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国産の原料生産から日本の化粧品業界を変えていきたい

25年間化粧品業界にかかわる間にどんどん業界は変化し続けました。

1991年化粧品業界には大きな変化が起こりました。
それは厚生労働省が製品に配合する成分をすべて表示する義務を課したことです。(狂牛病や一部の化粧品メーカーの不正がことの発端ですが~)
全成分一覧の登場です。
こちらについては以前に記載した記事を参照いただければと思います。

それまでは大手化粧品メーカー(SHISEIDO、KANEBO、KAO、KOSE、POLAなど)が研究、開発、製造まで責任を担い長い時間をかけて商品を世の中に出してきました。
1900年代までは化粧品は値引きしないで店頭に販売されることがルールで決められてましたし、法律で守られてきました。
なので競争力はなく、新規参入は難しい業界だったと思います。
ただ上記のようなルールになったのは90年代に化粧品はルールがなく様々な問題が起こり、消費者からの化粧品トラブルが多発して社会課題となりそこに管理するルールが生まれました。

今では異業種から新規参入も増えており、OEMの技術開発も進み市場には多くの化粧品が溢れ誰でも化粧品が作れる時代が到来しました。
(正直、理系の知識がなくてもOEMに依頼したら化粧品を作ることが簡単にできます)
店頭での値引きも当たり前となり消費者とってはコスパの良い化粧品や比較対象がたくさんある素晴らしい環境になったと思います。

かたや、課題はたくさん存在しています。

①作り過ぎる、市場は飽和状態。

大量に作りすぎ、廃棄されているイメージ

化粧品製造には最低ロットという製造数の下限があります。なので新しいブランドでどれだけ売れるかわからなくても1製品に3,000個の製造数がOEMに依頼するためには必要です。例えば化粧品2タイプ作るとなるとしっとりタイプ3,000本、さっぱりタイプ3,000本を依頼して作ることになります。ただ、3,000本完売すればいいですが、大半は認知度もないブランドを購入していただくには大変な努力が必要です。特に広告費は初動は売り上げの3倍くらいは必要となります。市場規模は2兆5千億円程度。(これは25年間ほぼ横ばいです)そこに化粧品製造、販売の業者が6,000社は存在する。ブランドの数はメーカーごとに数十は存在しますね。そこに製造ロットがあるのですからそれは恐ろしい数の製造数です。化粧品(スキンケア、メイク、ヘアケア、ボディ)は年間約25億個が世の中に送り出されています。その半分は新品のまま廃棄されています。ついでに言うと、ここに韓国コスメ、フランスコスメ、中国コスメなど輸入品は含まれていません。

②飽和状態でも、新製品は上市される。

新製品を発売するイメージ


化粧品メーカーは春夏、秋冬と年2回は新製品を発売しています。
もはやだれが新製品を求めているのか・・・と思うこともありますが。
小売(ドラッグストアやその他流通)からも新製品の要望をされます。
洋服も同じですが、新しいものを提案して消費を促進していかないと売り上げが立たないのがメーカーの悲しいさがです。
家電も買い替え需要を加味して、製造してから10年間くらいまでに壊れるようになっいているなんて言いますよね~

③化粧品原料の多くは、輸入で賄われている。

多くの原料が輸入されているイメージ


水は国産ですが、それ以外の原料は輸入原料が大半です。
世界中から原料が集められます。
特に基材(ベース処方)となる油は石油由来、パーム油由来、その他動植物油になります。
石油もアブラヤシも日本では採ることができないので輸入に頼らざる負えません。またどちらも非常に安価で購入できることも依存度が高い理由です。
当然ですが、原料を輸入して、製造して、輸送して、廃棄してすべてのCO2を排出しています。
特に必要以上に製造して廃棄しているという部分はなんとも不毛なことだと思ってしまいます。
大切な資源を輸入して製造しているのに、最終的には大量に廃棄しているのです・・・

私がかつていたブランドも大量廃棄をしていました。
私が本当に「この業界はやばい」と思ったのは
返品在庫を17万個、在庫廃棄した経験でした
化粧品業界の暗黙のルールとして、店頭在庫はメーカーに返品される。
それもシーズンが終わって、店頭の棚入れ替えが春と秋にあります。その際に店頭にある在庫は卸を介して、メーカーに返却されます。
これは本来は「独占的地位の乱用」にあたる行為だとおもいますが、店頭も在庫を抱えられないし、赤字になっては困るという理由なのですが、それは製造メーカーも同じことです。
ただ、これだけ化粧品ブランドが大量に存在するとまずはお試しでも置いてほしいというのがメーカーの望みでもあるため、このような返品ルールが存在すると思います。

化粧品業界は本当に環境負荷の高いことしかしていないし、最後の在庫廃棄も産業廃棄物として処理します。
無駄に作り廃棄しているのに、なぜ貴重な資源を輸入しているのか?
石油もアブラヤシも有限資源です。アブラヤシはパーム油ですから食品にも多く使用されています。
化粧品業界の構造を知れば知るほど、環境負荷が高く、本当に心が苦しくなっていきました。

微細藻類(びさいそうる)にであい、国産原料の製造をチャレンジすることを決めた。

様々な微細藻類のイメージ

上記のような理由で、環境負荷の高い業界から卒業をしようと思っていましたが微細藻類にであい、化粧品の新原料を国産で作ることにチャレンジを始めました。微細藻類とは地球誕生約46億年前には酸素が存在しなかったらしいのですが、約30億年前に藍藻類(シアノバクテリア)が生まれ光合成により酸素を地球に送り出した存在なのです。
微細藻類は生命のスタート地点になるものなのです。
*微細藻類に興味のある方はこちらの記事もご覧ください。

微細藻類は現在、世界中で未来のエネルギーとして研究開発をされています。
日本でも、J-POWER(電源開発)が20年間にわたり探索、研究、開発を手掛けています。https://www.jpower.co.jp/bs/other/microalgae/

最終的に2050年SAF(持続可能な航空燃料)に向けて開発されているのですが、石油になる(油脂が多い)株であれば化粧品原料に使うことが可能という判断で微細藻類からオイルの抽出、精製を2023年から始めました。
なおかつ国内で微細藻類の培養をおこない、国内で抽出、精製をすることにこだわっています。
輸入原料は海外での紛争や気候変動に左右され、輸入が容易にできない状況も考えられますが、国内で培養、製造していればそのような心配は少ないはずです。

私たちはすでに、微細藻類の培養からオイル抽出・精製をおこない、自社ブランドの石鹸やクリームに配合を始めています。

ソラリス株から抽出・精製されたソラルナオイル

また、私たちが手がけている微細藻類(ソラリス、ルナリス)はパーム油に組成が似ていることも特徴です。中期目標はパーム油は食用にソラルナオイルは化成品原料にすみわけができることが理想だと思っています。

パーム油が化粧品原料に配合されているイメージ


今、我々が取り組んでいる
研究施設での培養風景は以下よりご覧ください。

次回は私たちが手がけているソラリス、ルナリスの特徴についてお話したいと思います。

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