XR技術を活用した都市文化を育んでいく、新しいまちづくりへの期待/TOKYO NODE OPEN LAB 2024開催レポート vol.2
2024年10月4日から10月14日までの11日間、「TOKYO NODE」の研究開発チームである「TOKYO NODE LAB」の開設1周年を記念したイベント「TOKYO NODE OPEN LAB 2024」が行われました。「EDGE=線」をテーマに掲げた今回のOPEN LABでは、世界と日本をつなぎ、人と人をつなぐ「NODE=結節点」としてのLABの活動を公開し、訪れた方々との新たなつながりを創出するために、虎ノ門ヒルズ ステーションタワーの各所にてイベントを開催しました。
vol.1に続き、本記事でもOPEN LABに参加したメンバーの声とともに、イベントの様子をお伝えしていきます。
XRハッカソンから生まれたコミュニティが新しい都市体験を提案「TOKYO NODE "XR PARADE" created with TNXR」

虎ノ門ヒルズ ステーションタワー地下2階の駅前広場「ステーションアトリウム」では、都市XR表現実装コミュニティ「TNXR」による初の展示を実施。TNXRは、2024年2月に開催されたハッカソンイベント「TOKYO NODE “XR HACKATHON” powered by PLATEAU」をきっかけに誕生したコミュニティであり、現在もTOKYO NODE LABのメンバーと連携しながら、XR技術を都市実装を目指すさまざまなコンテンツ制作に取り組んでいます。
ステーションアトリウムには、ハッカソンイベントの受賞作品を中心に、XRに触れる楽しさと可能性を感じていただける9作品を展示。期間中は開発者自身が来場者に作品の楽しみ方をレクチャーする場面もあり、XR技術が生み出す「新しい都市体験」の可能性の一端を感じていただく機会となりました。
Member's Voice:清水 岳(MESON) × 安藤 正仁(MESON) ×沼倉 正吾(株式会社シンメトリー)

[写真中央] 清水 岳(MESON)|早稲田大学大学院修了後、建築設計事務所に勤務。2021年よりXRを活用した個人制作を開始し、XR CREATIVE AWARD 2022 優秀賞、WIRED CREATIVE HACK AWARD 2023 ファイナリスト、TOKYO NODE XR HACKATHON グランプリを獲得。2023年MESON入社。
[写真右] 沼倉 正吾(株式会社シンメトリー)|2014年にXR開発に特化したSymmetry Dimensions Inc.(旧社名:DVERSE Inc.)を米国に設立。2023年に㈱日本PSに売却後、同グループの㈱SYMMETRY エバンジェリスト現職。2024年よりデジタルツインによるインフラ(橋梁・トンネル・道路等)維持管理プラットフォームの開発に従事。
清水 岳(MESON)
今回「XR PARADE」で展示した「TORANOMON bird's eye view」は、2024年2月に開催されたハッカソンイベント「TOKYO NODE “XR HACKATHON” powered by PLATEAU」でグランプリを受賞した作品であり、もともとは自分たち自身が使いたいと思えるアプリとして開発したものでした。展示にあたっては、より実用化された際のイメージが伝わるように、写真と文字による詳細な情報が閲覧できるアプリとして、発表した当時のものから少しアップデートを加えています。

自分の位置を直感的に把握できるXR技術を活用したアプリケーション。スマホのカメラをかざすことで周辺施設の情報が閲覧でき、カメラの視点と街を俯瞰する視点をシームレスに切り替えることができます。
展示期間中、実際に触れていただいた方から驚きの反応があったり、ビジネスマンの方々から好意的なご意見をいただいたりしました。XRを使った作品は、今回のオープンラボのようにエリア一帯を使ってこそ価値が体感できると思うので、こういった機会をいただけたのはうれしかったですね。展示をきっかけにさまざまなご質問やご意見をいただいたので、今後はそれらを作品に反映していきたいと思っています。
自分はもともと建築業界からキャリアをスタートし、趣味でメタバースにはまったことをきっかけに作品づくりをはじめ、この業界に転職してきた経緯があります。なので、建物の3Dモデル自体には馴染みがあったのですが、設計場面でしか使われていなかったデータとXRの技術と結びつけ、さまざまなことに活用されていく流れが今後生まれていくといいなと考えています。さらには、XRの体験が建物や都市の使われ方に影響を与えていくような、そんなまちづくりのあり方が生まれていくといいんじゃないかと、今回のオープンラボを通して感じました。

安藤 正仁(MESON)
「TOKYO NODE “XR HACKATHON” powered by PLATEAU」にてグランプリをいただいた際、実際にユーザーに触ってもらった上で発表していたわけではなかったので、今回の展示の機会に、アプリに触れた方から率直なご意見をいただくことができたのがありがたかったですね。今後は実際にご利用いただける状態にまで持っていきたいと考えています。
今回の「XR PARADE」では9作品が展示されていましたが、同じ場所で展示していたとしても、スマートフォンをかざすだけでアプリケーションごとに異なる世界観のコンテンツが体感できることは、XRを使った作品ならではの魅力だと感じました。これは拠点となる場所を持っているTOKYO NODE LABだからこそ実現できたイベントだと思いますし、今回のオープンラボに巻き込んでいただいたことで、自分たちもこの場所を盛り上げることに関われている実感を得ることができました。
ハッカソンをきっかけに生まれた「TNXR」では、さまざまな方とつながることができ、Discord上では日々いろんなやり取りが生まれています。個人的に社外の方々とつながれるコミュニティに所属できたのがはじめてだったので、とても大きな意味を感じています。なにか試してみたいことが浮かんだ時には、Discord上でラフに投げかけるだけで何かしら反応をいただくことができるので、同じ業界の方々と密度の高いやりとりができていることがおもしろいです。今後はこのコミュニティだからこそできる遊び心のある挑戦を実現していきたいと思っています。

ハッカソンにて「Xplorer Prize」を受賞した、電子ドラムを叩くと虎ノ門のビルにエフェクトが表れる作品「SKyscraper stage in Toranomon」のAR技術をベースに、電子ドラムの演奏に合わせて「ドン」「シャーン」などの文字のエフェクトが飛び出す作品。 機材協力:(株)ヤマハミュージックジャパン

身体をスキャンして人形を作成し、 XR時代の「都市の楽しみ方」「思い出の残し方」を提案する作品。

都市空間をARで拡張し、手軽にゴルフのホールインワンチャレンジが体験できるアプリケーション。「都市×AR」による新たな健康促進の可能性を提案しています。

沼倉 正吾(株式会社シンメトリー)
2024年2月に開催した「TOKYO NODE “XR HACKATHON” powered by PLATEAU」では、TOKYO NODEという拠点から、虎ノ門の街でどんな新しい表現ができるだろうかと、さまざまなアイデアを寄せるクリエイターの方々にご参加いただくことができました。受賞を逃して悔しがっている熱意に溢れた方々もたくさんいらっしゃったので、開催を終えた後に「TNXR」のコミュニティが生まれたのは、ある意味では自然なことだったと思います。

「TNXR」のハッカソンに所属している方々は、それぞれおもしろい作品をつくっているので、今回のような場所でまとめて展示することができたのはなにより喜ばしいことだったと感じています。XRの表現に触れてもらう上で、TOKYO NODE LABのように拠点となる場所を持っていることの意義は大きいですし、実際に作品に触れてもらい、そこでいただいた意見をどのように反映していくのかを考えることができる機会は、TNXRの開発者にとってとても重要だったと感じています。さらには、まちづくりを通して文化を育んでいくことの喜びが感じられる、貴重な機会にもなったのではないでしょうか。
ハッカソンの企画の立ち上げから関わっている人間としては、こうして参加者のみなさんによってコミュニティ活動が継続していることをとてもうれしく思っています。今後もTNXRのコミュニティのみなさんが表現したいことをサポートするためになにができるのかを考えていきたいですし、10年後にこの場所からすごいクリエイターが生まれることに期待したいと思います。

ユーザーが歩いている街にぴったりの音楽をレコメンドしてくれるARアプリ。発見したレコードはARオブジェクトとしてその場に残すことができ、音楽を分かち合うことによる新しい都市体験を提案しています。

関連性のない情報が見つかりにくい現代において、まるでバザーで掘り出しものを見つけるように情報を発見する体験を、都市の中で実現するアプリケーション。普段交わらない「人」と「情報」との新たな出会いを都市空間としてサポートし、都市と人と情報の新しい交わり方を提案。

「パブリックアートはXRによってどのように進化するのか?」をコンセプトに、都市空間の中の新しいメディアとしてのパブリックアートの可能性を提案するXRアプリ。

Appleのヘッドマウントディスプレイ型の最新デバイスである「Apple Vision Pro」に対応した空間コンピューティングを活用したアプリ。プレイキャラクターの「ユニティーちゃん」を操作しながら、続々と現れるモンスターを退治していく爽快アクションゲーム。
(vol.3へ続く)
▼TOKYO NODE (東京ノード) とは
2023年10月に開業した「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー」の最上部に位置する新たな情報発信拠点。イベントホール、ギャラリー、レストラン、ルーフトップガーデンなどが集積する、約10,000 ㎡の複合発信施設です。 施設内には、ミシュランで星を獲得したシェフによるレストランや、イノべーティブなプレイヤーが集まる共同研究開発チーム「TOKYO NODE LAB」の活動拠点も併設。NODE=結節点という名のとおり、テクノロジー、アート、エンターテインメントなどあらゆる領域を超えて、最先端の体験コンテンツ、サービス、ビジネスを生み出し、世界に発信していく舞台となります。
▼TOKYO NODE LABとは
TOKYO NODEの8階に位置する、新たな都市体験を創出する企業やクリエイターとの共創拠点「TOKYO NODE LAB」。XRライブ配信が可能なボリュメトリックビデオスタジオ「VOLUMETRIC VIDEO STUDIO」、TOKYO NODEのエントランスに位置し、イベントやミートアップなどの場としても活用されるカフェ&バー「TOKYO NODE CAFE」が併設されています。業種や領域を超えた一流の才能や、イノベーティブな企業が集結しており、コラボレーションによって新たな都市体験やコンテンツを、虎ノ門ヒルズエリアを舞台に世界に向けて創出・発信していきます。
編集・執筆:堀合 俊博
写真:川島 彩水
