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国立新美術館で開催されていた《田名網敬一 記憶の冒険》展を見てきました!

ピラミッドフィルム クアドラでデザイナー・アートディレクターをしている“すーさん”と申します。
少し前になりますが、9月某日、国立新美術館で開催されていた《田名網敬一 記憶の冒険》展を観に行ってきました。
自分の所感と展示内容をまとめてみましたので、お時間のあるときにぜひ読んでみてください。


《NO MORE WAR》エリア

展覧会と田名網敬一について

田名網敬一初の大規模回顧展が国立新美術館で開催され、絵画やアニメーションなど多彩な作品を通じて、60年にわたる活動を振り返りました。
1960年代から活躍する一流のアーティストであり、デザイナー・アートディレクターとしても高く評価され、作品は世界の有力美術館に作品が収蔵されています。

私が田名網敬一さんを知ったのは、十数年前のこと。田名網敬一さんの教え子のデザイナーと同僚だったのがきっかけです。

開催直後の8月9日、田名網敬一さんは亡くなられました。
謹んでご冥福をお祈りします。

会期:2024年8月7日~11月11日
会場:国立新美術館
住所:東京都港区六本木7-22-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル) 
開館時間:10:00~18:00(金〜20:00) ※入場は閉館の30分前まで
休館日:火
料金:一般 2000円 / 大学生 1400円 / 高校生 1000円 / 中学生以下無料

引用:美術手帖


鮮烈な色彩が紡ぐ「記憶」の物語

ほぼ時系列的に並んでいるので田名網敬一の活動の歴史を振り返ることができる回顧展らしい構成です。

特に印象的だったのは、代表的な作風である大小様々なエレメントが組み合わさった巨大なコラージュ作品
明るくポップでありながら、自身の記憶にある「生と死」「戦争経験の恐怖とアメリカへ憧れ」と相対する意味の葛藤などが、混ざり合った感情が洪水のように迫ってくるようなインパクトがあります。

《記憶の修築》エリア
《記憶の修築》エリア

僕はこの世の中のすべての創造行為は、広義の解釈での編集とデザインだと想定して、必然的にメディアを横断していましたから。

引用:「田名網敬一 記憶の冒険」

田名網敬一の原体験や記憶の断片を、グラフィックデザイナーとしての編集技法をコラージュという形で再構築されており、その細部を追っているうちに、時間を忘れて見入ってしまいました。


自分の記憶をたどる「記憶の冒険」

個人的な記憶や原体験を題材にしているだけでなく、観る者にそれぞれの記憶や感情を呼び起こさせます。そのため、どの作品も「見る」だけでなく、「感じる」体験そのもの。

単に「美しい」や「楽しい」を超えて、自分の内面や過去を振り返るきっかけを与えてくれるものだと感じました。田名網敬一が生きた時代や記憶を追体験しつつ、自分自身の「記憶の冒険」へと導かれるような、不思議な時間を過ごせました。

下記の1987年に描かれた《フレデリック・ロイス―臓器の劇場》は、代表的なコラージュ作風とは異なるが、壁面の鮮やかな青と作品とのコントラストに惹かれ、なぜかはわからないが、しばらく立ち尽くしてしまいました。

《フレデリック・ロイス―臓器の劇場》
《アルチンボルドの迷宮》 エリア
《藐の札》エリア
《藐の札》エリア
《藐の札》エリア


展覧会全体がアート作品

展示スペース全体が、ただ作品を並べるだけでなく、「記憶」の迷宮(迷うことはありません)のようになっているのも印象的でした。どの作品も独立しているのに、全体がひとつの物語を紡いでいるよう。照明などの演出も細部まで考え抜かれており、空間自体がひとつのアートとして楽しめました。

《ピカソの悦楽》エリア
《ピカソの悦楽》エリア

作品の多様さ膨大な量は、メディアの垣根を軽々と超えていく

展覧会で圧倒されるのは、その作品の多様さと膨大な量です。雑誌やスペースのアートディレクション、ポスターなどの広告、アニメーション、さらには実験的な展覧会に及び、田名網敬一の活動はメディアの垣根を軽々と超えていきます。

《田名網キャビネット》エリア

田名網敬一が語るように、アートとは、編集とデザインそのものなのです。

僕はこの世の中のすべての創造行為は、広義の解釈での編集とデザインだと想定して、必然的にメディアを横断していましたから。

引用:「田名網敬一 記憶の冒険」


田名網敬一 + 赤塚不二夫コラボ

以前、PARCO MUSEUM TOKYOで展示されていたコラボ作品もありました。田名網敬一が生前に親交・憧れがあったマンガ家・赤塚不二夫に想いを馳せて生まれた作品です。

《田名網キャビネット》エリア
《田名網キャビネット》エリア

アーティスト・デザイナーとしての集大成ともいえる大回顧展の企画・制作に携わり、その開幕後にこの世を去られました。その姿勢はまさに「生涯現役」という言葉がふさわしく、改めて深い敬意を感じました。

これでいいのだ!!

(この記事の内容は2024年11月29日時点での情報です)

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