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【登壇レポート】RPG型ワークショップで学ぶ「PRとコミュニケーションの本質」

こんにちは! ワン・パブリッシング広報の藤原です。
以前こちらのnote記事で愛を叫んだ通り、私は「三度の飯よりRPG(ロールプレイングゲーム)」な人間。実は最近、遂に“仕事でRPGを楽しむ機会”に恵まれたので、居ても立ってもいられずこの記事を書いています。しかも他社の方を20名近く巻き込んで、です!
 
その機会とは、クリエイティブカンパニーのロフトワーク社が実施している社内勉強会「あっちとこっちと」

「ディレクションの仕事には、パブリックリレーションズ(PR)の視点が必要なのでは?」という問いを掲げて企画され、過去3回開催されているこの会に、講師としてお邪魔しました。私の「現在は広報、以前はウェブメディア編集部員」という経歴に注目いただいたようです。いずれも「PR」とは切っても切れない仕事ですからね!

本イベントの仕掛け人である、同社のクリエイティブディレクター・高橋ナオヤさん、広報の宮崎真衣さん、バイスマーケティングマネージャーの後閑裕太朗さんから会の目的を詳しくうかがったところ……「ワークショップに、RPG要素を取り入れると面白いかも!」と、ひらめいてしまいました。私が単に楽しむためだけじゃありませんよ!

「パブリックリレーションズ」と「コミュニケーション」を考え尽くす夜】と題し、参加者の皆さんと「コミュニケーション筋」を限界まで追い込んだ、アツい一夜の模様をお届けします。


 ↑藤原作成の発表資料。遊び心が爆発して、ゲーム風デザインになっちゃいました!

~「クライアントのその先」を見据える力を求めて~

セミナー当日、会場に入ると20人ほどの参加者が集まっていました。彼らは、日々クライアントと向き合い、数々のプロジェクトを形にしているロフトワークの精鋭プロデューサー、ディレクター陣。高橋さんによると「クライアント企業と伴走し、プロジェクトの品質に留まらず、担当者の社内リレーション構築をも良好にするための仕組みを整えている」人たちだそう。

ただ、日ごろ相対しているのが「クライアント」であるため、「クライアントの先にいる生活者」について考える機会が少なく、“to C”視点を養いにくいのを課題に感じているのだとか。
業務においてto B視点は大事ですが、クライアントが見据えている生活者の属性やニーズを知り、どうすれば情報を広く周知したり、行動を喚起させることができたりするのか想像できないと、クライアントの要望や期待に応える企画提案がしづらいですよね。

その課題を解決するべく、高橋さんが発案したのが「あっちとこっちと」

↑会の副題は「クライアントのその先を見つめ直す夜」。

今回、私が「第4回の講師に」とお声がけいただいたのは「to C視点をよく理解している、PRのプロフェッショナル」とご期待いただいたから(大変恐れ多いです)。
メディアとして働いていた頃も、広報としてメディアを相手に情報提供している今も、私は「to C視点」や「PR」とは切っても切れない日々を送っています。下記の基本認識があるためです。

メディア:社会情勢や生活者(読者)の興味関心を探って企画を考え、取材し、記事を配信するのが仕事
→主に意識するのは、世の中の反応や読者視点=to C

広報:メディアに情報提供し、自社の商品・サービスを記事や番組で取り上げてもらうのが仕事
→主に意識するのは、メディアが抱えている読者視点=巡り巡って「to C」

例えば、ITの最新ニュースを配信するウェブメディアに、一般的な料理書の情報提供をするのはミスマッチ。
ただ、どうしてもこのメディアに料理書の情報をPRしなければならないなら、「IT情報を欲する読者が興味を持つ記事が書けそう」と、メディアが想像できるようなアプローチを考える必要があります。

相手が何を求めているかを探り、想像し、「情報を、相手にとって価値あるものに翻訳して届ける」ことが大事なんです。PRと聞くと、宣伝・広告といった一方的な発信をイメージする人も少なくないかもしれませんが、私は相手とWin-Winの関係を築く「戦略的コミュニケーション」だと認識しています。

広めたい情報がメディアに取り上げられ、認知度向上や売り上げ増につながること、読者や視聴者に情報が寄与すること、メディアが「PV(ページビュー)」を獲得できること――広報、メディア、生活者の全員がWin-Winな関係を目指すこのPR」のプロセスを体験することこそ、「あっちとこっちと」に必要なものではないか?
この思い付きから、私はこう考えました。

「それなら、メディアと広報の役割(ロール)をそれぞれ体験してもらえばいいんだ」

つまり、ロールプレイングゲームです!

~突然ですがボス戦です―超実践型ロールプレイング・ワークショップ~

今回ロールプレイング型ワークショップで取り上げた題材は、ロフトワーク社が実際に携わったプロジェクトです。

参加者は二人一組でペアを作り、一方が「広報役」、もう一方が「メディア役」を担当。ワークショップは計2回行い、1回目と2回目で役割を入れ替えます。
題材は、1回目が「阿寒アイヌアートウィーク2025」、2回目は日産「DRIVE MYSELF PROJECT」。宮崎さん、後閑さんが選んでくれました。
広報役は、これらの題材についてメディアに情報提供し、「取材させてください」というリアクションを勝ち取れればゴール、という内容です。

情報提供前に、広報役とメディア役にはそれぞれ資料が渡されます。共通情報として書いてあることも一部ありますが、ほとんどは互いが知り得ないことばかり。
例えば、メディア役の資料には「編集長から提示された条件」が書かれています。広報役からどんなにアツく「あなたに取材に来て欲しいんです!」と口説かれても、編集長が示した条件を満たしていない限りは、「取材しましょう」とは言えない状況です。

いざワークショップが始まると、皆さん一分一秒が惜しいという様子で「よろしくお願いします!」と前のめりに挨拶。まずは広報役がバトンを持って、話を進めていきます。
ロールプレイング形式のワークショップは「あっちとこっちと」では初だと聞いていましたが、とてもそうは思えない勢いに圧倒されました!

↑全10組ほどができました。普段の関係性は忘れ、“初対面のメディアと広報”としてやりとり!

これは簡単すぎたかも……と私が内心焦っていると、会場のどこかから、「この情報は微妙か〜」とのボヤきが。見れば、あるペアの広報役が困り顔をし、メディア役が「うちが抱えている読者には、ちょっとピンとこないんじゃないかと」と答えていました。
しかしそこで、メディア役から「ちなみにこんな情報はありますか?」とフォローの質問が飛び、おかげで話が繋がったようです。ナイスコミュニケーション!

今回のワークショップは、手渡した資料と各題材の公式サイトに載っている情報で、前述の「ゴール」が達成できるように設計したつもりです。
しかしロフトワークの皆さんにとって未経験の業種であることや、インプットと情報提供の時間が短いこともあり、非常に歯応えのある難易度に仕上がっています。

それでも、2回のワークショップで「ゴール」に至った(メディア役が「取材します」と答えた)ペアが2組もいました!
正反対の立場を経験したことで、このような気づきを得てくださったようです。

「先にメディア側を体験したので、『広報になったらこう立ち回ろう』と考えていたのに、いざ広報役をやったら想定通りに動けず、PRの難しさを痛感した」
「普段は『クライアントに提案する側』なので、メディア役として『提案される側』に立ってみて、情報を受け取る立場の気持ちがよくわかった。業務に生かしていきたい」

……やはりロールプレイング(ゲーム)は偉大!

~そして懇親会へ……。「コミュニケーション筋」を鍛える旅に終わりなし~

ワークショップ終了後の懇親会で参加者と交流した際、多くの方が「考えすぎて頭が疲れた」と話していました。それはきっと、自分の持つ情報をそのまま相手に投げず、どうすれば相手が受け取りやすいか、メリットや魅力が伝わるかと必死に「咀嚼(そしゃく)」したからではないでしょうか。
トレーニングと同じで、頭を使って相手の立場や心情を想像し、悩み続けることでしか、「コミュニケーション筋」は鍛えられないと思います。PRにおいて、欠かせない力です。

「ディレクションの仕事には、パブリックリレーションズ(PR)の視点が必要なのでは?」

この問いから始まった「あっちとこっちと」に、私なりに寄与できていると良いのですが!

主催者であるロフトワークの皆さんと、ゲストである私が、「参加者にとってのハッピーエンドとは何か」を考え、全力でコンテンツを編み上げる――セミナー当日までのプロセス自体が、まさに「戦略的コミュニケーション」そのものだったと感じています。

今回、ワークショップ内容は早々に決まった一方で、難航したのが難易度調整でした。何を題材にすべきか、どんな情報をどこまで参加者に知らせるべきか……高橋さん、宮崎さん、後閑さんと細かなすり合わせを何度も重ね、最終的に「ロフトワークの皆さんが本気で悩める」形に落ち着いたのです。
(最初に私が作ったプロトタイプ版は、恐らく本職の広報とメディアが取り組んでもゴールできないほどの難易度だったのではと今にして思います(笑)。気合が入り過ぎました!)

当日、参加者が頭を抱えながらワークショップに挑む姿を見て、「4人パーティーでダンジョンを攻略した」ような、大きな感慨がありました!

↑(左から)ロフトワークの後閑さん、宮崎さん、(ワン・パブリッシング・藤原)、高橋さん。

「教えることは、学ぶこと」。おかげさまで私も、PRやコミュニケーションとは何か、広報の役割とは何なのか、という問いに立ち返って新たな気づきを得ることができました。これからもたゆまず「コミュニケーション筋」を鍛えていこうと思います。

ロフトワークの皆さん、素敵な機会をありがとうございました!

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