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    <title>心賀　艶乃</title>
    <description>【心艶ややく小説】
なんも考えたない日ってあるやん。
けど、この小説読んだ後なんかうまいもんでも食おうかなって思うかもしれへんやん。
満腹になって他人に優しくなれたら周り回って離れて暮らす年老いたオカンが困った時に赤の他人様が手を差し伸べてくれるかもしれん。せやから私は書くねん。</description>
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    <copyright>心賀　艶乃</copyright>
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      <title>【心艶ややく小説】（5）一億階建てマンションの最上階に住む住人</title>
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      <description><![CDATA[<p name="958B0FB4-2269-4AD8-8DAB-1024632602E7" id="958B0FB4-2269-4AD8-8DAB-1024632602E7"><b>〈第五章〉ホーキン•シュタイン博士の日常</b><br><br>　その日、ホーキン・シュタイン博士はめずらしく六時に目を覚ました。</p><p name="53C0DEAF-D5E4-466D-B6AF-DDC41BC96159" id="53C0DEAF-D5E4-466D-B6AF-DDC41BC96159">　ホーキン•シュタイン博士は、素っ裸で暮らしている。</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/nb70015287860'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 29 Jun 2026 22:23:01 +0900</pubDate>
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      <title>【心艶ややく小説】（4）一億階建てマンションの最上階に住む住人</title>
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      <description><![CDATA[<p name="A5A278BF-92D0-420D-8369-E8A501FA3F56" id="A5A278BF-92D0-420D-8369-E8A501FA3F56"><b>〈第四章〉ホーキン•シュタイン博士の信念<br></b><br>　ホーキン・シュタイン博士の住んでいる一億階建てマンションは、第一号棟だった。</p><p name="80C2BEEF-D8E7-4724-AF73-742A2FAA8DC7" id="80C2BEEF-D8E7-4724-AF73-742A2FAA8DC7">　しかも、住人は一億階に暮らすホーキン•シュタイン博士ただ一人だけだった。</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/nb91d468b48be'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 27 Jun 2026 22:00:41 +0900</pubDate>
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      <title>【心艶ややく小説】（2）愛は青より出でて、愛より青し</title>
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      <description><![CDATA[<figure name="88DF2CCC-10E7-4B3B-A76A-3D6B8DF3FE5F" id="88DF2CCC-10E7-4B3B-A76A-3D6B8DF3FE5F"><blockquote name="88DF2CCC-10E7-4B3B-A76A-3D6B8DF3FE5F"><p>碧き人<br>告げた想いは<br>とこはかに<br>冬の蒼穹　宇宙に誓う</p></blockquote>
<figcaption></figcaption></figure><p name="74C761CB-7490-4F31-AE6F-2A472F3E94BD" id="74C761CB-7490-4F31-AE6F-2A472F3E94BD"><b>-出会い-<br></b><br>-サマーキャンプ前日-<br>　中学二年生の夏に、私たち四人は出会った。<br>　場所は山頂にある真夏のキャンプ場。<br>　まだ午前中だというのに、太陽は容赦なく私を照りつける。<br>　明日から『リーダー育成会』の野外活動のひとつである『サマーキャンプ』が始まる。<br>　小学生は一泊二日だが、リーダーの中学生は一日早く入り、リハーサルと準備を行う。<br>　決められたわけではないが、みんなTシャツにジーンズ、足元はスニーカーという格好だ。<br>　探検隊のような決まった制服がないのも、市運営らしいゆるくていいところだ。<br>　市のキャンプ場は、敷地周辺も含めると非常に広大で、豊かな自然環境が広がっている。夜になると、空にはこぼれ落ちそうな星々が見える。<br>　麓まではバスで来られるが、そこからは二十分ほど山を登る必要がある。<br>　夏の山登りは結構きつい。みんな我慢して登っているのだと思い、私も休まずに登った。<br>　世話役の大人たちが山を登らず車で来ていたことを、私は何年か後になって知った。<br>　研修棟には講堂があり、クーラーがキンキンに効いていて、夏の暑さにさらされた体には心地よかった。<br>　入り口には箱が置いてあり、真ん中に腕が入るくらいの丸い穴が空いている。<br>　私の前を歩いていた男の子が箱に手を突っ込み、折り畳まれた紙を取り出して開いた。<br>　私も箱に手を突っ込み、一枚の紙を取り出して開く。<br>紙には青色で大きく「B」と書かれていた。<br>　部屋に入ると、長机を二つ重ねたテーブルが三組あり、A班、B班、C班の紙が大きく貼られていた。<br>　着替えなど入ったリュックを足元に置く。<br>　続々と初めて見る同年代を見て少し緊張してきた。<br>「横、座っていい？」<br>鮮やかな黄色のリュックを持った女の子が声をかけてきた。<br>「うん。どうぞ」<br>　足元のリュックを奥へ寄せて、彼女が座りやすいようにした。<br>「ここ、B班の席やんな」<br>今度は向かい側の席から、大きなイラストがプリントされたTシャツを着た男の子が聞いてきた。<br>「うん。そうやで」<br>　私は足元のリュックを通路側へ置き直した。<br>　男の子は私の返事を聞くと、何事もなかったように向かいの席に座った。<br>「あ、ぽっぽ！」<br>イラストTシャツくんが入り口に向かって手を振る。<br>　ぽっぽと呼ばれた子は、どうやら友達のようだ。偶然にもB班だった。<br>　全員揃ったところで、世話役の代表者が中央に立つと、皆を見わたして話し始めた。<br>「こんにちは、代表の田中です」<br>「こんにちは」皆が挨拶を返す。<br>「明日からサマーキャンプが始まります。君らに担当してもらうのは五年生です。ここにいる全員も五年生のとき、初めてサマーキャンプに参加したと思いますが、その時のリーダーのことや経験したことを思い出して、しっかりとリーダーシップを発揮してください」<br>田中代表は、そう言うと若い世話役の男性とバトンタッチした。<br>「みなさん、こんにちは。僕も田中っていいます。田中代表とは赤の他人やけど」<br>みんなが笑う。少し緊張が解けた。<br>「フルネームは、田中健っていいます。実はみんなの先輩です。田中代表と間違えんように、タナケンって呼んでください。あ、くれぐれも『さん』とかつけんといてや。じゃあ、今から班で名札作って自己紹介をしてもらいます。その後、役割分担の話しと今日のスケジュールの説明します。A班は緑色の画用紙と名札ケース。B班は青色。C班はオレンジ色。じゃあ、各班一人が取りに来て」<br>　B班の分を取りに行こうと立ち上がりかけた時、向かいのイラストTシャツくんが、すっと席を立って取りに行ってくれた。<br>「じゃあ、今から20分で自己紹介と名札作りしてください。あ、名札の名前は、本名じゃなくて、サイドネームで書いてな。五年生の時に決めたのでもええけど、リーダーデビューってことで、新しく付けてもええよ。じゃあ、スタート」<br>　イラストTシャツくんは、私たちに名札ケースと青の画用紙を配ってくれた。マジックは五色あった。<br>『リーダー育成会』では、本名ではなくサイドネーム、いわゆるあだ名で呼び合う慣わしがあり、サイドネームは自分で決める。<br>　初めてのサマーキャンプの五年生で付けたサイドネームが、中学、高校、挙げ句の果てには大人になってからも呼ばれるかもしれないのだから、すごく攻めた名前を付ける派と無難派に分かれる。<br>　私は青のマジックで『ココ』と大きく書いた。<br>　隣の黄色いリュックの女の子は、『のん』と黄色いマジックで書いていた。味のある字体がかっこよかった。<br>　どうやら私たちは無難派らしい。気が合うかもしれないと思うと、少し楽しい気持ちになった。<br>「なあ、貴志部紘子（きしべひろこ）さん」<br>急にイラストTシャツくんが、私をフルネームで呼んだ。<br>　見ると、首から下げた名札には大きく「サル」と書かれている。<br>『なんでサルなん。そのままやん』<br>そう思った瞬間、吹き出しそうになるのをこらえながら聞いた。<br>「なに？　あ、ココでいいで」<br>「青の画用紙に青のマジックでサイドネーム書いたら、見にくないか？」<br>　私は自分の名札を少し離して眺めた。<br>「せやな。けどな、サル。お前もやで」<br>ぽっぽは指を差しながら、からかうように言った。<br>「せやねん。実は俺も青マジックで書いて思ってん。ほんなら、ココもおんなじことしてるから、おもろいなと思って」<br>　そう言われて改めて彼を見ると、猿の顔がドアップで大きくプリントされたTシャツも、サイドネームが「サル」であることも、私と同じように青の紙へ青のマジックで名前を書いたことも、全部ひっくるめて面白かった。私は思わず声を出して笑った。<br>私につられて、のんも笑い出した。<br>　サルは間違いなく攻め派だ。<br>「自分ら考えたらわかるやろ」<br>福音昌之（ふくいまさゆき）、こと『ぽっぽ』が、自分の名札に使った明るいオレンジ色のマジックを持ち、サルの名札をケースから取り出すと、文字の縁取りを始めた。<br>『ぽっぽ』というサイドネームは、攻め派とも無難派とも違う個性派だった。<br>「ほら、こうしたらわかりやすいやろ。ココも縁取りし」<br>自慢げに言いながら、ぽっぽは私にもオレンジ色のマジックを転がしてきた。<br>「ほな、ココはホワイトで縁取り」<br>吉川のり絵（よしかわのりえ）、こと『のん』が箱からホワイトマジックを渡してくれた。<br>「のん、ありがとう」<br>　私は文字を白で縁取った。<br>『うん、確かに文字が目立つ。のんちゃん、いいセンスしてるな』<br>「私も縁取り書こう」<br>そう言って、のんもぽっぽが転がしてきたオレンジ色のマジックで文字の縁取りを始めた。<br>　のんの名札の文字はさらに味のあるものになった。<br>「えー、しばらくお待ちください。わたくしも縁取りまーす」<br>ぽっぽが電車のアナウンスを真似た鼻声で言い、私が使っていたホワイトマジックで縁取りを始めた。<br>慶田篤樹（よしだあつき）、こと『サル』はそれを見てクシャッと笑って言った。<br>「色は違うのに、なんかお揃いみたいやな」<br>「はーい、終了。ちなみに色で役割分担してます。その前に各班四人の中から、一人を代表リーダー役に選んでください。後の三人は子どもを担当するリーダーになります。班ごとの役割は、緑班は、オリエンテーリング担当とゴミの管理。青班は、キャンプファイヤー担当と炊事場担当。オレンジ班は、二日目の朝の朝礼担当と救急担当をしてもらいます。来年は他の人の担当が自分に回ってくるかもしれへんから、班同士も一人ひとりも助け合ってな。ほな、今からのスケジュールやけど、まずはキャンプ場を回って施設の説明を一通りします。その後、ここに戻ってきて、班の中での役割を決めてください。決まったら、それぞれ担当で使う備品の確認と、班で二つテントを張ってもらいます。明日はみんなが小学生に教える立場になるんやから集中な。じゃあ、十分休憩して、玄関前に集合してください」<br>　その後は目まぐるしいスケジュールが続き、夕飯のお弁当を食べる頃にはクタクタだった。<br>　たぶん、暑さと忙しさに体力を奪われたせいだろう。<br>　四人の友情は、そんなロマンチックなかけらもない、汗だくのサマーキャンプで始まった。<br><br>つづく</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/n571b7eec8cbf'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 26 Jun 2026 16:11:56 +0900</pubDate>
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      <title>【心艶ややく小説】（3）一億階建てマンションの最上階に住む住人</title>
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      <description><![CDATA[<p name="762D2AE4-FF80-45F2-81A7-80F92BDE9AFF" id="762D2AE4-FF80-45F2-81A7-80F92BDE9AFF"><b>〈第三章〉グラン•アエールの誕生</b><br><br>　ホーキン・シュタイン博士は、世界で初めてAIなど比べものにならない別次元のものを生み出した。<br><br>『NI』（Natural Intelligence：自然知能）を持つ『グラン•アエール』を誕生させたのである。</p><p name="9C127EA3-2A72-4D80-A7E1-097975942265" id="9C127EA3-2A72-4D80-A7E1-097975942265">　空気という意味をもつグラン•アエールは、個体でも液体でもなく、まさに名前どおり『空気のような存在』であった。</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/n36be1c40a589'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 22 Jun 2026 16:27:26 +0900</pubDate>
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      <title>心が艶やかに。</title>
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      <description><![CDATA[<p name="FF47B51D-0F3A-4990-85DC-01818C7C9D8D" id="FF47B51D-0F3A-4990-85DC-01818C7C9D8D">人は誰しも、心に物語を持って生きているのではないでしょうか。<br><br>まだ名のない夢。<br>心を躍らせる未来。<br>歳月を重ねてなお輝く記憶。<br><br>そんな心にそっと触れる物語を書いています。<br><br>私自身については、あえて多くを記しません。<br>それは、物語をまっさらな心で受け取っていただきたいからです。<br><br>綴る言葉のどこかに、私という人間の欠片も紛れているかもしれません。<br><br>物語が、あなたの心を艶やかに輝かせますように。</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/n4f11b3c64f7b'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 16 Jun 2026 01:14:13 +0900</pubDate>
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      <title>【心艶ややく小説】（2）一億階建てマンションの最上階に住む住人</title>
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      <description><![CDATA[<p name="762D2AE4-FF80-45F2-81A7-80F92BDE9AFF" id="762D2AE4-FF80-45F2-81A7-80F92BDE9AFF"><b>〈第二章〉人間の性<br></b><br>　昔々、人間は『これからはAIの時代だ！　』と技術革命を叫び始めた。</p><p name="C895CAEC-991C-4473-9199-77EB47B16283" id="C895CAEC-991C-4473-9199-77EB47B16283">　同時に『地球の資源は無限じゃない！　』という環境保護を表向きに掲げていた。</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/n2ad1d85faeeb'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/284326131/profile_c16526f20b568bc96b1894a908d042cb.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 14 Jun 2026 01:02:03 +0900</pubDate>
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      <title>【心艶ややく小説】（1）愛は青より出でて、愛より青し</title>
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      <description><![CDATA[<figure name="17224438-F887-44CF-9076-B59B210B73C7" id="17224438-F887-44CF-9076-B59B210B73C7"><blockquote name="17224438-F887-44CF-9076-B59B210B73C7"><p>碧き人　　<br>告げた想いは　とこはかに　<br>冬の蒼穹　宇宙に誓う</p></blockquote>
<figcaption></figcaption></figure><p name="D5BEF2A2-7A2C-4E97-8761-23F5218C86D0" id="D5BEF2A2-7A2C-4E97-8761-23F5218C86D0"><b>-モーニングルーティン- <br></b><br>　斜め掛けしたオレンジ色の派手なチェック柄の水筒を、早朝の冷え込む中庭のガーデンテーブルの上にそっと置く。テーブルに両手をついて、ゆっくりとベンチに腰掛ける。<br>　はぁっとかじかむ手に息を吹きかけ擦る。<br>　水筒のカップ部分を外すために右手に力を入れると、手のひらにできたガングリオンのしこりが当たって痛みが走る。<br>「痛ぁい」<br>しばらく痛みが過ぎるのを待って、ぎこちなく左手でコップをクルクル回しガーデンテーブルに置く。水筒の注ぎ口のつまみを回して慎重にコップに注ぐ。<br>白い湯気とともにコーヒーの香ばしいかおりが冷たい風と土の匂いに混じりあい鼻腔をくすぐる。<br>『至福の時......』<br>　引越してきた頃、淹れたてコーヒーの入ったマグカップを持ったまま庭に出よして、転びそうになり手元がおろそかになって割ってしまった。さすがに三度目になると無理だと悟った。　　　　<br>　マルチタスク脳や運動神経が敏感だったのは過去の話。今は一つのことをクリアすることに全集中するのが精一杯になった。<br>　そんな私を哀れに思ったか、同居人がこの水筒を進呈してくれたのだ。<br>『そういえば、ここにきてからどれくらい経ったかな？　』<br>　悴む指を折りながら驚いた。<br>「あっという間やん。まさか五年もここで生活をするとは思ってへんかったわ」<br>小声で独り言を言いながらカップを両手で包み込んで暖を取る。<br>「ココ、おはよう。今日も寒いな」<br>声がしたほうを振り返ると、サルがクシャっとした柔らかい笑顔で白い息を吐き、忙しなく手を擦り合わせている。<br>　私は熱いコーヒーをフーフーと息を吹きかけながら、<br>「おはよう。ホンマやなあ。せやけど、ここに来てからは朝日は見逃せへんようになったわ」　　<br>背後でサルが言う。<br>「今日は、きっと夕日もきれいやで」<br>「ほな、夕焼け一緒に見よか」<br>そう自分で言ってから照れくさくなって、さらにコップに息を吹きかけた。<br>　目の前が眩しくなり、登り始めた太陽を見上げつつ熱いコーヒーを一口飲むと、体も心も温まる。<br>　こんな幸せを感じられることに心から感謝した。<br><br><b>-再会-<br></b><br>「ココ、久しぶり」<br>頭の上で声がした。見上げるとサルが立っていた。<br>「サルやん」<br>自分でもびっくりするほど素っ頓狂な声が出てしまった。<br>　大学を卒業して人生の半分を東京の会社に捧げたのち、大阪にUターンの準備に戻った次の日のこと。<br>　少しお高めの全国チェーン店のコーヒーを啜りながら、とりあえずは実家に身を置きつつも、良い物件があれば引っ越そうなどと考えていた昼下がり。<br>　すっかり様変わりした故郷の物件を、役立たずのリーディンググラスを頭の上に乗せ、携帯の賃貸サイトの小さい文字を五センチの距離で睨めつけている真っ最中だった。<br>　声をかけてきたのは、もちろん動物のサルではない。うっかり昔のサイドネームで呼んでしまったが、れっきとした人間だ。<br>「ココ、元気やった？」<br>サルは気にする様子もなく尋ねてきた。<br>　笑うとクシャってなる柔らかい笑い顔は、昔のままで気持ちをほぐしてくれる。<br>「あ、ごめん。思わずサルなんて言っちゃって」<br>慌てて謝った。<br>「なんで？ええよ。サルはサルやろ。ココもココのままやし。せやけど話し方は大阪弁と標準語のチャンポンやな」<br>　ココと呼ばれたのは何十年ぶりだろう。ふわっと温かい気持ちがわいてくる。<br>「え、ちゃうで大阪弁喋れるで」<br>言語の切り替えを怠っていたと反省しつつ、照れ笑いで誤魔化した。<br>「誰かと待ち合わせしてるん？」<br>「うんん、一人やけど」<br>「あ、ほんなら相席してええか？」<br>「あ、勿論。ええよ」<br>「注文してくるわ」<br>　サルはナップザックを向かいの椅子に掛け、携帯電話を持ってカウンターへ注文に向かった。<br>『やっぱり苗字で呼ぶべきやったかな。子どものころは良かったけど、大人に向かってサルはないよな。でも、名前を苗字で呼んだことは一度もなかったし…...』<br>　しばらくするとコーヒーとマカロンが二つのったトレイを持ってサルが戻ってきた。<br>『名前の呼び方について提案したほうがええかな？　いや名前を呼ばずに会話できるんちゃうか？　』<br>「ココ、よかったらマカロン一個食べ」<br>サルは、晴天の空のような青色のマカロンと救命具を思い出すような鮮やかなオレンジ色のマカロンを交互に指差した。<br>　私はマカロンと最中が大嫌いだ。外側の皮が唾液を全部もっていくし、口の上に貼り付く感じがイラッとする。丁重に断ろうか悩んむ。<br>「ココには、元気色のオレンジやな」<br>サルはそう言うと、私のトレイにオレンジ色のマカロンを置いた。<br>「なんかオレンジって元気でえへん？俺だけ？」<br>「あ、わかる。なんか体に取り込んだ途端にエネルギーになってくれそうな感じの色やんな！　」<br>そう言いながら、私は手のひらをサルに向けながらエネルギーを送るポーズをした。<br>爆笑しながら、サルは手を叩いている。<br>「ココ変わってへん。相変わらずおもろいなぁ」<br>「自分に言われたないわ」<br>つられて笑いないながら、先程からの悩みを解決したことに気がついた。<br>『そうそう、大阪はこれや！　自分やん！　大阪には自分自身を指す場合と相手自身を指すときに便利な言葉があったやん』<br>　サルと呼ばずに済みそうやとホッとしていたところに、目の前でサルがひとくちで青いマカロンを口の中に押し込んだ。<br>『ひとくちでいくか、ふつう…...。相手はパサパサマカロン様やで』<br>　咀嚼を始めたサルを横目に、私は冷めたコーヒーで口の中を十分潤してから、袋からオレンジのマカロンを取り出しひとくちで口の中に収めた。<br>「ぶほっ」<br>案の定、サルは口の中で噛んでいたマカロンを吹き出し、慌ててコーヒーに口をつけたが熱くて悪戦苦闘している。<br>　私は少し顎を上げて自慢げにマカロンを咀嚼すると、改めて冷めたコーヒーをもうひとくち飲んだ。<br>「必殺マカロン様攻略法！　」<br>とすかさず私は叫んだ。<br>サルは、熱いコーヒーを「あちち」と口に含みマカロンを飲み込んでいる。<br>「お主やるな」<br>サルは笑いながらそう言うと、咳払いして、口の中のマカロンを流し込もうと熱いコーヒーに苦戦しつつ涙目になってる。<br>『なんでやろ。もう何十年も会ってないのに、普通に昔のように話せるってなんか不思議やな』<br>　そんなことを考えながらふと疑問が浮かんだ。<br>「......ん？　ところでなんで私が標準語使うってわかったん？　」私は首を傾げた。<br>「東京におったんやろ？　さっきも、『言っちゃって』とか言ってたで」<br>サルは、何気ない会話を聞き逃さず、鋭く指摘してきた。<br>「そうやねん。えっと三十年大阪人。三十年東京人。ハーフ&amp;ハーフやな」<br>訳のわからない説明を自慢げに言ってから、私は本題からずれていることに気がついた。<br>「や、ちゃうねん。せやなくて三十歳の頃に東京に行ったから、なんで知ってんのかなって思て」<br>　私達は大学に入ってから徐々に疎遠になっていたから……。<br>「あれ？なんで知ったんやっけ？」<br>サルは目を宙に彷徨わせている。<br>「まあ、ええやん。俺にはなんでもわかるんや」<br>自慢げにそう言うと、飲み頃になったコーヒーを美味しいそうに飲んでいる。<br>「で、今日は里帰りからの買い物か？」<br>サルはこちらを見ることなく、手元でマカロンの包み紙を几帳面に蛇腹に折りたたみながら聞いてきた。<br>「あー、もうすぐ大阪に戻って来ようと思って、家探しに戻ってるねん」<br>そう言って携帯をサルの顔の前に差し出し、先ほどまで見ていた物件サイトを見せた。<br>　サルはメガネを頭の上に乗せると、やはり画面五センチのとろこで止まっている。<br>「お互い小さい字には敵いませんな」<br>私はニヤニヤ笑いながら手元に携帯を戻すと、スクロールしながら愚痴をこぼした。<br>「でも、街も様変わりして、どの辺が良いのかもわからへんねん。なんか浦島太郎状態やわ。甘かったわー！　」<br>「実家には戻らへんの？」<br>サルが間髪入れずに聞いてきた。<br>「うーん、まあ、この歳で家族と暮らすのもお互いしんどいかと思て......」<br>私は家庭内の話はしたくないので、少し濁した言い方になった。<br>「それって、アグリーやわ。つかず離れずがいいよな。ココ、一人で住むんか？　」<br>その問いに、私は即答出来なかった。<br>　一年前に、長年一緒にいたパートナーを亡くしたばかりで心が癒えきらないでいた。一緒に過ごした東京のマンションで暮らす寂しさに打ち勝つには歳をとり過ぎたし、何よりも大阪に戻りたい気持ちが強くなっていた。今でも二人で当たり前にいた頃を、思い出すと泣いてしまいそうになる。<br>黙り込む私のそばで「えー、どれどれ」と言いながら、サルは自分の携帯を取り出し物件サイトの検索を始めた。<br>『優しいのは本当に変わらんなあ』<br>「まあ、探す時間はあるから」<br>話を変えようした。<br>「あら、もう会社をお辞めになったのかしら？」<br>サルは昔から茶化してオネエ風山手言葉で笑わかす時がある。<br>「そうではないんですのよ。我が社にはサバティカル休暇という制度があって、三か月ほど休めますの。ほほほー！　」<br>私も山手言葉返しで答えた。<br>「そうか、三ヶ月もあるんか」<br>サルは携帯をテーブルに置くと腕組みして考え始めた。<br>「自分は今何してるん？」<br>サルの近況が知りたくて聞いてみる。<br>　しばらくの沈黙......。<br>『もしや耳遠くなったか？　いや、なんかの地雷踏んだか？　』<br>「え、ああ。早期退職してな。今はフリーや」<br>簡単な答えが返ってきたので拍子抜けした。<br>　冷めたコーヒーを飲み干し、もう一杯飲もうか迷っていると、サルが早口で言った。<br>「ココ、ウチにこうへん？」<br>しばらくの沈黙。<br>「......へっ？　」<br>と声に出して携帯から顔を上げると真顔でサルが見ている。<br>　私の顔が、『WHY？　』になっていることに気付いたようだ。「あ、いや。俺な、いま大家やってんねん」<br>「大家？　やってる？　」<br>私は聞き返す。<br>「そう、賃貸の貸主のことざます」<br>サルは、山手言葉ですましている。<br>「はあ…...」<br>私の顔は『Why？　』ままである。<br>「なんか意外やな。なんで大家なん？大家って何するん？」<br>大家業であることに驚いた私の脳は、無意識に浮かんだことを聞いてる。<br>「えっと、場所は山のほう。オジイとオバアが、あ、祖父母のことな。昔から住んでたんやけど、亡くなってからしばらく誰も使ってなかってん。亡くなる前から俺に相続するって言われてたから、ニ年前から退職金つぎ込んで、手を加えて住めるようにしてん」<br>「じゃあ、アパートとかじゃないんや」<br>私は何故か、古い木造アパートを勝手に想像していた。<br>「そう平屋の一軒家なんやねん。昔、オジイとオバアが下宿屋をやっててな、部屋は六つあって人に貸してる。で、俺もそこに住んでんねん。キッチン、リビング、お風呂は共同、トイレは三つある。各部屋は中から鍵がかけられる。普段住人は、好きなところで過ごしてる。あ、小さいけど図書室もある」　<br>サルは一気に、家の説明を終える。<br>「住人って、何人住んでるん？」<br>まず、気になることを聞いてみた。<br>「ココ、ポッポのこと覚えてる？」<br>サルは懐かしいサイドネームを口にした。<br>「あ、もちろん。元気にしてるん？　」<br>顔はうろ覚えだと言うことは黙っておこう。<br>「まあ、元気かな。ポッポにも部屋を貸してる。あとは元同僚だった双子の兄妹。あ、男女の双子。言われないと全く似てなくて、家を直す時も手伝ってくれてん。あとは…...」<br>サルはそこまで言ってスッと目線を上げた。<br>『......ん？　なんか考えてるん？　』<br>私は咄嗟に笑ってふざけた感じで言った。<br>「まだいるん？　大繁盛やな」<br>　誰がいるのか分かったような気がした。<br>「あとは、平日だけのんが住んでる」<br>サルは若干早口で、けれどはっきりとそう言った。<br>　私の勘は当たっていた。<br>「なんや、平日だけなん？」<br>できるだけ笑顔は崩さず聞き返した。<br>「そう、土日は必ず実家で親の面倒みてる。でも平日も仕事で帰ってこうへんこともあるかな」<br>「まだ、看護師してるんや。しかも親孝行は相変わらずやな」<br>「うん、仕事は毎日じゃないな。週二、三日くらいやと思う。のんは、もう一年前くらいから住んでるかな」<br>「そうなんかあ。なんか懐かしいな」<br>　私は長年の人生経験から、この誘いに乗ると何かが動き出すような気がした。複雑な気持ちが混ざり合う。<br>「とにかく、三ヶ月はこっちにいるんやったら見にこうへん？気に入らなかったら、家探し手伝うわ。これでも大家仲間もおるんやで」<br>サルの声は弾んでいて、なんだか楽しそうだ。<br>　私は頭の中は複雑な気持ちと、懐かしさが戦っている。<br>「むっちゃ美味しいコーヒーを淹れるマシンと豆は、いろいろ揃えてんで！　」<br>サルのこの一言で、私は即答した。<br>「すぐ行こ！　」<br>　さっさと身支度を済ますとサルと共に店を出た。<br>「あ、車できてんねん。駐車場に行く前に買い物付き合ってくれへん？」<br>サルが人差し指で下をさす。<br>　コーヒーショップの一階は大手スーパーが入っている。エスカレーターで下に降りると、サルはカートにカゴを上下に二つ乗せると、携帯を片手に野菜、肉、調味料、パン、米、ミルクなど、どんどんカゴに入れていく。<br>「ココ、チョコレート好きやんな」<br>そう言うとチョコレート菓子をいくつかカゴにいれる。<br>「後は…...」<br>メモを取り出すとシャンプーのメーカーをブツブツ言いながら探し始めた。<br>「あ、これちゃう？」<br>私が見つけて渡す。<br>「ありがとう。よう詰め替えってわかったな」<br>そう言いながら、山盛りのカゴの上にそっとシャンプーの詰め替えをのせた。<br>「主婦歴三十五年を舐めんといてや。カゴ、もう一個持ってこよか？　」<br>「あ、ええよ。これで終りや」<br>サルはレジに並ぶ。<br>　このスーパーは、レジ打ちする人と、横で袋に入れてくれる人がいるサービスがあるようで、サルが清算をしているうちに、カートに幾つかの袋を積み込んでいる。<br>「へえ、カートのまま駐車場に行けるんや」<br>「え、ココ知らんの？」<br>サルはなんだか楽しそうに言う。<br>　私もなんとなく楽しくなってきた。<br>サルは、山のような荷物をあっという間に車に積みおえた。<br>「ココ、先に乗ってて」<br>そう言って助手席の扉を開けてくれた。<br>　私は乗るとシートべルトをもたつきながらつけ終わると、サルの姿が見えなくなった。<br>『カッコあれ？　どうしたんやろ？　』<br>　キョロキョロしてると、ガチャと音がして運転席の扉が開いた。<br>「お待たせー。カート返してきた。じゃあ、行こか」<br>　サルは買い出しで慣れているのだろう。スムーズに駐車場を出ると街の北向きにハンドルをきる。<br>　関西は山が多く大体北側には山がある。この街も北側は山が広がり、山の峠の辺りで京都府になる。<br>「十五分ほどで着くわ」<br>サルはそう言うと、信号待ちにラジオを音楽チャンネルに合わせている。<br>　なんか勝手にちょっと緊張している自分がいる。<br>『なんでやろ？　』<br>　信号が青になると、車窓から様変わりした街並みの中に、昔からある店を見つけると、次々に思い出が蘇りはじめ、緊張は徐々に解けていった。</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/na1f77f655fbc'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 10 Jun 2026 23:56:48 +0900</pubDate>
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      <title>【心艶ややく小説】（1）一億階建てマンションの最上階に住む住人</title>
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      <description><![CDATA[<p name="F0295181-7E02-4640-B6BF-375EF9DF7AC9" id="F0295181-7E02-4640-B6BF-375EF9DF7AC9"><b>〈第一章〉ホーキン・シュタイン博士</b><br><br>　一億階建てマンションの最上階にホーキン・シュタイン博士は住んでいた。<br><br>四方が一万キロメートルはあるキューブ型の『ワンルーム』の部屋には、トイレもバスルームもキッチンもなく文字通り巨大なワンルーム空間だった。</p><p name="D3B3E9DA-37A6-4876-A538-10B6C8020C49" id="D3B3E9DA-37A6-4876-A538-10B6C8020C49">　驚くべきは、おびただしい無数の多種多彩な植物の海原が果てしなく続く様は圧巻だった。</p><br/><a href='https://note.com/shinga_tsuyano/n/n75e0078cfc50'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>心賀　艶乃</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 05 Jun 2026 18:36:46 +0900</pubDate>
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