Startup Aquarium登壇レポート|CEOの市川が語った「AI時代にFaciloが目指すもの」
2026年3月14日、虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された「Startup Aquarium 2026」。Coral Capitalによる年1回のキャリアフェアとして、50社以上のスタートアップ、100名以上の登壇者、3,300名以上の参加者が集まりました。Faciloからは、代表取締役CEOの市川がスタートアップピッチに登壇。今回の発表で語られたのは、単なるAI活用の事例ではなく「AI時代に人の価値をどう高めていくのか」というテーマでした。
「SaaS is Dead?」から始まった今回のピッチ
今回の登壇は「SaaS is Dead?」という印象的なスライドから始まりました。
これは「SaaSそのものが不要になる」という話ではありません。市川が投げかけていたのは「これまでの業務や組織の延長線上にAIを足すだけでは、もう十分ではないのではないか」という問いでした。
Faciloが向き合うのは、不動産仲介の情報連携

不動産仲介では、買主、売主、買い仲介、売り仲介など、多くの関係者が取引に関わります。一方で、現場では情報が五月雨式に共有され、必要な情報が分散しやすい。誰かが頑張っているのに、全体としては非効率になってしまう。今回の登壇では、そんな構造的な課題があらためて示されていました。
Faciloが提供しているのは、こうした構造的な情報の分断をなめらかにつなぐためのプラットフォームです。買主側には「物件購入クラウド」、売主側には「物件売却クラウド」があり、その間を「共創プラットフォーム」としてつなぐ。AIはその中央で、情報整理や連携を支える存在として組み込まれています。
Faciloが解こうとしているのは、単なる業務効率化ではありません。不動産仲介そのものを、よりスムーズに、より顧客本位に進められる状態をつくること。そのための土台として、プロダクトが設計されていることが伝わってきました。
2週間に1回の報告書を、リアルタイムのダッシュボードへ
今回の登壇で特に象徴的だったのが、売主への販売進捗報告の話です。従来は、売主に対して2週間に1回の報告書を作成し、売り仲介はその準備に約1時間をかけていました。それがAIを前提にした運用では、報告のあり方そのものがリアルタイムのダッシュボードへと変わり、資料作成時間は「1時間」から「0秒」へと変化しています。
ここで重要なのは、単に作業時間が減ったという話ではないことです。市川が示していたのは、AIによって「桁違いの顧客体験向上」と「業務効率化」を同時に実現するという考え方でした。報告書をつくる時間を減らすことがゴールではなく、その時間をお客さまへの提案や伴走に戻していく。Faciloが目指している価値感が示されていました。

AIを“機能”ではなく、“組織の前提”にする
今回のピッチで印象的だったのは、FaciloがAIをプロダクトの一機能として語っていなかったことです。
スライドでは「AI駆動組織へ」という言葉とともに、PdM、エンジニア、Sales・CS・サポート、顧客の間にAIが入り、開発指示、仕様確認、問い合わせ、回答がAIを中心に回る構造が示されていました。つまり、AIは一部の業務を置き換える存在ではなく、組織の情報流通そのものを変える前提として扱われています。
誰か1人の知識や経験に依存するのではなく、必要な情報に、必要な人が、必要なタイミングでアクセスできるようにする。その設計思想が、FaciloのAI活用の根本にあります。

数字で見えた、AI駆動の変化

開発リリース数は4.8倍に
プロダクト開発では、開発リリース数が100から484へと増加し、4.8倍になったことが示されていました。
この数字が意味しているのは、単純なスピードアップだけではありません。AIがコード生成を担い、エンジニアはレビューと品質担保、そしてリリースに責任を持つ。そんな役割の変化があってこそ、この伸びが実現しているのです。
PdMも、要件定義だけで終わらない
「AI駆動 PdMハンズオン開発」のスライドでは、PdMによるハンズオン開発リリース数が、25年9月以前は0件、25年10月以降は147件になったことが共有されていました。
これは、PdMが要件を整理するだけでなく、自ら改善を形にし、リリースまで進められるようになっていることを意味します。顧客課題に近い人が、そのまま改善を前に進められる。AIによって、役割の境界まで変わり始めていることが伝わる内容でした。

仕様確認は減ったのではなく“増えた”
仕様確認のスライドも印象的でした。2025年3Qにはエンジニアへの確認が100だったのに対し、2026年1Qにはエンジニアへの確認は41に減少。一方で、AIへの確認が増えたことで、仕様確認数全体は498まで広がっていました。
ここで面白いのは、質問の総量が減っていないことです。むしろ、AIには気兼ねなく聞けるからこそ、確認が増えている。これは、単にエンジニアの負荷を減らしているだけでなく、Sales・CS・サポートを含むビジネスサイドのプロダクト理解が深まっている、ということでもあります。

問い合わせ対応の待ち時間も82%削減
カスタマーサポートでも、AI活用の効果は明確でした。問い合わせの平均待ち時間は、25年10月を100としたとき、26年3月には18まで短縮。82%の削減が実現しています。
ここでも本質は、ただ速く返すことではありません。定型的な問い合わせをAIが担うことで、人はより複雑で、より個別性の高い対応に集中できるようになる。AIによって、人が担う仕事の密度が上がっていることが、この数字からも見えてきます。

AI時代にこそ、人が担う価値は大きくなる
不動産の購入や売却は、人生の大きな意思決定です。情報整理や進捗共有、問い合わせ対応のような定型業務はAIが担えるようになる一方で、お客さまの状況を理解し、不安を受け止め、納得できる意思決定を支える役割は、むしろこれまで以上に重要になります。
今回の市川のピッチで一貫していたのは、その考え方でした。AIは、人の仕事を小さくするためのものではない。人が本来向き合うべき仕事に集中し、その価値をより大きくするためのもの。Faciloが目指しているのは、そうした世界です。
最後に
Startup Aquarium 2026の短いピッチのなかで市川が示したのは、AI導入の事例ではなく「AI時代の事業と組織のつくり方そのもの」でした。
Faciloは、AIを前提にプロダクトも組織も再設計しながら、不動産仲介で人が発揮すべき価値を、むしろ大きくしようとしている。「SaaS is Dead?」という問いから始まり「Facilo is Reborn」という言葉で締めくくられた今回の登壇は、その現在地がよく伝わる時間でした。

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(執筆:PR 高橋 摩耶)
