【MITANIビジネスコンテスト2025】和牛AI、核融合、電気味覚…。「?×ディープテック」が示す地球の未来|ビジネスコンテスト潜入レポート
こんにちは。絶対そうしよ、でお馴染みにしたいコワーキングスクエア金沢香林坊で働く越後です。今日は参加して三年目になる金沢の大好きなのビジコンのレポートを、三年目にしてお送りしようと思います。
そして、コワーキングの中の人として、ちゃんと地域の現象をお届けしたいといった決心を胸に書いていこうと思いますので、興味ある方はフォローしてください。コワーキングの方のアカウントにするかも…しれない。
「地方、そして日本にはなんもない」 そう思っている人がいたら、当日の熱気を、少しでも分けてあげたいというモチベーションです。
覚えてる限りの内容を精一杯お届けします。
MITANIビジネスコンテスト
三谷産業株式会社が主催する、北陸企業の課題を解決する可能性を秘め、地域社会の発展に寄与する新たな製品やサービス、ビジネスプランを広く募集するビジネスコンテスト。
地域のイノベーションを支えてきた、金融機関や、情報通信、そして教育機関の方々が審査員として参加しています。
私たちは石川県とスタートアップの支援や、地域企業との共創をテーマにしているので、末席に参加させていただいておりました。とても嬉しい。
まず、「ムー」とコラボしてたぞ…!

みなさん…ムーですよ。世界の謎と不思議に挑戦するスーパーミステリーマガジン、ムーとコラボしたビジコンですよ。会場のセットや、スタッフや審査員もコスモに染まってましたが…今回は深く考えないようにします。
おそらく、イノベーションは「未知」への挑戦。スピルバーグ監督が描いた未知との遭遇のようなことだと、多分、思います。めちゃ笑いました。
あとムーのスウェット買ったし、翌週には息子を連れてコスモアイル羽咋に行ってきました。知らない人はぜひ調べてみてください。
さて、会場の写真は実は禁止されていますし、オフィシャルプレスも出ると思うので、確認次第ここは更新するとして、本番のレポートに移りたいと思います。
和牛、核融合、医療AI、そして「におい」のデータ化——。
地域創生とスタートアップの最前線を垣間見るレポートです。特に、ディープテック領域のチャレンジャーに熱い気持ちを覚えてました。
ディプティークじゃないですよ?
8つのピッチのハイライトをお届けしますので、まずは索引です。
和牛を「科学」し、世界中の舌を唸らせる
減塩食を「ガマン」から「美味しい」へ
ゴミ処理を「コスト」から「エネルギー生産」へ
トイレは「用を足す場所」から「地域の資産」へ
「におい」という最後のフロンティアをデータ化する
がん治療の「6時間」を「20分」に短縮する救う命を増やすAI
900万人のおひとり様を支える「家族代行」
日本にもう一つ太陽を作る。核融合への挑戦
1. 和牛を「科学」し、世界中の舌を唸らせる
トップバッターから強烈でした。
テーマは「AI-BEEF」。 飼料高騰で苦しむ畜産農家を救うため、近畿大学発の技術(B-som診断)で牛の血液から「肉質」と「肉量」を予測するというものです。

登壇された松岡さんの一言が、だいぶ痺れました。
「私は、地球のためになると思って、今ここに立っています」
単に効率化するだけではありません。酒粕を餌にした「ペアリング和牛」など、ワインのような「味わいマップ」を作り、世界の富裕層へ打って出る。日本の宝である和牛を、勘と経験の世界から「データとサイエンス」の世界へアップデートする、熱い取り組みでした。
2. 減塩食を「ガマン」から「快感」へ
「減塩食が出来ない、続かない。そのせいで亡くなる患者さんを救いたい」 現役医師の悲痛な実体験から生まれたのが、電気味覚デバイス「umaiNa」です。Naはナトリウム(塩)ですね。

スプーン型ではなく、首にかける?!ウェアラブル型なので、「噛んでいる間も、飲み込む時も」塩味が増強されるため、咀嚼や嚥下にも有効だということが特徴でした。生活習慣病患者だけでなく、味覚が鈍る宇宙空間での食事にまで応用できる技術。ヘルスケアのど真ん中を突く発明でした。
実際過去にスプーン型のものは使ってみたことがありましたが、顔に装着するデバイスタイプのものであれば、より日常づかいにもつながりそうだなぁと思いましたし、小型化されたら、試してみたいなぁと思いました。親父にあげたい。
3. ゴミ処理を「コスト」から「エネルギー生産」へ
「ゴミ処理=燃やして終わり」の常識を覆すピッチでした。 独自の触媒技術を使い、わずか130度という低温で有機廃棄物を炭化させる。しかも装置は小型で、食品工場やコンビニの裏に置けるものを目指しています。
「廃棄物自体を出さない企業に生まれ変わることで、企業価値を高める」
輸送コストとCO2を90%削減し、できた炭はバイオマス燃料になる。しかも、ゴミが出る場所で処理をすることでゴミの少量化にもつながりますね。
まさに「錬金術」。地域で出るゴミを地域でエネルギーに変える、究極の地産地消モデルが見えました。現在は海外で実証されておられました。

4. トイレは「用を足す場所」から「地域の資産」へ
「100年後も人間はトイレを必要とするでしょう」
この言葉の説得力たるや。
「トイマップ(TOIMAP)」は、2万箇所以上のトイレデータを可視化するサービスです。 インバウンド観光客の「使い方がわからない」、女性の「行列がつらい」といった課題をDXで解決することからさらにトイレの人流データ
から都市計画まで行うという構想。

「見えないインフラ」に光を当て、経済価値を生む資産に変える。目の付け所に唸らされました。
Amazon出身、石川県で実際にお宿をやられているなど、ストーリー満載でございました。個人的には、子供のおむつを替える台があるトイレ一覧とかは、既存のアプリが弱かったのでぜひ参入してほしい!
5. 「におい」という最後のフロンティア
視覚や聴覚はデジタル化されたけれど、「嗅覚」はまだ手つかず。
そこを「パラダイムシフト前夜」と捉え、においを数値化・データ化する挑戦でした。におい!AI!すごい!
食品工場の品質管理から、映画やメタバースでの「香りの再現」まで。 「においのビッグデータ」を握るプラットフォーマーになるという野望は、まさに未開の地を開拓するスタートアップらしいロマンに溢れていました。
実際に、16種類の香料スロットと、ブレンドして匂いを動的に出力する装置も拝見しました。ロマンがありました…。実際に映画の劇場で採用された実績もあるそうです。伊勢丹の1Fとかすごいいい匂いで好きだったことを思い出しました。
6. がん治療の「6時間」を「20分」に短縮する命のAI
放射線治療をどんなふうにやろうか!という計画作成。これは専門医が6時間かけているそうです。あらゆる角度のCTスキャン画像を、ほぼ手書きで処置場所を描く、にしても6時間か…。この過酷な作業を、AIがわずか20分で終わらせる。
浮いた時間で、お医者さんがより多くの患者さんを救うことができるとのこと。すごすぎる。

AIの根拠となるデータも、社長本人が研究者であり、論文や実証データも持っており、累計90万件の学習データに裏打ちされている説得力がありました。
日本の、そしてアジアのがん治療の現場を変える、待ったなしのソリューションだと感じました。ちなみにいきなり治療全部をAIにする!ではないらしく、現在は「確かめ」と「補助」を行うフェーズらしいです。
7. 900万人のおひとり様を支える「家族代行」
テクノロジーだけでなく、こうした「心のインフラ」も地域には不可欠です。 弁護士やケアマネージャーがチームとなり、身寄りのない高齢者の入院保証や葬儀、財産管理を行うサービス。
具体的に、財産の管理、意思決定、そして賃貸などに必要な与信といった、多岐に渡る課題がある、とのこと。
1兆円市場と言われるこの分野で、大手とは違う戦い方に挑戦する姿が印象的でした。
ちなみにこれは直近で考えさせられることがあったので、年々課題として増えていきそうなトピックだし、今手をつけてるってこと自体が評価されるべきだと強く思いました。
8. 日本にもう一つ太陽を作る。核融合への挑戦
トリを飾ったのは、スケールが桁違いの話でした。 CO2を出さず、海水が燃料になる夢のエネルギー「核融合」。
「日本が本気になれば、もう一度世界一になれると確信しています」
日本独自の「ヘリカル方式」と、日本のものづくり技術があれば勝てる。既存の実証されている技術を組み合わせた上で、世界で唯一の挑戦をしようとしている、心が燃えるお話でした。詳しい技術の話は、全然分かりませんでした。
[12月17日更新] すんごいニュース出てました!
Helical Fusionとアオキスーパー、日本初のフュージョンエネルギー電力売買契約を締結
ちなみに、質疑のやり取りで話された、日本は完成品まで作って世界で戦っているものは過去、車くらい。今は部品の制作がメインで、さまざまな海外の事情や、競争にさらされることが業界の課題だから、部品サプライヤーではなく、炉全体を作る「インテグレーター」として世界を獲るという宣言に、かなり熱くなりました。
考察:この熱狂が示しているもの
ピッチを通して感じたのは、「課題解像度の高さ」と「突破技術力」の掛け算
地方には、高齢化や人口減少、産業衰退といった「課題」が山積しています。 しかし、見方を変えれば、それは「イノベーションのネタの宝庫」でもあると言えるんじゃないでしょうか。
医師だから気づけた味覚の課題。
廃棄物処理の現場だから生まれた低温炭化技術。
伝統的なものづくり力があるからこそ挑める核融合。
オフィスで、頭だけで考えたビジネスではなく、現場のリアルな課題の中から「世界に通じる結晶」のかけらを見つけ出していました。
地域創生とは、単に人を呼ぶことではありません。 地域にある「強み」と「課題」を化学反応させ、世界中が欲しがる「価値」を生み出すこと。
昨日のビジネスコンテストは、まさにその化学反応が起きる実験室のようでした。かっこよかったな〜。
また来年も参加させてもらえるように明日から頑張ろう。
