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【量子とは何か?】超解説!それはキクラゲである①

この頃たまに聞く、量子という概念。
いまさら聞けない!と言われる時代が来る前に…勉強していきませんか?
数学は使わないので、ご安心を。


この世界に起こる現象には、
二つのルールがあります。
古典物理学と、量子力学です。

古典物理学は、私たちが日常で使う、ごくありふれた「常識」です。光速は超えられないし、りんごは木から落ちる。

【因果】:結果には明確な原因がある。

決定論的な物理学。

私たちの身体も無機物質も、この世の物質全ては、分子とそれを構成する原子で出来ています。気体となり、空中を飛び回る原子。ここまでが、古典物理で記述できる領域です。

しかし、原子が絶対零度付近の温度に下がった時や、原子の内部構造を説明しようとすると、その動きは古典物理学で記述することができません。

原子の内部や、超低温と超真空など特殊環境で原子に起こる物理現象を、説明するため生み出された理論を、量子力学と言います。原子、光子、電子などが量子の代表です。

不思議なことに、その領域においては結果に明確な原因がない場合があります。
因果という概念と、矛盾が起こるのです…

【確率】:事象は不確定的である。

宇宙を支配する2つのルール

【古典物理学】

【量子力学】

マクロな世界

ミクロな世界

日常の常識。光速は超えられない。

絶対零度·原子内部の特殊環境。

りんごは落ちる。

外部との相互作用で初めて確定す
る。

【因果】結果には明確な原因がある。

【確率】元来不確定で非局所的。
太陽系のように、原子核を電子が周回していると思いがちですが、
実際にはただ、電子雲…確率の雲のようにぼんやりと存在しています。


量子の性質

元来不確定で、外部との相互作用によって初めて位置と性質が確定する、非局所的な実在である。

めちゃシンプルに言うとこれです
量子の正体

外部との相互作用で初めて位置と
性質が確定する、非局所的な実
在。それが量子。原子、電子、光子
などが該当する。
原子核内部の陽子と中性子や、
外側の電子といった素粒子も該当します。


①これ以上分割できない

エネルギー(物理量)の最小単位、ということです。あなたが今見ている画面のピクセルも、拡大すれば一つの点です。その点を分割できないように、量子も分割できないのです。
少数点…つまり整数の「間」は存在しないのです。

量子の性質1:これ以上分割できない

量子とは「エネルギーの最小単位」です。

間(Gaps)

プランク定数を根拠とし、特定の振動数を
持つ光子や原子内部の電子のエネルギーは、
飛び飛びの整数倍の値しか取りません。

PN
NP

E1 E2 E3 E4 E3

許されない領域
(Forbidden Zone)

小数点や「間」のエネルギーは存在しない。
デジタルな階段状の世界です。
プランク定数やパウリの排他律など、様々な原理があります。
例えば、原子核に付随する電子は、状態が変化する
とき、瞬間的に内または外の階層へ
移ります。これを量子飛躍といいます。


②粒でもあり波でもある

空間に広がる実体のないキクラゲをイメージしてください。
平らな所もあれば、寄せた布のように厚みが出ているところもあるでしょう。まっ平らな所に粒子がある確率はゼロで、厚ければ厚いほど粒子がある確率が高くなります。

実体はないものの、波どうしは干渉するし、粒子が同時にふたつ以上の場所にあるような動きもするのです。(二重スリット実験)

矛盾するふたつの性質を併せ持ち、互いが補い合っており、どちらが欠けても成り立たない。これを量子の相補性といいます。

性質2:
確率波という名の
「キクラゲ」

厚みのある場所ほど「粒子
が存在する確率」が高い。
この確率の分布こそが、ボル
ンの提唱した「確率波」である。

空間に広がる実体のない
キクラゲを想像してほしい。
この確率分布…つまりキクラゲ全体をボルンの提唱した「確率波」といい、
厚みが波の振幅ということになります。
(質量を持った粒子をシュレーディンガー方程式に当てはめると、波動関数…
波としての性質が得られ、この振幅の絶対値の二乗が、確率波である)
つまり数学的に記述できるということ。

奇妙なことに、粒子そのものは振動しません。
では、そもそも何が振動しているのか?
…最大の謎です。分かればノーベル賞ものです。
量子重力理論に、候補がいくつかあるのみです。


③位置と状態は決まっていない(重ね合わせ)

さて、実体のないキクラゲ全体が、観測前の量子という訳になります。キクラゲの中に、粒子として何処に存在するのか?どんな性質を持っているのか?本当に、観測するまで何も決まっていないのです。

量子の性質3:状態の重ね合わせ

実体のないキクラゲの中で、粒子はどこにあるのか?
どんな性質なのか?実は、何も決まっていません。

全ての可能性が「重なり合った状態」
として同時に存在しています。
その領域に起こり得る現象の範囲内で、
全ての可能性が同時に存在するのです。
…まるで、揺れる乙女心そのものじゃあないですか。

位置を決めれば、性質(運動量)は絶対に記述できず、性質を決めても同じことが起きます。(不確定性原理)

しかし、ここにある!と観測した瞬間、位置と状態が確定(波動関数の収縮)するのです。先程①の量子飛躍も、こうした外部との相互作用をきっかけに起こります。
これをどう見るべきか?


私は観測を「外部との相互作用」と定義しています。
外部は、古典物理の領域を指し、
相互作用は、接触し関係性を持つことです。

つまり、
「外部と関係性を持つこと」が鍵です。

超低温や超真空という環境は、原子が外部と相互作用を起こさないためのステージだという訳です。

次項の量子もつれでも相互作用が起きていますが、これは量子同士の相互作用(つまり内部の作用である)のため、状態は確定しません。



④ペアがある(量子もつれ)

量子は他の量子と接触して相互作用を起こすと、お互いをペアとして相関関係を持つようになります。
量子(ここでは電子)はスピン(回転している訳ではない)という生まれ持ったエネルギーの指向性を持っており、それはプラス、マイナスの二方向しかありません。ペアのそれぞれが、どちらかの方向になり、総和はゼロになります。(例外はありますが)

ここからが重要です。
方向は相互作用の時点では決まっておらず、どちらかの方向が確定した瞬間、もう片方も瞬時に確定するのです。

あろうことか、もう片方は「外部との相互作用なし」に状態が確定してしまいます。

性質4:距離を超越する
ペアリング(量子もつれ)

相互作用を起こした量子のペアは、スピンの指向性
を共有する。どんなに離れていても、片方の状態
が 確 定 し た 瞬 間 、 も う 片 方 も 瞬 時 に 確 定 す
二つで一つの実体なのだ。
たとえ、光がすぐに届かないくらい、どんなに遠く離れていても。
二つで一つの存在として、振る舞うのです。
ただし、あくまで状態を共有しているだけなので、
光速を超えた通信ができる訳ではありません。

これが、アインシュタインにとっての断じて受け入れがたい事実であり、同時に量子力学の一番面白く、真に迫る部分なのであります。


何に使えるのか?何を意味するのか?

自然界の基本ルール

私たちの目に見えない、感覚で捉えきれないものは、従来説明や分析が難しいものでしたが、量子的な物理現象を「そういうもの」として受け入れられれば(コペンハーゲン解釈)、簡潔な記述が可能になります。突き詰めれば、この世の全ては物理現象だからです。

因果に先立つもの

アインシュタインは、「神はサイコロを振らない」と言いました。自然界が、確率(不確定性)を前提としているなんてありえない。きっと私たちの見落としている「隠れた変数」があるはずだ。それが解明されれば、全ての事象は予測可能であり、因果に例外はないのだと。

量子の位置と状態は、本当はあらかじめ決まっているし、光速を無視する「もつれ」などという遠隔作用はありえない(局所実在論)のだと…。

しかし、アインシュタインの死後、ジョン・ベルによって、ベルの不等式が考案され、これが後にアラン・アスペら実験物理学者によって、自然界は確率を前提としていることが証明されるのです。

宇宙は確率を
前提としている

ジョン·ベルの不等式とアラン·アスペらの
実験により、アインシュタインは間違ってい
たことが証明された。
こ の 自 然 界 の 根 底 は 、 間 違 い な く 「
(不確定性)」で回っている。
局所性と実在性は、同時に成り立たない。
私たちの世界は、立ち上がる前に関係性があり、賽の目の結果だった。

皮肉にもベル本人は、局所実在論を支持していました。
趣味で作ったこの数式が、ノーベル賞ものである事を
知ることなく、彼はこの世を去りました。


応用範囲が広い

量子力学的な挙動は、基本的にミクロな世界においてのみ適用されるものですが、私たちのマクロな世界に応用することもできます。

ミクロからマクロへの応用

量子コンピュータ

量子状態/Qubits

量子暗号

物理学の境界を越えるフレームワーク。
量子力学は極小の世界のルールですが、その「重ね合わせ」や「もつれ」の数学
的フレームワークは、マクロな世界に応用され始めています。最先端のコンピュー
ティングだけでなく、私たち人間の複維なシステムを読み解く鍵にもなるのです。

脳内ネットワーク
量子コンピュータや量子暗号については、
少し長くなるので別の機会にするとして…

例えば、人間の意識。
無意識が量子概念だとすると、驚くほど我々の認識と噛み合います。

人間の心理として、好きと嫌いといった相反する感情が、同時に存在する事はごく自然に受け入れられています。(重ね合わせ)

また、「私は今こんな気持ちである」という認識は、自らの無意識を観測することによって確定します。(観測による状態の確定)

さらには、無意識は分割できず(多重人格は有意識の分割とする)、ユングの集合的無意識や、睡眠中の夢を人類の「無意識のもつれあい」と考えます。

あなたが何者であるかは、外部(他者)との関係性があって、初めて決まります。ここまでくると…

そう、人間の無意識は驚くほど量子なんです。
といった具合ですよ。

でも、こんなことは裏付けがある訳ではないし、線引きも難しいところです。やろうと思えば何にだって、こじつけられてしまいますから。あくまでフレームワークとして使うにとどめましょう。


コペンハーゲン解釈の押し付け

そもそもこの記事が、抽象概念の相補性をそのまま受け入れることを、読者に強いている部分があります。現象を「そういうもの」として受け入れるこの解釈を形作った、ニールス・ボーアはこう言いました。

初めて量子力学を知って衝撃を受けないようなら、
理解など到底できない

先程も登場しましたが、
相補性とは「あちらを立てればこちらが立たず、しかしどちらも現実」くらいの解釈で大丈夫です。

言葉や表現を明確にしようとするほど、真実からは遠ざかり、その逆もまた然り、という訳なのです。

コペンハーゲン解釈:矛盾
を受け入れる勇気(相補性)
ニールス·ボーアが提唱した「相補
性」。言語や概念を明確にしようと
するほど真実から遠ざかる。直感に
反する現象を「そういうもの」として
受け入れる枠組み。
二重スリット実験のイメージ画。
粒でもあり、波でもある。
どう考えても矛盾している。
しかしどちらも、現実。

ボーアは、言語という概念には限界がある、と常々考えていました。造語を作ったり、既存の言葉を全く別の意味で使ったりして、抽象的で難解な言葉で周囲を困惑させたり、けむに巻くことがしばしばあったそうです…
彼が日本語を喋ったら、どう言語を組み立てるのでしょうね。


意味が分からない→正解

できるだけ最小限の情報量にしたつもりですが、意味が分からなくてモヤモヤする方が多いやもしれません。ですが、それでよいのです。こんな直感に反する現象、すんなり理解できなくて当然です。

わからなくて正解である

「初めて量子力学を知って衝撃を受けないようなら、
理解など到底できない」。愚直に考えすぎてメンタルを
壊す学者もいる。すんなり理解できなくて当然なのだ。
実際、量子力学を愚直に考えすぎて、
エーレンフェストやナッシュのように、
メンタルを壊した学者は少なくありません…

なので気負わずに、色んな人たちの表現で、量子力学を勉強すると良いと思います。量子力学自体、ああでもないこうでもないと論争したり、実験をすることによって解明されてきたのですから。

アインシュタインは、重ね合わせやもつれを断固として拒絶しましたが、それはむしろ量子のふるまいを、誰よりも理解していたからこそだと思うのです。分かるからこそ、その不可解な奇妙さが信じられなかったのでしょう。

量子力学は、対象そのものよりも、対象が引き起こす現象を説明する理論です。対象そのものが一体何であるのか、なぜそうなるのかは、いまだ記述できませんし、量子力学の常識も、将来様変わりするかもしれません。

私も、多様な表現や切り口で、量子について執筆していくつもりです。ま~だまだ書き切れていませんからね。数学はからっきしですから、そっちの期待はしないでくださいね?

古典物理が量子力学の上に成り立っているのなら、境界は、どこからが「外部」なのか?そもそも、何処からがスタートなのか?陽子と中性子を構成するクォークからなのか?量子色力学?いや、量子重力理論、やはり時空の創発から考えなければ…

それでは、ボーアのように読者をけむに巻いたところで、今回は筆をおくことにします。解散!


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