[日々是読書]『死を開く扉』~高木彬光~【884文字】

 いったい全体、扉が人を殺せるものかね?

 いやいやいや。それがあなた。信じられないことに、扉が人を殺めたのですよ、この作品では (◉_◉) 。

 『死を開く扉』は、高木彬光氏が創造した名探偵・神津恭介が活躍する長編ミステリーです。

 まぁ長編といっても、もとは同年に発表された短編『四次元の目撃者』を長編化したもので、ページ数少なめの長編という感じです(⦿_⦿)。

 本作をひと言でいえば、『密室トリックネタ 一本勝負』作品、とでも言いましょうか (◉_◉) 。

 鍵のかかった部屋の中で頭を打たれた男。
 しかし密室状態の部屋の中には、犯人の姿も、被害者を撃ち殺した凶器と思われる拳銃も発見されなかった………。
 果たして犯人はどのような方法で密室殺人を行ったのか?

 ネタバレになるといけないので、詳しくは書けませんが、実現性の有無はさておくとして‥‥この密室トリックは、実に面白いです。密室トリックの巨匠、ディクスン・カーの名作のバリエーションですが、どちらかといえば、こちらの方がシンプルな分、ボクは好きですねぇ(⦿_⦿)。

 密室トリックのユニークさは、高木彬光氏の作品の中でも、トップクラスと言っていいでしょう。
 針や糸を使うような物理的なレガシー・トリックでなく、ひと言で説明できるシンプルさが心地良いです (◉_◉) 。

 残念ながら、『死を開く扉』は現在、いい感じで絶版となっています。
 (ネットで古書店からの入手は、さほど困難ではありませんが)

 うーむ、高木彬光氏の『魔弾の射手』は絶版でも納得しますが(暴言)、『死を開く扉』が絶版なのは、いかにも惜しいですね。
 電子書籍でもいいから復活して欲しいものです(⦿_⦿;)。

 短いから2時間ドラマ化もしやすいと思うのですが、なぜか今までされていないんですよね。これも謎です🤔

 この作品が発表された昭和32年。
 松本清張を祖とする、社会派ミステリが台頭しつつある時代、この手のトリック小説は、肩身の狭い立場だったと思います。
 そのような時代に、あえてクラシックな密室本格ミステリ発表した高木彬光氏のその心意気やよし、であります(◉_◉) 。

 昭和32年では受けなかった密室トリックミステリーかも知れませんが、綾辻行人氏ら新本格ミステリの書き手がデビューし始めていた、昭和62年頃なら、案外この作品は受けたかも知れません。

 そういう意味では30年ほど、世に出るのが早かった作品、ということになるのでしょうか (◉_◉;) 。

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