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【登録販売者大活躍時代】ツルハが登録販売者とともにつくる、「選ばれる店」とは

業界最大手のツルハホールディングス(HD)は、登録販売者をいかに育成し、その能力をどう活用しようとしているのか。同社の理念と、それを支える教育体制、そして現場での実践に迫る。



気軽に立ち寄れる地域の“よりどころ”へ

▲ツルハドラッグ 中野若宮店

DgSが地域社会の健康インフラとして定着した現在、そこで働く専門家、とりわけ登録販売者の役割はかつてなく重要になっている。

ツルハHD、そして事業会社のツルハでは、登録販売者の役割をどのように位置づけているのか。ツルハHDの能力開発部で医薬品教育を牽引する佐藤雄大グループリーダーは、「気軽に立ち寄れる“よりどころ”のような存在」であるべきだと語る。「医師にかかるほどではないが、少し体調が優れない。そんなときに気軽に相談できる場所。それが私たちの目指す姿です」。

薬剤師でもある佐藤氏は、専門家が陥りがちな「専門用語の壁」を指摘する。薬剤師はお客さまからの質問に対してつい専門的な説明をしがちだが、登録販売者の多くは、元々は資格を持たない一人の消費者であった経験を持つ。

だからこそ、お客さまの立場に立った「消費者目線」で、より「自分事」として捉えてもらえるような対話が可能になる。

もちろん、医薬品についての接客は登録販売者だけで完結するわけではない。自身の知識で対応が難しいと判断した際には、薬剤師へ的確にバトンを渡す「架け橋」としての役割も担う。

同社では、調剤薬局を併設していない店舗の登録販売者が、近隣店舗の薬剤師に電話で指示を仰ぐといった連携も日常的に行われている。お客さまと専門医療とをつなぐ、最初の、そしてもっとも身近な相談窓口。それがツルハの考える登録販売者の姿である。

現在、ツルハHD全体で約1万6,000人、株式会社ツルハだけでも1万人弱の登録販売者が在籍する。この巨大な専門家集団をいかに活性化させ、地域社会に貢献していくか。その鍵は「専門性の発揮」にあると佐藤氏は強調する。

かつては出店のために「登録販売者はいてくれるだけでいい」という側面があったかもしれないが、コンビニや家電店などの異業種でも医薬品の購入が可能になった。医薬品コーナーで適切な応対ができなければ、登録販売者は不要な存在になりかねない。

専門家だからできる「受診勧奨」という使命

コンビニや家電店にはできない、DgSならではの専門性とは何か。それは、適切な情報提供と、ときに「受診勧奨」を行うことにある。ツルハドラッグ 中野若宮店で店長を務める登録販売者の清水理恵子氏は、受診勧奨を行う場面は決して少なくないと話す。

「複数の薬を服用されている方、市販薬では対応しきれないほど症状が重い方、アレルギーのリスクが考えられる小さいお子さまなど、お話を伺うなかで、医師の診察が必要だと判断するケースは頻繁にあります」

▲健康ナビゲーションの画面。はい、いいえで答えると、受診勧奨が必要かどうかをサジェストしてくれる。このほか商品解説や漢方の選び方など豊富なコンテンツを提供

ツルハでは、登録販売者になりたての人材でも迷うことなく判断ができるよう、JACDS(日本チェーンドラッグストア協会)のガイドラインを組み込んだアプリケーション「健康ナビゲーション」を導入。症状に関する質問に「はい/いいえ」で答えていくことで、受診勧奨が必要な場合にアラートが表示されるようになっている。

▲接客・受診勧奨は登録販売者の重要な仕事のひとつで、決して「売ること」が目的ではない

「経験豊富な従業員は自律的に判断できますが、資格を取りたての新人など、不安を抱える従業員にとっては心強いサポートになります」と佐藤氏はその狙いを語る。医薬品の説明には大きな責任が伴う。だからこそ、手に負えないと判断した際に、アプリなどの力を借りつつ適切な専門家(薬剤師や医師)へつなぐ能力もまた、登録販売者に求められる重要なスキルなのだ。

また、登録販売者にとっては、指定医薬品の濫用防止だけでなく、あらゆる医薬品の適正使用を促すことも重要な役割だ。

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