ママの恋バナ リカの章「TOEICフレンズ」(ショート・ショート)
心地よい秋の週末に、素敵なママの恋バナ✖️TOEICストーリーはいかがですか?(約2200字)
「斉藤さん、小出部長の退職パーティは欠席するの?」
「はい。その次の日がTOEICの試験で、今回の試験は絶対外せないんです」
先輩の倉本亘さんが出欠確認で私に話しかけた。倉本さんは一つ上の先輩で、密かに女子社員の間では国民的イケメン俳優に似てると人気の社員だ。
「小出部長が東北出身で、どうしても芋煮会をしたいっていうんだよね。手配だけ、斉藤さんに頼めるかな?」
「私も地元が仙台で芋煮会の経験はありますけど、都内で芋煮会ができてアクセスのいいところって.......限られますよね」
「あぁ、BBQ会場でいいんじゃないかな?」
「――わかりました」
(芋煮会は楽しいけど、退職パーティが都内で芋煮会ってありえない。ホテルオークラがいいわ)
私は斉藤リカ。商社の国内営業部に勤めて四年になる。海外営業部へ異動したいと考えていたけど、そのためにはTOEICスコア800以上が必須。私はまだスコア720で、次の試験に賭けていた。
ネットでBBQ会場を調べていると、また倉本さんから声がかかった。
「斉藤さん、コピー機の調子が悪いんだ。至急リース会社に連絡しくれる?僕、午後から休みでさ」
(この前、修理したばかりなのに、また?!)
コピー機のリース会社に電話して、ほっとしたのも束の間、今度は地方へ出張する同僚の飯田くんが羽田空港から電話してきた。
「斉藤さん、すみません。クラウドにアクセスできなくて、至急パワポのファイルを僕のメアドに送って欲しいんです」
「時間、大丈夫ですか」
「運悪く、というか運良く飛行機が遅延していて、現地でクライアントに待ってもらっています」
「了解しました。すぐ送ります」
(早く帰ってTOEICの勉強をしたいのに、トラブル続きだわ。ここはTOEICの世界なの?)
私はアクセスの良いBBQ場に片っ端から電話していた。しかし、シーズン中の土曜日ということもあって、なかなか会場が押さえられない。
(どうしよう......)
そのとき、午後から早退したはずの倉本さんが戻ってきた。
「倉本さん、早退じゃなかったんですか?」
「歯科医の予約がダブルブッキングだったみたいでね。一旦キャンセルしてきた。どう、芋煮会の会場は?」
「どこも埋まっていて」
「――これ、どうかな?」
そう言って、倉本さんはスマホの画面を見せた。それはホテルのHPの企画ページだった。
『ホテルサンフランシスコ 秋の芋煮会企画 「大きな芋煮鍋を囲んで、美味しい東北のお酒を楽しみませんか?」本場の芋煮鍋をご用意します。東北の銘酒(日本酒、ワイン、ビール、焼酎など)も各種取り揃えております』
「ぴったりじゃないですか!」
「野外じゃないけどさ、そこは部長に譲歩してもらって。手に入りにくい銘酒も入っているから、絶対OKすると思うよ」
「早速、空き情報を確認してみます」
すぐにホテルに電話すると、希望の日はキャンセルが出たとかでちょうど空いていた。小出部長も喜んで、パーティ会場はホテルサンフランシスコに決定した。
「倉本さん、ありがとうございます」
「いいや。TOEICの試験、頑張ってね。というか、僕もその日、TOEICの試験なんだよね」
「大丈夫なんですか?」
「1日くらい大差ないさ。お酒は飲まないつもりだけど。スコアの有効期限が2年になって、次は900点台取れるか心配だよ」
「倉本さん、900点台なんですか?秘訣を教えてください!」
「TOEICは以前より難しくなっていて、僕も最近の傾向を把握しないといけないと思ってる。むしろ、いろいろ教えてくれる?お互い、がんばろう」
「はい。今日はなんだかトラブル続きで、TOEICの世界みたいですよね」
「ははっ。部長の退職パーティ。コピー機の故障。飛行機の遅滞。確かにね。まぁ、TOEICがビジネスシーンで起こる出来事を想定しているからね」
倉本さんの言葉に、心強い仲間ができたような気がした。
その夜、TOEICの単語帳を開いて、900点台の単語を見てみた。
(まだまだだな。でも、当日同じ問題を倉本さんも解いてるのかと思うとなんだか楽しい)
Bluetoothフォンを耳につけて、模試試験の問題を解く。少し退屈になっていたTOEICの勉強にワクワクのスパイスが入って、すっと頭に入っていく感じがした。
(歯医者のアポイント確認......。これは今日の倉本さんみたいだわ)
リスニング問題を聞きながらクスッと笑った。その日以来、TOEICのことで倉本さんに相談するようになった。
あのあと、彼のアドバイスで無事にスコア800点以上を取り、希望通り海外営業部に配属された。
それから数年後、北米担当になって三年が経つ。長い十三時間あまりのフライトを終え、ようやくニューヨークのJFK空港に降り立った。
今日は現地のコーディネーターと空港で待ち合わせの予定だ。
“Hi, Ms. Kuramoto! Welcome to New York!”
コーディネーターのジョージアが現れた。ジョージアとは今日で三回目のセッションだ。
“Hi, Georgia. So good to see you again.“
“Great. How was your flight?”
“It was very comfortable, thank you. Let me just make a quick call.”
「もしもし、パパ、無事にニューヨークに着いたわ。アキラの保育園に書類を出すのを忘れないでね。行って来ます」
ラウンジの向こうには、曇りがちなニューヨークの空に明るい光が差しているのが見えた。
ママの恋バナシリーズ、ついに海外へ。(驚)
背景は私の想像なので、細部は大目に見ていただいて、恋バナとして楽しんでもらえると幸いです。
(ChatGPTとGeminiのアドバイスをもらって作成しました)
