「本当にそれでいいですか」と聞いてほしい夜
朝は、まだ完全には始まっていなかった。
目が覚めたとき、部屋の空気はひんやりとしていて、窓の外はうっすらと青く、夜と朝の間にとどまっているようだった。
カーテンの隙間から入るわずかな光で、「そろそろだな」と体が先に気づいていた。
私は携帯電話の目覚ましを使用している。
うるさい音で起こされるのが苦手なのでアラーム音はいつもOFFにしていて、代わりにバイブだけを頼りにしている。
「もう少しでアラームが振動するかも」
そう思って携帯電話を開いた。画面の冷たさが指に伝わる。
すると、設定していた時間は既に過ぎていて、スヌーズ機能中で、あと数分後に振動するようになっていた。
「しまった!寝坊した」
体を起こし、急いで着替えを始めた。
寝ぼけたまま腕を通しながら、あれだけ頼りにしていたバイブに気づかなかったことを少し不思議に思った。
「そろそろスヌーズの時間だな」と思いながらズボンに足を入れる。しかし、いつまで待っても、目覚ましは振動しない。
「おかしい」
設定画面を開いてみた。
「アラーム音」はOFFになっている。OKだ。
ところが、「バイブ」もOFFに設定されていた!
「あー、やってしまった」
思わず、小さく息が漏れた。
多分、いや、自分しかいないのだが、昨夜、寝る前に設定画面を開いた時に、指が知らぬ間にOFFに触れたのかもしれない。私はそう言う人だから。
それにしても、だ。
「アラーム音」も「バイブ」もOFFに設定したら、どうやって時間に気づくのか。目覚ましとしての役目を放棄しているように思えて、少し腹が立った。自分が原因なのに、機械のせいにしたくなる朝だった。
似たようなことは、その後も何度か繰り返した。
その度に目覚まし機能に対してひとり、ブツブツ言っていた。
そしてあるとき、ふと気づいた。
例えば、昼休み時間の終わりを目覚ましに設定しているが、時間になったら、画面の上にアラームの画面が出てきて教えてくれる。
それが、この、「アラーム音」も「バイブ」もOFF設定のことかもしれないと気がついた。
私の場合は、バイブが振動しながら教えてもらっているが、仮に振動しなくても画面上で時間が来たことが分かる。
つまり、音もバイブもオフにするという選択は、間違いではないのだ。
でも、それでも思う。
どちらもOFFにした場合、「本当にそれでいいですか?」と聞いてきてほしいのだ。
起きたい時間に起きられなかった朝。
目覚ましに向かってそんなことをつぶやいた。
「本当にそれでいいですか」と聞いてほしい夜
毎日note連続投稿2537日目
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※優谷美和さんの画像をお借りしました。
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