「それから?」が持っている、たった一つの力
「それから?」は、もっとも短い問いかけのひとつです。
たった四文字。でもこの一言が、相手の言葉を次の層へと引き出してくれます。
沈黙を埋めるのではなく、空間を開ける
人の話を聞いていると、「なるほど」「それは大変でしたね」と返したくなりますよね。でもそのたびに、会話の主導権はこちらに移ってしまいます。
「それから?」は違います。
主語も、評価も、解釈もありません。
ただ「続きがある」という前提だけを静かに示す。
相手は自分の言葉の続きを、自分の力で探し始めます。
たとえば、友人が「先週、上司にきついことを言われて……」と
話してくれたとします。
そこで「それはひどいね」と返すのではなく、
「それから?」とだけ言ってみる。
すると相手は、「でも、よく考えたら自分にも原因があったかもしれなくて」と、自分でもまだ整理しきれていた言葉を続けてくれることがあります。
評価を保留して「続き」を待つことで、相手が自分の内側に降りていけるのです。
思考の整理にも使えます
これは対話の技術だけではありません。
自分の考えを整理するときにも有効です。
何かを書いていて行き詰まったとき、
「それから?」と自分に問いかけてみてください。
「ここまでは言えた。それから?」と続けると、
まだ言語化していない何かが顔を出すことがあります。
たとえば、「自分は人前で話すのが苦手だ」と書いたとします。
そこで止まらず「それから?」と問う。
すると「準備しても頭が真っ白になる」
「でも小さな場だと平気」
「場の規模ではなく、知らない人が多いと緊張するのかもしれない」と、
芋づる式に思考が展開していきます。
最初の一文では見えていなかった本質が、
「それから?」の繰り返しによって浮かび上がってくるのです。
「なぜ?」との違い
似た促しに「なぜ?」があります。
ただ「なぜ?」は掘り下げる方向に力がかかります。
過去の原因や理由へと向かう問いです。
「それから?」は前に進みます。
次の展開、その後の変化、まだ語られていない続きへと向かっていきます。
同じ場面でも、使い分けると見えてくるものが変わります。
「なぜ苦手なの?」と聞けば原因を探ることになり、
「それから?」と聞けばその後どうなったか、どう変わったかが出てきます。
どちらが正解ではなく、引き出したいものによって選ぶ問いが変わる、
ということです。
こんな場面で使ってみてください
誰かが出来事を話してくれている途中
自分のアイデアが途中で止まっているとき
相手が「うまく言えないんですけど」と止まったとき
どの場面でも「それから?」は、裁かずに、ただ続きを待ちます。
促すとは、引き出すことです。
答えを渡すのではなく、相手の中にあるものが出てくる余白をつくること。
「それから?」という短い問いは、その余白の形をしています。
次に誰かの話を聞くとき、一度だけ試してみてください。
評価を手放して「それから?」と言う。
それだけで、会話はすこし深くなります。
このnoteを読み終えた後、あなたの世界は少しだけ広く、
奥行きのあるものに変わっているはずです。
なぜなら、あなたはもう、結論を急がなくていいことを知ったからです。
行き止まりに見えた壁の向こう側に、
まだ書かれていない白紙のページが続いていることに気づいたからです。
人生を劇的に変えるのは、大層な決断ではありません。
「物語の続き」を自分に許す、その小さな隙間なのです。
今日の一言
今日は、誰かとの会話で
一度だけでいいので使ってみてください。
【それから?】
そのあと、何が起きるか。ぜひ感じてみてください。
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この一言、地味ですがかなり強いです。
使い込むと「会話の景色」が変わりますよ。
