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1967年のUSSリバティ号偽旗作戦から58年、イスラエル・イラン紛争で再び?

書籍『リバティを忘れるな!:裏切りによって公海でほとんど沈没した船』2018年の要約記事はこちら

57年前の事件が現在の中東情勢に投げかける重い問い

現在、イスラエルとイランの緊張が高まる中で、軍事専門家たちが口にする言葉がある。「偽旗作戦」だ。

「米がイスラエルのイランに対する戦争に参戦するのか?」という問いに対し、退役米軍中佐のアール・ラズマセンは「米を引き込む偽旗作戦が非常にあり得る」と警告している。多くの人にとって、偽旗作戦という言葉は馴染みがないかもしれない。しかし、この概念を理解することは、現代の国際政治を読み解く上で極めて重要である。

そして、偽旗作戦を考える上で避けて通れないのが、1967年6月8日に起きたUSSリバティ号事件だ。この事件は、アメリカ海軍の情報収集艦が同盟国イスラエル軍によって攻撃され、34名の米兵が死亡、174名が負傷した衝撃的な出来事である。

当時、この攻撃は「誤認攻撃」として処理された。しかし、50年以上が経過した今、膨大な証拠と証言が明らかにしているのは、これが意図的に計画された偽旗作戦だったという驚愕の真実である。

偽旗作戦とは何か:古典的な戦争誘発手段

偽旗作戦とは、自国の軍隊や工作員が敵国の軍隊を装って攻撃を行い、それを口実に戦争を開始する手法である。この名称は、海賊が他国の旗を掲げて商船を騙したことに由来する。

歴史を振り返れば、偽旗作戦は決して珍しいものではない。第二次世界大戦でナチス・ドイツがポーランド侵攻の口実として行ったグライヴィッツ事件、ベトナム戦争のきっかけとなったトンキン湾事件、そして日本が満州事変の口実として中国軍の仕業と偽った柳条湖事件など、重大な戦争の背後には必ずといっていいほど偽旗作戦の影が見える。

「でも、なぜそんな回りくどいことをするのか?」と思う人もいるだろう。答えは単純だ。民主主義国家では、国民の支持なしに戦争を始めることは極めて困難だからである。そのため、「我々は攻撃された被害者だ」という物語が必要になる。

USSリバティ号事件の場合、その物語は次のようなものだった。エジプト軍がアメリカの艦船を攻撃した→アメリカは同盟国イスラエルを支援してエジプトと戦う→中東でのアメリカの影響力が大幅に拡大する。

周到に計画された攻撃:8時間の偵察から始まった惨劇

1967年6月8日の朝、地中海東部を航行していたUSSリバティ号に対し、イスラエル軍の偵察機が8時間にわたって接近監視を行った。中には200フィート(約60メートル)という至近距離まで接近した機体もあった。

この事実だけでも、後に主張された「誤認攻撃」説の矛盾は明らかだ。8時間もの間、至近距離で監視していて、アメリカ海軍の最新鋭情報収集艦を古いエジプトの輸送船と間違えるなど、軍事的常識から考えてあり得ない。

USSリバティ号は当時世界最先端の情報収集艦で、45本もの巨大なアンテナを装備していた。その独特の外観は、まるで「大きなロブスター」のようだったと証言者は語る。一方、イスラエル側が「誤認した」と主張するエジプトの輸送船エル・クセイルは、リバティ号の5分の1の大きさで、アンテナもほとんどない古い船だった。

精密攻撃が物語る恐るべき計画性

午後2時、攻撃が始まった。最初に現れたのは、無標識のイスラエル軍ミラージュ戦闘機3機だった。

注目すべきは、この攻撃の異常な精密性である。戦闘機は真っ先に船の4つの機銃座を狙い撃ちし、機銃手たちを殺害した。続いて、45本のアンテナを一つ一つ正確に破壊していった。これは、事前に詳細な攻撃計画が練られていなければ不可能な精度だった。

「なぜそこまで正確に狙えたのか?」という疑問に対する答えは、8時間にわたる事前偵察にある。攻撃機のパイロットたちは、まるで楽譜を読むかのように、事前に作成された攻撃プランに従って行動していたのだ。

さらに恐ろしいのは、アメリカ軍の緊急無線周波数への妨害電波である。イスラエル軍は、リバティ号が救難信号を送ることを阻止するため、事前にアメリカ軍が使用する周波数を調べ上げ、的確に妨害電波を発信していた。

生存者を許さない徹底した殲滅作戦

戦闘機による攻撃が終わると、今度は3隻のイスラエル軍魚雷艇が高速で接近してきた。最初の4発の魚雷は外れたが、5発目が船体右舷に命中し、巨大な穴を開けた。

この時点で既に十分な損害を与えていたにも関わらず、イスラエル軍の行動はさらにエスカレートした。魚雷艇は救命ボートを機銃掃射で破壊し始めたのである。

国際法では、救命ボートの攻撃は明確な戦争犯罪である。しかし、イスラエル軍はこれを躊躇なく実行した。その意図は明らかだった。生存者を一人も残してはならないのである。

最後に現れたのは、武装した海兵隊員を乗せたヘリコプターだった。これは明らかに、船に残った生存者を始末するためのものだった。幸い、この最終攻撃は何らかの理由で中止されたが、もし実行されていれば、真実を語る証人は一人もいなくなっていただろう。

ジョンソン大統領の裏切り:味方を見捨てた司令官

攻撃開始直後、リバティ号からの救難信号を受信した第6艦隊の空母から戦闘機が緊急発進した。攻撃現場まで約15分の距離だった。

ところが、信じられないことが起きた。ロバート・マクナマラ国防長官の直接命令により、戦闘機は引き返しを命じられたのである。しかも、これは一度だけではなく、二度にわたって行われた。

第6艦隊司令官ローレンス・ガイス提督は、この命令に強く抗議した。「アメリカ海軍の艦船が攻撃されているのに、なぜ救援に向かってはいけないのか?」

マクナマラ長官の答えは冷酷だった。「大統領は同盟国を困らせるために、数人の船乗りのために戦争をするつもりはない」。

さらに驚くべきことに、ジョンソン大統領は直接ガイス提督に電話をかけ、こう命じたという。「その忌々しい船を海の底に沈めろ。救援は出すな。戦闘機を呼び戻せ」。

これは、アメリカ軍の最高司令官が、自国の軍艦と兵士を意図的に見捨てたことを意味する。まさに国家反逆罪に相当する行為だった。

大統領の精神状態:権力への異常な執着

なぜジョンソン大統領はこのような非人道的な決断を下したのか?その答えは、当時の大統領の深刻な精神的不安定さにある。

複数の側近や軍高官の証言によれば、ジョンソンは在任中、躁うつ病的な症状を頻繁に示していた。1965年11月の統合参謀本部との会議では、軍幹部たちの前で突然激怒し、「この世界の重荷を背負っているのは俺だ」と叫びながら、将軍たちに向かって「クソ野郎」「間抜け」「傲慢な穴」などの罵詈雑言を浴びせ続けた。

また、1965年にはエアフォース・ワンの機内で、記者団に向かって**「俺は王だ!」**と胸を叩きながら宣言したという証言もある。これらのエピソードは、ジョンソンが権力への異常な執着と、現実認識の歪みに苦しんでいたことを示している。

1967年当時、ベトナム戦争の泥沼化により、ジョンソンの支持率は急落していた。再選への道筋は絶望的に見えた。そんな中で浮上したのが、中東戦争への介入による支持率回復という計画だった。

ジョンソン大統領

「第6日戦争」の真の計画者

表面上、1967年の第6日戦争はイスラエルとアラブ諸国の間の紛争だった。しかし、機密解除された文書と関係者の証言から浮かび上がるのは、この戦争がアメリカとイスラエルの共同計画だったという事実である。

作戦名は「フロントレット615」。この名前は、当初の開戦予定日である1967年6月15日に由来する。しかし、実際の戦争は予定より10日早い6月5日に始まった。この誤算が、後の計画破綻の一因となった。

フロントレット615の中核作戦が「オペレーション・サイアナイド」だった。これは、リバティ号を撃沈し、その責任をエジプトに押し付けて、アメリカの中東戦争参戦を正当化する計画だった。作戦名の「サイアナイド(青酸カリ)」は、「もしこの計画が露見したら、我々は皆死ぬことになる」という意味で名付けられた。

1967年4月10日の「303委員会」(ホワイトハウスの秘密計画委員会)の議事録には、「U.A.R.(エジプト)海域内の潜水艦」という記述がある。これは、アメリカの潜水艦がリバティ号の攻撃を記録し、「証拠」として使用する計画だったことを示唆している。 uss

計画破綻と隠蔽工作:英雄たちが世界を救った

しかし、計画は決定的な破綻を迎えた。リバティ号が沈まなかったのである。

イスラエル軍の攻撃は確かに船体に致命的な損傷を与えた。船体右舷には幅12メートル、高さ6メートルの巨大な穴が開いた。普通なら、数分で沈没していただろう。

だが、乗組員たちの英雄的な行動により、船は持ちこたえた。機関士ジョージ・ゴールデンと仲間たちは、浸水した区画を必死に支えた。通信技術者テリー・ハルバーディアは、激しい攻撃の中を危険を冒して甲板に出て、破壊されたアンテナを修理し、救難信号の送信を可能にした。

この時、核兵器を搭載したA-4爆撃機2機がカイロに向けて発進していた。リバティ号が沈没すれば、アメリカは「エジプトによる攻撃」を口実に核攻撃を実行する計画だった。しかし、船が沈まなかったため、爆撃機は急遽呼び戻された。

生存者の一人は後にこう語っている。「もし我々が船を救えなかったら、第三次世界大戦が始まっていただろう」

隠蔽工作の深度:50年間続く国家的欺瞞

攻撃直後から、徹底した隠蔽工作が始まった。ジョンソン政権は、生存者全員に対して「この件について一切口外してはならない。違反すれば軍法会議にかけ、刑務所に送るか、それより悪い目に遭わせる」と脅迫した。

海軍の調査委員会は、わずか8日間という異例の短期間で「調査」を終了した。これは、同様の事件の調査としては前例のない短さだった。しかも、調査を主導したアイザック・キッド少将とワード・ボストン大佐は、後に調査が「間違いなく隠蔽工作だった」と証言している。

ボストン大佐は2004年に宣誓供述書で以下のように証言した:

「キッド提督と私は確信していた。この攻撃は、アメリカの艦船を沈没させ、乗組員全員を殺害する意図的な試みだった。しかし、我々は上層部から、これを『誤認攻撃』と結論づけるよう命じられた」

現代への警鐘:繰り返される歴史のパターン

USSリバティ号事件から57年が経過した今、中東では再び緊張が高まっている。退役軍人らが「偽旗作戦」の可能性を警告する背景には、歴史は繰り返されるという深刻な懸念がある。

現在の状況を見ると、不気味な類似点が浮かび上がる:

  • 根拠のない核開発疑惑:イランが核兵器を開発している証拠は存在しないにも関わらず、アメリカは制裁と圧力を続けている

  • 同盟国への無条件支援:イスラエルの行動に対するアメリカの支持は、1967年当時と変わらず絶対的である

  • 戦略的配置:退役予定のUSSニミッツ空母が、なぜかペルシア湾という「格好の標的位置」に配備されている

ラズマセン中佐の警告は具体的だ。「我々は基本的にガダフィの状況に彼らを追い込んでいる」。リビアの指導者ムアンマル・カダフィは、最終的に殺害され、国家は崩壊した。同じパターンをイランに適用しようとしているというのである。

偽旗作戦を見破る方法:市民に必要な視点

「でも、普通の市民にそんな陰謀を見破ることなんてできるのか?」と思う人もいるだろう。実は、偽旗作戦にはいくつかの共通パターンがある。

異常な軍事配置:攻撃される可能性の高い場所に、なぜか重要な軍事目標が「偶然」配置される。USSリバティ号の場合も、戦闘海域への派遣は軍事的には不可解だった。

情報統制の強化:事件直後から、関係者への情報統制が異常に厳しくなる。USSリバティ号の生存者たちが50年間にわたって沈黙を強いられたのは、その典型例である。

調査の形骸化:「公式調査」は短期間で終了し、不都合な証拠は無視される。調査委員会のメンバーが後に調査の正当性を否定するケースも珍しくない。

メディア報道の異常性:大手メディアは政府発表をそのまま報じ、疑問を呈する声は「陰謀論」として片付けられる。

日本への教訓:同盟国として考えるべきこと

日本は現在、アメリカの最重要同盟国の一つである。しかし、USSリバティ号事件は、同盟国であってもアメリカの戦略的利益のために犠牲にされる可能性があることを示している。

実際、日本周辺でも不可解な軍事配置や演習が行われることがある。これらが全て偽旗作戦の準備だと言うつもりはないが、健全な懐疑心を持つことは重要だ。

2025年に入り、この懸念はさらに現実味を帯びてきた。ハッカー集団「アノニマス」が6月に公開した動画では、7月4日または7月5日にアメリカ国内で大規模テロが偽旗作戦として計画されているとの警告が発せられた。これは中東、特にイランとの戦争を正当化するため、米国や同盟国が自作自演の攻撃を行い、イランに責任を押し付ける意図があるとされる。こうした「9.11級の裏工作」の可能性は、日本も戦争に巻き込まれるリスクを大幅に高める。

同時に、ウクライナ情勢でも偽旗作戦の懸念が高まっている。2025年2月のザポリージャでの事件をめぐり、ウクライナが国際的支持を得るために自国への攻撃をでっち上げてロシアを非難する可能性が指摘された。このような偽旗が成功すれば、NATOや日本の対ロシア制裁が強化され、日本も間接的に戦争拡大の一端を担うことになりかねない。日米同盟の枠組みの中で、日本が意図せずとも偽旗作戦の共犯者にされる危険性は十分にある。

特に注意すべきは、情報の出所である。政府発表やメディア報道の信頼が崩壊している中、独立した情報源から情報を収集し、自分なりに分析する習慣を身につけることが大切だ。

また、「陰謀論」という言葉にも注意が必要だ。この言葉は1967年にCIAが作成した文書で、政府批判を封じ込めるための手段として使用法が明記されている。真実を追求する声を「陰謀論」として片付ける風潮は、民主主義の基盤を脅かす危険性がある。


真実が持つ力:なぜ隠蔽は最終的に失敗するのか

USSリバティ号事件の隠蔽は50年以上続いたが、真実は徐々に明らかになってきた。これは、真実には権力の壁を突き破る力があることを示している。

事件の真相解明に重要な役割を果たしたのは、勇気ある証言者たちだった。ローレンス・ガイス提督は死の直前、デビッド・ルイス中佐に真実を託した。ワード・ボストン大佐は37年後に宣誓供述書で隠蔽工作を暴露した。トーマス・ムーラー提督は統合参謀本部議長という最高位にありながら、「これは私の軍歴で目撃した最も恥ずべき行為だった」と公言した。

彼らの証言により、当初の「誤認攻撃」説は完全に崩壊した。現在では、攻撃が意図的だったことを疑う軍事専門家はほとんどいない。

歴史の教訓:繰り返してはならない悲劇

歴史の教訓:繰り返してはならない悲劇

USSリバティ号事件が私たちに教えるのは、権力の暴走がいかに恐ろしい結果をもたらすかということだ。一人の大統領の政治的野心のために、34名の若い兵士が殺され、174名が負傷した。そして、彼らの犠牲は半世紀以上にわたって隠蔽され続けた。

さらに恐ろしいのは、この攻撃が成功していれば、核戦争に発展していた可能性があることだ。生存者たちの英雄的な行動により、文字通り世界は核の惨禍から救われたのである。

そして今、歴史は再び危険な局面を迎えている。来年退役予定のUSSニミッツ空母が、なぜかイラン近海に派遣されている。この配置は、軍事的合理性よりも政治的思惑を感じさせる不可解なものだ。

しかし、ここで重要な事実がある。偽旗作戦は、多くの人々がその可能性を疑えば、実行できなくなるのだ。

これは逆説的だが、真実である。偽旗作戦の成功は「国民の驚き」に依存している。「我々は突然攻撃された被害者だ」という物語が説得力を持つためには、攻撃が「予想外」でなければならない。しかし、多くの人が事前に「これは偽旗作戦かもしれない」と疑っていれば、その物語は機能しなくなる。

だからこそ、私たちが偽旗作戦の可能性を「騒ぎ立てる」ことは、第三次世界大戦を防ぐために極めて重要な意味を持つのである。

「陰謀論かもしれない説を広めるのは危険だ」という声もあるだろう。しかし、USSリバティ号事件も長年「陰謀論」として片付けられてきた。そして今、それが事実だったことが証明されている。

むしろ危険なのは、権力者の暴走を見て見ぬふりをすることだ。

現在の中東情勢を見るとき、私たちはUSSリバティ号事件の教訓を忘れてはならない。歴史は確実に繰り返そうとしている。米国がイラン戦争に介入すれば第三次世界大戦に発展する可能性は現実のものである。

だからこそ、私たち一人一人が歴史の証人となり、人々に知らせる必要がある。USSリバティ号の生存者たちが半世紀にわたって証言し続けてきたのは、単なる復讐心からではない。同じ悲劇が繰り返されることを防ぎたいという、純粋な願いからだった。

その願いを受けとり、偽旗作戦が一般的であること、起こり得ることを警告し続けることほど実践的な平和活動はないかもしれない。多くの人が疑いの目を向ければ向けるほど、権力者たちは破滅的な行動を取りにくくなる。

今は、沈黙は金ではない。沈黙は文字通り世界の死を意味する

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