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【千葉県九十九里町】2か月で約20手続きを実装、人口1万3千人の町が目指す「行かない窓口」

千葉県九十九里町では、2024年10月よりGovTech Expressを活用して、LINE町役場をスタートしました。

準備期間2か月という短期間で証明書請求、施設予約、ごみ収集日通知、観光スポット検索など約20手続きを構築。現在も様々な機能を拡充され、幅広い分野の手続きを実装することで「行かない窓口」の実現を目指しています。

今回は、九十九里町が構築した機能と庁内展開の方法をご紹介します。

九十九里町のLINE公式アカウント

1. 自治体概要

人口:13,682人(2025年11月1日時点)(九十九里町HPより)
友だち登録者数:1,835人(2025年11月17日時点)
主な機能:各種証明書の請求、公共施設予約、ごみ分別方法の検索、ごみ収集日通知、観光スポット検索、道路損傷通報など
LINE ID:@kujukuri_town

2. 取り組み・導入までの流れ

九十九里町では、住⺠が役場に⾏かずに「いつでも」「どこでも」⼿続きを可能とする環境づくりを⽬的に、2023年度からLINE町役場の検討を始めました。各課職員で構成される検討委員会を中心に、「⾃分の課で利用可能な手続き」を検討。2024年5⽉には、GovTech Expressの全庁説明会を開催し、午前・午後合わせて約50名の職員が参加しました。

全庁説明会の様子。契約前でも開催可能です。

LINEを利用したシステムを導入した理由は、新しくアプリをダウンロードし、操作方法を覚えてもらうよりも、利用ユーザー数も多く、住民が普段から利用しているLINEを活用して手軽に利用してもらえると考えたからでした。

導入にあたっては、一問一答対話型の入力方法によって簡単に手続き出来ることや、他自治体が作成した手続きをテンプレートとして活用可能な点を評価し、GovTech Expressを採用しました。

GovTech Expressの5つの特徴

2024年8月にGovTech Expressの利用を開始し、企画政策課職員3名を中心に2か月で約20手続きを構築しました。9月には関係各課向けの操作説明会を2日間行い、2024年10月に「LINE町役場」として住民公開を果たしました。検討段階から庁内に理解を広げ、対象手続きの洗い出しを行なっていたことが、短期間での実装と円滑な住民公開につながりました。

操作説明会の様子。
予約・通報・メッセージ配信などテーマごとに分けて、2日間で計5回実施しました。

3. 主な機能

九十九里町のLINE町役場で実装されている機能の一部をご紹介します。
これらは全てGovTech Express一つで実装されています。

3-1.各種証明書の請求

九十九里町ではコンビニ交付を実施していないため、LINEから証明書を請求できる仕組みを導入しました。公的個人認証と決済機能を組み合わせ、申請は電子で完結、郵送で交付することにより、役場に行かずに各種証明書を受け取ることが可能です。

<請求可能な証明書>
住民票の写し
除票
印鑑登録証明書
税関係証明書(所得課税証明書、非課税証明書など)

3-2.がん検診等の申し込み

がん検診、特定健診などの申し込みもLINEで申請可能です。性別や選択した医療機関により、選べる検診を制御する工夫をしています。また、フォローアップ機能を活用し、申込後の連絡もLINE上で行なっています。

<健康福祉関連で申請可能な手続き>
個別がん検診
個別特定健診
集団がん検診
集団特定健診
高齢者インフル予診票の申請
新型コロナ予診票の申請

3-3.公共施設の予約

公民館などの施設予約機能も実装しています。それまでは窓口に使用許可申請書を提出する必要がありましたが、LINE予約の導入により窓口に出向かなくても予約ができるようになりました。

<予約可能な施設・窓口>
中央公民館
真亀川総合公園
野球場
マイナンバーカード窓口予約

3-4.ごみ分別方法の検索

ごみの品目名から、ごみの捨て方を検索する機能も実装しています。登録しているごみ品目は1,300以上。複数候補がある場合は、候補一覧を表示します。

ごみ分別検索の画面

3-5.ごみ収集日の通知

事前に地区を登録すれば、収集日前日にリマインド通知が届きます。九十九里町は地区割が複雑でしたが、フレックスメッセージ(テキストだけでなく、画像等を使って視覚的に分かりやすくデザインできるメッセージ形式)を用いて分かりやすく説明しています。

3-6.道路損傷通報

道路の損傷箇所を写真・位置情報付きで通報可能です。電話では伝わりにくかった損傷状況や場所を、正確に共有できるようになりました。

3-7.観光スポット等検索

現在地から近い順に観光スポットを検索し、写真付きで表示する機能を実装しています。町民だけでなく、観光客も利用できるようなメニューになっています。

<検索可能なスポット>
施設・オブジェ等
文学碑等
公衆トイレ

3-8.消防団専用メニュー

事前に消防団登録をした人だけが使える専用メニューを用意し、消防団活動の効率化にもLINEを活用しています。

<消防団専用メニュー>
水利検索
消防団出動報告
消防使用水量報告

3-9.入力補助機能

氏名や住所を事前に登録しておき、各種手続きの際に候補として表示する機能です。申請時の負担を少しでも減らす工夫をすることで、活用を促しています。

入力補助登録の画面

4. 結果

4-1.LINE満足度調査

2025年3⽉19⽇から3⽉31⽇にかけて、LINE満⾜度調査を⾏いました。回答数192件のうち、「満⾜」「やや満⾜」は合計150件(78%)でした。

回答者からは「書かない窓口ができて、とても嬉しいです!がん検診申し込みました!」「便利になりました。 もっと良くなるように頑張ってください。」「公共施設の空き状況がオンラインで確認できる為利用しやすくなった」「ゴミの収集日を知らせてもらえて便利です」など、好意的な声が寄せられています。

満足度調査のレポート。集計やグラフも管理画面上で作成が可能です。

4-2.各種証明書の請求

2024年10⽉から2025年9⽉までの1年間でLINEによる証明書請求は68件ありました。

もともとコンビニ交付を実施しておらず、個人の方の郵送請求も限定的だったため、住民票などの証明書は役場窓口での受け取りが基本でしたが、LINEによる申請を導入したことで、仕事や育児などで平⽇に来庁するのが難しい⽅でも、スマートフォンから24時間いつでも申請できるようになりました。

利用件数はまだ多くありませんが、来庁以外の選択肢を住民に提供できるようになった点で意義のある取り組みといえます。

4-3.がん検診等の申し込み

2025年度の集団がん検診の申込実績197件のうち、LINEからの申込みは132件(67%)を占めました。年齢層別では若年層の利用が多い一方で、70代で12名、80代でも1名がLINEから申込みをされており、高齢者の利用も確認されています。

九十九里町では、もともと窓口・FAX・メール・はがきといったアナログな方式のみで受け付けていましたが、2023年度から電子申請システムを導入しました。年度ごとの申込件数の推移は以下のとおりです。

3年連続で減少していた申込件数は、LINE申請を始めた2025年度に増加へ転じました。周知方法としては、従来から実施していた受診歴のある方への個別通知や、ホームページ・広報紙による周知に加え、新たにLINEでの受診勧奨配信を開始。画像を活用した視覚的なメッセージを複数回配信しており、こうした周知の工夫も申込件数の増加に寄与したと考えられます。

受診勧奨のメッセージ配信

5. 九十九里町様コメント

上段左から、企画政策課・藤原さん、横山さん、石井さん
下段左から、健康福祉課・石井さん、浜元さん

健康福祉課・石井さん(検診担当)

LINE町役場の説明会に参加し、2024年度からLINE活用を始めました。従来の電子申請システムと比べ、LINEではメールアドレスの入力が不要だったり、配信したメッセージからそのまま申請に進めたり、電話ではなくLINE上で個別に連絡できたりと、LINEならではのメリットを感じています。

高齢の方からは、「LINEでやってみたけど出来ない」という問い合わせをいただくこともあります。窓口での紙申請も可能ですが、せっかくならLINEで申請していただけるよう、窓口に来られた方へもその場で操作方法を説明し、申請を一緒に行っています。その際に、受信設定やごみ収集日通知の登録方法も案内しています。

現在は窓口やハガキなど複数の申込方法を残していますが、今後LINEの利用率が高まることで、申込方法を統合していけることを期待しています。

企画政策課・石井さん(LINE担当)

住民票の請求など、少しずつ利用が広がってきています。自宅にいながら住民票を受け取れるのは大きな変化で、すでにリピーターの方もいらっしゃることを嬉しく感じています。

今後はこども園の欠席連絡など、さらに機能を拡充していく予定です。将来的には、利用者の日常生活に馴染んで、自然に利用していただけるツールになるよう取り組んでいきたいと思います。

6. さいごに

2024年9月、操作説明会に私もオフラインで参加しました。2日間で計5回開催され、どの回も20名程度の職員が参加。終了後には「こんなことも出来ますか?」という質問が多数寄せられ、前向きに検討されている様子が印象に残りました。

特に心に残っているのは、企画政策課・石井さんの「今、自分がいるうちにやらなければ」という言葉です。課長を含む3名体制で約20手続きを一気に形にしていく姿は、まさに町のDXを進める大きな推進力となっていました。

九十九里町のLINE町役場は、システムや仕組みだけではなく、住民の暮らしを思い描きながら取り組む職員の存在によって実現しています。自治体DXの裏側には必ず「住民を思う人」がいるのだと、改めて実感しました。

私たちはその思いに伴走します。GovTech Expressは、職員が自らの業務に合わせて自由に機能を開発できるプラットフォームです。証明書請求から施設予約、ごみ収集日通知、観光案内、内部業務まで、共通の仕組みに乗せて一つのアプリに集約することで、少人数かつ短期間でも多様なサービスを住民に届けられます。

説明会や操作研修の開催も可能です。全庁的なDXを進めていきたい、そんな思いがありましたら、ぜひ担当のパートナーサクセスマネージャーまでご相談ください。


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