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    <title>こあのみずたまり</title>
    <description>coaqua(こあくあ)

自作の掌編小説・ショートショートや詩
手描きの絵、創作写真で心象風景を刻みます。
一日一話連投中。

第13回「星新一賞」ジュニア部門準グランプリ受賞</description>
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    <copyright>こあのみずたまり</copyright>
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    <language>ja</language>
    <lastBuildDate>Thu, 25 Jun 2026 21:42:25 +0900</lastBuildDate>
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      <title>971. 行燈を背負った犬</title>
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      <description><![CDATA[<p name="9a9823e4-5cbd-4a9d-8980-69bce22c476e" id="9a9823e4-5cbd-4a9d-8980-69bce22c476e">行燈を背負った犬がたくさん降ってきたので、とりあえず全部拾い集めて、うちの押し入れに詰められるだけ詰めておいた。こういうものは後で価値が出てくるのだ。</p><p name="f86407db-f728-4a35-83bf-938cb268f2d1" id="f86407db-f728-4a35-83bf-938cb268f2d1"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/nf9aa740e0703'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 25 Jun 2026 21:33:57 +0900</pubDate>
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      <title>970. トビウオのマーチ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="2a684aa0-52df-4615-b269-77ba6b375109" id="2a684aa0-52df-4615-b269-77ba6b375109">トビウオのマーチに参戦しようと思ったら、とんでもないドレスコード(という名の制服)があった。「これを着てくださいね」見本の服は、完全なトビウオ型だったのだ。背中の方に、薄くひらべったい袖がつき、下は、ちょうど尾鰭が先っちょだけ出る、小さな穴が二つだけ空いていた。見本を試着し、背中の袖に腕を通し、下の小さな穴に無理やり足を通そうとしたら、見事に破けてしまった。私を信用して、見本を貸してくれて、彼が営んでいる呉服店の試着室にまで通してくれた(あとレコードをさりげなくかけてくれた)あのトビウオに申し訳なくて、私は持ち前の裁縫道具でそれを直そうとしたが、破けたところを縫ったら違うところが裂け、またそこを縫ったら別の場所が裂けてしまう。気づくと試着室の中で、穴だらけのぼろ布と一緒に放心していた。レコードはいつの間にか止まっていて、やけに静かだった。意を決し、ぼろ布を抱えて試着室のカーテンを開けると、あのトビウオは、テーブルに座って巨大なイチゴパフェと、キャラメルマキアートをさもうまそうに啜っていた。やけにのんびりとした空気がそこにはあった。「あれ、もういいんですか」トビウオはやはりのんびりと私に笑いかける。「あの、これ…」私が布を差し出すと、トビウオは、「ああ、全然大丈夫ですよ、こんなのを気にしていたら、あなた上手に生きていけません」と、少しも怒らずに言った。「もしよければ、今からあなた向けのドレスを作って差し上げましょう」そして本当に、トビウオはその場で先ほどとは打って変わったとんでもない速さで、あっという間に私が着れそうなドレスを作ってくれた。「これで大丈夫でしょう。あなたはトビウオのマーチに参戦できますよ」そしてまた、ゆっくりのんびりと、食べかけだったイチゴパフェと、キャラメルマキアートを啜り出した。<br>私は作ってもらった服に袖を通し、無事トビウオのマーチに出席した。その着心地が最高だったことを告げるのと、ドレスを返却するのに呉服店に戻ると、テーブルの上に、非常に大きな魚の煮付けが置いてあった。私はなんとなく、それを知っている気がした。手汗でドレスが湿っていく。すると奥から、「ああお客さま、大変申し訳ございません、何をお探しでしょうか？」と、30代半ばといったところの男性が出てきた。「あの、先ほどまでここに居た、トビウオの店長を出してもらえますか？」聞くと、男性は、「いえ、店長は私です。あのかたはただの従業員で、先ほど信じられない重大なミスを起こしたので、ほら。」このようにしたのです。大きな魚の煮付けが指さされる。がたがたと震えそうになるのを堪えて、「どのようなミスだったんですか」と聞くと、「いや、貴重なトビウオのマーチのドレスを、びりびりに破いてしまったんです。それも、むしゃくしゃしたから自分で切り刻んだのだと。本当にどうしようもない従業員でしたよ。山分けにします？」私が頷いてもいないのに、店長の男性は私に、煮付けの頭から腹の部分までを切り取って、タッパに入れてくれた。「ここが一番美味しいんですよ」<br>結局私は、トビウオにドレスを返却することができなかった。</p><p name="59b33ec8-33a4-4e38-ba24-4b6a35d5c47f" id="59b33ec8-33a4-4e38-ba24-4b6a35d5c47f"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n217455c96003'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 24 Jun 2026 20:54:28 +0900</pubDate>
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      <title>969. 世界の果てで、穴鳥をふさぐ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="eb70f45b-1622-42f9-9af1-5ee7ac38ab8f" id="eb70f45b-1622-42f9-9af1-5ee7ac38ab8f">先ほどまで一緒にいた父がいないので、道端で魚釣りをしているおじいさんに、父を見なかったか尋ねると、「雑菌にまみれた穴鳥の頭の中を覗いてみると、驚くべき迷路で張り巡らされているから、その中で動く人の中から見つければいい」と言われた。私はすぐさま雑菌にまみれた穴鳥を探しに出かける。出かけると言っても、すぐに穴鳥は見つかった。私の帽子の中で数日前から巣を作っているのが穴鳥だったのだ。私は穴鳥の頭の羽毛を、ぶちりぶちりと取ってしまうと、頭蓋骨をぱかりと開けた。もっと苦労するかと思ったが、前に何度も開けられた形跡があったので力を込めなくてすんだ。以外にも穴鳥の回復力は弱いらしい。それとも、回復する間も無いほど頻繁に脳を開けられているのかもしれない。脳みその中は確かに驚くべき迷路が張り巡らされていた。そしてその迷路を、うろうろしている人間が15体ほどいた。誰も彼も、同じ服を着て、同じ髪型をしていた。128と大きく斜体でかかれたシャツに、下は硬そうな生地の半ズボンだった。髪は誰しもがおかっぱだった。15体の人間は、私に気づくなり、何かわあわあとわめいたが、何を言っているのかはよくわからない。「お父さん、返事して」と声をかけると誰もが一斉に返事をした。私はうんざりして、彼らを封印するように頭蓋骨を元にもどしてしまった。かぱりと音がして、人間たちの声は嘘のようにぱたりと止んだ。私は、さっきむしった羽毛をもとどおりでんぷんのりでくっつけて、ついでに頭蓋骨のつなぎめも、のりをたっぷり盛ってやった。「これで当分安静にしていれば治るよ」穴鳥に呼びかけると、彼女は嬉しそうに一声鳴いた。しかし立ち上がって後ろを振り返ると、そこにはガタイのいい男の人が立っていた。「その鳥を貸せ」私が素直に鳥を差し出すと、彼は、たった今私がせっかくつけた羽毛をむしりはじめた。私が角を曲がり切ってしまう頃、かぱりと音がした。そしてまた、人間たちのわめき声が聞こえる。これが、世界の果てなのだ。</p><p name="1c580508-f38e-4df2-8430-4b35d72ecae3" id="1c580508-f38e-4df2-8430-4b35d72ecae3"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n67ae63b74bfa'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 23 Jun 2026 23:42:53 +0900</pubDate>
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      <title>968. メジロが何かを壊していく</title>
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      <description><![CDATA[<p name="816ec65e-2b6d-42e8-87ec-a0a55b4915a9" id="816ec65e-2b6d-42e8-87ec-a0a55b4915a9">もんどろんがメジロに食われて、そんどろんと化した。「メジロはどんぐり虫に体を侵されているから不機嫌なのです」「しかしこの問題はどんぐり虫ともんどろんに限ったことではない」「あいつの目のまわりがやたらと白いのは…」そんどろんは来る日も来る日も、やせすぎでこの世を去るまで、メジロがいかにひどい生き物であるかを訴え続けた。「そうあいつはいつでも不機嫌で、このもんどろんの誇りというものを食い荒らし、そんどろんにしてしまった。あいつは偉そうに羽など生やすべきではないのです…」ある晴れた日、彼は枕元で卵からやっと孵ったメジロのヒナに自分の体内の水分を全て注いだ直後に息絶えた。ヒナは溺死していたし、そんどろんの丸かった体はしわしわになっていたが、幸せそうな死に顔であった。<br>時は過ぎる。一年草がいっせいに土の中へ浸透していったころ、もう誰もがメジロともんどろんのことなど忘れていた。そう。そんどろんは、まだもんどろんだった時の姿のまま、遺影の中で笑っている。</p><p name="29bc7d09-7c9c-4651-90f2-e38c7caf756d" id="29bc7d09-7c9c-4651-90f2-e38c7caf756d"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n01bbe00c3cd3'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 22 Jun 2026 21:26:20 +0900</pubDate>
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      <title>967. 5時間のカジキ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="4c9742d2-a3fb-47dc-8064-5b4622185a89" id="4c9742d2-a3fb-47dc-8064-5b4622185a89">あと5時間、カジキの形になっていれば君は安全だ、と言われてからもう何時間経っただろうか。私は言いつけ通り、体全体をきゅうりの漬物のように細くして、カジキになっている。それがうまくできているのかはわからないが、とりあえず少し気を抜くと自分が誰だったかを忘れてしまうほどには、カジキの心持というものを身につけているということだろう。しかしこの岩だらけで十分な暗闇すら存在しないこの場所で、このカジキの体勢で何時間も過ごすのは容易ではない。「こんなのは簡単だ」という人は、多分もうその人はもとからカジキだ。私もいっそ、もとからカジキであればどんなに楽であっただろうか、ああ、しんどい。私はそろそろ限界が近づいていると思った。この場所の時間の進み方がどう見ても狂っていると思われるにしても、もしかすると、5時間などとっくに過ぎているのかもしれない。5時間と言えば、キリンがちょっと疲れている時の睡眠時間である。私の体感としてはキリンひと月分だ。まさか5時間も経っていないなんてことはないだろう。そうだ。今こそカジキから解放される時なのだ…。かたまりかけていた腕と足を、ヒビでも入りそうになりながらほどいていこうとした時、遠くの方から珍妙でふざけた足音が響いてきた。「ぽすまのぅん。ぽすまもぉん。ひっぽっ。ぽすまのぅん。ぽすまもぉん。ひっぽっ」私は瞬時に理解した。あれは絶対に良くないものだ。ほぐれかけていた腕と足をもう一度細くして、もう一度心までカジキに入れ替えて、近づいてくる足音をじっと待つ。「ぽすまのぅん。ぽすまもぉん。ひっぽっ…あんれ、こんなところに、これはあれだ、あれ…あれがいるど、これはこれは。これはおらの毛布と、おらの全財産と、あと少ねえが明後日までの食糧でえ。あとおらの服と、おらの懐中時計、おらの膝に当ててた包帯。どうかこのあたりでご満足くだせえ…ぽすまのぅん。ぽすまもぉん。」珍妙な足音の彼は、ほとんど全裸になってそそくさと帰っていった。彼が置いていった懐中時計をカジキの格好のままのぞき見ると、ちょうどあれからきっかり5時間経っていた。</p><p name="8f881a5b-b25c-4ec6-88b5-fa97f2f37fcc" id="8f881a5b-b25c-4ec6-88b5-fa97f2f37fcc"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n4cecd18d13aa'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 22 Jun 2026 01:56:34 +0900</pubDate>
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      <title>966. 朝、金魚は</title>
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      <description><![CDATA[<p name="fa718df5-82ec-4768-a363-596f48fb7955" id="fa718df5-82ec-4768-a363-596f48fb7955">垢の溜まった金魚が木登りに苦戦しているが、手を差し伸べる者はいない。金魚はひたすら、「備え付けのロボット」に教えてもらいながら木登りをしている。「会員No. 8　金魚　様、もう少し手の角度を斜めにし、あの右上に見える中くらいの太さの枝に指を絡ませていけばどうですか」金魚は口が数日前から、垢の溜まりすぎで固まり開かないので、テレパシーでロボットに伝える。「何回も言うけど、ぼくにはヒレしかないんです。あと、持っているものと言えば、赤としろのシマシマ模様。これのせいでぼくはみんなにきらわれる。あなたも実は同じことを思っているんでしょう、ぼくにはヒレと、シマシマしかないんです」頭の中で言い終わってから、金魚はまた、枝にヒレをかけて体を持ち上げようとするが、その膨らんだ腹が木の幹にぶつかって跳ね返される。「会員No. 8　金魚　様、あまり無理は良くありませんよ、ほら、そのあなたの薄くなめらかなお肌は今、カピカピで土に塗れて傷だらけで、ところどころ破けて昨日流し込んだオキアミが飛び出していますよ、そろそろご実家にお戻りになって、ゆっくり三、四日お風呂にでも浸かったらいかがですか」遠回しに、あなたの垢の溜まりようはもう見逃せないレベルまで来ていると言っているのだ。「ぼくに実家などありません」金魚は腹が立った。わざわざ会員になって手に入れた「備え付けのロボット」だと言うのに、全く良くない。ロボットなのにひどく遠回しな言い方をする。金魚は遠回しが大嫌いだ。「会員No. 8　金魚　様、お返事は……」「その呼び方そろそろやめてくれませんか」あんまり腹が立ったので、金魚はつい、自分の口から声を出してしまった。垢の粘着力はこの程度だったようだ。こんなことではいっそのこと会員をやめて、干からびて息絶えるまでひとりで、木登りをしていよう。金魚はそう決めた。「もう行っていいですよ、もう二度と現れなくても」「会員No. 8　金魚　様、では解約の手続きをこちらで済ませておきます。退会料500円になります」金魚は500円を、近くの自動販売機の下から拾ってロボットに渡す。「はい。確かに解約いたしました」そしてロボットはぎいこぎいこと音を立てて帰っていこうとしたが、途中で振り返り、「金魚さん、応援していますよ」とだけ言って、またぎいこぎいこと帰っていった。</p><p name="9c7cbe1a-ac0e-439d-8880-8a5646bb5709" id="9c7cbe1a-ac0e-439d-8880-8a5646bb5709"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n1731f476f53d'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 20 Jun 2026 23:15:34 +0900</pubDate>
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      <title>965. 蝗</title>
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      <description><![CDATA[<p name="87b17d7b-6de3-4c35-91b2-fd592f1be9f2" id="87b17d7b-6de3-4c35-91b2-fd592f1be9f2">まだ死にきれていない蝗があさましく川辺でのたうつ春に、私は生まれてしまった。黄色い帽子をかぶって並木道を歩く。来る日も来る日も私の帽子の中には蝗が湧く。イチョウの木の枝には一本残らず蝗がとまっている。繋いだ手にも蝗が湧いて、皮膚をかみちぎっている。どれもこれも全部、蝗がのたうつ春に生まれてしまったせいだ。<br>学校では漢字を覚える。でも覚えるのはいつも「蝗」の一文字。ノートがすみからすみまで「蝗」で埋まっていく。蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗蝗<br>給食は山盛りの蝗だけ。他の子はみんなご飯にお汁におかずを食べているのに私だけ蝗だけ。<br>「こんな蝗だらけの世界に産まれたくなかった」<br>しかし母は言う。「どこに蝗がいるの？」私は、蝗がへばりついて指をゆっくり舐めるように噛みちぎっている右手を出す。それから黄色い帽子の中で湧いている蝗を見せた。「どこに蝗がいるの？」母はもう一度言う。<br><br>どこに？<br><br>私は右手をもう一度見る。何もいない。先ほどまで半分くらい噛みちぎられていた指には傷ひとつついていない。帽子を見る。どんなに目を凝らしても縫い目しか見えない。「いない」「まだ死にきれていない蝗があさましく川辺でのたうつ春に産まれてしまったのに、蝗がいない」すると母は不思議そうな顔で言った。「あなたが産まれたのは秋なのよ」<br><br><br></p><figure name="59904ce2-cbbf-4177-ad1e-61c86e88348d" id="59904ce2-cbbf-4177-ad1e-61c86e88348d"><img src="https://assets.st-note.com/img/1781867225-Lqdoh3wMZC6v8XRJpOHgxrWe.jpg" alt="" width="620" height="413"><figcaption></figcaption></figure><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n52d29767ff9b'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 19 Jun 2026 20:09:03 +0900</pubDate>
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      <title>964. 飛び箱の中で朝を迎える</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/286638584/rectangle_large_type_2_711997a8b77f2a69c5fa57a7b6001ddc.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="1fca10b5-18a6-42ad-86fa-95fff87c38d5" id="1fca10b5-18a6-42ad-86fa-95fff87c38d5">飛び箱の中に住んでいるおじいさんを見つけてしまった。「あなたの名前はなんですか」「さあ私はそれをわかりません」「飛び箱の住み心地はいかがですか」「いいえ雨漏りはしません」私はこのおじいさんのことが大好きになったので、まるで捨て猫にミルクをあげにいくように、毎日話しかけに行った。「あなたはどこで生まれたのですか」「さあ私はそれをわかりません」「寒くありませんか」「いいえ寒くて」私は彼のしわしわの手を握って、息を吐きかけた。「寒くありませんか」「いいえもう寒くありません」それから私たちは一言も喋らずに手を握り合って、きゅうくつな飛び箱の中で朝を迎えた。「私は行かなくてはなりません」私は言う。おじいさんは、私がそっと彼の手を離し、飛び箱の4段目の蓋を開けて、片足を外に出しても、何も言わなかった。顔を伏せたまま飛び箱の壁に寄りかかっていた。「明日もきます」</p><p name="89b0d9a6-499d-4b02-9ce0-79d2fa1eafe2" id="89b0d9a6-499d-4b02-9ce0-79d2fa1eafe2"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/nace868068b1b'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 18 Jun 2026 23:25:14 +0900</pubDate>
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      <title>963. お猿さんのえらこきゅう</title>
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      <description><![CDATA[<p name="6094b6cc-1455-4d32-9b8a-1c3f6ba0435f" id="6094b6cc-1455-4d32-9b8a-1c3f6ba0435f">くじらはオキアミを食べているのではない。くじらはサルスベリの花を食べている。くじらが呑気に潮を吹くと、お猿さんが海の底からこぽこぽと上がってきて、「おい、潮なんか勝手に吹いちゃあだめじゃないか」と怒鳴るので、くじらはもう吹かないと約束して、お猿さんは海の底へまたこぽこぽと帰っていく。次にくじらが約束を忘れて、また呑気に潮を吹くまで、お猿さんは海の底で深い眠りに落ちている。</p><p name="4b624639-9e73-41c9-b5a1-ed675a563685" id="4b624639-9e73-41c9-b5a1-ed675a563685">猿はサルスベリが大好きだったので、サルスベリの木の枝で胸を突き刺してしんだ。それから、海にこぽこぽ潜っていって、猿はえらこきゅうを覚えた。と言っても、猿はもう呼吸などする必要はなかったのだけど、その方が、なんだかいいと思ったので、覚えたのだ。そういうわけで猿は、お猿さんは、次にくじらが潮を吹くまで、海の底で不必要なえらこきゅうを繰り返しながら眠っている。</p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n7cab5acb86d0'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 17 Jun 2026 21:29:20 +0900</pubDate>
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      <title>鮮やかに波のおくの</title>
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      <description><![CDATA[<p name="4fc3b704-b48e-40e8-8258-473fa28f500a" id="4fc3b704-b48e-40e8-8258-473fa28f500a">つららを通した景色が明日になれば<br>消えてしまいそうに思える<br>体の一番おくの<br>冷たいものはいつまでも姿を見せずにくすぶり<br>まだ見えないが心地よい祈りの果てに見える<br>頬のひとつぶひとつぶが鮮明に　鮮やかにうつる<br><br>赤いと思えないし青いとも<br>思えなくなってきたのかと</p><p name="2ad6aca7-05a5-4110-aaf5-5285c93a2f36" id="2ad6aca7-05a5-4110-aaf5-5285c93a2f36">手がない　救う手がない<br>足の先から溶けていくいつからか<br>増えた痒みがひどく</p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n1d66c92f3b7c'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 17 Jun 2026 21:08:28 +0900</pubDate>
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      <title>962. 夫人から馬を受け継ぐと</title>
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      <description><![CDATA[<p name="e7fb746b-b789-46ff-9586-ad459a0ddc95" id="e7fb746b-b789-46ff-9586-ad459a0ddc95">受付には夫人がいた。私は特に、スタンプラリーなど興味はなかったのだけど、とにかく暇で仕方なかったので、近くから手頃な石を持ってきて腰掛けると、夫人に話しかけた。「あなた、なんの夫人なの？」「馬の夫人です」なるほどこの炎天下の中テントもないこのさびれた公園の受付を任されている程度には、彼女の夫(馬)は稼ぎが良くなさそうだ。「あなた大変ねえ、一体全体何がどうなって、お馬さんのご夫人がこんな公園でスタンプラリーの受付をやっているの」「血筋なんです」そう言って彼女はしくしく泣き出した。母も祖母も曾祖母も、ここで、スタンプラリーの受付をやっていたんです。ひどいと思うでしょ。こんなこと、私の代で終わらせてしまいたいの…<br>馬の夫人は、ワンピースの上から、少し大きなお腹をさする。「そういうこと…」私は、彼女のお腹、いやその向こうにいる小さなものを眺めた。「あなた、信じられる？この子も私くらい大きくなったら、まさにこの公園のここで、スタンプラリーの受付をしなくちゃならないんですよ。あなたにそれがどれほど悲しく辛いことかわかる！」がたんと音を立てて夫人が立ち上がる。「まあまあ」手で静止しながら、私は考えた。それは、あなたのお馬さんにどうにかしてもらったらどうかしら、そのくらいはやってくれるんじゃない、一応旦那でしょ。しかし彼女は頭を振った。いいえ。あの人は四つん這いで人参やキャベツを、口から涎を垂らしながら音を立ててむさぼることしかできないのです。今頃は次のキャベツを求めてきっと冷蔵庫を荒らしているのよ。<br>「それは困ったわね、私が預かってあげる」<br>彼女は目を見開き、「ぜひ、」と満面の笑みになって、私に握手をした後、指笛を吹いた。音がしてから1時間後、中くらいの大きさの馬がのろのろとやってきた。「じゃ、お願いね」彼女は鼻歌でも出そうな顔をして、私に彼を押し付けると、どこかへ遊びにいってしまった。私は「あんた、うちではキャベツの美味しいところはあげられないよ、あんたのは芯だけだけど我慢してもらうしかないんだ、よろしくね」と言い、馬は、ひどく悲しそうな顔で、ひひーんといなないた。</p><p name="d56f83be-039a-4b61-9325-6fea65e5c23c" id="d56f83be-039a-4b61-9325-6fea65e5c23c"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n82cba08e3562'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 16 Jun 2026 22:48:10 +0900</pubDate>
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      <title>961. 切り取られるライオン</title>
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      <description><![CDATA[<p name="50824663-c986-4120-9486-47d2acf46590" id="50824663-c986-4120-9486-47d2acf46590">ところどころ切り取られたライオンが、出来損ないのハギレみたいな顔をしてブランコで揺れていた。ライオンは、尻尾の先っぽと、片耳と、右足と、タテガミの大半を切り取られていた。ライオンはしばらく風に身を任せて揺れていたが、やがて場違いな鳩が公園の石段をぽこぽこと上がってくると、ブランコから降りて、左足だけで鳩に近寄る。首を傾げる鳩があまり太っていないのを見ると、ライオンは自分の左目をぽろりと取って、鳩にやった。鳩は首を傾げてから、差し出された丸いものを嘴でつっついて、飲み込んだ。またひとつ風が吹いて、ライオンは、何て幸せなんだろうと考える。こんなに幸せなのだから、目の前の者ももっと幸せにならなくてはならない。ライオンは自分の右手と、タテガミの残りと、左足と、尻尾の根元と、鼻と、残っている方の耳を切り取って、それも鳩にやった。鳩はもはや首を傾げることもせず、目の前のものを一生懸命体に取り込んでいく。また風が吹いたがライオンはもうあまり感じなかった。鳩は全てを食べ終わると、だいぶん切り取られたライオンの体をついばんだ。ライオンが切り取られていく。ハギレから糸がほつれて、最後は布でなくなってしまうように、ライオンが切り取られていく。<br><br>あるとても静かな、夕焼けが沈む前の一瞬の出来事だった。</p><p name="65303202-f7a1-4d46-acd3-a462e269ff47" id="65303202-f7a1-4d46-acd3-a462e269ff47"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n3e2f88bcaf7a'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 15 Jun 2026 20:30:15 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/coaqua/n/n3e2f88bcaf7a</link>
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      <title>960. いますぐ撤去だ。</title>
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      <description><![CDATA[<p name="48ac35ef-b1f7-4f45-bcbf-04374118fb78" id="48ac35ef-b1f7-4f45-bcbf-04374118fb78">火星から冥王星に滑り台が通った。滑り台は、宇宙空間に強くない素材で作られていたので、記念すべき一人目は、途中で無の中に放り出された。幸いにも古い祖先を辿ると、その者はクマムシの血を引いているということがわかったため、きっと樽のようになってどこかで生きながらえているだろう、と誰かが言った。しかし伝達が悪かったのか、火星の人々がせっかちなのか、腐っている滑り台にはあとからあとから人が押しかけて、その度にまたひとり、またひとりと宇宙空間に放り出されていった。火星人たちの祖先には残念ながらクマムシがいなかったので、血液の沸騰し切った彼らの残骸が、永遠に闇の中で彷徨うことになった。この状態はあまりよろしくないと考えた方が良いだろう。いますぐ撤去だ。</p><p name="db79c79a-8c8c-4d5c-ba1d-53c9f2a731f6" id="db79c79a-8c8c-4d5c-ba1d-53c9f2a731f6"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n3fc6174c7c7d'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 14 Jun 2026 22:35:42 +0900</pubDate>
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    <item>
      <title>959. ペンギンがギペンドになる前に</title>
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      <description><![CDATA[<p name="41697bc6-4a81-4ae4-8654-f8c6f27aaa8c" id="41697bc6-4a81-4ae4-8654-f8c6f27aaa8c">なんなんだ、きこりがバスタオルに包まれながらレタスを前歯に齧っていてあぶなかっしいって言うからわざわざペンギンの羽の手当をほっぽりだしてはるばる来たのに、なんだこのザマは。きこりはどこだ、バスタオルはどこにある。君が嘘をつく癖は十日前から明らかになっているから驚きはしない、しかし私はペンギンの手当てをほっぽりだして来たのだぞ、帰ったらペンギンがねじれにねじれ、「ギペンド」になっていたらどう責任をとってもらおうか。そうだな、私が愛してやまないのはペンギンであってギペンドではない。つまり君は、ギペンドを死ぬまで飼い続けるんだ。ぜったいに、何があっても。言っておくがギペンドの寿命は1090年かそこらだから、今から毎日散歩に出かけることをお勧めする。ではこれでお暇しよう。ペンギンがギペンドになる前に。</p><p name="c83e1272-03ca-4f2d-82a6-e3faa45a44b6" id="c83e1272-03ca-4f2d-82a6-e3faa45a44b6"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n013740263a85'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Sat, 13 Jun 2026 22:57:21 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/coaqua/n/n013740263a85</link>
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      <title>4. ワカメ</title>
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      <description><![CDATA[<p name="5f0c4f28-8017-4020-aee6-9a1552888f1e" id="5f0c4f28-8017-4020-aee6-9a1552888f1e">クラスごとかなんだかわからないがとにかく二つの円になって話し合いをしているがなぜか私だけは輪に入れずに一人離れたところでぽつん、としている。それからさびれた給食を食べて、汚れたエプロンを流しで一人ずつ洗い、一つ一つの段が高すぎる階段を降りていく。しかし私は後で、給食のエプロンを洗い忘れていると先生に呼ばれ、慌てて階段を登るが高すぎる段に足が上がらず、途中からとうとう限界を迎え、エレベーターを使うことにする。しかしそのエレベーターにはどういうわけか「1階」とか「7階」とかそういうボタンはなくて、代わりに、どこかの地名のような、横に長ったらしいボタンが三つほどあり、とにかく何かしらのボタンを押さねばと適当に押すと、エレベーターはすごい勢いで下降し、そのまま線路に沿って、私一人だけを乗せ、すごい勢いで走り抜けていく。私はなんとなく、ああ、きっとこのエレベーターは、私が思っているより遠くに私を運んでいってしまうのだろうと気づき、急停車ボタンを押した。エレベーターはひどくでたらめな止まり方をすると、中に、泥まみれで歯を見せてにかにか笑っている駅員さんが入ってきて、「どうしたんだい。もうこんなことはしちゃいかんよ」とそれだけ言って、帰って行こうとするので、「待ってください！」と引き留め、どうやってもとの場所へ帰るかを聞くと、駅員さんはぽかんとした顔をして、「ワカメスープがここらじゃおいしいからね」とだけ言うと、本当に行ってしまった。エレベーター(いや、これはもう既に電車だったのかもしれない)は私を乗せて、元来た道をひとりでに帰って行ったのでびっくりする。その時私が考えていたこととすれば、ワカメスープのことだけであった。</p><p name="61b7ad8f-4c51-48f6-87a3-cdafc5556c18" id="61b7ad8f-4c51-48f6-87a3-cdafc5556c18"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n29602e852119'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 12 Jun 2026 20:58:38 +0900</pubDate>
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      <title>958. カエルの舞う橋</title>
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      <description><![CDATA[<p name="a36e21ed-31a8-456e-ba85-e926efe79a87" id="a36e21ed-31a8-456e-ba85-e926efe79a87">カエルが踊り狂う橋で野宿をすることになったので、一応敬意というものを払うことにする。私はまず彼らの腹がペシャンコだったのでさぞ腹をすかしているのだろうと思い、踊り狂う一匹をそうっとつまみ上げて何か食いたいものはないかと尋ねた。しかしその瞬間にカエルの舞はぴたりと静まり、皆の冷たい視線が私に降りかかる。「オマエ、なんでい。オレらの舞をジャマしようってんのか、え？」「この一番ジャマな場所に、仕方ねっからオマエっちゅう大荷物を置いてやっよるどに、さらにちょっかい出そうっでんか、え？」僕は口をぱくぱくさせて色々言い訳をしようとしたが、全く聞き入れてもらえなそうだったので、「すんません・・」としょげて一礼を行うと、手の中のカエルを地面に下ろしてやった。下ろされたカエルのもとに、大勢のカエルたちがおいおい泣きながら駆け寄ってきて、無事だったか、とか、さぞ怖かったろう、とか言いながら抱き合っていた。その様子があまりにもわざとらしかったので、私は腹がたった。「ほれ見なさい、オマエ様のせいでこの者たちが、流すはずではなかった涙を流しておる。いいかしっかり目に焼き付けるのだ、本来なら体の外に出るはずでなかったわしらの貴重な水を」村長らしきカエルの言でついに我慢の限界に達した私は、「では結構です、他にも泊まるところはいくらだってありますから」と言い捨てると、荷物をまとめて橋を後にした。後ろでしばらく、「ちょっとかわいそうなんじゃなげに？」「やりすぎたんでない」「オマエが一番にあんなこどしようって言い出したんだど」と声がしていたが、やがて誰の声も聞こえなくなった。<br>夜は長い。</p><p name="d3e35a09-4de6-4d38-b156-4ed0cb18bf2f" id="d3e35a09-4de6-4d38-b156-4ed0cb18bf2f"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/nfc788fa9469b'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 12 Jun 2026 20:37:19 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/coaqua/n/nfc788fa9469b</link>
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    <item>
      <title>957. 代々</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/284535423/rectangle_large_type_2_fd9c5a505f203ce041dbcffc8eefa5ec.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="86a9a9bc-bb86-42c9-9edb-0697408b0d6f" id="86a9a9bc-bb86-42c9-9edb-0697408b0d6f">耳から入り込んでくるのは、「アササ」と「カソソ」の大群。それぞれの群を率いる王様が「おい、お前、カソソのくせに」「なんだと、アササになんか負けるものか」と、甲高い声で互いを罵り合いながら、私の耳に入り込んでくるものだから、たまらない。耳小骨から、うずまき管に両者とも踏み込んできたあたりでついに耐えられなくなり、祖母の代から受け継がれる耳かきで耳の奥をつっついた。すると頭が割れそうなほど甲高い声がして、耳の中から「アササ」と「カソソ」がずるずると列を成して出てきて、地面に落下した。ひどく慌てた様子で去っていくふたつの群れを見ながら、私は耳かきが割れていないかを確認する。代々受け継がれたこれを、私の代で途絶えさせてしまうわけにはいかないのだ。全く祖母も面倒なものを押し付けてくれた。</p><p name="16409836-1a01-4726-bb2a-ba6ba228dbf0" id="16409836-1a01-4726-bb2a-ba6ba228dbf0"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n3cc1b96ae84b'>続きをみる</a>]]></description>
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      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 11 Jun 2026 20:27:23 +0900</pubDate>
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      <title>956. ええ、熊のスランプが続くかぎり</title>
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      <description><![CDATA[<p name="c6d04efc-185b-463a-83a8-754450c2f196" id="c6d04efc-185b-463a-83a8-754450c2f196">スランプに陥った熊がやけ酒をしている。私は一生熊の面倒を見るという義務があるため、どうにか彼を家まで連れ変えなければならなかった。「ほら、帰りますよ」しかし熊は駄々をこねるばかり。仕方なく最終手段に出ることにする。熊の分厚い肉球に爪楊枝をさしていくのだ。そうすればじきに、熊のホンノウのスイッチが「家に帰りたい」に動く。<br>困り顔の居酒屋店主に爪楊枝を要求すると、お客さまの目の前にありますよ、と言われた。目線を下げると、本当にあった。私は、初めから知っていたというふうに、優雅な動きで平然と爪楊枝を手に取り、熊のあっつあつに熱った肉球をさす。30回くらい連続して刺し続けたところで、彼は突如すっく立ち上がり、「家だ！」と戦いの宣言のように吠えた。「家だ！家です。ご主人さま。さあぐずぐずしてないでこんなとこ早く出ましょう」店主は耳を塞ぎながら店じまいをしている。私も耳を塞ぎたかったがここはぐっと我慢し、「そうだね」と優しく熊の手を取ると、店主に頭を下げて店を出た。帰り道、熊は「家だ、家に、家に、もうじき家だ」とぶつぶつ呟きながら私の手を引いて、歩く。彼が一歩踏み出すたびに、まだ夜明け前の静かな街が大きくふるえた。家に着くと彼は疲れてしまったようで、ぐたりとソファに寝転がって、歌を歌いながら寝落ちしてしまった。私は彼のために、コンビニ弁当をレンジの中に入れておいて、「温めて食べてね」とメモを残し、仕事に出かけた。</p><p name="8281f9d4-5e23-471f-9643-68a4ed06d08a" id="8281f9d4-5e23-471f-9643-68a4ed06d08a"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n0a74a22e0bf6'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 10 Jun 2026 23:22:57 +0900</pubDate>
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      <title>955. アザラシのための闇鍋はどうでしょう</title>
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      <description><![CDATA[<p name="05ea3b39-3513-4c55-ae04-59dc93c2c442" id="05ea3b39-3513-4c55-ae04-59dc93c2c442">闇鍋をするというので、僕は靴べらとか、卵のからとか、いろいろなものを手元に集めてみた。そして最終的にアザラシのヒゲを持っていくことにした。気の知れた友人たちと、カセットコンロと水の入った鍋だけを用意して、電気を消した。一人ずつ具材を入れに行き、僕は三番目に、アザラシのヒゲを持って鍋の蓋を開けた。中からは特に悪臭もせず、真っ暗なので何も見えなかった。終わると、元の場所へ戻った。四人目と五人目も帰ってくると、いよいよ真っ暗の中で鍋を取り囲み、一人ずつよそる。おたまで真っ黒の具材をすくって鼻先に持って行っても、相変わらずなんの匂いもしなかった。僕が持ってきたアザラシのヒゲは無臭だから、それについての匂いがしないのは当然のことだけど、みんななんの匂いもしない具材ばかり持ってきたのだろうか。せめて僕だけでももっと強烈なものでも持ってくるべきだっただろうか。このままだとあまりに凄みがない。しかし仕方のないことだ。<br>「じゃあ食うぞ」ついにこの時が来た。僕は手探りで割り箸を割り、注意深く手元の器の中のものをつまんだ。口に近づけてもやはりなんの味もしない。えいっと放り込む。<br>ジャリ。<br>ジャリジャリ。<br>真っ暗な部屋に、ジャリジャリという音だけが響き渡る。そこかしこからその音は絶え間なく聞こえ、そのうちニュートンのゆりかごの球が一体になって動く時のように、ひとつひとつの音が共鳴し合い、アブラゼミの大合唱と化した。急に視界が明るくなる。誰かが電気をつけたようだ。目をしょぼしょぼさせながら鍋の中を見ると、そこはアザラシのヒゲでいっぱいだった。<br>「おいお前、何持ってきた？」<br>誰もが「アザラシのヒゲ」と答えた。互いの顔を見合わせると、嫌な汗が流れた。まさか今年も……<br>「バーン」<br>突如蹴り倒されたドアの向こう側には丸々太ったアザラシがいて、闇鍋を行ったメンバー全員をそのまるい頭で頭突きして深い眠りに落とした。それから鍋の中をみて、ニッタリ笑い、クイっと手で合図を送った。その途端後ろからアザラシの大群が押し寄せてきて、鍋の中からヒゲをつかむと、自分の口につけた。完了したアザラシはそそくさと帰っていった。去年も、この「ヒゲアップデート作業」のために彼らは人間に闇鍋を行うよう操っていたのだ。今年も引っかかってしまうなんて、情けない。「そんなだから人間はアザラシに勝てないのですよ」と言い残し、太ったアザラシも帰って行った。</p><p name="28465e85-a075-4cb9-8cc4-8b6374ea79c3" id="28465e85-a075-4cb9-8cc4-8b6374ea79c3"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/nb52e8de8e8f7'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Tue, 09 Jun 2026 21:58:44 +0900</pubDate>
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      <title>954. 脳内お花畑</title>
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      <description><![CDATA[<p name="41258f4c-e1d0-4042-89d1-a0d2234b801a" id="41258f4c-e1d0-4042-89d1-a0d2234b801a">久しぶりに弟の家に行くと、相変わらず散らかった部屋の中で、テーブルの上に、その場にあまりにもそぐわない花瓶が置いてあった。そこには何本か、立派な花が生けられていた。弟にそんな趣味があったとは知らなかった。しかし花について言及すると、彼は頭をかきながら、いやあ、一応お客が来るって言うから、とってきたのさ、と言った。てっきり買ってきたものだと思っていた僕が驚いて、どこでとってきたんだ、と尋ねると、弟は言いにくそうに体をくねらせたり窓の結露を指で拭いたりして、やっと小さく声を出した。「脳内でとってきたのさ」「ほら、昔キミが言ってただろ、お前脳内お花畑でいいなって。あの頃、ぼくの脳内にお花畑ができたのさ」<br>「本物の？」僕が聞くと、弟は「ああ」と言った。「よかったら一緒にぼくの脳内で、花をつまない？」僕は正直弟の脳みその中になんか入るのは嫌だったが、興味本位で、差し出された彼の手を取った。瞬きをして目を開けると、見渡す限りの花畑だった。僕は弟の姿を探したが、いくら花をかき分けても、どこにも姿はなかった。その代わり、やぶ蚊が大量に出てきて、あちこちを次々と刺された。それをどうにか振り払って、手でぼりぼり掻きむしっていると、ずっと小さな音で、何かが流れていることに気づいた。その聞こえるか聞こえないかくらいの音量のものを、僕は耳を澄まして聞き取る。よく聴くとそれは、弟が小さな頃によく口ずさんでいた歌だった。懐かしくなって、僕も一緒に歌っていると、遠くから、「おーい」と声がして、いっぱい花を抱えた人影が走ってきた。弟だった。「帰ろう、にいちゃん」<br>そしてまた弟の手を握って瞬きをすると、あの散らかった部屋に戻っていた。ぼくの脳内どうだった、と聞いてきたので、思ったよりは良かったよ、と返す。あの歌のことは言わなかった。</p><p name="bfa0d233-dc97-40b9-925f-1b97f81ffd47" id="bfa0d233-dc97-40b9-925f-1b97f81ffd47"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n014e846a7106'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Mon, 08 Jun 2026 23:22:09 +0900</pubDate>
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      <title>953. みずたまり、散らばる</title>
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      <description><![CDATA[<p name="81c9a109-c142-4056-ac96-95df9fb5f949" id="81c9a109-c142-4056-ac96-95df9fb5f949">みずたまりを作ることしかできない田中さんが、ほっかむりで首を絞めて息絶えようとしていたので、私は慌てて駆け寄ってほっかむりをびりびりに破き、能面のような顔をしている彼の頭を膝に乗せて、やさしく撫でた。「また嫌になっちゃったんですか」彼は力無く頷いて、私に撫でられたまま二、三回深呼吸をした。空気を肺にただ入れて出すのではなく、肺を膨らませてその肺胞の隅々まで全てを空気の粒で埋めるような呼吸だった。そして空洞を隙間風が渦巻くような声を出した。「みずたまりしか作れないおれなんて、誰も求めちゃいないさ」近くには作りかけのみずたまりがいくつもてんてんと存在しており、それは限りなく遠くにまで及んでいた。「途中で諦めたんですか？」聞くと、彼は頷く。今まで彼は、みずたまりを作るのが嫌になることはあっても、途中で諦めることはなかった。ましてや全部作りかけのまま、こんなにがむしゃらに大量にこしらえるなんて。もしかすると、彼は本当に危うい状況にいるのかもしれない。<br>足の痺れをごまかすように、足の指をちょこちょこと何回か交差させる。こうすると意外にも頭が整理されるのだ。私はあちこちに散らばっているみずたまりを指差して言った。「とにかく、あれらを完成させてしまいましょう、そうすれば何か変わるかもしれないですよ、大丈夫です手伝いますから」そうして私も、いく年ぶりに口から糸を出して作りかけのみずたまりの細胞を増やし、完成させていく。彼も私の様子を見ていた。<br>ついに半日かかってそれが終わると、私は自分で作ったみずたまりから水をすくって、口に含み、ぺっと草むらに出した。こうすることで、口の中でもみずたまり化が進むのを抑えるのだ。口を清めた私は彼の元へ帰ってきて、「どうです」と聞く。彼は身を起こし、私が仕上げたみずたまりを見ると、非常に苦い顔をして笑った。「ひどい出来だ。仕方ないな」そして私が苦労して増やした細胞を全てひっぺがすと、自分の口から糸を出して、新しいみずたまりを作り始めた。</p><p name="178d89b8-4b26-4202-9866-c2361312ec28" id="178d89b8-4b26-4202-9866-c2361312ec28"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n15fdb7645962'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 07 Jun 2026 23:14:23 +0900</pubDate>
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      <title>952. ラカンカにとける</title>
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      <description><![CDATA[<p name="5aaec84a-45ee-4ebc-9e42-8f3224171bbe" id="5aaec84a-45ee-4ebc-9e42-8f3224171bbe">甘すぎるラカンカがカンカン鳴り響く夜に歌う。何かしらの入れ物、とか、箱の中のいきものはみんな窓を開けて、歌う。楽しくなるのはいいことだけど、あんまり身を乗り出すとラカンカの甘さに引き摺られてとけてしまうから気をつけて、そこはぐっと抑えなければ。今までそれでとけてしまった人を私は5人ほど知っている。彼らはみんなモヒカンにするという洗礼を受けて、あとは永遠にラカンカの世界で生きていく。終わりはない。永遠に。</p><p name="8d17dce5-84e0-4e75-b1e0-b7c7f21eefba" id="8d17dce5-84e0-4e75-b1e0-b7c7f21eefba">今日はやけに身を乗り出す人がいたと肌で感じる。いつの間にかこんなにも感覚が良くなった。実際今日は、19人がラカンカにとけていったらしい。私はため息を吐きながら、そこかしこに貼り付けて回った張り紙を剥がして回った。また忠告文を改めなければいけないのか。</p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/nd13274e51326'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Sun, 07 Jun 2026 00:48:57 +0900</pubDate>
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      <title>951. イノシシの穴</title>
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      <description><![CDATA[<p name="fc7efa98-d602-4bdc-801f-af8ef00a0118" id="fc7efa98-d602-4bdc-801f-af8ef00a0118">イノシシが猛突進して私を通り抜けたので胸に穴が空いた。<br>私は空いた胸を両手で撫で回し、嬉しくなったので人々に見せて回った。するとみんなひどく羨ましがったので、あそこに立っていればまたイノシシがくるよと教えた。人々は我先にと並び、奴を待った。長蛇の列の一番後ろの人から一番前の人まで、イノシシが一気に通り抜けたので、みんな揃って胸に穴が空いた。今日は祝宴を開こう、と誰かが言ったので、みんな胸の穴を見せて、「どこに食い物が入るんだ」と言った。</p><p name="13df21cd-94b7-405f-b7fe-81c7d5448526" id="13df21cd-94b7-405f-b7fe-81c7d5448526"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/na1812e4c966a'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Fri, 05 Jun 2026 21:43:38 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/coaqua/n/na1812e4c966a</link>
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      <title>950. 第二妨害</title>
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      <description><![CDATA[<p name="c8888a91-3cbb-4f9b-b24c-660bb3b97e9b" id="c8888a91-3cbb-4f9b-b24c-660bb3b97e9b">勉強部屋の机の中に潜む自分のクローンを見つけてしまった。そいつは、いつも僕が勉強をしだすとのそのそと出てきて、後ろでラジオ体操第二を踊り出す(ピアノの伴奏は自分の鼻歌でやっている)。全く集中できない。痺れを切らした僕が勉強をやめると、彼はまたのそのそと巣に帰っていく。寝る時もそうだ。いつもは何もしてこないのに、次の日に大事な予定があって早く寝なければならないときに、奴がくる。そしてまた枕元で、ラジオ体操第二を踊るのだ(これもピアノの伴奏は自分の鼻歌でやっている)。眠れなくて朝が来ると、彼はまた巣に帰って、僕が学校から帰るまでぐっすりと眠るのだ。今度彼が眠っている時、横でラジオ体操第三でもけたたましく踊ってやろうと思っている。<br></p><p name="f4a6b006-8c9e-4f44-a6df-9091bea6d453" id="f4a6b006-8c9e-4f44-a6df-9091bea6d453"><br></p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/nd7d311935f9b'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Thu, 04 Jun 2026 22:01:22 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/coaqua/n/nd7d311935f9b</link>
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      <title>949. 閉塞ぱ、ぱ</title>
      <media:thumbnail>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/282207104/rectangle_large_type_2_381e8e1fbcef9b0e238f18c8a21409dc.jpeg?width=800</media:thumbnail>
      <description><![CDATA[<p name="9d9278fa-d126-498f-ad94-b9f537b5777a" id="9d9278fa-d126-498f-ad94-b9f537b5777a">爪があまりに伸びるのでこれは何かの病気ではないかと思い、聴診器で心臓の音を聞くと、「ぱ、ぱ、ぱ」と忙しなく鳴っていた。なぜだかはわからないがその音は、とても懐かしい匂いがする。もしかすると、わたしが母親の体内にいた時の記憶かもしれない。母の心臓の音もこんな音だったのだろうか。そういえば母も、毎日爪切りをしていた。父が毎日髭剃りをするように、母も横でぱちりぱちりとやっていた。</p><p name="cc861581-4407-47ca-b803-966c14cf91c2" id="cc861581-4407-47ca-b803-966c14cf91c2">飼っているメダカをつまんで、聴診器を当ててみる。メダカの心臓の音は、聞くに堪えないキンキン音だったのですぐにやめた。そういえばメダカに爪はあるのだろうか。調べようと思ったところで、わたしの爪が急に発作を起こし出した。喘ぎ声を出しながら、ものすごいスピードで伸び始めたのだ。わたしの爪は天井を突き破り、鳩の巣を貫通し、この町で一番高いビルの屋上で一服している人の帽子を絡め取り、雲を突き破ってどんどん伸びていった。しばらく私は屋根に空いた穴から望遠鏡で爪の行方を見守っていたが、さきっちょが見えなくなってしまったのでやめた。全部根元から10本分ばっさり切ってしまうと、布団をかぶって瞼を閉じた。私の家から突き出た10本の爪がどうなったのか、朝までしらない。</p><br/><a href='https://note.com/coaqua/n/n2b129c226fd4'>続きをみる</a>]]></description>
      <note:creatorImage>https://assets.st-note.com/production/uploads/images/244371656/profile_d89a9a4d6d8449e5d3aebfc8a84cb9a0.jpeg?fit=bounds&amp;format=jpeg&amp;quality=85&amp;width=330</note:creatorImage>
      <note:creatorName>こあのみずたまり</note:creatorName>
      <pubDate>Wed, 03 Jun 2026 22:18:19 +0900</pubDate>
      <link>https://note.com/coaqua/n/n2b129c226fd4</link>
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