【兵庫県播磨町】健康ポイントも認知症チェックもLINEで。播磨町の保健師が築く世代を越えた支援。
播磨町では、保健師が中心となり健康ポイント事業と認知症チェックを町のLINE公式アカウントを用いて再設計しました。これにより若年層の参加も広がり、住民全体の健康づくりを後押ししています。
播磨町では健康ポイント事業で幅広い世代の参加者を募るため、令和6年度からLINEによる申請を開始しました。この事業では、町が設定した健康行動を実施することでポイントが付与されます。5ポイント以上で記念品抽選に応募できる仕組みとなっており、応募資格を満たした人を「ポイント達成者」としています。LINEからのポイント達成者19人のうち、15人が初めての参加者となり、平均年齢も46.9歳と若年層の利用が見られました。
全体に占める割合は一部ながら、従来接点の少なかった層にも確実に取り組みが届きはじめています。同じく健康事業の一環として導入したLINEによる認知症チェックも、対象者の早期発見支援に寄与しています。

1. 自治体概要
人口:34,728人(2025年6月1日時点)播磨町HPより
友だち登録者数:18,922人(2025年7月22日時点)
主な機能:ごみの日リマインダー、学校給食献立配信、道路・公園通報
LINE ID:@harimatown
2. 取り組み
播磨町の健康ポイント事業では、参加者の約9割が60歳以上で、若い世代の参加が課題となっていました。また、認知症チェックでは、専用端末でのみ実施が可能となっていたことが課題となっていました。そこで保健師を中心に再設計が進められ、町のLINE公式アカウントを活用した参加方法への変更に取り組みました。
LINEを採用した背景には、お友だち登録者数が人口比率で54%を超えていることで「より多くの住民に、気軽に健康に取り組んでもらいたい」という保健師達の強い想いがありました。そして保健師自らが課題を整理し、庁内調整や操作設計を重ねたことで、住民も職員も無理なく使える仕組みを実現しました。また、これらの取り組みを通じて、町全体で健康に対する意識を高めることを目指しています。

3. 工夫
3-1 参加登録から景品応募までLINEで完結
特に若年層にとって心理的な障壁と考えられていた健康ポイント用紙の持参・申請を不要にし、LINE上で参加登録からポイント申請、景品応募までを一貫して行えるようにしました。従来の紙方式と共存できるように設計し、操作に不安がある方には個別対応でフォローしています。

3-2 ポイント条件の自動判定
健康ポイント事業で設定している、「3項目中最低1つを含む合計5ポイント以上で達成」「各項目に最大2ポイントを付与」といったルールもLINE上で自動判定。また、ポイント数も好きなタイミングで確認ができます。

3-3 スマホでできるセルフチェックに再設計
従来、施設設置の専用端末で実施していた認知症チェックもLINE上で実施できるようにしました。高齢者でも使いやすいよう3択式の設問設計とし、回答結果はシステムで即時判定。

また職員側においても認知症チェックを受けた方の情報をレポート機能で即時チェックすることができます。

4. 結果
4-1 健康ポイント事業
LINE導入前の令和5年度は1年間で205人が達成、平均年齢は70.5歳。 LINE導入後の令和6年度は半年間で136人が達成し、平均年齢は68.5歳と少し低下しました。
このうちLINE経由のポイント達成者は19人で、その平均年齢は46.9歳。また、19名のうち15人は今回が初めてのポイント達成者です。ポイント達成者の参加方法を世代別に見ても、40代以下の半数以上がLINEによる参加でした。LINEの導入によって、これまで参加が見られなかった若年層にも確実にアプローチできる手段が生まれました。

4-2 認知症チェック
導入後24日間で988件の回答があり、そのうち1名が高リスクと判定され、地域包括支援センターでの支援につながりました。また、従来発生していた専用機器の設置・維持管理にかかるコストが不要になるとともに、より多くの住民が時間や場所を問わずセルフチェックに取り組めるようになりました。
5. 職員の声

健康福祉課 平井さん(健康ポイント事業 担当・保健師)
健康づくりは、本来は若いうちから意識してもらうことが大切です。これまでは高齢者の参加が中心でしたが、LINEを使うことで若い方から「初めて健診を受けた」「夫婦で取り組んだ」という声が少しずつ増えてきました。
今回LINEを使うにあたり運用面については、登録方法がわかりづらいと感じる住民の方に、電話や直接お会いして登録方法を指導することを心がけました。
今後は、子育て世代が家族で健康づくりに取り組める仕組みを整え、こどもたちの将来の健康にもつながる環境をつくっていきたいです。
保険課 福島さん(認知症チェック 担当・保健師)
以前は町内の公共施設に備え付けているタブレット端末を使って町内施設で認知症チェックを提供していましたが、故障が多く維持管理に課題がありました。LINEを使えば、自宅で簡単にチェックができる。その結果、実際に介護支援につながった方もいます。今後はフレイル予防など他の健康施策にも展開していき、高齢の方が地域で自分らしく暮らし続けられるよう、支援の入り口をもっと広げていきたいと考えています。
企画課 柏木さん(システム管理者)
健康ポイントのような複雑な条件設定も、現場の職員が自分たちで運用できるよう工夫しました。構築時は何度も検証を重ね、実際の画面に合わせた操作ガイドも整備しています。庁内での他の事業への展開も進みつつあり、今後も各担当者の目的やアイデアを形にする支援を続けていきます。
6. さいごに
播磨町のLINEを活用した健康事業では、保健師が中心となり機能を構築し、住民にとって使いやすい形での健康支援を実現しています。紙ベースや専用端末での運用から住民自身のスマホで参加のできる仕組みへと転換していることは、「より多くの住民に、気軽に健康に取り組んでもらいたい」という保健師の想いをまさに実現しています。
他自治体では、検診予約、健診リマインド配信、フレイルチェックといった保健事業でもGovTech Expressをご利用いただいております。
私たちは、単にツールを提供するだけでなく、自治体の現場での課題や目的に応じて、「自分たちの手で扱える」「住民にとって使いやすい」仕組みづくりを支援しています。導入後も、実際の運用状況を踏まえた改善提案やフォローを追加費用なしで行い、担当職員の方と並走しながら継続的な改善をサポートしています。


