【特集】千葉ロッテマリーンズが注目した「場所を選ばない」という革新性
SmartScoutの販売開始後、早期に導入をしてくださったのが千葉ロッテマリーンズでした。導入後、段階的に運用を拡大しており、導入に至った背景や精度への評価などについて、チームのデータ戦略を担うアナリスト・丹治伶峰さんにお話を伺いました。
プロの現場がどのようにSmartScoutを評価し、どう使いこなしているのか。そのリアルをぜひご覧ください。
①プロフィール紹介
チーム戦略部 R&Dグループ アナリスト:丹治 伶峰さん
1995年生まれ。北海道札幌市出身。大阪大学大学院経済学研究科 博士後期課程を単位取得退学後、2023年より千葉ロッテマリーンズ R&Dグループのアナリストとして従事。学部時代は大阪大学 準硬式野球部に所属。修士(経済学)

②インタビュー
Q1.SmartScout導入の背景について
丹治さん
現代野球では、選手の評価・育成にデータを使うことが標準化しています。
私達も“どのデータをどう取得し、どう活かすか”を常に模索してきました。
ただ、従来のトラッキング機器には大きな制約があります。
(例)据え置き型トラッキング機器
Trackman Game Trackingのように球場に設置するタイプのトラッキングデバイスは試合のデータが計測できるが、移動ができない。そのため、設置していない球場では使えない。また、導入する場合はかなり高価。
(例)RapsodoやTrackMan Portable
物理的な制約(フェアグラウンド内、もしくは捕手の後ろに設置しなければならない)により、試合進行に支障がある。また、キャリブレーション(※)を実施する運用コストが課題。
※キャリブレーション(Calibration)とは
測定機器を正しく動作させるために、位置や角度・距離などを調整する作業
そこで注目したのがSmartScoutでした。
〇端末ひとつで計測できるため、球場に機器を持ち込んだり設置したりする手間がない
〇グラウンド内に入ってキャリブレーションする必要がない(=試合でも支障なく使える)
〇持ち運びコストが非常に低い という点で、
従来機器では難しかった“自由度の高い計測”を可能にしてくれました。
精度に関しても、SmartScoutのデータは、「現場のアナリストが適切に扱えば、評価用途として十分成立する」という手応えを得ています。
こうした理由から、SmartScoutは「これまでの計測手段の穴を埋める存在」になり得ると判断し、導入を決めました。
Q2.SmartScoutと既存機器(Rapsodo・TrackMan)の決定的な違い、使い分けについて
丹治さん
よく聞かれる“ラプソードやトラックマンと何が違うのか?”という点ですが、このように考えています。
■Rapsodo / TrackMan の特徴
・キャリブレーション(設置調整)が必要
・条件を整えれば精度、安定性が高い
・設置場所、使用環境に制約が大きく、毎日測ることは現実的に難しい
・(特にアマチュア環境では)台数・予算・運用人員の制約から、測りたい投手全員を“毎日”継続して計測するのは現実的に難しい
■SmartScout の特徴
・キャリブレーション不要
・端末があれば屋内/屋外/練習/試合──どこでも使える
・だからこそ“たくさんデータを取れること”が最大の価値
※数を計測する、という観点については、Rapsodo、TrackManの金額面での制約が大きいかと思います。特にアマチュアチームが活用することを考える と、利用したい投手の数に対して十分な台数を確保するのが時間・金銭的に難しいと推察します。SmartScoutの強みはここが大きいかと思います。
理想は、
・Rapsodo/TrackMan:高精度が必要な場面・環境が整った場面での計測
・SmartScout:インスタントな計測、試合会場でのデータ取得、量を集めたい時という“併用”です。
SmartScoutで習慣的にデータを取り続け、必要に応じてRapsodoやTrackManで精緻に確かめる。この流れが、選手の成長にポジティブな影響を与えると思います。特に、試合中にストレスなく計測できるのはSmartScoutならではの強みです。ゆえに、従来の据え置き型トラッキング機器で設置できないシーンで主にSmartScoutを活用しました。
Q3.SmartScoutの価値(強み)と“正しく使う”ためのポイント
丹治さん
SmartScoutは“どこでも・誰でも・すぐ計測できる”点が最大の強みです。これまで計測が難しかったシーンでもデータを集められるようになり、身近な選手のデータが蓄積されていくこと自体が、大きな価値だと感じています。
その強みを最大限に活かす為に大事なことは、
・データの信頼性を見極める力
・選手評価に必要なデータを選び抜く視点 を持つことです。
とはいえ、データを見る力を最初から完璧に備えている必要はありません。
SmartScoutによってデータが手軽に集まるようになることで、
「この違いは何を示しているのか?」「どうすれば改善につながるのか?」
といった問いが自然に生まれ、分析やエビデンスに基づいた意思決定への関心が高まるきっかけになります。
つまり、SmartScoutは “リテラシーを身につけるための教材” というより、
データを通じて考える習慣を生み出す“きっかけをつくるツール” だと考えています。
Q4.アマチュアの方に向けてオススメの活用法
丹治さん
SmartScoutは「誰でもデータが取れる」ことが大きな強みですが、その分、“撮って終わり”にしないことがとても大事だと思っています。
もう一つ大事なのが、計測頻度です。チームで導入すれば、他の機器に比べてコストを抑えながら、多くの選手を高い頻度で測ることができます。データが増えると、例えば「先週と今週の差」「昨日と今日の差」が「本当に気にすべき変化なのか」「誤差の範囲なのか」といった判断がしやすくなり、意思決定の質を上げることができるようになります。
≪AIコーチの活用について≫
AIコーチのいうことをそのまま取り入れるというよりは、AIコーチのフィードバックをたたき台にしたディスカッションを促すこと、それを通して選手と監督コーチが同じレベルのリテラシーを持った状態で対話できる環境を育むことができるのが理想と考えています。
Q5.SmartScout導入を検討している方に向けて、メッセージ
丹治さん
SmartScoutを含むトラッキング機器は、“指導者を置き換えるもの”ではありません。むしろ、**指導者が持っている知見や経験をより良い方向に導くための補完ツール**だと思っています。
テクノロジーを導入することで、
・今まで気づけなかったことに気づける
・選手と共通言語で話せる
・改善の方向性を示しやすくなる といったメリットが大きく広がります。
ただ、SmartScoutを入れたからといって“勝手に成績が上がる”わけではありません。大事なのは、選手自身が目標を持ち、成長したいと強く思っていること。その意欲があって初めて、データが意味を持ち、パフォーマンス向上に結びつきます。取れたデータをどう活かすか。何を改善し、どこに向かうのか。その答えを決めるのは選手であり、指導者です。
SmartScoutは、そのプロセスを後押しする非常に便利なツールです。現場の知見とテクノロジーを掛け合わせれば、必ず新しい発見が生まれるはずです。
③まとめ
今回のインタビューを通じて、SmartScoutが千葉ロッテマリーンズ様のデータ戦略において重要な役割を果たしていること、そして、その価値が「どこでも・誰でも・すぐ計測できる」という特長にあることを改めて実感しました。
SmartScoutの強みは、計測のハードルを下げ、「練習・試合を問わず、日常的にデータを見る文化」を作れることにあります。
その日々の積み重ねが、
昨日との違い
先週からの変化
自分だけの癖や傾向
といった“気づきのきっかけ”を生み出してくれます。こうした気づきが積み重なることで、「自分で問いを持つ」「改善ポイントを考える」といった姿勢が育ち、最終的にリテラシー向上にもつながっていきます。
Knowhereはこれからも、プロ・アマチュアを問わず、
“データをもっと身近にすること”
“誰もが成長への第一歩を踏み出せる環境をつくること” を使命に、SmartScoutの価値をより一層高めていきたいと考えています。
千葉ロッテマリーンズの丹治伶峰さん、貴重なお話をありがとうございました。そして、読者の皆さまも、本記事が「データ活用の一歩」を踏み出すきっかけになれば幸いです。

アプリのダウンロードはこちらからお願いします。
チームでのご利用はこちらからお願いします。
