化粧品における環境負荷はやはり容器なのかもしれない・・・
長年、化粧品業界で製品企画を続けていると
バルク(中身)よりも環境負荷が高いのは容器だと思う。
ドラッグストアに並ぶ様々な化粧品たち、その個性を彩る容器には様々な素材が使われている。また、化粧品容器にはいくつかの役割がある
①バルクの品質を担保するための保護的役割
②化粧品の製品名や製造責任などを法律(薬機法)に従い印字する表示責任の役割
③製品の特長を訴求するプレゼンテーションの役割
一番大切なのは①であるが、売れるためには③のデザインも大切である。
毎日眺めていて、気分が上がるビジュアルも化粧品には必要な要素と捉えられている。
製品企画をする際、私たちはブランドを生み出すことに多くの時間を割く。
すでに存在する処方を利用しても、製品を生み出すには最低10か月は必要になるのが化粧品である。
また、生み出すことに時間はかけるが、その役目を終わりになった容器がどのように処分されるかを想像する時間も環境も存在しないのが現状だと思う。ただ、役目を果たしたものがどうなるかを理解して企画段階から設計をしなければ化粧品容器のごみは無くならないことも事実である。
今回は容器にフォーカスして話をしたいと思います。
容器も2つの製造パターンがある
①デザインを個性的にするために、金型を起こしてオリジナルな容器を製造するもの。
②アリ型(留め型)をつかい、汎用型であるが塗装などの装飾で個性を演出するもの。
いずれにしても容器は化粧品メーカーが作るのではなく、容器業者に依頼して製造する。
また①については大手化粧品メーカーのみができることなので
大半の化粧品容器は②のパターンである。
①は金型を起こして製造するため初期コストが大きくかかるため、プレステージブランドなどの高単価品のみ適している製造方法となる。
容器製造で大手化粧品メーカーが依頼することが多いのは吉野工業である。
ここは通常の飲料用ペットボトルなども製造している最大手である。
化粧品容器で大手なのはグラセルかもしれない。
容器製造自体、国内よりも海外で製造されることが多いです。
化粧品容器は30年以上前から韓国や中国で製造されることが多く。安く品質の良い容器を輸入してきました。
化粧品容器はバルクとの相性が大切になる。バルクの処方が決まったら該当する容器に充填し、化学反応についての容器試験がある。
この容器試験で経時変化を確認して初めて、その容器は採用となる。
美しく、気分の上がる容器を作るため、様々な素材が使われている。
その素材にはガラスもあればプラスチックも存在する。
ガラスは落とした際に割れて危ないという理由で、プラスチック素材を使うことが主流になってきている。
プラスチックといっても様々な種類があることをご存じだろうか?
ペットボトルもPPもプラスチック素材である。
資源ごみの際もペットボトルとプラスチックに分別をしていると思いますが。そもそもペットボトルもプラスチックの種類であり、以下の図のように様々な素材がある。
新規開発している素材も含めたら世界には100種類くらいのプラスチックが存在しているようである。

化粧品容器には様々な素材が使われている。親切なブランドはプラ表記の中に素材名も記載をしているが、プラの素材が何であるかの記載するのは義務ではないため、最低限の表示をするブランドも多数存在する。

廃棄の際、素材が分からなくなることも多々ある。本体印字を義務付けるべきでは?
マテリアルリサイクルは単一原料でないと、リサイクルできないのが現実です。なので上記の画像で記載されいるものであれば
・ボトルーPET
・キャップーPPと
記載があるものは(無印の化粧水ですが)通常の飲料と同じようにリサイクル可能であるが、それ以外のものは単一原料に分解できないため、リサイクルされずに燃えるゴミになります。
また、プラマークの横に部品名だけが記載されているものも素材が違うものが混じっているため基本は燃えるゴミです。
化粧品容器がほとんどリサイクルできないのは、複雑な素材が組み合わさっているからなのですが、この現実を製品企画は直視していないことがほとんどです。もちろんバルクの安定性という観点でもありますが、容器の素材がリサイクルできるか、できないかという最後の部分を考慮して容器選定をすることはほとんどありません。
また、高単価なブランドほど容器も複雑になっていきます。これはバルクで原価を高くすることには限界があり、高い化粧品ほど外装のコストをかけがちです。容器と外箱のほうが中身よりも高いことなどはざらにあります。シンプルな容器ほど、販売価格も手ごろなものが多いですね。

私もかつて5万円のクリームを企画していましたが、中身よりも容器と外箱のほうがコスト高になります。
そうしないと、原価が安すぎて5万円をいただくのは気が引けるからです。
世界観を作ることが化粧品なのでしょうね~
昔のようにガラス素材を利用する方法もあるとは思いますが、多様なデザインを実現することには限界があることも事実です。多くのブランドを抱えているメーカーでは単調なデザインになり、バリエーションが出せなくなることは容易に想像ができますし、プラスチック素材のほうが様々な形に変化することが可能です。
また、容器がガラスだとしてもファンデーションなどが入った容器をリサイクルするのは油であるファンデーションの洗浄からおこなう必要があるので手間とコストがかかり、自治体の資源ごみに出してもそこまでの手をかけることはしてないと思います。とはいえ自分で洗剤を入れて洗ってもきれいに洗うことも難しいですね。
正直、企画したメーカーが回収して責任をとるような方法にしないといけないように思います。日本は製造メーカーに最終的な責任を取らせていないのも問題のように思います。
最後の回収は自治体任せというのもいかがなものでしょうか?
この部分に責任を負わせないと、いつまでも無責任な製造物を作り続けるように思います。

化粧品容器は多様な素材を駆使しています。それがゆえに美しいデザインも実現しているし、その魅力を好む人も多く存在してます。
ただ、その先にある、廃棄、燃えるゴミであることも頭の片隅にいれていただき、使い終わった後のことをイメージして化粧品を選ぶことも大切だと思います。
最も、化粧品メーカーの企画担当がこの部分を意識して世の中に出すものを変えていっていただくことが最優先です。
だたとても難しいことであることも事実です。
