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セミナーという名の監獄/他人の不幸は蜜の味 #14

セミナーでは、司会の方から事前に講師の紹介があった。

「今日お話を聞ける人は幸運です!」

「これから話をしてくれる人は、こんなすごい人です!」

と、いった感じの紹介を受ける。

講師を持ち上げた内容の説明を聞けば聞くほど、とんでもなく怪しいという印象しか受けなかった。

話し手の講師と思われる方が現れる。

40歳前後と思われる少し日焼けした爽やかな男性だった。

だが、ボクは「こんなの聞く気になれないわ」と、いった気持ちで、ふんぞり返って聞いていた。

序盤は日本の情勢、社会がどう移り変わって来たか、今後これから世界や日本はどうなっていくのかといった話が展開されていった。

実際、今になって思い出しても、あの頃に聞いた話は合っていたと感じている。

中学を卒業して以来、大した勉強もしていないボクにはすごく新鮮で、段々と前のめりになって聞き始めていた。

聞いているだけでは足らず、何かメモを取れないだろうかと自分のバッグを探した。

いつの間にか日中に受けた派遣の仕事で与えられた膨大な研修資料の裏紙に、これでもかというくらいメモを取り始めていた。

セミナーの講師が話す言葉には、妙に説得力があり、特にその中でもボクの心に刺さった言葉がある。

「男は選んだ仕事で人生が決まる」
「女は選んだ男で人生が決まる」

・今の時代は女性も働くようになってきたから。。。

・誰もが結婚する時代でもなくなってきたから。。。

・そもそも選んだ仕事がそこまで影響するのか。。。

色んな意見があるとは思う。

ただし、ボクは、自分の経済力で女性を守っていくんだという固定観念があったし、今もそういう気持ちがある。

そうした発想でない人を否定するつもりは全くないが、ボクの考えとしては、自分が稼げば相手の収入なんか気にしたくないというのが本音だ。

とはいえ、当初のボクが守ろうとする彼女と、このまま付き合った先を想像すると、明るい未来は見えなかった。

セミナーの最後には1つの解決方法として、この会社が展開するビジネスに参加することだという話があった。

すぐにマルチ商法だと分かる図だったが、それがなんとなく悪いことのようにボクには見えた。

なぜかといえば、講師は違法であるねずみ講、違法ではないものの極めて人に粗悪な悪徳マルチの説明をした。

そして、このビジネスは合法であり、他の2つと何が違うのかということを分かりやすく説明してくれた。

悪いイメージを拭い切れた訳ではなかったが、違法ではない、悪徳でもないんだなということが理解できた。

そして、どうなるとこのビジネスでも世間で思われているような嫌悪感を抱かされやすいかについても説明があった。

彼女を幸せにするため、自分の選んだ女性を幸せにするには、ボクはこれしかないと思った。

何度も言うが、今では社会的に女性も働く時代が来ているかもしれない。

でも、ボク個人としては女性を自分が稼いだお金で生活させていきたいという気持ちは今も昔も変わっていない。

やらない理由はなかった。

このままどこかに就職したところで、恐らく人の使いっパシリみたいな仕事で、給与も良いところ人並みかそれ以下だ。

たった一度の人生、なろうと頑張った舞台役者の道も諦めた。

どうせ仕事をするならお金を稼ぎたいとも思った。

ボクが高所得になるには、少なくともこの時点では、この方法以外の仕事は知らなかった。

セミナーが終わり、先ほどの男にすぐに電話をして会いに行った。

彼は終わったら一緒に飲みに行こうと言っていたが、ファミレスで待っていた

ボクは開口一番「この仕事をやらせて下さい」と頼み込んだ。

その男はボクに会社のこと、ビジネスの展開方法なんかを事細かに説明してくれた。

別れ際に「今の段階で周りの人に言うなよ、反対されて辞めちゃう人が多いからな」と、教えてくれた。

なんとなく意味は分かった。

ヒトタラヲ

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