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【栃木県那須町】要介護認定進捗確認や高齢者安否確認をLINEで自動化。電話に追われない現場と安心の暮らしを、スマホ市役所で実現、セミナーレポート

2月24日、「要介護認定進捗確認や高齢者安否確認をLINEで自動化。電話に追われない現場と安心の暮らしを、スマホ市役所で実現」をテーマに、栃木県那須町をお招きし、Bot Express Showcase 第41回を開催しました。自治体職員の管理画面もお見せするデモンストレーション含むアーカイブ動画と、ポイントを書き起こしたイベントレポートをお届けします。

※セミナーのご案内はこちらをご参照ください。本セミナーの概要を掲載しています。


1. 事例紹介

登壇者

那須町 企画政策課 渡部雅之様
窓口業務や企画部門での経験を経て、現在は基幹業務システムの運用と自治体DX全般を担当。電子申請やLINE、AI電話を活用したフロントヤード改革に取り組み、紙・電話・来庁前提の手続きを見直している。住民の利便性向上と職員の業務負担の両立を意識し、現場で無理なく回り続ける仕組みづくりを重視している。

1.1 はじめに:「来庁を前提としない」役場づくり

栃木県北部に位置し観光と農業を基幹産業とする当町の高齢化率は42~43%に達し、公共交通機関が限られる広大な地理的制約の中では、高齢者やその家族が手続きのために「役場へ足を運ぶ」こと自体が大きな物理的・心理的負担となっています。

こうした背景から、那須町では「来庁を前提としない行政サービス」の構築を戦略的重点課題に掲げました。2024年1月、住民に最も身近なインフラであるLINEを活用した「スマホ役場」の運用を開始し、「申請手続きの電子化」を優先課題として設定しました。

1.2 現場の声から生まれたボトムアップ型のDX

今回の「要介護認定の進捗確認」の自動化は、企画政策課によるトップダウンの号令ではなく、保健福祉課の現場職員からの「LINEを使って事業者とのやり取りを効率化できないか」という現場からの相談から始まりました。

かつての私たちの現場は、電話対応による業務中断が大きな課題でした。特に認定結果通知の発送準備に追われる時間は、相次ぐ問い合わせに職員が心理的に疲弊することもありました。また、ケアマネジャーの皆様にとっても、開庁時間内(平日の日中)に電話をかけなければ進捗がわからないという不便さがありました。

そこで導き出されたのが、「問い合わせを減らす」のではなく、「問い合わせをしなくても済む安心設計」というコンセプトです。

この仕組みは当町がゼロからシステムを構築したのではなく、熊本県合志市の先進事例をモデルとして取り入れた点です。「先進事例を参考にする」という柔軟な姿勢が、スピーディな解決への鍵となりました。

1.3 住民・事業者に寄り添った「迷わせない」システム設計

仕組みは、利用者が迷うことのない極めてシンプルなインターフェースです。ケアマネジャーなどの事業者が、事前に照会者の登録をした上で、LINE上で申請日と被保険者番号を入力するだけで完了します。

この入力に基づき、認定調査の状況、主治医意見書の入手日、認定審査会の予定日などが即座に表示されます。既存の介護保険システムから出力されるCSVデータを活用し、加工の手間を極力抑えています。

1.4 開発・準備:わずか3ヶ月で導入実現した実装のポイント

ー 担当課の負担軽減
開発にあたっては、庁内の役割分担を明確化しました。構築を担う企画政策課はGovTech Expressのテンプレートを活用してスピーディーに形にし、保健福祉課は業務ルールの整理に専念しました。

ー 現場への伴走支援
導入時には、単にシステムを公開するだけでなく、伴走支援も注力しました。事業者向け説明会では、その場で参加者のスマホを操作して公式LINEの「お友だち登録」を一人ずつ手伝いました。さらに、毎週木曜日の「スマホよろず相談」を通じて、操作に不慣れなケアマネジャーの不安を個別に取り除いていきました。

1.5 導入による効果:8〜9割がLINEへ移行(保健福祉課介護保険係 大森様)

導入前は、認定結果の問い合わせ電話が相次ぎ、発送準備などの重要業務が中断されることで職員は心理的に疲弊していました。打開策を模索する中で、熊本県合志市に先進事例があることを知り、導入を決めました。

実装にあたってはデジタルに詳しくない私でも約3ヶ月でスムーズに導入できました。運用では、審査会などの既存の業務リズムに合わせて週2回データを更新しています。
また、審査が長期化しているケースも網羅するデータ抽出ロジックを組むことで、「データが見つからない」という不安を解消しました。

現在は事業者の8〜9割がLINEへ移行しており、個人を特定できない設計により大きなトラブルもなく、現場主導のDXを実感しています。

1.6 おわりに:今後の目標

那須町は、住民の利便性向上と職員の業務効率化の両立を目指しています。今後はLINEという身近なツールを活用し、既存業務の延長線上で実現できる改善を他の分野にも広げていく方針です。小さな町だからこそ、現場からの発信による改善の積み重ねが、業務の実態に即したDXの推進と持続可能な行政運営につながると考えています。

1.7 デモンストレーション

ご覧になるにはこちらをクリック

ー 要介護認定の進捗確認

被保険者番号等の入力のみで、審査状況をLINEからリアルタイムに照会できます。自治体側は既存システムのCSVデータをインポートするだけで運用でき、問い合わせ対応の削減と柔軟な公開設定が可能です。

ー 一人暮らしの安否確認

毎朝自動送信するLINEメッセージに応答がない場合、紐付けられた家族へ自動でアラートを通知します。住民と家族の情報を連携コードで紐づけることで、自治体独自の安全な見守り体制を迅速に構築できます。

ー フレイルチェックと健康相談

対話形式の質問に答えるだけで健康状態を判定し、個別の状況に応じた助言を即座に提供します。登録済みの身体データに基づいたアドバイスなど、自治体のニーズに合わせたカスタマイズも容易です。

ー 管理画面とテンプレートの活用

ダッシュボードで登録・安否状況を視覚的に把握できます。
機能の設定は、GovTech Expressの豊富なテンプレートから必要な機能を即座に導入可能です。福祉や介護に特化した機能も、インストール操作のみで専門知識なく実装できます

2. 質疑応答

回答は那須町様。
Q:介護認定申請書はケアマネジャーが紙で持参することが多いですか?また、電子申請・届出システムは活用していますか?

A:現在は紙の申請のみ受け付けていますが、LINEで照会を行うケアマネジャーが非常に多いため、申請自体もLINEで完結できるようになれば、さらに便利になると考えています。
なお、2月から「デジタルフロントヤード改革事業」として、オンラインで完結する申請の仕組みを導入するため、今後は電子申請の割合が少しずつ増えていく見通しです。

Q:ITの専門バックグラウンドがない中で、どのように情報収集を行い、取り組みを実装されたのでしょうか?
A:個人的に詳しく情報収集を行ったというよりは、当町のICTサポーターから「こういうことができる」といった提案を受けています。
また、毎月Bot Expressから届くメールマガジンの情報を参考にし、得られた情報は各部署へ転送しています。

Q:介護保険の保険者は広域連合型ですか、それとも町独自ですか?
A:那須町独自(単独)で運営しています。

Q:進捗確認は事業者やケアマネジャーができるとのことでしたが、家族も確認可能ですか?
A:現状、LINEに登録しているのは事業者やケアマネジャーのみであるため、ご家族からの問い合わせは従来通り電話などで対応しています。
(Bot Express仁志出)システム上の工夫や登録の運用次第で、ご家族が進捗を確認できる機能を実装することは可能です。

3. 「スマホ市役所」を実現するGovTech Express紹介

ー 5つの特徴

1. 説明書がいらないIT

本サービスはLINEを活用しています。LINEから別のWebページや予約サービスに遷移することなく、LINEのトーク内で一問一答の対話型になっています。そのため、聞かれたことに答えるだけでわかりやすく、高齢者の方々も迷うことなく申請ができるという特徴があり、活用率も高くなります。

2. 時間もコストも不要な双方向コミュニケーション

1対1の双方向コミュニケーションが可能です。テキストでメッセージを送ったり、住民の方から写真やコメントを送ってもらったり、申請だけで終わらずPDF通知や送金まで可能です。電話がつながらずに何度もかける手間を省くことができます。

3. LINE、Webで利用できる

LINEで行える機能をWebブラウザでも利用できる一元管理ツールとなっています。

4. 自治体職員自身が開発できる

本サービスは様々なパーツを自分たちで組み立てられるノーコードツールです。自分たちの好みに合わせてカスタマイズできる上、他の事業者と異なる重要なポイントとして、一律料金制を採用しています。
この一律料金のサブスクリプション内で、様々な手続きを作成していただけます。

5. 全国でシェア

多くの機能が実現できるとはいえ、「作成に費やす時間がない」というのが自治体の課題だと思います。そこで、現在350以上の自治体で導入されている本サービスでは、どの自治体で作成された手続きであっても、職員が横展開して共有できる仕組みを採用しています。

ー システム

Bot Expressが開発提供する官公庁専用対話型アプリケーション「GovTech Express」は、日本政府が求めるセキュリティ要求を満たしているクラウドサービスを評価登録する制度「ISMAP」にも登録されているSalesforceをプラットフォームとしています。LINEから入力したデータであっても、データが保存されるのはSalesforceのシステムのみです。

LINEヤフー株式会社の追加規約に同意することでLINEにデータを残さない仕組みをご用意。また、他のシステムをご利用中の場合でも共存可能な仕組みです。

4. Bot Express登壇者

株式会社Bot Express 執行役員 営業部長 仁志出彰子
23年勤めた前職の大津市役所では勤労福祉、情報システム、学校教育、保健予防、経営経理、経営戦略の業務に携わっていた。その経験を活かし、住民により便利な市役所サービスを提供するだけでなく、忙しい公務員を助けることができるBot Expressのサービスをたくさんの自治体に知ってほしいと思い営業として入社。
株式会社Bot Express 執行役員 PR部長  松尾 明美
Dell、LINEの親会社NAVER海外拠点を経て、前職はLINE国内第二拠点LINE Fukuokaにて、広報・採用組織を統括。企業広報・危機管理広報・PRマーケ、採用など担当。2022年2月より現職。テクノロジーを活用した最高の住民サービスを提供し、日本の暮らしにもっと自由な時間を創ること、楽しくすることを目指している。



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