恩田陸 「spring another season」
ミニチュア作家のいわなり ちさとです。
紹介した作品は販売します。気軽にお問い合わせください。
2年前に「spring」本編が発行され、手元に置きたくて買いました。
あまり新刊が出るという情報を追いかけないので、去年12月に「spring」のスピンオフが出たのを今月まで知りませんでした。
「蜜蜂と遠雷」がとてもよかったのに、スピンオフは申し訳ないけれど、これ書かなきゃいけなかったの?と思うような内容だったので、本編は手元にあるけれど、スピンオフは借りただけでおしまいにしたことがあります。
今回もそんな感じだったらがっかりだなぁと思いつつ、まず借りて読みました。ほかの本を置いといて読もうという気になれずに、ゆっくり手に取りましたが、これが予想外にとてもよかったのです。
読み終わってすぐにもう一度本編を読もうと棚から取り出してきたくらい。
12編の作品の中には本編の初版の特典として読めた作品「反省と改善」も含まれています。
本編で登場した人物たちの本編では描かれなかったダンサーや作曲家のストーリーが満載でした。読み応え十分。
もはや記憶にないストーリーもあって、ぐいぐい読んで、もう一度本編を読み返しています。
15歳で単身ドイツに行く主人公が、空港で一度挨拶して歩いていくんだけれど、急に立ち止まり、顔をくしゃくしゃにして走って戻り、見送る家族に抱き着くシーンでは、読みながら一人大粒の涙を流してしまいました。
アナザーストーリーでは還暦を超えた主人公HALにインタビューする話もあります。
周りにいた様々な人たちから語られるHAL。
バレエというものに縁のない私には理解しえないことがたくさんあるけれど、レッスンで体を作り、技術をわが物にすることだけでなく、音楽や文学や様々な要素がその人の宝になっていくのだということをこの作品で知りました。
モノづくりの私にも絵を見たり、本を読んだりすることは直接の効果ではなく、作品の重みを増すためにとても大切なことです。バレエも同じで世界の一流は私の何十倍もバレエのために努力を惜しまないのだと知りました。
生まれながらの音感や物事を観察し、再現できる能力なども大切。
選ばれたほんの一握りの人が、選ばれた瞬間から血の出るような修練を積んで完成させる一つ一つの舞台。
HALという男の子の異能は驚きですが、そこでとどまらないから素晴らしいんだということを感じました。
両性具有に見える美しい男の子だったHALは好きな人を得、そして別れます。相手も断腸の思いだったけれど、立場が許さない人でした。
そこでつぶれはしないしなやかな強さを持って、バレエの世界で振付師として名をはせていきます。
このスピンオフは買って手元におかなきゃな。
物語の好きな方にお勧めする作品です。
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