見出し画像

「才能はどこにでも転がっている」——人生のふとした瞬間に蘇る、3つの映画の名言

映画を観た後に、じんと心に残るセリフが誰しも一つはあると思う。

そのときは素通りしてしまった言葉が、後からふと蘇ってきて、心に響くこともある。

今日は、わたしにとってのそれを3つ紹介したい。



「今日という日は贈り物」——『カンフー・パンダ』(2008年)

“Yesterday is history, tomorrow is a mystery, but today is a gift. That is why it is called the present.”

週末の午後、息子が急にこの一言を引用した。

クリスマスになったらプレゼントがもらえると言って、期待に胸を膨らませ、今にも跳びはねそうなテンションだったときに、「プレゼント」つながりで頭に浮かんだらしい。

「それ、素敵な言葉だね」とわたしが感心すると、「カンフー・パンダに出てくるよ」と息子は言う。

調べてみると、ウーグウェイ導師(Master Oogway)による、有名な言葉らしい。
おかしいな、映画は観たはずなのに、まったく心に残っていなかった。

昨日はもう過ぎ去ってしまったし、明日はまだ始まっていない。わたしたちの手にあるのは、いつも「今日」だけなのだ。

この言葉を聞いて、先日、見知らぬ人から「beautiful familyだね」と声をかけられたことを思い出した。その人は、わたしたちの姿を通して、自分の家族の在りし日を懐かしんでいるように見えた。

いまわたしが手にしている今日というこの日は、まさにプレゼントなのだ。

そう重ねて言われたような気がして、妙に心に沁みた。

「才能はどこにでも転がっている」——『アリー/スター誕生』(2018年)

“Look, talent comes everywhere, but having something to say and a way to say it to have people listen to it, that's a whole other bag. And unless you get out and you try to do it, you’ll never know. That’s just the truth."

先日、旅先から帰ってくる飛行機の中で『アリー/スター誕生』を観た。

この言葉は、人気歌手のジャックが、若き歌い手アリーと出会った日に語るセリフだ。溢れる才能を持ちながら、それを試すことを諦めてしまった彼女に、成功するために必要なのは才能だけではないと諭す。

「才能はどこにでも転がっている。でも、伝えたい中身があって、それを人が耳を傾けたくなるように伝えられるかどうかは、また別の話だ。そしてそれは、やってみないとわからない」

ジャックは歌のことを言っていたのに、わたしの頭の中では自然と「書くこと」に変換されて響いた。そっくりそのまま当てはまるじゃないか。

伝えたい中身があって、それを人が読みたくなるように書けるかどうか。それは、やってみないとわからない。

厳しい一言だ。でも、真実である。

「寝ている間におならをして犬を起こした」——『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997年)

"My wife used to fart when she was nervous.
She had all sorts of wonderful idiosyncrasies.
You know, she used to fart in her sleep.
Sorry I shared that with you.
And one night it was so loud, it woke the dog up."

この映画は、わたしの中ではベスト5に入る。

精神科医であるショーンが、亡き妻におなら癖があったことを語るシーンがある。幼少期からのトラウマによって、人と親密な関係を築くことを恐れている若者ウィルに対して、このエピソードを通して、「人を愛するとはどういうことか」を伝えようとする。

実はもうずいぶん前のことだけれど、夫の前で大きなおならが出てしまったことがある。
長年同じ屋根の下で暮らしていれば、そんなことがあってもおかしくはないのだけれど、そのときはとても恥ずかしくて、わたしはいろいろな言葉を並べて言い訳をした。

そのとき、夫はこのシーンを引き合いに出して、「気にすることないよ」と言ってくれた。それ以来、なんだか愛着が湧いている。

映画の中で、ショーンはこう続ける。

「妻が亡くなってもう二年になるけれど、今でも懐かしく思うのは、そういう僕だけが知っている彼女の小さな癖なんだ。人はそれを欠点と呼ぶけれど、そうじゃない」

この話には、とてつもなく深い愛が詰まっている。それに真実味を感じるのだ。確かに、人を愛するということは、こういうことなのかもしれない。

すごいのは、このおならのエピソードが、丸ごと即興だったという点だ。
ショーン役を演じたロビン・ウィリアムズが、その場で思いつき、カメラの前で話し始めたという。

だから、「おならの音で犬が起きた」ところで、二人は実に楽しそうに笑っている。作りものではなく、本当にお腹の底から笑いがこみあがっているのが伝わってくる。

映画のセリフは、その場で心に刺さることもあれば、時間をおいて、人生のどこかでふと顔を出すことがある。

いまの自分に響く言葉を書き残しておくのも、あとで振り返ったときに、何か意味があるかもしれない。そう思って書いた。

(おわり)




いいなと思ったら応援しよう!