#8-12 無関心な願い|追憶のオリジン~氷の女王の眠る街

【前回までの話】
時空の歪んだ氷山で会えずにいた五人が、ついに合流した。レイは魔法を使うことへの迷いを断ち切り、意見を違えているルリとイオへ謝罪を口にするのだった。
第8話 無関心な願い
「……ルリ、イオ。
これを渡しておくよ。
入り口では、厳しい態度をとって悪かった」
レイが差し出したのは、オリジア石だった。
ルリは一瞬、驚いたように目を見開くと、すぐにふっと柔らかく微笑んだ。
首を横に振って答える。
「いいのよ。
でも、私たちが持っていても光らないわ。オリジンじゃないもの」
「光るだけが役割じゃないさ。これは、君の街のものなのだから」
丁寧に手渡された六角柱の石を、ルリはおずおずと受け取る。
「……ありがとう」
「イオは、愛の塔の石だ」
「はい。ありがとうございます」
オリジンであるレイの手を離れた途端、白く輝いていた石はみるみる光を失い、黒色へと変わった。
その冷ややかな重みを、ルリはじっと見つめた。
レイがぽつりとつぶやく。
「空白の塔の石も……ウォールとドーマに返せればいいのだけれど」
レイの言葉に、ルリは不思議そうに尋ねる。
「なぜ彼らに? 敵でしょう?」
それを聞いたタトは、空洞を見つめながら声を落とした。
「……そうかもしれないし、そうではないかもしれない」
「どういうこと?」
ルリの大きな青い瞳が、タトを見つめる。
かつては「理解できない」と離れた考えを、今は知りたいと思っているのだ。
「うまく言えないけれど……彼らは、ボクと同じなんだ」
「あら、全然違うわ。あなたは人々を苦しめてなんていないもの」
ルリのきっぱりとした否定に、タトはうつむいた。
「でも……、
ボクの無関心と他力本願が、彼らを氷にしてしまったんじゃないかって……」
ルリは小さく唇を結び、一度まぶたを伏せた。それから、タトへ視線を向けてゆっくりと言った。
「それは彼らの勝手よ。あなたが苦しむ必要なんてないわ」
慈しむようなルリの言葉。しかし、タトの目線は、ウォールとドーマが落ちていった深淵を見つめていた。
「……ボクは、寄り添おうとしてこなかった。知ろうともしなかった」
沈んだ表情のタトを、ミミは心配そうに見上げた。
一方イオは、それぞれの言葉が交わされる傍らで、機能停止したかのように静止していた。
しかし、仮面の奥の光は休むことなく、二人の言葉が生み出す「揺らぎ」を、熱心に追い続けていた。
(つづく)

◯本編はこちら
◯設定・サイドストーリーはこちら
〇第八章マガジン
いいなと思ったら応援しよう!
ここまで読んでくれてありがとう♡