ハンガーより“何も言わない”が長持ちする話
洗濯物には、わりと本気のマイルールがある。
このやり方を乱されると、普通にイラッとするレベルで本気だ。
洗濯機から取り出す順番も、干す動線も決まっていて、
まず部屋でハンガーにかけてから外に持っていく。
夏は蚊に刺されないし、冬は寒くない。
ハンガーも長持ちするし、私の気分もいい。
ここまでくると、家事というより
趣味の領域に足を踏み入れてる気がする。
控えめに言って、かなり優秀なシステムだと思っている。
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ただ、夫とは真逆だ。
夫が干した翌日、外に出るとハンガーが物干し竿にそのまま残っている。
風に揺れて、カラン…と音を立てている。
ああ、今日もいるな、と思う。
夫が干したシャツは、
裏返しのままハンガーにかかっている。
タオルは端が重なったまま固定されていて、
翌日になっても重なった部分だけ湿っている。
夕日に照らされる、生乾きのタオルを眺めながら
「はぁ……」とため息がこぼれる。
ここまで気にならないのは、もはや才能だなと思う。
夫は早く干し終えることが正義で、私は早く乾くことが正義だ。
同じ洗濯物を前に、見ているゴールが違う。
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私は取り込む時も、ハンガーごと室内に戻す。
だけど夫は、外で服をカゴに入れて、
ハンガーは外に置きっぱなしにする。
ハンガーは外に出しっぱなしだと傷むのに、
と内心ちょっとだけイラッとする。
ちょっとした手間で、物を長く使えるのになぁと遠い目になる。
夫は「干し方を直して」と言われると嫌らしい。
やり方を指示するなら、
最初から妻ちゃんがやればいいじゃん?という理屈だ。
たしかに、夫に言ったところで何も変わらないだろう。
そして、たぶん何も伝わらない。
私が干し直して乾くなら、夫に言うのも面倒だし。
だから私は何も言わず、今日も黙って干し直している。
夫はそれを見ても何も言わないし、私も特に何も思わない。
これが、いつもの日常だ。
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洗濯のやり方は分かり合えないけれど、
我が家はわりと平和だ。
たぶん我が家では、
ハンガーより“何も言わない”が一番長持ちする。
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