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映画note『喜劇 駅前怪談』(1964)駅前シリーズ第8作 舞台は甲州勝沼

駅前シリーズ第8作目は『喜劇 駅前怪談』(1964)。気の早いことですが梅雨があければ夏本番。日本の夏といえば怪談です。
ただ本作は怪談と題しておりますが、まったく怖いものではありません。おばけに扮して人を驚かす場面があるくらいです。

監督は前作に続いて佐伯幸三、脚本は長瀬喜伴。
舞台は山梨県の勝沼周辺。冒頭、中央本線の勝沼駅が登場します。勝沼駅は現在、勝沼ぶどう郷駅と称しています。

ここで武田信玄公の隠し湯があるそうです。東京の開発業者が、隠し湯とこの一帯の土地を手に入れて大規模な温泉レジャー施設の建設を計画している。
それは地元の飲食業にとって死活問題ということで奮闘する。

駅前シリーズ第4作『喜劇 駅前温泉』と物語の背景は近いものがある。『駅前温泉』は近代的ホテルにお客さんをとられてしまった伝統的な旅館の人々が中心だった。
また駅前シリーズ第2作『喜劇 駅前団地』は、団地建設にからむ土地問題が描かれていた。

ちなみに本作が公開された1964年は、10月に東海道新幹線が東京~新大阪間で開通し、東京オリンピックが開催された年でもある。

勝沼の助役で地元の温泉旅館の亭主に森繁久彌。奥さんに淡島千景。実は婿養子らしく女将さんに頭が上がらない。出て来た時、森繁は番頭なのかと思うほどの低姿勢。旅館も実際には女将さんが切り盛りしている。

この主人のなじみの芸者の染太郎が池内淳子。このシリーズでの池内淳子はいまのところ芸者で、名も染ちゃんばかりな気がします。
もうひとりなじみのバーのママに久慈あさみ。久慈あさみは森繁のもう一つの人気シリーズである社長シリーズでは社長夫人で出演している。

話がそれるが、淡島千景と久慈あさみは宝塚歌劇団の第29期で同期生。財団中も同じ月組で共演している。淡島は娘役、久慈は男役。

伴淳三郎は食堂のおやじ。食堂は女将さんの乙羽信子が切り盛りしている。
子だくさんのようだ。なんとも女性が良く働いている。
乙羽信子も宝塚出身の女優。第27期生。娘役。同期に月丘夢路、東郷晴子、大路三千代などがいる。

運送屋の次郎にフランキー堺。次郎の恋人の由美に島かおり。
由美の父親で地区の区長に加東大介。次郎と由美は将来結婚するつもりでいたが、隠し湯の土地問題のとばっちりを受けて関係がこじれそう。

この土地の別荘を短期間借りている作家に三木のり平。わけあって作家先生に別荘から出ていってもらうために、おばけの登場となる。しかし、小心者ののり平先生の場面は笑うしかないだろう。
この作家先生の別荘のお手伝いに来ている八重に山東昭子。のちの参議院議長でございます。おばけの一翼も担っていらっしゃる。

隠し湯を管理している婆さんおくまに沢村貞子。占いだか祈祷師のようなことをしており隠し湯を守り続けることを武田信玄公から仰せつかっているそうな。
その孫娘みどりが淡路恵子。なんか途中でドロンジョ様みたいな恰好してるシーンがある。淡路恵子は松竹歌劇団の出身。

オードリー・ヘプバーンのサブリナがパリからアメリカに戻って来た時、御曹司のウィリアム・ホールデンが車で通りかかり美しい彼女をのせた(『麗しのサブリナ』)ように、東京から勝沼駅に降り立ったみどりを荷台が霊柩車みたいな車で通りかかった運送屋の次郎くんが載せてあげるところから映画ははじまる。


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