ちょうどいい「おもてなし」感で、もてなされたい!
東京オリンピック招致の際に、世界からも注目された日本の「おもてなし」。もてなされるって嬉しいけれど、時にはそれを過剰に感じてしまうことも。日本人の精神・日常に溶け込んでいるからこそ、あらためて考えてみたい「おもてなし」の世界!
\今回のお悩み/
親切なおもてなしなのに、イラッとします
家の近所に、古い民家を改装した小さなカフェがあり、そこでよく仕事をしたり本を読んだりしています。最近、新しく入った店員さんがいるのですが、どうも彼のおもてなし方がしっくりきません…。
席につこうとすると椅子を引いてくれて、コートを脱ごうとすると「荷物置き、よかったらどうぞ」と持ってきてくれ、仕事を始めると「電源、あちらの席の方が近いですよ」と案内してくれ、食事が終わるとすかさず食器を下げてくれます。
よく見てくれていて親切だなと思うのですが、かえって落ち着かずイラっとしてしまうことさえあります。でも別に、過度なサービスというわけでもないし、たぶん私の受け取り方の問題なので、本当に申し訳ないなと思います。これは、私の心が狭いでしょうか…?

長田:僕もカフェは仕事でよく利用するので、わかります。申し訳ないなと思いながらも、イラっとしてしまうことあります。
しま:カフェ、いろんな用途がありますからね。リラックスやお喋りしにくるような人もいれば、仕事に集中するために利用する人もいますもんね。
長田:カフェ選びと利用する時間帯とかね、けっこう難しいのよ。
\調べてみました!/
それってサービス?おもてなし?
日本のサービスは素晴らしいと評価されていますが、そこには日本特有の「おもてなし文化」も深く関係しています。おもてなしのルーツと、最近のサービス事情を見てみましょう!
①お客様は神様ですの真意とは?
日本のサービスは優れている。しかし、どこまでサービスは対応するべきなのか。過剰サービスが行きすぎたせいか、お客様の立場が上というようなクレーマーが問題となり、2025年4月、東京都や群馬県ではカスタマーハラスメント防止条約が施行されました。
「お客様は神様なんだから、何をされようが我慢してつくしなさい」というような意味あいで、「お客様は神様」という言葉が使われていますが、いったい誰が使い始めた言葉なのでしょう?
この言葉、歌手の三波春夫さんがコンサートで言ったことが始まりなんだそうです。 ただ、三波さんのいう「お客様は神様です」は、完璧な芸をするためには「あたかも神前に立って祈る時のように雑念を払う」という意味で、三波さんの芸に対する厳しさから、お客様を神様とみたてた言葉でした。
②おもてなし精神とは?
おもてなしの語源は2つあり、ひとつは「もてなす」という動詞に丁寧語の「お」を付けたもので、「モノを持って成し遂げる」という意味を表します。もうひとつは「表なし」という言葉で、裏表がない誠実な心でお客様を迎えることを指します。
ひとつめの「モノを持って成し遂げる」で指すモノとは、目に見える「物」と見えないものである「心」を指していて、平安、室町時代に発祥した茶の湯の作法のひとつとして広まったと言われています。
茶道における茶事の目的は、一碗の濃茶を共に喫み「一座建立」を成すことです。 一座建立とは亭主と客が互いに心を尽くし、一体感のある素晴らしい場を共に作り上げることを意味します。
亭主は、客のために一身に濃茶を練り、その心を感じ取った客は心から感謝の気持ちを礼に込め、最後に亭主、客ともに一礼する。
つまり「おもてなし」とは、まず客を思いやる気持ちがあり、客もその厚意を感じて感謝する、「互いに心地よくなるための心遣い」というのが、本来のおもてなし精神だったのです。
【ポイント】
■「お客様は神様」は、お客様至上主義のことではない!
■おもてなしは、互いに心地よくなるもの
《参考文献・サイト》
なぜ日本ではお客さまがエラくなったのか
カスハラ問題で引用される「お客様は神様です」の誤解
日本の過剰労働は、「お客様」の暴走が原因だ
2025年4月施行!東京都カスハラ防止条例・指針のポイント
「おもてなし」とは?語源からひもとく本当の意味/サービス・ホスピタリティとの違い
日本のおもてなしと西洋のホスピタリティの見解に関する一考察
\まとめ/
おもてなしは双方向で!
長田:僕は昔、空手をやってまして。動きが決まっているので、全員で同じ型をやるんですよね。で、その型の中にだんだんだんと後から魂がこもってくる。茶道とかも多分そうだよね。
しま:茶道の話しを聞いて、もてなされる側の感性も結構大事だなって思いました。そっち側の方がむしろ難しいかもしれない。私は受け取れないタイプなので…。
長田:表参道あたりのハイブランドショップみたいなの、滅多に行かないですけど何かの弾みで行ったりしてね(笑)、行くとドアマンがドアを開けてくれるじゃないですか。僕はそういう時には悠々と開けていただくようにしてますね。
しま:なりほどねー。ついお辞儀とかついしちゃうけど、ドアマンとしては開けてるわけだから、きっとすっと入って欲しいですよね。
長田:優雅にもてなされるっていうのもやらないとね。椅子なんてさ、引くとか座るとかの時、どっちかが間違うと転びそうだし(笑)、ちゃんともてなされないとね。最近はフレンドリーだったり、すごく丁寧に接客する店も増えたよね。
しま:研修とかマニュアルがあるんですかね。
長田:どうだろうね、でも確かに形式的というか、一方的に感じることもあるね。お客さんに親切にしたいんじゃなくて、お客さんに親切な店員をやりたいんだよね?ってやつ。それってつまり、相手に向いているようで、相手やシチュエーションを使って自分のニーズを満たしているわけで…。
しま:ああ、わかる!付き合わせんなよって思っちゃう時ある!
長田:レストランのテーブルでお客さん同士が喋ってるのに話しかけたりさ。割と長尺の「メニューの説明してよろしいですか?」とか、いいわけねえだろうって思うわけ。まあそんな時、僕は「お願いします」って返事するんだけどさ(笑)。
しま:まあ、そう言いますよね(笑)。
長田:これは聞かないとわかんなかったなということも、25回に1回くらいはあるけどさ(笑)、だいたい「こちらがドリンクで、こちらがフードで…」的な。書いてあるんだからそりゃそうだろう、別に聞かなくてもよかったなってなるよ。
しま:あるあるですね。
長田:型の話しに戻るけど、型だけが交わるみたいなことになると、何のために…って苦しくなっちゃうのはあるよね。
しま:型だけが残る…形骸化ってやつですね。
長田:メニューの説明とかも、まあマニュアルなんだろうだけど、いわゆる型じゃん。店員さんだって、心を込める余地のないようなタイミングで型だけあるのは、大変だと思うのよ。
俺たちなんかが1回メニューの説明を聞いて「これは必要ないんじゃないかな…。」って思うことを、店員さんは1日に何回も説明するわけじゃん。
しま:たしかに!そっちも辛いわ!
長田:でもそれを是正する力やマニュアルもないとさ、そこまでやるよりこのままでいいですよってなっちゃうじゃん。
結果、その型を擦り切れるまで笑顔で使うしかなくて、こちらもそれに乗っかるしかなくて、みたいな感じまでいくとだいぶ苦しいよね。
しま:でもそれ、接客に限らず言えることですよね。日常でなんか変だな、これ意味あるかな、と感じてても、是正する方法や糸口がわからないと、ただただ放置するしかないっていう…。
長田:あらゆることがそうだけど、その型だけはちゃんとやってるでしょうってゴリゴリやられるみたいなのあるなって思うの。それで固められると、違和感は口にしづらいよね。この型に則ってやってるんですから文句ないでしょうみたいな圧をね、僕は感じることありますね。
しま:カスハラの話題もでましたけど、ポスターとかに「これはカスハラです」って例が書いてあるんですよ。例を見るとそれはハラスメントだなとは思うんですが、なんというか、何がハラスメントかって、それだけでは判断できないと思うんですよね。型ではないけど、それだけ示されてもっていうか…。
長田:何だって一番ひどい例を持ち出されれば、それは大変ですねってことになるよね。
しま:制度が悪いとは思わないけど、制度ができるとそれに便乗して逆に違う問題も起こったりするじゃないですか。「じゃあこうしましょう」「こういうルールで」っていう風にがっとしてしまうんじゃなくて、何というか、もうちょっと現場で自分たちの力で解決はできないのだろうかとも思います。
長田:そうだね、自分たちの力だけではどうにもならないところまでいったから制度化されたという側面もあるだろうし、一概には言えないけどね。でも「自分たちで」とか、「発言する」とか、そういうことはやっぱり大切な観点だと思うよ。
しま:おもてなしの話しに戻りますが、なので「お互いに」っていう視点は凄くいいなと思いました!
【パーソナリティプロフィール】
◎長田英史(おさだてるちか)
NOT SHIPを運営するNOTの代表。学生時代に始めた「場づくり®」をそのまま仕事にして30年。この分野のパイオニア。著書『場づくりの教科書』。Voicy『じゃないほうを考えるラジオ』パーソナリティ。
◎志摩彩香(しまあやか)
20代後半の頃、絵に描いたようなライフプランに疑問を覚え、知らない世界に飛び込む。会社員を続けながらNOTのスタッフとして活動し、2024年、長田とともにNOT SHIPを立ち上げる。
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