日本酒特区交渉の現在地ほか【岡住修兵のふわふわタイム!!】
稲とアガベが定期的に配信しているメールマガジン「岡住修兵のふわふわタイム」。WEBメディア「海と」では、さらにバージョンアップした「岡住修兵のふわふわタイム!!」をリリースしていきます。
ややお久しぶりになってしまいましたが、今回も経営や醸造、その他もろもろに至るまで、あまり公にはできないディープな話をしております。ぜひ有料部分もお読みいただけるとうれしいです!
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オーナーなのに何もしてない?希望が見えた新ホテル事業
かつて男鹿の港湾労働者の寄宿舎として使われていた「旧船川港湾労働者会館」をリノベーションしたホテル「かぜまちみなと」が、6月6日にグランドオープンしました。

このホテルは、NEWLOCALの石田遼さんと一緒に立ち上げた「男鹿まち企画」という子会社の事業として進めてきたんですが、建築士さんとのやりとりなど、実際の作業はほとんどNEWLOCALチームがやってくれました。
また、これまでの事業は、僕自身がコンセプトを決めてコピーなども書いていたんですけど、今回はニューピースの髙木新平さんが入ってくれました。彼が関わってくれたおかげで、今までとは違った、血の通ったコンセプトができたと思っています。
当初、このホテルの名前は「うみまちホテル」と決めて進めていたんですよ。でも、髙木さんが「その名前だとオーシャンビューのおしゃれな街をイメージさせてしまうから、名前負けするんじゃないか」と指摘してくれて。彼が考えてきたのが、「かぜまちみなと」という名前でした。

男鹿はもともと港町で、いい風が吹くのを待って船乗りたちが船を停める場所だったので、「風待ち港」と呼ばれていました。男鹿に滞在する中で良い風が吹いて、また新たな旅に出る。ここで休んでもらうことで人生が上向きになっていくというコンセプトと、土地の歴史がぴったり重なる名前が「かぜまちみなと」なんです。
今回の事業を振り返って思うのは、僕よりも本当に優秀な人たちが、男鹿のまちづくりに主体的に参加してくれるようになってきてるということ。今回僕がやったことで一番大きいのは、連帯保証人としてサインしたことぐらい。ホテルオーナーとしての自覚もあんまりないです(笑)
初めは正直、男鹿が未来に残っていくイメージなんてまったくなかった。でも、去年あたりから、ふっと2本くらい希望の光の筋が見えてきたんですよ。男鹿を未来に残すためにできること全部やってきたら、いつの間にかいろんな人が関わってくれるようになってきて、ようやく「この町が、本当に未来に残るかも」という感覚を持てるようになってきました。

稲とアガベ醸造所、レストラン「土と風」、食品加工工場「SANABURI FACTORY」、ラーメン店「おがや」、宿「ひるね」、スナック「シーガール」、早苗饗蒸溜所、そしてホテル「かぜまちみなと」で、僕たちの拠点が8軒目になりました。次は、蒸留所の元となっている鉄工所の建物に、ショップや飲食店などの複合スペースを作りたいと思っています。
ただ、これまでお金を借りすぎたので、もうしばらくは借りられないんですよね。なので、社債を発行して、お金を貸すというかたちで街の人々にまちづくりに参加していただき、僕が気合で返すという方法を考えています。絶賛貸していただける方募集中ですのでいつでもご連絡ください!
クラフトサケはすべてのアルコール飲料のイノベーションになる

クラフトサケの造りも4期目になり、どんな素材でも「どうすれば美味しくなるか」が少しずつですがわかるようになってきました。搾りの時点の味わいから、樽で熟成させる、にごりで詰める、フィルターを通すなど、完成形をさらに美味しく引き上げるための判断ができるようになってきて、全体的にクオリティが高くなっています。
そういう中で、これから何を造ろうと改めて考えてみました。いままでは「稲とブドウ」「稲とリンゴ」みたいに、単一素材を扱ってきましたけど、ブドウやリンゴって“ワインぽい日本酒”の文脈に回収されてしまうんですよね。でも、わざわざブドウを入れてワインっぽい日本酒を作ったものと、米だけでワインっぽい日本酒を作ったもの、どちらが消費者的に価値があるかというと、お米だけのほうだと思うんですよ。
だから、もっと日本酒ではできない体験を提供できないかと考えたときに、ハーブのお酒を造った経験を踏まえて、「複数の素材を組み合わせたクラフトサケなら、これまで飲んだことがない味が造れる」と思ったんです。
「稲と草木」は、僕的に今期の傑作だと思ってるんですけど、4月のCRAFT SAKE WEEKで出したときもお客さんの反応がめちゃくちゃ良かったですね。
最近、試し桶として抽選を開始した「廻(めぐる)」という新作は、こうした考えから生まれた商品です。

福岡のイベントに出たとき、ぷくぷく醸造のてっちゃん(立川哲之さん)が、ジュニパーベリーのジンの残渣をもろみに漬けたクラフトサケを出していて、それがめちゃくちゃ美味しかったんですよ。「うち、ジン蒸溜所できたし作ってみたいな」って言ったら、「ぜひ作ってください」と言ってもらえて。
酸味の補強にブドウを入れて、香りの補強にホップを加えたら、結果的に、すごくバランスの取れた、いままでにない飲みものができました。社内でテイスティングをしたらスタッフからも大評判。
さらに、台湾の酒サムライのマイケル・オーさんがたまたま秋田にいらっしゃっていたので飲んでいただいたところ、絶賛してくれたんです。「これ何回目の仕込み?」と聞かれて、「初回です」って言ったら、「天才だね」って(笑)。久々に醸造家として天才って言われました(笑)
最近思うのは、クラフトサケは突き抜ければ文化になれるということ。日本酒の文脈から始まっていますが、本来はもっと多様性のある飲みものとしての価値を持てる可能性がある。「廻」を造ったことで、「いま男鹿で起こっていることが、すべてのアルコールのイノベーションの最先端になるかもしれない」とワクワクしています。
「花風」が海外でも人気。仕込みが追いつきません
「交酒 花風」のおかげで、生産量はだいぶ増えています。去年まではタンク40本くらいだったのが、50本ぐらいまで仕込めるようになりました。今期は「花風」中心の体制にしているとはいえ、注文が追いついていない状態で、お客さんに「次の出荷は11月になります」と伝えています。
最近は、中国へ本格的に輸出を始めました。追加発注もいただいて、アジア圏のほかの国で「花風」単体で扱いたいという声も聞こえて、クラフトサケの海外市場に大きな可能性を感じています。
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