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キッチンを断捨離したら、私の「カンブリア爆発」が出てきた。

私が体調不良に沈むと、夫にヤケクソスイッチが入るらしい。火事場の馬鹿力ならぬ、夫の家事力(ヂカラ)。

昨日もスイッチが入ったのだろう。脱水症状からの偏頭痛でノックダウンされていた半日後、私が深夜0時にうしろめた〜く階段を降りると、リビングがピカピカになっていた。

工作コーナからは、「お絵描き用紙」「塗り絵」「子どもハサミ」「折り紙」などで、約500万年分積もっていた地層が消えていた。掘り出されたハサミと色鉛筆は、ジャムの空き瓶でくつろいでいた。

自室でゲームをしていると思っていた夫は、キッチンで脚立に座っていた。私に「お部屋きれいでしょ?」と笑いかけ、茎わかめをツマミに冷えた浄水を飲み、エガチャンネルを見ていた。酒も飲まなければイヤミも言わない。

私は冷やご飯にツナをかけてチンして、いつも娘たちに隠れてチョコを食べているキッチンの床に座る。体調もよくなったし、部屋もスッキリしたのに、リラックスできてるんだか、肩身がせまいんだか…複雑な気持ちでもそもそとツナご飯を食べる。

ずーーーっと見ないふりをしていた「やらなあかん」を夫に片付けてもらい、私も完全にスイッチを押された。

翌朝、パジャマのままで朝食も食べずに、私はまず冷蔵庫を開ける。奥で冷たい化石になっていた豚の角煮を捨てた。ほの甘酸っぱい匂いの塩糖水漬け鶏ムネ肉も、アイラップごと捨てた。臭くはないから、もしや奇跡のジューシーさで醸されているかもと一瞬脳裏をよぎったが…。賞味期限切れの納豆を食べる主婦代表として、無念極まりない。

冷蔵庫をパタンと閉め、私は2歩右にずれる。つづいて、キッチンの背面のカウンターのなだらかな丘に対峙した。海風で地形が変わる鳥取砂丘のように、このカウンターは私の忙しさで見た目が変わる。暮らしが落ち着いている時は、ステンレスのカウンターがシルバーに輝き、花瓶に花が生けてある。今は先述の通り、ふたこぶラクダの丘がある。

目立つものから手に取って片付け始めると、ほんとに地層を見ている気分になった。
上層にあるのは最近のものー春休みのお知らせや、写真購入のためのパスワード用紙。
真ん中にあるのは、2月のものー家族4人分のインフルの薬や、診療明細に医療費の用紙。
最下層は、初冬にもらった結婚式の引き出物のカタログだった。

私がこの地層に名前をつけるなら、これは「2ガツニシゴトヲハジメタシュフニアン」だ。

腐った鶏肉、放置されてた診療明細。地層の全てが、2月にnoteのほぼ毎日投稿を始めたことを物語っている。

2月は私のエッセイストとしてのビックバンであり、創作のカンブリア爆発だった。アドレナリンと共にパソコンに向かいながら、フローリングにぽろっとこぼし、片足で部屋の隅に追いやっていた「生活の行末」が、キッチンの背面カウンターに積もっていたのだ。

写真を注文し、引き出物を選び、医療費の紙は専用のファイルへしまう。最後にザラザラの砂みたいなゴミ屑(たぶんクッキーやおせんべいのカス)をハンディ掃除機でブォっと吸う。曇ったステンレス素材に、ちょんまげパジャマ姿の私が、ぼやっとうつる。ぼやっとくらいでちょうどいいので、布巾で磨くのは勘弁してやろう。

土曜の習い事へ向かう娘二人と、連れてってくれる夫を玄関で見送り、私はリビングに戻る。右手に脱水予防のOS-1を持って、パソコンへ向かう私の背中はなんだか軽かった。

創作に向かう後ろめたさも、どうやら掃除機で吸えたらしい。




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海沼 衣々花(みぬま・いいか) 書くを仕事に。一歩踏み出したばかりです。 毎日ヨタヨタ、おろおろ書いてます。 サポートいただけると跳び上がって喜びます。 コーヒーをご馳走していただくお気持ちで、お待ちしてます☕️

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