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生成AIで攻めるスモールチーム──スポーツ応援ボックス リリースの裏側

IDAREでは2025年7月、生成AIを活用した新機能「スポーツ応援ボックス」をリリースしました。応援チームの勝敗に応じて自動積立ができるこの機能は、企画からわずか数週間で実装されました。

なぜこれほど短期間で新機能を形にできたのか。今回は、本プロジェクト推進の中心メンバーであったエンジニアの加納さんに開発の裏側について話を聞きました。「スポーツ応援ボックス」の話をきっかけに開発体制や会社全体の特徴についても伺っています。

【加納 愼之典 プロフィール】
IDAREフロントエンドエンジニア。神戸市外国語大学卒業後、江戸時代より約300年続く老舗和菓子屋に入社。伊勢本店勤務を経て東京路面店出店事業に従事したのち退職。餅、餡、モバイルアプリの製造を強みとし、現在はFlutterを用いたアプリ開発を中心に担当。札幌在住、二児の父。


━━「スポーツ応援ボックス」はユーザーの皆さまにも好評のようですね!まずは、IDAREについて簡単に教えてください。
IDAREは「貯まるキャッシュレス」がコンセプトのVisaプリペイドカードのサービスです。SuicaやPayPayのように、モバイルアプリを使ってチャージができます。チャージした残高は、Visa加盟の街のお店や、ネットショッピングで利用可能です。

最大の特徴は、チャージされた残高に対して、年率2%相当のボーナスポイントがもらえることです。他社の決済サービスだと、決済した金額に対してポイントが付くことが多いかと思いますが、IDAREでは貯めた金額に対してリワードがもらえるので、貯めれば貯めるほどお得になるサービスになっています。

━━今回リリースした「スポーツ応援ボックス」とは?
スポーツ応援ボックスは、IDAREでもっと楽しく貯蓄をしていただくための機能です。応援したい野球チームやサッカーチームを設定すると、そのチームの試合結果に応じて、自動で積立が実行されます。推しチームの勝利とともに貯まることで、喜びとともに貯蓄できるようになっています。貯まった残高は推しチームのために使ってもらえたりしたら嬉しいですね。

ちなみに「ボックス」という名前の通り、IDAREでは残高を複数の箱に分けて管理することができます。スポーツ以外にも、旅行資金用だったり、子供のためだったり、さまざまな目標や用途に分けて資金を貯めていくことができるようになっています。今回の「スポーツ応援ボックス」は、応援しているチームの勝敗によって自動で積立を行う機能がついた特別仕様のボックスです。

スポーツ応援ボックスは、IDAREでは初めて本格的に生成AIを利用した機能として開発されました。AIは主に勝敗の判定に使用しています。また、積立実行時に試合内容の要約を合わせて通知するようにしていて、その通知文もAIが生成します。


──貯蓄を楽しくする仕組みとして生まれたスポーツ応援ボックス。なぜIDAREはAIでの実装を選んだのか、開発の舞台裏に迫ります。

━━勝敗の判定はAIでなくてもできるように思いますが、なぜAIを使用したのでしょうか?
たしかに当初、野球やサッカーの試合結果であればAIを利用しなくとも、すでに世の中にあるAPIや、スクレイピングによって実装可能じゃないか、という議論がありました。それでもAIを利用した実装をしたのは、将来の拡張性を考えてのことです。

従来のスクレイピングでは、野球やサッカー以外のスポーツやイベントを増やそうと思った時に専用の実装が必要になるため、複雑になりますし、何よりスピードが失われてしまいます。加えて、Webスクレイピングはサービス提供者に迷惑がかかることもあり、ルールやマナーの問題もあります。

また、今後は試合結果だけでなく「大谷翔平選手がホームランを打ったら積立」とか「好きなアイドルがテレビに出演したら積立」など、世の中に存在する色々なイベントに対応する構想があり、AIを利用するという判断に至りました。

━━将来的な機能の広がりと開発スピードのための決定だったのですね。今回は企画からリリースまで何日くらいかかったのでしょうか?
最初のアイデアが出た段階から数えると、大体2ヶ月くらいです。ただ途中別の開発も並行して行っていることを考えると実質的にはもっと短いと思います。Fivotは金融サービスとしては珍しく「スピード重視」を大切な価値観として掲げているので、もっと早くリリースしたかったくらいです。

そういえば、企画会議でスポーツ応援ボックスのアイデアが出た瞬間に、手元のClaudeに昨日の野球の結果を尋ねたりして、みんなで検証していたことを覚えています。企画段階では、安部さん(代表)をはじめ、デザイナーやエンジニアが1つのテーブルを囲んでいました。役割を超えてオープンに議論し、素早く意思決定できるのは、スモールチームのいいところだと思います。

ちなみに、最初のリリースではプロ野球の試合だけを対象としていましたが、そのあとでサッカーの試合も対象として追加しました。サッカーはチーム数が多かったのですが、かなり短い期間で追加実装ができました。


──スピード感のある開発を実現できた一方で、金融サービスとして譲れない品質もあるかと思います。ユーザーの大切なお金を扱うサービスだからこその工夫を聞きました。

━━試合結果の正確性をどう担保しましたか?
ユーザーの皆さまの大切なお金に影響することですから、判定結果に間違いがないようにすることは最重要課題でした。しかしながら、ご存じのとおり「AIは間違うもの」です。色々と検証した結果、もっとも正確性を向上させたのは「正確なデータソースを提供すること」でした。当初はデータの取得まで全てAIに任せられないかを探っていたのですが、最終的には信頼できるデータソースをあらかじめ用意することで、判定の精度を担保するという方法に落ち着きました。

でも、判定に関わる全てをAI化することを諦めたわけではありません。マルチステップで思考させるパターンや、AIが自律的に駆動するエージェンティックな実装パターンなど、様々な知見が社内に溜まっているので、さらにプラッシュアップできると確信しています。

━━ほかにも、精度を高めていく工夫があったのではと思います。検証はどう進めましたか?
アイデアが出て、やると決まってから、すぐに作ったものがあります。それは、Slackに日々の試合結果とその要約を通知するBotです。エンジニアチームのみんなで、試合の結果や要約を見て精度の確認をしていました。野球好きなメンバーもいるので当時はチャンネルが盛り上がっていましたね。このあたりも「スピード重視」の価値観が出ているように思います。

LLMを使用した初の機能だったこともあり、最低限動く機能を素早く社内に展開することで、メンバー全体で最終イメージを固めることができました。メンバーから得たフィードバックをすぐに反映できる状態を初期に整えることはとても大事だと思います。


──スポーツ応援ボックスは、FivotのAI活用の一例に過ぎません。他のプロダクトや開発現場でも、生成AIの積極的な活用が進んでいます。

━━スポーツ応援ボックスの他にもAIを活用していますか?
Fivotでは、IDARE以外にもう一つ、法人融資のためのプロダクト「Flex Capital」があります。実はそちらのプロダクトではIDARE以上にLLMを徹底活用していて、かなりの知見が溜まっています。スポーツ応援ボックスの開発においても、チーム横断で実装の相談ができてかなり助かりました。

また、先日リリースした「予算管理機能」でもLLMを使用していて、支出の分析やカテゴライズにLLMを活用しています。比較的シンプルな入力と出力なので1週間程度でリリースできました。ただ、実装はひと工夫していて、タスクを一連のステップに分解してプロンプトを連鎖的に呼び出し、より魅力的な出力になるようにしています。今後もLLMを活用した機能開発はどんどん行っていきたいですし、会社としてもそれを後押しする雰囲気がありますね。

━━たしかにFivotでは会社全体として、AI活用を推進していますよね?
会社全体としてとにかくAIを活用していく気運があります。メンバーから使いたいツールの提案があれば、ほとんど認められています。IDEやコーディング支援AIの有料プランの中でも、最も高額なものを利用できるのはありがたいですね。非常に進化の早い分野なので、常に最新のものに触れられるのは単純に楽しいです。コードレビューもAIが行っていますし、自律的に実装を行うAIエージェントも導入済みです。

定期的に社内のエンジニアで集まって、使用したツールのシェアや勉強会を行っていて、いろんなツールを使っている人ほど賞賛される空気感がありますね。Flex CapitalチームのAI活用事例にも触れられるのも嬉しいです。


──AIを積極的に活用し、スピード感のある開発を続けるIDAREチーム。最後に、IDAREのこれからの展望と、どんなエンジニアと一緒に働きたいか聞いてみました。

━━IDAREチームの次なる進化について教えてください。
実は開発だけでなくデータ分析に関してもAI活用が進んでいます。IDAREは決済サービスとして4年目を迎え、蓄積されたデータはかなりの量です。これまではデータサイエンティストやエンジニアがクエリを書いてデータ分析を行っていました。しかし、整備されたデータマートとAIを活用することで、アナリストほどデータの仕様に詳しくないメンバーでも、データが参照できる環境が整いつつあります。加えて、機械学習による分析にもAI支援を導入し、データを元にした将来収益の予測ができるよう検証を進めています。

━━どんなエンジニアと働きたいですか?
「スピード重視」の話を先ほどしましたが、意図的にスピードを落として一度立ち止まって考える方も向いていると思います。あらためて前提を問い直したり、抽象化した議論ができる方。

Fivotの事業には様々な発展可能性があり、まだ見えないものを協働して作ることになります。素晴らしいアイデアを素早く実装することが重要である一方で、ゆっくり時間をかける仕事が得意な方もFivotにマッチすると思います。


一緒に新しい金融の形を作りませんか

「貯まるキャッシュレス」IDAREは、生成AIと共に進化を続けています。スポーツ応援ボックスのように、従来の金融サービスでは考えられなかった機能を、短期間で形にできるのがFivotの強みです。

私たちが求めているのは、ただ技術を追いかけるだけのエンジニアではありません。ユーザーの生活を豊かにするサービスを、最新技術を使って実現したいという想いを持った仲間です。小さなチームだからこそ、あなたのアイデアがダイレクトにプロダクトに反映されます。

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