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虎ノ門の街に新たな景色をつくっていく、「お祭り」のような場として/TOKYO NODE OPEN LAB 2024 開催レポート vol.1

2024年10月4日から10月14日までの11日間、「TOKYO NODE」の研究開発チームである「TOKYO NODE LAB」の開設1周年を記念したイベント「TOKYO NODE OPEN LAB 2024」が行われました。「EDGE=線」をテーマに掲げた今回のOPEN LABでは、世界と日本をつなぎ、人と人をつなぐ「NODE=結節点」としてのLABの活動を公開し、訪れた方々との新たなつながりを創出するために、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの各所にてイベントを開催しました。

TOKYO NODE LABでは、テクノロジー、サービス、アート、エンターテインメントといったさまざまな分野の所属企業とクリエイターが共創し、「新しい都市体験」の可能性を模索しながら活動しています。本記事では、OPEN LABに参加したメンバーの声とともに、イベントの様子をお伝えしていきます。


LABに所属するクリエイターの1年間の成果を公開「ANNUAL EXHIBITION」

TOKYO NODE LABの活動拠点である虎ノ門ヒルズ ステーションタワー8階の実験スペースにて開催した「ANNUAL EXHIBITION」では、所属クリエイターたちによる15点のプロトタイプを展示しました。LABの1年間の実験・研究の成果をお披露目する初の機会に、映像やゲーム、アプリケーション、メディアアートなど、多様な作品が会場に並びました。

「ANNUAL EXHIBITION」の会場の様子。TOKYO NODE LABのメンバーたちが普段活動している実験スペースを、ポールシステムを活用してデスクやパーテションの位置を組み換えることで展示空間として開放しました。
「inVox」田中 陽(日本テレビ)
インタラクティブな立体視筐体のプロトタイプ。体験者の顔の位置と筐体自身の位置・回転のデータを計算し、描画することで、インタラクティブな立体視体験を実現しています。
「Oops! Excuse me!」林 芳樹 
ヘッドマウントディスプレイを使用したXRコンテンツのプロトタイプ。明確な終わりがない新感覚のオーディオビジュアル作品として、体験者は空間の変化に合わせて作曲を楽しむことができます。
「EEX新領域」株式会社IMAGICA EEX 
XR演出によってリアルとバーチャルを融合させた音楽ライブ映像と、高精細な3Dスキャンデータを用いたデジタルツイン活用、気象情報の3次元リアルタイムレンダリングによる気象ビジュアライゼーションなど、複数のプロトタイプを映像で展示しました。

Member's Voice:茂谷 一輝(森ビル株式会社)

茂谷 一輝 
2020年森ビル入社。大学在籍時は信号処理を研究しながら、映像制作、MV監督を経験。大学院では屋内測位と行動認識を研究しながら、インスタレーション制作や都市デザインの企画立案を経験。入社後は新領域事業部にて「TOKYO NODE」の企画と開業に従事後、研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」のプロデューサーを務め、新たな都市体験を創出する様々なプロジェクトを推進。都市の偶発性と再現不可能性を最大化することがミッション。

虎ノ門という街にTOKYO NODE LABができてから1年ほどが経ち、僕らの活動に対してさまざまな方々から高い関心を寄せていただけるようになりました。一方で、実際にどんな活動をしているのか、なかなか外からは見えにくい状況に課題意識も感じており、今回のオープンラボの企画はそういった背景から生まれたものでした。
 
そこで、僕らの活動を伝えていく方法として「お祭り」をひらくのがいいのではないかと考えたんです。コミュニケーションの機会としてのお祭りをこの場所で開催することで、訪れた方々に対してTOKYO  NODE  LABの活動について直接お伝えすることができるのではないかと。
 
もともと「NODE」とは結節点を意味する言葉であり、今回のオープンラボのテーマに掲げた「EDGE」は、グラフ理論においてNODEとNODEをつなぐ線のことを指しています。TOKYO NODE LABという場所ができたことで、所属するクリエイター同士の点と点がつながりはじめていますが、今回のお祭りをきっかけに、この場所に訪れるさまざまな方々とのつながりが生まれ、また次のフェーズに進んでいけるのではないかと考えています。

今回、茂谷が展示した「都市と音楽と身体のスケールマッチのためのテスト #001 」。虎ノ門ヒルズと新橋をむすぶ「新虎通り」を通常の速度で歩きながら体験できる「Walking Augmented Music Video」を制作し、都市と音楽と身体スケールの相関関係や偶然の一致をシミュレーションしたプロトタイプ。
同じく8階の実験スペースで実施した「ANNUAL TALK」では、TOKYO NODE LAB が1年間を通して推進してきたさまざまなプロジェクトについて、担当するLABのメンバーがそれぞれの生の声をお届けしました。

TOKYO NODE LABがコンセプトに掲げている「新しい都市体験の創造」は、僕の師匠である杉山央さんが、「ホワイトキューブとしての美術館の次に来るのは、街全体を使った美術館なのではないか」とおっしゃっていたことが発想の起点になっています。TOKYO NODE LABが研究しているXRやデジタルツインなどの技術は、日常生活を過ごす街の上に別のレイヤーを重ねることができます。今回のオープンラボでは、ラボに所属するクリエイターたちの技術をいかに虎ノ門の街へ還元することができるのか、この機会を使って実践してみたいという気持ちもあったため、虎ノ門ヒルズという公共空間を使ったお祭りを開くことで、新しい都市体験としてのコンテンツを生み出していくことに挑戦できたのではないかと感じています。
 
虎ノ門に拠点をもつTOKYO NODE LABとしては、この場所に訪れた方々にクリエイティブな表現やイノベーティブな技術に触れていただく機会をつくることが大きな役割のひとつだと思っています。オープンラボの期間を振り返ると、虎ノ門ヒルズのオフィスワーカーや、霞ヶ関に勤めているお役所の方々など、たくさんのビジネスマンの方々に展示を見ていただくことができました。休日には子ども連れのご家族が楽しんでいる様子がたくさん見られたのもよかったですね。僕らのプロトタイピングやコラボレーションのスタイルが、多くの方々にとっての刺激になれたらうれしいですし、この場所をきっかけに生まれた小さな種を街全体に広げ、イノベーションが創発される環境を生み出していきたいと思っています。

「TORANOMON CITY LIGHTS / 虎ノ門の高層ビル群を立体音響でソニフィケーションするプロトタイプ」坂口 倫崇(株式会社博展) 
「私たちが普段眺めている夜景の光ひとつひとつに音があったら、どのようなオーケストレーションになるのか」をテーマに、虎ノ門エリアの密集したビル群の高さや立地をリサーチし、立体音響技術を駆使してソニフィケーション(可聴化)したプロトタイプ。
「Veiled Nodes」 矢野 吉昭・高橋 匠・神野 祐介・中川 丘・石曽根 奏子・熊崎 耕平(株式会社博展) 
都市を水に見立て、隠された点の繋がりが有機的なノードを形成し、求心力のある場が生まれていく様子を表現する試み。体験者は実際に透明な球体を水中に投下し、現象の変化を楽しむことができる。
「TORANOMON SABOTAGE」真崎 大輔・木島 大介・浅井 玲央・翁長 宏多・木下 侑樹・原 良輔・西條 花梨・小野寺 唯・勝俣 瞭勉・真崎 絢香(株式会社博展) 
高層ビルが建ち並び、ビジネスマンが多く流入する虎ノ門エリアで実際に観察した「サボり方」をコーヒー缶にラベリングした自動販売機のプロトタイプ。期間中はLABのクリエイターから募ったサボり方をラベリングした缶も展示しました。
「Chaka超プロトタイプ」中務 貴之(日本アイ・ビー・エム株式会社) 栗原 豪平(森ビル株式会社) 
ロボットでもなくモノでもない、おもちゃや家具が生きているかのように振る舞う小さなコンピューターのプロトタイプ。天井のカメラの画像解析によって、近寄ると反応するインタラクティブな仕組みが実装されている。
「MYSPRITE Collaboration Map」中務 貴之・出来谷 愛子・沼田 晴賀・大槻 明美(日本アイ・ビー・エム株式会社)、川原 拓人・糟谷 望・奥谷 泰夫(キヤノン株式会社)、石原 淳平・石田 晃人(株式会社ディレクションズ)、栗原 豪平(森ビル株式会社) 
スマートフォンを名刺にかざすと、TOKYO NODE LAB内のボリュメトリックスタジオで撮影した3Dデータが動き出す、新しい名刺交換文化を提案するプロトタイプです。

これはすでにラボのメンバーとも話しているのですが、来年以降はこのお祭りを虎ノ門と新橋を結ぶ「新虎通り」など建物の外にまで展開できないかと考えています。あと、これは準備の段階から薄々感じていたことですが、テクノロジーやアート、エンターテイメントを融合したお祭りごとが、皆さん好きなんだなと(笑)。TOKYO  NODE  LABに所属する方々は、あくまで本業の一部のリソースを割いてこの場所で活動しているので、高いモチベーションで取り組むことができているのは、みんなが楽しめているからこそだと思います。

「素材と物の動きを組み合わせた触感の提示」吉原 悠人・三浦 光梨・古川 真紀(株式会社博展)
さまざまな素材や物の動きを手の甲で感じることで、新しい触感を体験するプロトタイプ。
「Dreamcat」岩渕 智幸(Bascule)
空間再現ディスプレイとTOKYO NODE LABのボリュメトリックビデオスタジオで撮影した3Dデータを使用して制作した「裸眼立体視ボリュメトリックカジュアルゲーム」。
「持ってウロウロすると光が集まってくるタイプのミラーボール」桟 よしお (Bascule) 
コンセプトは「ミラーボールは吊るすものから、抱えるものへ」。ミラーボールを手にすれば、ムービングライトの光が集まり、空間へと反射し拡散していくプロトタイプ。
イス型メディアデバイス「PIXTERIOR」 久野 崇文・田中 陽(日本テレビ) 沖山 良太(TASKO) 館 真央(サンミューロン) 
テレビ局のビデオスイッチャーなどで使われている照光ボタンを座面に配置し、メディア装置としてのイスを提案。
「CUTCAKES」森口 凱・藤倉 皓平(KDDI) 四角い土台から飛び出すAR技術を使った、実際にコレクションできるデジタルコンテンツ。4つのCUTCAKESを組み合わせると、別のオブジェクトが出現する。
「Incremental Pattern」小花 芳輝(森ビル株式会社) 
「一筆描きのマインドフルネス」をコンセプトに、一筆描きで平面を埋め尽くしたグラフィック作品。来場者が一筆書きのリレーをつないでいく体験コーナーも設置しました。

立ち上げたばかりの頃は、ラボの実績をつくるために森ビルが少し活動をリードする場面もありましたが、現在は各社が大きなゴールを目指しながらも、あまりかっちりとした目標を定め過ぎず、様々なところから何かが生まれては実験に移されていくような、不思議な空気感が保たれています。1年に1度のこのお祭りの機会を通して、ラボに所属するクリエイターたちの関係性が深まり、また新しい表現が生まれることで、TOKYO NODE LABの活動がさらに拡大するきっかけにしていければと思っています。

今回のお祭りは、ラボに所属しているメンバーにとって、一年の成果を発表する機会としてだけではなく、自分たちの活動と社会とのつながりを意識するきっかけにもなったんじゃないかと思います。虎ノ門の街を起点にクリエイターたちの活躍が広がり、様々な表現やコンテンツが来街者のクリエイティビティを刺激し、あるときそれが文化の香りを伴うようになっていく。今後もこの取り組みを継続していくことで、そんな景色を見ることができるような気がしています。

虎ノ門ヒルズ ステーションタワー46階の「TOKYO NODE HALL」では、参画メンバーでもある日本テレビが制作する番組「SENSORS」の公開収録イベントを実施。「テクノロジーと都市の融合」をテーマに、2つのセッションを通じてトップランナーたちが語り合いました。
トークセッション終了後には、実験スペースに隣接しているTOKYO NODE CAFEにて「ANNUAL PARTY」を実施。LABのクリエイターと訪れた方々との交流の機会となりました。

(vol.2へ続く)

▼TOKYO NODE (東京ノード) とは
2023年10月に開業した「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の最上部に位置する新たな情報発信拠点。イベントホール、ギャラリー、レストラン、ルーフトップガーデンなどが集積する、約10,000 ㎡の複合発信施設です。 施設内には、ミシュランで星を獲得したシェフによるレストランや、イノべーティブなプレイヤーが集まる共同研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」の活動拠点も併設。NODE=結節点という名のとおり、テクノロジー、アート、エンターテインメントなどあらゆる領域を超えて、最先端の体験コンテンツ、サービス、ビジネスを生み出し、世界に発信していく舞台となります。

▼TOKYO NODE LABとは
TOKYO NODEの8階に位置する、新たな都市体験を創出する企業やクリエイターとの共創拠点「TOKYO NODE LAB」。XRライブ配信が可能なボリュメトリックビデオスタジオ「VOLUMETRIC VIDEO STUDIO」、TOKYO NODEのエントランスに位置し、イベントやミートアップなどの場としても活用されるカフェ&バー「TOKYO NODE CAFE」が併設されています。業種や領域を超えた一流の才能や、イノベーティブな企業が集結しており、コラボレーションによって新たな都市体験やコンテンツを、虎ノ門ヒルズエリアを舞台に世界に向けて創出・発信していきます。

編集・執筆:堀合 俊博
写真:川島 彩水