伝聞社から受けてきたナショナルクライアントの仕事は、残念ながらうちの会社で続けてやる事はない。<br><br>親会社の日葉新聞社は全国紙だし、日葉メディアホールディングスグループ各社も全国媒体なのだが、日葉広告社は、あくまで日葉新聞社専属の、元はと言えば新聞広告を中心に取り扱ってきた会社なので、彼のようなCMや動画広告の取り扱いはまだまだ少ないのが現状だ。<br><br>その事に、彼は引っ掛かった。<br><br>うちからすると、確かにうちはナショナルクライアントのCM制作の取り扱いは弱いので、彼がうちに来てくれる事で、それを梃子に営業していこうという腹積もりができる。</p><p name="cf21967f-8ca4-4483-99a4-d47ab0cc4931" id="cf21967f-8ca4-4483-99a4-d47ab0cc4931">だが、最終段階で彼は止まってしまった。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/nc75e97789f25'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 31 Jan 2026 22:32:28 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/nc75e97789f25</link>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑨</title>
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      <description><![CDATA[<p name="857c795e-58ae-4a0a-85e9-735f08201dbe" id="857c795e-58ae-4a0a-85e9-735f08201dbe">#2<br><br><br>■<br><strong>2023年10月23日</strong><br><br>瞑っている瞼に一瞬、そう印字された。<br>一瞬、ほんの一瞬。<br><br><br>そして、私は目覚めた。<br><br><br><br>普通に起きたが、自分のベッドで、普段しない下着姿で寝てた。<br><br><br>スマホを見た。<br><br><br>2023年10月23日（月）<br><br>時刻は、10:21a.m.<br><br><br>月曜なのに、10時過ぎ！<br><br><br>祝日か？<br><br><br>いや、そんな筈はない。<br><br>社用のスマホを開けて、スケジュールを確認した。<br><br><br>どうやら、私は昨日は、CMの撮影で台北に行ってたようで、今日は午後から出社と予定しているようだ。<br><br><br><strong>そうそう、そうだよ。行ったな、台湾</strong><br><br><br>帰りの飛行機では、隣りの中年女性の鼾がうるさくて一睡もできなかったんだったな。<br>おまけに深夜便だったので、夜中に成田に着いて、空港のロビーのベンチで寝て、始発の特急に乗って寝て、新宿で小田急に乗り換えてまた寝て、町田に着いて、家まで歩いて、やっと自分のベッドで寝た。<br><br>2泊3日の強行軍での撮影だったので仕方がないのだが、ホテルのベッドでは殆ど寝れなかった。忙しかった。<br><br>でも、という事は、この日から運命の分岐が始まるという訳だな…<br><br><br>この頃？<strong>何があった？</strong><br><br><br>ああ、忙しすぎた性で、何も覚えてない。<br><br>10:35<br><br>ボーっとしてるうちに、14分も過ぎた。<br><br><br>コーヒーが飲みたいな。<br><br><br>私は下着のままで部屋を出て、リビングダイニングのドアを開けた。<br><br><br>「あら、パパ。瑞希がいないからいいけど、そんな恰好で出てこないでよ」<br></p><p name="3d85bba1-960a-495b-98c3-a2b9661bb441" id="3d85bba1-960a-495b-98c3-a2b9661bb441"><strong>瑤子がいた！</strong><br></p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n1651e221652b'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 28 Jan 2026 20:05:17 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑧</title>
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      <description><![CDATA[<p name="cde0b015-1b92-497a-8d4d-f3bafe33cc8a" id="cde0b015-1b92-497a-8d4d-f3bafe33cc8a">■<br> <br>イシキが、ヒズミに溶け込んでいくのを、私は何となく実感できるようになってきた。<br> <br>風呂に薄く溜まっている生温い湯の中で、身体を精一杯寝そばらせて湯の中に浸していく感覚。<br>そうしているうちに、どんどん生温い湯が溜まって行き、今度は身体どころか頭まで、ずっぽりと湯の中に沈んでいく。<br>鼻から出た息が泡となって、湯の中に出て行く。<br>息苦しさはない。<br>丁度良い温度の湯。<br>身体が溶けていくような感覚。<br><br> <br><strong>「溶け込んだ？」</strong><br><br> <br>バンニンが、さっきと同じように尋ねてきた。<br> <br>「ああ、溶け込んだ」<br>「じゃあ、あなたはすぐにB界のある年のある日に移動するわ」<br>「ある日って、いつだ？」<br>「それは私には分からない。あなたにとって重要な分岐を決める日だわ」<br>「重要な分岐？怖いな…」<br>「怖がらないで大丈夫よ。人はその後の運命を決めてしまうような重要な分岐をいとも簡単に、あっさり超えていくものよ。そして、失敗したら、後悔するし、上手くいけば、すぐに忘れる」<br>「なるほど、そうだな」<br>「大事な事を最後に一つ知らせるわ。あなたは、これから時空を超える」<br>「ああ、ムソウを手に入れたんだろう？」<br>「そう、あなたはムソウを手に入れた。これから、あなたは次の時間、別の空間に行きたい時、あなたの側のどこかにグレーの大きなバスタオルが現れる。それを見つけたら、あなたはそのバスタオルに身体をつけるの。手に取ってもいい、足で踏んでもいい。とにかく、あなたの身体がバスタオルに触れたら、あなたの前にスリットが現れる。あなたは、バスタオルを持って、スリットを潜り抜ける。そうすれば、あなたは、別の時間、別の空間に行ける」<br>「分かった。グレーのバスタオルだな」<br>「そう。そろそろ、次の空間に飛べそうね。イシキを飛ばして」<br>「イシキを飛ばす？どうやって？」<br>「一瞬でいいから、何も考えないのよ」<br>「分かった。やってみるよ」<br> <br>私は頭の中を空にしようと試みた。すると、私は意識を失くした。<br> <br>意識を失う前に、私は足元が割れ、スリットが現れてる事を確認した。<br> <br>プリ…<br> <br>私は放出された。</p><p name="b2d98584-549b-40c8-bc16-ef2c3e255ce4" id="b2d98584-549b-40c8-bc16-ef2c3e255ce4"><br></p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n5af081329778'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 27 Jan 2026 13:09:31 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/n5af081329778</link>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑦</title>
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      <description><![CDATA[<p name="de9a7a6e-d34c-41ea-8187-1688d7545db3" id="de9a7a6e-d34c-41ea-8187-1688d7545db3">■<br>「溶け込んだ？」<br><br>バンニンの声で、私は気がついた。<br><br>溶け込んだ？どういう事だ？<br><br>目を開けてみた。<br><br>またもや、目の前には真っ白な世界が広がっていた。<br><br>私は起き上がろうとしてみたが、それは出来ない事がすぐに分かった。<br><br>私の身体がなくなっているのだ。<br><br>「どういう事だ？」<br>「あなたはヒズミの中に溶け込んだのよ。さっき横たわる時に、床にどんどん沈み込んでいった。覚えてない？」<br>「いや、全くだ。僕は床に背中をつけた途端に気を失った」<br>「そう。あなた、同化が早いのね。良い事だわ」<br>「同化？それで、これから僕はどうなるんだ？身体は何故見えなくなった？どうやって今の僕は生きてるんだ？」<br>「肉体のあるなしは、どうでもいいのよ。それは後付けで何とでもなる。あなたが、何故白川さんにここに連れてこられたかを教えましょう」<br>「肉体なんて、どうでもいいって？全く理解を超えてるな。まあいいや。そう、それを教えてくれよ」<br>「白川さんは、あなたの奥さんとママ友なの。そして、白川さんはB界で、あなたの奥さんに追い詰められて自殺した」<br>「自殺した？彼女は生きてたじゃないか？」<br>「あれはあなたのいたA界で生きてる白川さんよ。白川さんはB界で死んでから、すぐに反省したの。あの人は離婚して、芽衣ちゃんという娘さんと二人暮らしだったのね。芽衣ちゃんは、あなたの娘の瑞希ちゃんと同級生。白川さんは、B界で死んでしまった後、芽衣ちゃんが一人で生きていかなければならない事に気づいたの。それで、A界の自分を召還した」<br>「ちょっと待ってくれ。全然、頭が追いつかない。A界、B界って、それは所謂パラレルワールドの事だな？」<br>「そう、並び立つ世界」<br>「それって、A、Bだけなのか？」<br>「それは私にも分からない。A、Bだって、便宜上そう呼んでるだけだから」<br>「なるほど、それで白川さんはB界で、僕の妻の瑤子に追い詰められて自殺したと…死んだ後で、自分がいなくなったら、娘の芽衣ちゃんは一人ぼっちになると…それで、死んだ白川さんがどうやってA界で生きている白川さんを召還できるんだ？」<br>「白川さんは、33に選ばれたからよ。死んでしまった人のうち、世界中で死んでしまった人のうち、一年間に33人だけ、ムソウを手に入れられるの。彼女はムソウを手に入れた。ムソウを持ってるとね、あらゆる世界を時空を超えて行き来できるようになる」<br>「時空を超えて？タイムリープができるのか？」<br>「勿論できるわ。それで、彼女はB界で自分が死なずに済むように、A界で生きてる自分を操って、あなたの奥さんを殺しに行ったの」<br>「何故、瑤子を殺すと、彼女は助かるんだ？仇討みたいな理論か？それでもつじつまが合わないんだが…」<br>「バカね、そんなんじゃないわ。奥さんを殺せば、あなたがここへやってくる。白川さんはあなたをここに連れ出したくて、奥さんを殺したの」<br>「僕を？何故？僕は白川さん自体も全く知らないのに？」<br>「あなたはこれからムソウを手に入れる。そして、B界に舞い降りて、白川さんが死ぬ前に事態を食い止めるの」<br>「そんな事、出来るのか？大体、B界にはもう一人の僕が生きてるんじゃないのか？」<br>「それは大丈夫。A界のあなたはもう死んでるから、B界の肉体はここへ連れてきて、あなたがB界で活動してる間、ずっとフリーズしておけるわ」<br>「A界の僕は、もう死んでるだと？」<br>「それはそうでしょう？あなた、あんなに高いところから飛び降りたのよ。無事な訳がない」<br><br><strong>A界の僕は、もう死んでいる？</strong><br><br>じゃあ、今、ここで話してる僕は一体誰なんだ？<br>全くついていけない<br><br>「ま、まあ、そうだな。それで、僕はどうすればいいんだ？」<br>「B界に行って、白川さんが死ぬ前にその原因を突き止めて、自殺を回避すればいいの」<br>「そうすれば、僕も瑤子もA界で、また生きられるのか？」<br>「そう。全ては<strong>「なかった事になる」</strong>」<br>「なかった事？本当だな？」<br>「本当よ。信じて」<br>「信じるも何も、やるしかねえよな。瑤子はどうしてるんだ？」<br>「B界の瑤子さんをそのまま活動させたいから、A界で亡くなった瑤子さんはここでフリーズしてある」<br>「なるほど。それで、この後、どうすればいい？」<br>「今のあなたはイシキだけなの。この後、あなたは肉体を取り戻す。そして、気がついたらもう、B界に侵入してるわ」<br>「何だか、よく分からんが、とにかくそうしてくれ」<br>「最後に一つだけ、大事な事を伝えるわ。この33の動きは、一つの命題につき、7日間=168時間だけ、活動する事が許されているの。だから、あなたは、168時間以内に白川さんを救わないといけない」<br>「何だと？それで、もし168時間以内に完了できなかった場合はどうなる？」<br>「その時は、A界におけるあなたと瑤子さん、B界における白川さん、全員の死は確定する」<br>「きついな。でも、愚痴ってる場合じゃなさそうだ。早速、進めよう」<br>「分かったわ。じゃあ、目を閉じて」<br><br>私は目を閉じた。そしてまた、意識を失った。</p><figure name="65b5ae09-a334-4d74-b97c-70e41c863919" id="65b5ae09-a334-4d74-b97c-70e41c863919" data-src="https://note.com/vast_mimosa147/n/n5af081329778" data-identifier="n5af081329778" embedded-service="note" embedded-content-key="emb8e60dc48b022"></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n82023d40cb00'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 25 Jan 2026 14:39:43 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/n82023d40cb00</link>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ⑥</title>
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      <description><![CDATA[<p name="efc565cc-943a-4a35-98f3-de81a1c89080" id="efc565cc-943a-4a35-98f3-de81a1c89080">■<br>飛び込んだ先は、乳白色のスライムの中だった。<br>しかし、べとつかず、身体にまとわりつく事はないようだ。<br>右手を上げて、顔を触ってみた。ぬめっていない。<br><br>息はできる。<br><br>前を見通そうとしてみたが、乳白色は濃くて何も見えない。まるでホワイトアウトの吹雪の中のようだ。<br>目を凝らしてみると、うっすら先に飛び込んでいった女の背中が見えたような気がした。<br><br>私は彼女を追って前に進んだ。<br><br>周りのスライムの弾力が強く、すごく動きにくかったが、わしわしと掻き分けて、ちょっとずつ前に進んだ。そうしてるうちに、周りの白い色がだんだん透明に近づいていってる事に気がついた。<br>さらに進むと、完全な透明になり、前に進んでいた女は、白いドームのような空間で立ち止まっていた。<br><br>私はさらに進んだ。<br><br>プイ…<br><br>私は不意にスライムから飛び出た。<br><br>そして、女の前に倒れ込んだ。<br><br>ふにゃふにゃとした、まるで白いマシュマロを敷き詰めたような感触の床に横たわっている私に、彼女は「上手くいったわ」と、言った。<br>その言葉が、私の胸に火をつけた。<br><br>「上手くいっただと？お前、何でうちのかみさんを殺した？大体、お前は何者なんだ？」<br>そう言いながら、私は足元が不安定ながら、何とか立ち上がり、女の襟元を掴みながら、怒鳴った。<br><br>「お待ちなさい！」<br><br>と、誰かが私に向かって言った。<br>女性の声だが、目の前の女ではない。<br><br>ドーム状の天井の白の光量が上がった。<br><br>ハレーションを起こすぐらいに眩しい。<br><br>すぐに光量は落ちた。<br><br>そして、天井に美しい女性が映し出されていた。<br><br>「鵜塚喜一郎さん、待って、待つのよ。今、起きてる事は私から説明するから。まず、彼女を放して。彼女は仕方がなかったのよ」<br>「仕方がない？どういう事だ？」<br>「あなたをここに連れてくるためには、こうするしかなかったの」<br>「何が何だがサッパリ分からん。第一、ここはどこなんだ？」<br>「ヒズミよ」<br>「歪み？何の歪みなんだ？」<br>「時空の歪み。並び立つ世界の境界線」<br>「パラレルワールドか？」<br>「そう」</p><p name="51a483a1-9990-4500-81ae-7f3e67b84382" id="51a483a1-9990-4500-81ae-7f3e67b84382"><strong>パラレルワールド！</strong><br><br>マジで言ってる？<br>本当にあるって言うのか？<br>俄かには信じられない…<br>そりゃそうさ。<br>無理だ。<br><br>だが、この空間は異常だし、信じられない事に、私は今、何だか分からないヤツと、変に噛み合う会話をしている。<br><br><strong>全く、どうなっている？</strong><br><br>「それで、あんたは何者なんだ？」<br>「バンニンよ」<br>「番人？」<br>「そう、バンニン。交通整理役でもあるし、裁定を下す裁判官でもある」<br>「それで、番人のあんたが現状を説明してくれるんだな？」<br>「詳しくね」<br>「聞こうか」<br>「いいわ。話してあげる。白川さん、あなたはあっちに言ってて。私が全部この人に話すから」<br>「分かりました」<br>女は、私から少し離れた。すると、いきなり姿が見えなくなった。<br><br><strong>白川？</strong><br><br>聞いた事ある名前…<br><br>思い出せない…<br><br>「話す前に、あなたはそこに仰向けに寝転んで下さる？」<br>「どうして？」<br>「そうすると、私を見上げなくてよくなるから首が痛くならないじゃない」<br>「なるほど」<br>私は上手く膝まづき、横になった。<br><br>罠だった。<br><br>横になった途端、私は気が遠くなった。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n2f346d5617a0'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 24 Jan 2026 19:47:33 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/n2f346d5617a0</link>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】SIit ⑤</title>
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      <description><![CDATA[<p name="ba17e55c-3155-4050-8c99-3f8c35984a54" id="ba17e55c-3155-4050-8c99-3f8c35984a54">■<br>広い新宿駅の構内を走り、何とか10時台の特急に間に合った。<br><br><br>私は自分の席につき、途中で買ったペットボトルのお茶を一口飲んだ。<br><br>ここから30分で、私が住む町田に着く。<br><br>私の実家は本厚木で、家内の実家は青葉台。<br>将来的に、両方の介護などが必要な事になった場合の事を考え、尚且つ私が勤めている東銀座と、家内が勤めていた赤坂への通勤のしやすさを考え併せた結果、私たちは町田にマンションを買う事にした。<br>そして、それは娘の瑞希の通学の利便性も考えていた。<br><br>私たちは瑞希がまだ幼稚園に入る前に、今のマンションを買ったのだが、家内は私には内緒で、瑞希の通う学校までその時点で既に決めていたのだ。<br><br><br><br><strong>全く、瑤子には敵わない。</strong><br><br><br><br>結婚して19年。娘の瑞希は今年17歳にある。<br><br>あのマンションを買ったのは、もう15年前になるのか…<br><br><br><strong>早いなあ…</strong><br><br><br>マンションは、高層マンションでうちは15階にある。<br><br>17階建ての15階なので、分譲価格は1億近くした。<br>ローンを組む時、正直私は「払い切れるのか？」と、素直に思ったのだが、当時は瑤子もバリバリ働いていて、うちはダブルインカムだったし、「何とかなるわよ」という彼女の言葉に背中を押されて、書類にサインをした覚えがある。<br><br><br><strong>まあ、何とかなってるな…</strong><br><br><br><br><br>斎藤君が作ったCMの受賞パーティを一次会で失礼し、私は今帰宅の途についている。<br><br>自分の席に座り、走り出す窓の外を見ながら、私は「疲れた」と、呟いた。<br>そして、お茶をもう一口。<br><br><br><br><strong>マジで疲れた。</strong><br><br><br><br>今日は、朝からおかしかった。<br>いつもなら、一人で朝飯を食い、誰にも「行ってきます」なんて言う事なく、玄関のドアに自分で鍵をかけ、一人で出かける。<br>だが、今朝は珍しく瑤子と話した。<br>それも一言だけではなく、まともな会話をした。<br><br>それで調子が狂ったんじゃないだろうか？<br><br><strong>考え過ぎか…</strong><br><br><br>それに、今日は宮西と久し振りに飯を食ったもんな…<br><br>宮西は相変わらずクールだし、手厳しい事をあっさりと言う。<br>「善処」の指摘は、正直、堪えた。<br><br><br><strong>それにしても、別会社ねえ…</strong><br><br><br>あれが悪いんだ。<br><br><br><strong>もう分かったよ、全部</strong><br><br><br>会社は、僕がこれをやり遂げるために、いきなり役員に異例の出世させたんだ。<br><br>まあ、おかしいもんな。僕は一年しか局長をやらずに、執行役員もすっ飛ばして取締役になった。これはうちの慣習的に、あり得ない人事だ。<br>それに僕はまだ45歳で、うちの役員就任の最年少記録を作ってしまった。<br>こんなのは、親会社やグループ各社でもそうそうあるものではない。<br><br>僕にそれに見合う実力や力量があるなら別だが、僕は「ギョギョっと、ギョーザ」をヒットさせて、うちの売上に大いに貢献しただけだ。<br><br>ただ、それだけ。<br><br>それしか、高く評価してもらえるポイントはない。<br><br><br><strong>「ギョギョっと、ギョーザ」</strong><br><br><br>斎藤君は、今回、よくやってくれたよ。<br>僕は国内の賞しか獲ってないのに、ヤツはいきなり、アメリカの賞だからな。<br><br>アイツを制作会社から、僕がリクルートして、うちに中途で入ってもらった甲斐があった。<br><br><br><strong>斎藤君…</strong><br><br><br>今日のパーティで、僕が一次会で失礼する時、秋野常務が僕のところに来て、「斎藤君だけは絶対に次の会社に来てもらうように頼むよ」と、僕に耳打ちした。<br><br><br><strong>もう露骨になってきたな。</strong><br><br><br>やっぱり、別会社は、ある意味リストラなんだ。<br><br>確かに、うちの会社の規模で、CR本部の人員規模は大きすぎる。<br><br>全国で、750人の会社なのに、CR本部には、80名以上の正社員がいる。<br><br>リストラして、スリム化したいんだが、その時に優秀な人材だけは残したい。<br>そして、その時、誰が優秀で、誰を残すべきか…<br>それを佐伯社長に上申するのが、僕の役目…<br><br>多分、そうだ。<br><br>間違いないと思う。</p><p name="6079815d-24f5-40f6-a391-1d13a01bc2d1" id="6079815d-24f5-40f6-a391-1d13a01bc2d1"><br><strong>嫌だな…</strong><br><br><br>宮西が言うように、現場でバリバリやっておけばよかったのか？<br><br>いや、それは無理だ…<br><br>瑤子や、瑞希があんなに喜んだじゃないか…<br><br>そうだな。無理だ。<br><br>ああ、もう町田に着いた。<br><br>降りなきゃ…<br><br><br>私は、慌てて席を立った。<br><br><br>駅を出ると、私は真っ直ぐにマンションまで歩き、エントランスでインターフォンを鳴らした。<br><br>しかし、返答はなかった。<br><br>夜に瑤子が不在なのは珍しい事ではないので、私は自分のキーで、ロビーに入り、エレベーターに乗って、15階で降りた。<br><br>私は細長い廊下を10m程歩き、うちの玄関ドアの前に来た。<br><br><br><strong>違和感…<br></strong><br><br>玄関のドアが薄く開いていた。<br><br><br>泥棒か？<br><br><br><strong>瑤子、大丈夫か？</strong><br><br><br>いきなり、心臓がバクバクした。<br>耳鳴りもする。<br>眩暈も…<br><br>いかん！しっかりせねば！<br><br>警察に電話する？<br><br>いや、それはまだ早い。<br><br>どうすればいい？<br><br>玄関に一本、アイアンがあったな。<br><br>私は、ドアを音がしないように慎重に開けた。<br><br>玄関の灯りは点いていたので、アイアンはすぐに見つけられた。<br><br>私は、持っていたブリーフケースをその場に置き、アイアンを両手で固く握りしめながら、家の中へと進んだ。<br><br>うちは入ってすぐに左へ曲がり、５m程進むと右に曲がる。そして、両サイドにドアが三つずつある。<br><br>左側の三つは、トイレ、洗面所と風呂、そしてウォークインクローゼットだ。<br><br>右側の手前のドアはリビングにつながっている。私は、リビングのドアを薄く開けてみた。<br>中は灯りが点いていないのだが、カーテンが開いており、レースのカーテンが風ではためいているのが見えた。<br><br><br><strong>窓が開いてる？</strong><br><br><br>私は勇気を出して、窓へと近づいた。<br><br><br>あっ！<br><br><br><strong>うわああああああ！<br></strong><br><br>瑤子が誰かに背中を押され、下へ落ちた。<br><br><br><strong>ええ？<br></strong></p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n099762d6e054'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 22 Jan 2026 20:46:27 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/n099762d6e054</link>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ④</title>
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      <description><![CDATA[<p name="3881d6aa-be06-4fd8-830e-a60e6a5a24d9" id="3881d6aa-be06-4fd8-830e-a60e6a5a24d9">■<br>本部会の後、私は立て続けに三本のミーティングをこなし、13時過ぎに自分の部屋に戻ってきた。自室のドアを閉める前に、CR本部のフロアを見渡すと、宮西が席に一人でいるのを見つけた。<br><br>私は部屋には入らないで、真っ直ぐに宮西の側に行き「メシ、食った？」と訊いた。宮西は「まだだ」と答えたので、一緒に出掛ける事にした。<br><br>会社ビルの玄関ロビーで、「どこへ行く？」と、宮西が訊いた。<br>「急ぐ？」<br>「いや…」<br>「じゃあ6丁目だな」<br>「えっ？この時間じゃあ、キスフライはもうねえぞ」<br>「いいさ、お前と二人で昼飯食うんだもん。懐かしいところへ行こうぜ」<br><br><br>宮西理は、私の同期だ。<br><br>彼は今、動画CMのチーフディレクターをやっている。<br>私が現場でディレクターをやってた時、彼はいつも私のライバルだった。<br>彼にも、何度か管理職になる話があったそうだが、彼は断りクリエイティブの現場で働く事を選択している。<br><br>私たちは、30代の頃、昼飯を一緒に食えるタイミングがあれば、ほぼ必ずと言ってもいい程、銀座6丁目の路地裏にある小さなとんかつ屋へ通った。<br><br>最初に、その店を見つけたのは宮西で、12時から先着15食で、キスフライ定食が食べられるという事だった。<br><br>キスは、揚げ物なら天ぷらだろうと思ってたのだが、宮西に唆されて、いっぺんキスフライを食べてみると、私はたちまちキスフライが大好きになった。<br><br>それからは宮西と一緒に、11時45分までに昼飯を食いに会社を出られるタイミングがあれば、必ずキスフライを食べに行った。<br><br>先着15名と言ったが、そもそもその店はとんかつ屋であり、とんかつを目指してくる人も多いので、12時までに店につけば、大体キスフライにありつける。ただ、東銀座から銀座6丁目は、少々遠いので、徒歩の移動時間として15分は見ないといけない。だから、11時45分なのだ。<br><br>私が管理職になってからは、宮西と昼飯を食うチャンスは激減し、私はもう3年はキスフライは食べていない。<br>今日だって、13時過ぎの今からキスフライにありつける訳はない事は分かっている。<br>でも、宮西と一緒に昼飯を食うのであれば、あの店に行きたい。<br><br><br>私たちが店に着くと、時刻は13時半を少し過ぎていた。<br>この店は、昼だけの営業で、しかも14時閉店のため、13時45分にはオーダーストップになってしまうから、ギリギリセーフだった。<br><br>古ぼけた引き戸を開けると、案の定、他に客はおらず、店主が一人カウンターの中で角に吊ってあるTVを見ていた。<br><br>「いらっしゃい。あれ、宮西さん、久し振りじゃねえっすか？そっちは、ひょっとして、鵜塚さん？これはこれは、お懐かしい」<br><br>店主は気さくな爺さんで、私たちの事を覚えてくれてたみたいだ。<br><br>「久し振りかなあ…そうそう、この前来たのは年末だったなあ。親父さん、あけましておめでとうございます」<br><br>そう言いながら、宮西はカウンター席に座ったので、私はその横に座った。<br><br>「僕はもう三年以上来てないんですよねえ。ホント、お久し振りです。今日はもうキスフライはないですよね？」<br>「それが一人前だけ、残ってるんだよな」<br><br>「じゃんけんだな」<br><br>私と宮西は、こんな時は恨みっこなしの一回勝負のじゃんけんで決めていた。<br><br>「いやいやいや、そこは取締役が…」<br>「バカ野郎。こんなんに役職は関係ねえだろう。行くぞ！」<br><br>私たちはじゃんけんした。<br><br>私は負けた。<br><br>「じゃあ、宮西さんはキスだね。で、鵜塚取締役はどうする？」<br><br>と、カウンターの中から、親父さんがお茶とおしぼりを手渡しながら言った。私と宮西はそれを順番に受け取った。<br><br>「親父さんまで止してくれよ」<br>「いや、さっき話してるのを聞いてさあ、腹落ちしたんだ。何かさあ、スーツなんか着ちゃってるから、調子狂っちゃったんだけど、突っ込まずにいたんだ。鵜塚さん、マジで取締役なの？」<br>「一応ね。まあ、いいじゃない。僕はアジフライをもらいたいんだけど？」<br>「あいよ。キスとアジね。すぐに揚げてくるから、待っててくれ」<br><br><br>親父さんは、カウンターの奥の厨房に引っ込んだ。<br><br><br>「なあ鵜塚、いっぺん訊こうと思ってたんだが…」<br>「何だ？」<br>「お前、現場のクリエイティブ作業に未練はないのか？」<br>「いや、まるでないとは言えんが、何でだ？」<br>「善処だよ、善処」<br>「ああ、今朝の本部会の事か…」<br>「そうだ。CMディレクターでバリバリだった頃、お前はあんな言葉使わなかったぞ。白か黒か、みたいに何でもバッサリいかないと気が済まないってな感じで」<br>「若気の至りだよ。俺も良いように大人になったんだ」<br>「嘘つくなよ。本当は役員のお歴々に上からデッカイ漬物石みてえな石で頭押さえつけられてるんだろう？」<br>「まあな、仕方ないよ。俺は役員の中で一番若いし、一期目だしな。役割として割り切ってるよ」<br>「そんなん止めちまって、「ギョギョっと」みてえなCMを自分で作って、ヒットさせたらどうだ？」<br>「いやあ、今更無理さ。「ギョギョっと、ギョーザ」は、斎藤君に渡してしまったし、第一、娘との約束も破れないしな」<br><br><br><br>「ギョギョっと」とは、「ギョギョっと、ギョーザ」という、私が作った餃子の冷凍食品の商品名であり、CMのキャッチコピーである。<br><br><br>このCMは、宇都宮にあるKU食品という小さな食品メーカーが、初めて全国展開した商品だ。<br>KU食品は、主に業務用や外食用の商品を作る会社だったのだが、コロナ禍に遭い、かなりのダメージを受け、会社倒産待ったなしというところまで追い込まれた。<br>社長の上田耕平は、傾いている会社の業績を立て直すべく、宇都宮と言えば「餃子」とイメージであるため、冷凍餃子の一般販売に打って出た。<br><br>その餃子の販売促進計画から広告計画までをうちの会社が手掛けた。<br><br>KU食品は、普段商品広告を頻繁に打つ会社ではないのだが、うちの親会社である日葉新聞社が年一回やっている「北関東の有力企業」という広告企画に出稿してもらっている関係で、うちの会社とはもう10年以上の付き合いがあった。そのお陰でKU食品が社運を賭けて挑むその冷凍餃子一般販売プロジェクトの販売促進計画をうちが立案・実施する事になったのだ。そして、そのクリエイティブを私が担当した。私は小枠広告を出稿していただいていた時からずっと、KU食品の広告原稿を制作してきたからだ。<br><br>私は、「ギョギョっと、ギョーザ」とネーミングし、それに合わせたCMプランやポスターやPOP等店頭でのセールスプロモーションプランを提案した。<br><br>KU食品の社長上田耕平は、私のプランを気に入り、即採用された。<br><br>「ギョギョっと、ギョーザ」の一発目のCMは、放送を始めてすぐにバズった。<br><br>それがトリガーになり、商品自体も初年度から爆発的に売り上げを伸ばす事が出来た。<br>上田社長は喜び、それからずっと「ギョギョっと、ギョーザ」のクリエイティブは私を指名してきた。それ以来、私が局長になる三年前まで、「ギョギョっと、ギョーザ」のクリエイティブは、私がずっと担当し続けた。<br><br>私は自分が担当していた五年間で、「ギョギョっと、ギョーザ」のCMを沢山作り、数ある国内の広告賞を何度か受賞した。CMの効果もあり、商品の売上も右肩上がりで伸び続けた。<br><br>お陰で、私は着実に出世し続け、部長を二年、局長を一年やった後、去年取締役CR本部長になった。<br><br><br><br>間もなく、私たちの定食がトレイに載って、供された。</p><p name="ae10fde9-cd95-475f-aef9-88b4eda0c797" id="ae10fde9-cd95-475f-aef9-88b4eda0c797"><br>会話が途切れた。</p><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/nf94787017d08'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 20 Jan 2026 22:07:56 +0900</pubDate>
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      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ③</title>
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      <description><![CDATA[<p name="7e92c16a-b50d-4aa6-b883-b5103aba15b8" id="7e92c16a-b50d-4aa6-b883-b5103aba15b8">■<br>本部会とは、私が統括する「CR本部に所属する全社員が参加する会議」の事で、全部門会議がある第二、第四月曜日の全部門会議が終わる9時半から、30分程度かけて行う。<br><br>議題は、全部門会議で出た話題の共有と、取締役会での話の伝達が主だ。<br>大体の社内連絡はイントラで行うのだが、この本部会だけは社員の健康管理の面から、リアルミーティングで行っている。<br><br>CR本部には、CR局と事業開発局の二つが属しており、本来それはそれぞれに局長がいるものなのであるが、事業開発局の局長である鮫島氏が、現在胃がんの長期療養中のため、CR局長である深見さんが、暫定的に両方の局長を兼任している。<br><br>CR局には、一部から三部まで三つの部があり、それぞれ牧田、鈴木、岡野という部長がいる。<br>部員は、正社員がそれぞれ10名程度、派遣や業務委託が2～3名程度いる。<br><br>事業開発局は、4部あり、部長は小田、中西、清水、大里の4人で、一部当たり5～7名の体制である。こちらも派遣や業務委託社員が一部当たり3名程度いる。<br><br>CR本部会は、私が取締役になってからは、正社員であるか、否かは問わず、所属する全社員に参加してもらう事にしている。<br><br>そのため、CR本部会を開催するには、うちの本社ビルのうちで一番大きな会議室で、しかもスクール形式の座席配置にしなくてはならない。しかも、それでは最大収容人数は70名程度となる。<br><br>普段は、基本的に業務優先にしているので、毎回全員が参加する訳ではないし、在宅勤務者や出張先でオンライン参加するものが大体20～30％は出るので、全部で84人いる所属社員のうち、60名弱が参加すればいい方だ。だから、大体いつも席は足りる。<br><br>僕は三階にある自分の個室にいったん戻り、メールをチェックし、自販機でお茶を買ってから、六階の会議室フロアに戻り、全部門会議が行われる中会議室の隣りにある大会議室に入った。<br><br><br>室内に入ると、いつもにはない熱気をいきなり感じた。<br><br><br>年初で、まだ出張を伴うような実務が進行していない事もある。<br>在宅勤務者が少ないのもたまたまかもしれない。<br><br>だが、今日に限っては、いつもの大会議室で立っている者が出るほどの満員状態になっていた。<br><br>それを見た私は、すぐに総務局長に内線し、了承を取ったうえで、立っている社員に隣の中会議室から椅子を持ってきて腰掛けるようにと伝えた。<br><br>本部会の進行は、深見局長が行う。<br><br>深見さんは、僕より7歳上の53歳で、僕の後にCR局長になった方で、いつだって、冷静沈着な信頼がおける人だ。<br><br>彼も、この出席者の多さに面食らいながらも、そんな事はおくびにも出さず会議を始め、全部門会議で出た特に営業セクションの売上推移や、業務の進捗状況を淡々と話した。<br><br>本部長の私は、取締役会の話だけを話すのが通例なのだが、取締役会で話す内容といれば、例の「CR本部別会社化」しかなく、それはまだ私にも詳しい情報は何も出てないので、ただ、「2月になったら、会社から詳しい説明会がある予定」とだけ伝えた。<br><br>その後、総務的な情報や人事部的な情報、健康管理等の話をして、会議は終了するはずだった。<br><br>しかし、今日はそれでは終わらなかった。<br><br><br>CR三部の業務委託社員である大坪さんが「鵜塚本部長、質問があります」と、言った。<br>その瞬間、こちら側に向いている現場社員の目線が一気に私に集まったのを感じた。<br><br>CR三部は、うちの会社の親会社である日葉新聞社の売上の主体である新聞広告の原稿や雑誌広告原稿等、紙媒体の原稿を制作するのが主体の部で、大坪さんは5年ほど前に、部長のままで定年退職した後で、彼の原稿制作の腕前を買われ、業務委託社員として残っている人だ。<br><br>紙媒体がオワコンだと言われて久しい今では、広告原稿制作の機会の以前とは比べ、どんどん少なくなってきており、三部の売上の主体は折込みチラシ風な、インターネット広告の原稿制作だったりしている。<br>それは、王道の格調高い全国紙新聞の不動産広告や自動車の広告原稿を数多く手がけてきた大坪さんには、受け入れにくいものだし、そもそも折込み広告の原稿なんて作った事がない上に、そのデータをネットで入稿する事自体が慣れてないので、今では大坪さんの手掛ける実務は減っており、大坪さんは毎日デスクに座って、不平不満の愚痴を呟いている、私にとっては少々扱いにくい人だ。<br><br>「大坪さん、何でしょうか？長くなりますか？」<br>「本部長もお忙しいでしょうから、手短に質問するように致します」<br>「そうですか…それなら、どうぞ」<br><br>私が「どうぞ」と言った瞬間、私に向けられている目線の圧が高まったと思った。<br><br>「CR本部の別会社化の事ですが、それに伴い、私のような業務委託社員や派遣社員は一旦契約を打ち切られるとの噂が出ておりますが、それは本当でしょうか？」<br>「いや、少なくとも取締役会でそのような具体的な話は現状一切出ておりません」<br>「電広社が大株主になるという話は？」<br>「それも全く聞いておりません」<br>「別会社にして、電広社が大株主で、いずれ電広社の子会社化するとかいう話は？」<br>「一切出ておりません。とにかく、今、私が聞いてる話は前回の本部会で報告した「CR本部を別会社化する事を佐伯社長と経営企画担当の田久保専務が年頭の取締役会で話された」という事だけです」<br>「で、それをどう進めていくかという話については、鵜塚取締役は現状、全く関わってないと？」<br>「その通りです。上の方で大枠の方針が決まれば、実務面の段階では私に降りてくるんだと思いますが…」<br>「分かりました。新聞社プロパーの佐伯社長と田久保専務が、新聞社との間で色々と策を練っている訳ですね？」<br>「それは私には分かりませんが、日葉メディアホールディングスとは話し合ってるでしょうね」<br>「NMHですか…まあ、NMHでも新聞社でも実態は変わりないですけどね。じゃあ、最後にもう一つだけ…鵜塚取締役が何かその件について新しい情報を入手したら、すぐに現場に降ろして欲しいのですが、如何でしょうか？」<br>「全部出来るかは、分かりませんが、可能な限り、ご期待に添えるように善処します」<br>「善処ねえ…まあ、しょうがないか…しかし、鵜塚さん、あんた、CR本部のトップだろう…何も聞かされてないのはマズいんじゃないの？」<br><br>大坪さんは、無精ひげの顎を右手で撫でながら、嫌味っぽい笑顔を浮かべながら、私に向かって言った。<br><br>「それはそうだと思いますが…何しろ、私にも急な話だったので…年始一発目の会議で、ですからねえ…まだ、どこからどんな弾が飛んでくるのか、さっぱり分からんのですよ」<br><br>私は破れかぶれで、つい本音を出してしまった。<br><br>すると、大坪さんの顔が崩れ、大笑いし始めた。<br>その笑い声は、そこにいる全員の緊張感を一気に解きほぐした。<br><br>「まあ、いいよ。きーちゃんよお。お前さんも大変だねえ。分かった、分かったよ。今日のところはこれで終わりだ」<br><br>そう言って、大坪さんは、会議室を出て行った。<br><br>大坪さんは私より20歳も上で、新卒採用で私が入社した時、彼は制作一部のチーフディレクターだった。<br><br>僕は当時の三部に配属だったので、一緒の業務に関わる事はなかったのだが、大坪さんも下戸で、僕が酒を全く飲めない事を彼が知ると、会社を出るのが一緒になるタイミングがあった時は、二人で銀座のパーラーにパフェを食べに行ったりした仲だった。<br><br>つまり、彼とは元々仲が良いのだ。<br><br>しかし、今は私は取締役であり、向こうは業務委託社員なので、そんな昔からの中をひけらかす訳にはいかないので、そこは、苦しいところだ。<br><br>きーちゃん…<br><br>若い頃、私は彼から下の名前の喜一郎から、きーちゃんと呼ばれていたのだが、私が部長になり、局長になり、そして取締役になっていくうちに、大坪さんは私の事をきーちゃんとは呼ばなくなった。<br><br>きーちゃん…<br><br>そう呼ばれて、私は何故か少しだけホッとしたような気分になった。</p><figure name="2cc6bc58-13be-46b3-b3d1-5597c63c656b" id="2cc6bc58-13be-46b3-b3d1-5597c63c656b" data-src="https://note.com/vast_mimosa147/n/nf94787017d08" data-identifier="nf94787017d08" embedded-service="note" embedded-content-key="embae741802c05d"></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n36fc5bb80129'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 13 Jan 2026 22:05:34 +0900</pubDate>
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      <title>【お礼です】</title>
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      <description><![CDATA[<p name="B302AFAC-DB15-46E1-8F1A-995E8F94C243" id="B302AFAC-DB15-46E1-8F1A-995E8F94C243">今年2回目のコングラボードです。いつもありがとうございます。<br>今は連載ものを始めております。Slitという物語で現在二話目までをアップしております。これもいつものようになんとなく始めてしまってますので、いつ終わるのかは分かりませんが、宜しければ読んでいただければと存じます。<br></p><figure data-align="center" name="DAE94760-13C1-49B2-BF31-622EE35AF334" id="DAE94760-13C1-49B2-BF31-622EE35AF334"><img src="https://assets.st-note.com/production/uploads/images/243338840/picture_pc_553bbcec0d2fb6a325e7909f643f2940.png" width="620" height="1341" id="image-DAE94760-13C1-49B2-BF31-622EE35AF334"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n58939619e599'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 12 Jan 2026 18:45:55 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/vast_mimosa147/n/n58939619e599</link>
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    <item>
      <title>【創作大賞2026応募作・ミステリー小説部門】Slit ②</title>
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      <description><![CDATA[<p name="ef3ea4e4-f83f-45b0-a048-533a66c702ba" id="ef3ea4e4-f83f-45b0-a048-533a66c702ba">■<br>「全部門会議」とは、管理部門を除いた部門の本部長、局長、部長が全員参加する会議で、親会社である日葉新聞社から下りてきた営業担当の秋野常務が主催している定例会で、月二回、第二と第四月曜日の朝8時に召集される。<br><br>議題は、専ら直近の営業状況と見通しに関する事なので、僕らCR本部やメディア本部等は、殆ど蚊帳の外だ。<br><br>しかし、うちの本部の場合は、コンペの獲得の割合が下がっている時等は、突然秋野常務からの質問攻めに遭ったりするので、会議中は決して気は抜けない。<br>秋野常務は、新聞社でも広告担当をやっていた人で、とにかく数字にうるさい。<br>自分が腑に落ちない事があると、理詰めで質問してくるので、いつでもこっちは常に緊張していなければならない。<br><br>実は、今日の会議では、僕の本部としては、突っ込まれても仕方がない案件がいくつかあったのだが、不振の営業本部の追及に長い時間を取られたお陰で、幸いな事にこちらには弾は飛んでこなかった。<br><br>定刻の9時半に会議が終わると、緊張感を解く事なく、6階の会議ルームフロアから階段で8階に上がった。<br><br>8階はうちの会社の常務以上の個室がある役員フロアで、僕は管理部門のトップで、労務担当役員である島田常務の部屋に向かった。部屋に入ると、秘書から島田常務は「社長に呼ばれて今不在だが、僕は部屋に入って待ってるように」と言われたという説明を受けた。そこで、僕は島田常務の部屋で、応接セットのソファに腰掛けて待った。<br><br><br>程なく、ドアが開き、島田常務が入ってきた。<br><br><br>「すまん、鵜塚君、待たせたかね？佐伯社長との話が少々長引いてね」<br><br>そう言いながら、島田常務は、応接セットを越えて、自分のデスクへ向かい、机の上に置いてあった粉薬の袋と、開いているペットボトルのお茶を取ってから、僕の前に座った。<br><br>「ちょっと待ってくれ。薬を飲んでしまうから…佐伯社長に絞られると、ホントに胃が痛くってね。僕は元々胃下垂なんで、胃が痛くなると色々とマズくなっちゃうんでね」<br><br>そんな事を喋っている島田は、見た目から胃下垂だと分かる風体だ。<br>彼はひょろってして背が高いのだが、酷く猫背だ。<br>顔色は土色で、広い額にはいつだって脂汗が浮かんでいるように見える。<br><br>彼は几帳面に薬の封を開け、上を向いて薬を粉を口に入れ、ペットボトルのお茶で流し込んだ。<br><br>ここまでの間で、僕は何故だかずっと前に止めたタバコが吸いたくて堪らなくなった。<br><br>「それで、常務、出来れば早速本題に入っていただきたいんですが…この後、本部会がありますので…」<br>「ああ、CR本部も、全部門会議の後に本部会をやるんだったね。分かった。じゃあ、急ごう。話っていうのは、他でもない。先週の取締役会で社長から話が出たCR本部を切り離して、別会社化しようとしてるって話なんだが…」<br>「やはりその件ですか…うちの本部全員に向けて、近く説明会をやって下さるという話は聞いております」<br>「それは2月に入ってからやるつもりだが、その話が出て、君の部下や現場からはどんな意見が出てるんだろう？参考までに聞かせてもらいたいんだが…」<br>「参考も何も、僕らはまだ、別会社になるという話だけしか聞いてないものですから、まだ、公式にお話できるようなネタは掴んでおりません。ただ、非公式に飲みの場の噂話は、色々と出ているようです」<br>「それを聞きたいんだよ。非公式、大いに結構だ。で、どんな話が出てるんだね？」<br>「現場社員のうちで、組合経験者の人間が、親会社で同じように組合をやってた人から色々と聞いてるようでして…なにやら、今回の別会社化では親会社の日葉メディアホールディングスとうち日葉広告社が均等に株を持って、それにTV日葉、ラジオ日葉からも資本が入ってるのは間違いないんだけど、電広社が資本参加する事が決まっていて、それもうちよりも新聞社よりも電広社の資本が大きくて、一番の大株主になるという話を聞きました」<br>「ええ？どの筋からそんな話が出たんだ？」<br>「いや、それはさっき言いましたように、新聞社の組合をやってた人から聞いた話だそうです」<br>「それをうちのどの社員が喋ってるのかと訊いてるんだが？」<br>「いや、知りません。それはうちの局長の深水さんと昼飯を食ってる時に、僕も訊かれたんですよ。こんな話が出てますが、本部長は知ってますか？って、感じで」<br>「そうか…じゃあ、鵜塚君、悪いが、その件の君の本部内で出てくる噂話を逐一、僕に報告してくれないか。メールでいいので」<br>「分かりましたが、その噂は本当なんですか？」<br>「いや、僕は知らんよ。この別会社化については佐伯社長が直々に、メディアホールディングスの山倉専務とやってるからね。僕らみたいな日葉広告社のプロパー役員には、まだ何も降りてきてないんだ」<br>「分かりました。後、一つだけお聞きしても良いですか？」<br>「何かね？」<br>「今後、僕はこの件でどんな役回りになるんでしょう？」<br>「それも、今の私には分からんね。但し、一つだけ間違いない事としては、別会社化するにあたって、うちのCR本部のエース級社員には、すんなりそっちの籍に異動してもらいたいんだ」<br><br>ああ、そういう事か…<br><br>「なるほど、分かりました。では、宜しければこれで失礼したいんですが…」<br>「ああ、結構だ。じゃあ、情報が入ったらメールを頼むよ」<br>「承知しました」<br><br>僕は島田常務の部屋を出て、エレベーターで3階に向かった。本部会までは少し時間があるので、いったん自分のデスクに戻りたかったからだ。</p><figure name="1ad0a87c-011c-41cb-8562-9821eeab5f9a" id="1ad0a87c-011c-41cb-8562-9821eeab5f9a" data-src="https://note.com/vast_mimosa147/n/n36fc5bb80129" data-identifier="n36fc5bb80129" embedded-service="note" embedded-content-key="emb68477a86e990"></figure><br/><a href='https://note.com/vast_mimosa147/n/n784f94b321ec'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/129754312/profile_a9d0c29d233518172b704ef6000fe558.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>マナリ</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 11 Jan 2026 21:34:55 +0900</pubDate>
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