会社のお金のことを知ろう。デザイナーが財務を理解すると、見える景色が変わる!
「この会社、ケチだな」と思ったことはありませんか?
「なんで備品がこんなに安物なんだろう」
「デザインの外注費、もう少し出してくれればいいのに」
「給料が上がらないのはなぜだろう」
正直に言うと、僕も若い頃にそう思ったことがあります。でもその後、自分で事業を始めるようになって初めてわかったことがあります。
会社のお金の流れを知らないと、見えるものが全然違うということを。
デザイナーやクリエイターの多くは、「自分の仕事でいかに良い成果を出すか」に集中しています。それは素晴らしいことです。でも、その仕事が「どこから生まれたお金で動いているのか」を知らないまま働いていると、大切なことが見えなくなります。
たとえば、「もっと良い素材を使いたい」「外部のフォトグラファーと組みたい」「ツールを導入してほしい」と思っても、会社が「予算がない」と言う。
そのとき、「ケチだな」と思いますか?
それとも、「なぜ予算がないのか」を一緒に考えようとしますか?
この違いが、作るだけのデザイナーと、価値を届けるクリエイティブディレクターの分岐点だと、僕は思っています。
デザイナーの多くは、学校でも、就職後も、「会社の財務」を学ぶ機会がほぼありません。
デザインのスキル、ソフトの使い方、プレゼンの方法は教わる。でも、「売上と利益の違い」「自分の給料がどこから来ているのか」を教わることは、ほとんどないのです。
これは責めているわけではありません。
「そういう構造になっている」ということです。
だからこそ、自分から学ぶことに意味があります。
僕がフリーランスから法人を設立した頃、衝撃を受けたことがあります。
スタッフを1人採用したとき、「月給25万円」で雇ったとします。でも会社が実際に負担するコストは、それだけではありませんでした。
●社会保険料(会社負担分):約3〜4万円
●労働保険:約数千円
●交通費・備品・PC代
●オフィスの家賃・光熱費の按分
合計すると、「月給25万円」の人を雇うのに、会社は月30〜35万円以上のコストをかけていることになります。
さらにその人が生み出した売上から、材料費、外注費、ソフトウェア費用などを引いて、残ったものが「利益」になります。そこから法人税を払い、それでやっと「会社に残るお金」が生まれます。
給料は、「売上から全部の費用を引いた後に残ったもの」から出ているのではなく、費用の一部として先に出ていく。これを知ったとき、僕はお金の見え方が大きく変わりました。
売上と利益の違いを、もう一度整理してみましょう。
売上(収入)
↓
- 原価(制作費・素材費・外注費など)
= 粗利(売上総利益)
粗利
↓
- 販管費(人件費・家賃・ツール代・広告費など)
= 営業利益
営業利益
↓
- 税金(法人税など)
= 純利益(会社に残るお金)
たとえば売上が1000万円あっても、原価・人件費・経費を合わせて980万円かかっていれば、残るのは20万円だけです。
これが「利益が出ない構造」ということです。売上がどれだけ大きくても、構造的に利益が残りにくいビジネスというのは、意外と多いのです。
デザイン費に投資できないのは、「ケチ」なのではなく、投資できるだけの利益が残っていないからかもしれない。そう考えると、見え方が変わりませんか?
財務を知ることは、仕事への参加意識を変えると、僕は思っています。
あなたは今、自分の会社(またはクライアントの会社)の売上と利益の関係を、なんとなくでも把握していますか?
「そんなの経営者が考えること」と思っているとしたら、少しだけ視点を広げてみてほしいのです。
あなたのデザインが、どんな経済的な文脈の中で生まれているのか。それを知ることが、あなたの提案をより強くするはずです。
「会社のお金のことを知る」というのは、経理や会計士になるわけでありませんが、自分の仕事が、どんなお金の流れの中にあるのかを理解することで、提案の質が変わり、信頼されるクリエイターになれると、僕は信じています。
給料はどこから来るのか。
投資はなぜできないのか。
会社が負担している「目に見えないコスト」は何か。
それを知ることが、作るだけのデザイナーから、価値を届ける第一歩だと思います。
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