国際交流シェアハウスという、明確なコンセプトが物件の収益性を高める。元朝日新聞販売所のリノベーション事例
多文化共生社会の実現に向けて、国際交流シェアハウス事業等を運営するボーダレスハウス株式会社は、事業拡大のため新たなシェアハウス物件の開発を全国で進めています。
本記事では、元朝日新聞の販売所だった建物がボーダレスハウス池袋として生まれ変わるまでの裏側を、朝日建物管理株式会社の岡田様、岸様、ボーダレスハウス物件開発担当の李との対談形式でご紹介します。

(写真中央)岡田様|朝日建物管理株式会社 不動産事業室担当役員
(写真右)岸様|朝日建物管理株式会社 不動産事業室長
(写真左)李|ボーダレスハウス株式会社 物件開発担当
物件情報
用途:事務所(元新聞販売所)
所在地:東京都豊島区東池袋
最寄駅:
・都電荒川線 向原駅 徒歩4分
・東京メトロ有楽町線 東池袋駅 徒歩9分
・JR山手線/都電荒川線 大塚駅 徒歩10分
築年数:1992年(築33年)
構造・規模:鉄骨造陸屋根3階建・延床面積183.8㎡
契約形態:定期建物賃貸借契約(10年)
現用途:国際交流シェアハウス「BORDERLESS HOUSE 池袋」
元新聞販売所とボーダレスハウスの高い親和性
ーこちらの物件の再活用は、どんなふうに検討されていたのでしょうか。
岡田さん:もともとは新聞販売所として、長らく地域に密着して営業していた店舗です。新聞の販売部数が減少し、新聞販売所の統廃合や閉店によって空き店舗が増えています。
原則として販売所をされている方が所有する物件が多いのですが、株式会社 朝日新聞社保有の物件も全国に数百件程度あります。社内では物件を売却してキャッシュ化するニーズが高いわけではなく、なるべく既存物件を活用する方向で、これまでも様々な活用事例を研究してきました。
とは言え、不動産運用なので収益がしっかり出る活用策でなければ、売却した方がいいという結論になってしまいます。
新聞販売所は未明から稼働し、バイクの出入りも多いため、近隣の方の迷惑にならないように、商店街や居住地の外れにあることが多いんですね。立地に恵まれた物件ばかりではないので、売却に勝る活用策を見出していくのはなかなか難しいという現状もありました。

ーなるほど。
岡田さん:こちらの東池袋の物件は立地にも恵まれているので、なんとか収益物件にしたいという思いは検討当初からありました。
岸さん:再活用策として、シェアオフィス、宅配物の物流拠点、コインランドリーといった案がありました。ただ、コインランドリーの場合、1階のみの活用になってしまう。それなら、一棟まるまるオフィスとして活用できないかと考えても、2、3階が居室になっているため改装費がかさんでしまう。建て替えの場合は建築費が高騰しているので収支面でのハードルが上がります。それなら、更地にして駐車場にするか、売却するか。
岡田さん:これという決定打になかなか出合えないまま検討が続いていたなか、東京建物様にご紹介いただいたのがボーダレスハウスさんでした。

李:実は、僕たちボーダレスハウスにとって、元新聞販売所は理想的な間取りなんです。
国際交流シェアハウス事業のコンセプトは、多国籍の若者がひとつ屋根の下で暮らしながら異文化理解を体験すること。そのため、キッチンやリビングダイニングといった共有部を広くとります。入居者用の個室は必要ですが、居室内に水回りは必須ではありません。
元新聞販売所の上層階の居室をそのまま活用できますし、1階を共用スペースにして、そこを通って上層階に行くという構造は、入居者同士の自然な交流を生むきっかけを作ってくれます。
一棟まるごと賃貸借でき、大がかりな改装が不要なので改装費も抑えられて、オーナー様へ収益面でも還元できる。物件の特徴と事業の親和性はかなり高いと思っています。

岡田さん:ボーダレスハウスさんからご提案いただいて、この内容であればきちんと利益もあげられるし、物件の再活用のあり方としても良いということで、話が進んでいきました。
ー再活用策として、事業の内容も評価いただいたんですね。
岡田さん:そうですね。
これまで様々な利活用を行ってきて、実感として持っているのは、新しい価値がなければ、通り一遍のことをしても収益性は継続されないということです。社会に一石を投じるようなプラスアルファの価値をひとつ生み出すことを大切にしていきたいという考えがありました。
ボーダレスハウスさんからのご提案には、利益面はもちろん、社会課題解決という価値がありましたし、海外の方と交流する場になることで、物件が本来持っているポテンシャル以上の価値を生み出す可能性を感じました。
海外では若い方がシェアハウスで暮らすのは一般的ですし、ボーダレスハウスさんとして国際交流イベントをされていることも良いなと思いました。
ーありがとうございます。

近隣の方への丁寧な対応が分かり、懸念が払拭された
ー一方で、懸念されたのはどういったところでしたか。
岡田さん:一番はご近所との関係性です。もともと新聞社の看板で地域に密着していた物件ですから、転用後も近隣の方のご迷惑にならないことが外せない要件でした。
ボーダレスハウスさんが近隣の方との関係をどう作っているのか、様々な面から確認させてもらいました。
李:いただいた質問事項も近隣の方への対応に関する質問の比重がかなり大きくて、会社として大切にされていることが伝わってきました。これまでの実績や実例を資料にしてお送りしましたよね。
岸さん:シェアハウスをオープンする前に、スタッフの方々がご近所へご挨拶に行かれたり、近隣の方をお招きした説明会を実施されたり。オープン後も、近隣の方からご意見があった場合は、すぐに現地に行ってスタッフの方が直接ご対応いただけることなど、しっかりご説明いただいて懸念点もクリアになっていきました。
また、すでに稼働してるボーダレスハウスさんの物件を見学させてもらいました。

李:元新聞販売所を活用した物件でしたね。大阪の本社から社長をはじめ何人もの方が来てくださいました。満室だったので個室内はお見せできなかったのですが、みなさんの感想はいかがでしたか。
岡田さん:実際にどんな施設になるのかといった設備面や、入居者の方々の雰囲気やスタッフとのやり取りといった運営を実際に見せていただいたことで、経営層も安心したようでした。そこから、社内の検討も進んでいきました。
改修費用は抑えつつも、想像以上に生まれ変わった
ー改修からオープンにかけて、印象に残っていることはありますか。
岡田さん:リノベーション費用を抑えながら、想像以上にきれいになった印象でした。新しくした洗面台などの設備も、割とリーズナブルな選択が多くて。
李:居室空間としての快適さは必要ですが、設備をハイスペックにしたから満室になるわけではないというのは、長年シェアハウスを運営している中で得た経験です。
シェアハウスを検討する方は、どんな人たちが住んでいて、どんな暮らしができるのかを重視しています。設備で選んでもらうのではなく、ひとつ屋根の下で暮らしながら国際交流を行うというコンセプトや入居体験といったソフト面を訴求できるのが、僕たちの強みだと思っています。

岸さん:明確なコンセプトとそれを実現する運営があることで、内装や設備に過度な投資をしなくても、入居率を高く維持できるのは驚きました。
李:何十棟と作っているので、リノベーションノウハウもかなり蓄積されています。今回、僕たちから工務店さんをご紹介して改装を進めさせてもらいましたが、何棟も一緒に手がけているので、事業の価値観もよく理解いただいていますし、必要なところと不要なところを見極めて工事費を抑えることで、収益性も高くなりますから。
岡田さん:私たちとしては初めてお付き合いする工務店さんでしたが、こちらの要望や意図を汲んで、真面目に答えていただける誠実な方という印象で、気持ちよく進めていくことができました。

ーシェアハウスのオープン前には、関係者向けの見学会をされたそうですね。
岸さん:はい。朝日新聞社の社員も今回の投資金額でどこまで変わるのか想像がつかないようでしたが、築年数も空き家としての期間も長く傷んでいた建物がこれほどダイナミックに変わるのかと、みな驚いていましたね。手を加えるところは加えて、残すところは残して、メリハリのある投資をしているという評価もありました。
「新築ではないのに、よくここまできれいに仕上げられた」「自分が若い時にこういうところで生活してみたかった」といった声もあって、全体としてポジティブな印象でした。
新たに社会に提示する価値が収益性を高めてくれる
ーオープンからおよそ1年。ボーダレスハウスの対応について、率直な感想を聞いても良いですか。
岸さん:検討段階からの長いお付き合いなので、印象に大きな変化はないですよ。(笑)
おかげさまで入居率も高い水準を維持していただいていますし、退去者が出たあとの再入居の手続きの早さには関心しています。
李:この物件では、入居率に応じた賃料をお支払いする「変動家賃」を選んでいただいているので、お支払い金額の根拠となる入居率をレポートにして、毎月お送りしています。入居率は何日に退去があって、何日に入居があったか日割りで分かる内容になっています。
岸さん:ほかにも、施設の不具合やその対応も発生都度速やかにご連絡いただいていますし、担当スタッフの方からのコメントなど、報告も細やかですね。

ー変動家賃を選択されていることにはどんな理由があるんですか。
岡田さん:変動リスクを取る分、収益が高いということもありますが、それ以上にオーナーも一緒に運営を考えるスタンスが取れることがメリットだと思います。固定家賃だとその関係が切れてしまう印象があって。
オーナーも一緒に運営責任を負う方が、長い目で見たら施設はきっとよくなる。そういう考えからです。
李:嬉しいお言葉です。
ー元朝日新聞販売所をボーダレスハウスとして転用した初の事例でしたが、振り返っていかがですか。
岡田さん:不動産の利活用は、ビジネスですからやはり収益性の視点を除くことはできないと思っています。
ただ、普通のことをしていると陳腐化してしまうというか、あっという間に時代遅れになってしまう。今の先を行くものを手がけるとちょうど良くなるような印象があるんですね。

ー先ほどもお話があったように、プラスアルファの価値を社会に提案するほうが、結果的に収益性も得られる、ということなのでしょうか。
岡田さん:そうですね。結果として、事業が長く続くように思います。そういう意味でも、国際交流シェアハウスが作ろうとしている価値は魅力ですね。
ヨーロッパでは、文化や歴史のある古い建物に付加価値をつけて、心地よい空間として活用している事例がたくさんあります。日本はどちらかと言えばスクラップアンドビルドの風潮がありますが、それだけではもったいないですよね。建築費も上がっていますし、CO2排出抑制の観点からも、まだまだ使えるものを活かして新築にはない価値を生み出せるのがリノベーションの魅力だと思っています。
岸さん:今回ご一緒させていただいて、新聞販売所の利活用策としてシェアハウスの可能性を実感しました。ボーダレスハウスさんの思いやコンセプトにも共感していますし、そのことが結果的に物件の入居率を高めてくれる要因にもなっていますから。
今後も条件の合うものがあれば、ぜひご一緒できたらと思っています。
ー今日はありがとうございました。

多国籍が暮らすコミュニティ型シェアハウスで、不動産に新しい価値を
世界中から集まった若者が一つ屋根の下で一緒に暮らしながら異文化に触れ合う、それが国際交流シェアハウス「ボーダレスハウス」です。
外国住民と共生する「多文化共生社会のインフラ」として、外国人と日本人が一緒に暮らす国際交流のコンセプトにこだわったシェアハウスです。15年を超える運営ノウハウを活かし、活発な入居者たちが集うコミュニティと高稼働な不動産への活用をお約束します。
不動産活用やシェアハウス運用にご関心のある方は、オーナー様向けページをご覧ください。
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▼ ボーダレスハウスの物件・不動産開発に関する総合記事
「ちがう」を越えて、人と社会をつなぐ。ボーダレスハウス株式会社

私たちボーダレスハウス株式会社は、国籍やルーツ、生まれた場所、性別などのさまざまな「ちがい」に関係なく、一人ひとりの多様なアイデンティティが尊重され、つながっていく体験とコミュニティをつくりたいと強く思っています。
「“ちがう” を越えて、人と社会をつなぐ」というビジョンの下、出会いやつながりが多文化共生社会への一歩になると信じて、差別偏見と向き合うソーシャルビジネスを社会に広げていきます。
