Taylor Guitarsのアコギの種類とおすすめモデル[記事公開日]2025年10月14日
[最終更新日]2026年04月2日

Taylor Guitarsロゴ

「テイラー・ギターズ(以下、テイラー)」は、カリフォルニア州エルカホンに拠点を置くアメリカのギターメーカーです。
1974年設立と比較的歴史の浅いメーカーながら、むしろそれを逆手に取るように電子制御の工作機械を積極的に導入し、個体差に悩まされない均一性のある生産を続けています。
また演奏現場でのギターの使われ方を調査し、生音のマイク乗りなど音響性能に深くこだわった設計はアメリカ国内での支持が特に厚く、テイラーは今やマーチンやギブソンと並ぶ3大ギターブランドとして知られています。

現在では二つの工場で1,200名以上の従業員を抱える大企業に成長し、ギター業界の将来をも見据えて林業の事業者と提携を行うと共に、フィギュアドメイプルを栽培する方法を研究しています。
2014年1月には米国国務省により企業優秀賞(ACE)を受賞しました。

共同創業者のボブ・テイラー氏は「今作ろうとしているギターは1年前より良い物か?」という問いかけをしながらギターの設計や生産ラインの改善を重ねていったと言います。
プレイアビリティや音響性能、実用性など「機能的な質は全て数値化できる」という信念のもと、高品質で実用的なラインナップは代表機種「814ce」を中心に、世界中のアーティスト/スタジオミュージシャンに愛用されています。


Taylor Swift “Picture to Burn” – NAMM 2008 with Taylor Guitars

合理性の創業者ボブ、感受性の職人アンディ

ボブ・テイラー氏は、調整しながら長期的に使用する事のできるギターの設計と、高いレベルの品質基準をクリアする生産体制の二つを目指してきたと言います。
設計ではネック調整ができるというメリットのため敢えてデタッチャブルネックにこだわり、0.1mmから弦高やネックの仕込み角を微調整できる「NTネック」の構造で特許を取得しました。
生産体制では紫外線で塗膜を硬化させる「UVフィニッシュ」をいち早く導入するほか、コンピュータ制御のNCルータによる精巧な木材加工によって実現した「フィンガージョイント(ヘッドとネックの接合法。ギザギザ同士をきっちり貼り合わせる)」や「スカーフジョイント(曲面同士で貼り合わせる)」など、新しい試みに積極的です。

ボブ・テイラー氏の唯一の悩みは、品質は客観的に数値化できるのに、音の良さは主観的な範疇のものだから答えが出せない、というものでした。
そこでカリフォルニアのギター製作家アンディ・パワーズ氏をマスタークラフトマンとして招き、ラインナップの改善を進めています。


Jason Mraz – How to Play “I’m Yours” Taylor Session

パワーズ氏はそれまでほとんどひとりでギターを作ってきましたが、深く多様な歴史的知識があり、音色のニュアンスを形作るための微細な手作業を直感で行ないます。
テイラー氏はパワーズ氏を「特定の音色のニュアンスを引き出すには何を変えるべきか、正確に把握できる」「高音から低音まで、一貫したトーンを出せる」と評しています。
パワーズ氏を迎え入れる事で、テイラーのギター開発は合理的な製造を目指す創業者と直感的で卓越した職人のコラボレーションとなりました。
全く異なる感性を持った二人ですが、「アコースティック・ギターの演奏体験を向上させる」という点で意見が一致していると言います。

代表機種「814ce」に見るテイラーギターの特徴

Taylor 814ce

テイラーのギターは弦高が低くなるようにセットアップされており、演奏に対するストレスが軽減されています。
そしてエレアコであってもしっかりとした「鳴り」があり、生音を楽しむことができます。
余分な低域が抑えられるように設計されているため煌びやかさが引き立ち、音抜けやマイク乗りが良くなります。
「マーチンを殴るように弾く」ことで知られるニール・ヤング氏も、スタジオでのマイク乗りを気に入って一時期テイラーに持ち替えた事がありました(マーチンやギブソンは、サウンドの良さに反してマイキングが非常に難しいと言われています)。

テイラー製品のバリエーションは非常に豊富ですが、ここでは代表機種の「814ce」からテイラーのギターがどのようなものなのかチェックしてみましょう。
814ceはテイラーのラインナップ中で常に人気が高く、ポップス/ロックからジャズ、フィンガーピッキング、生音で歌うフォークまで何でもカバーし、弾き手によって色々な個性を出せる万能機種として、長年にわたってスタンダードとされてきました。


The All-New Builder’s Edition 814ce | Taylor Guitars

テイラーを象徴する外観

814ce
814ceのボディ

テイラーのギターはヘッドとブリッジ、ピックガードのおおまかな形状が決まっており、遠くから見てもテイラーだと分かります。
またボディ外周を縁取るバインディングに木材をセレクトすることが多いのもこだわりです。
指板/ブリッジのほかに、ロッドカバー、またブリッジピンまでエボニーが使用され、高級感があります。
しかし目立った装飾は指板インレイとゼッタ回りのアバロンくらいにとどめており、シンプルで上品な外観になっています。

814ceのインレイ

ボディ形状は「グランド・オーディトリウム(Grand Auditorium)」でボディ幅16インチ、マーチンの「0000(クアドラオー)」に相当します。
大型ですがウェストが引き締まっているため抱えやすく、またカッタウェイがあるためハイポジションでのプレイにも余裕が得られます。
ナット幅1.75インチ(44.5mm)はやや広めですが、それを感じさせないスリムなグリップです。

独特すぎるネックジョイント

814ceのネックジョイント

テイラーが特許を取得した「NTネック」は、まさかのボルトオンジョイントです。
ボディ内部から3本のボルトで固定されていますが、テイラーの扱いに慣れた職人なら5分でネックを外すことができ、このネックとボディの間に挟まれるシムにより、ネックの仕込み角度を微調整することができます。

独自構造「V-Class」ブレーシング

V-Class ブレーシング

マーチンが1843年に発明してからギターの常識的な構造だった「Xブレーシング」に対しても、テイラーは切り込みました。
新開発の「V-Class」ブレーシングは、トップを柔らかくすれば音量が稼げてもサスティンを失い、硬くすればサスティンは伸びても音量を失うというXブレーシングの泣き所を解消し、かつてない音量とサスティンを獲得しました。
弦とトップとがより良く調和するため、イントネーションの向上にも成功しています。

デタッチャブルネックが可能にしたピックアップシステム

テイラー独自開発のピックアップシステムは、「エクスプレッションシステム」と呼ばれ、814ceでは進化版の「エクスプレッションシステム2(ES2)」が搭載されています。
ES2は、サドルの後ろ側に3つのセンサーを並べて配置する「ビハインド・ザ・サドル」方式が特徴です。
これまでサドルの真下にピエゾを配置するのが一般的でしたが、ES2ではサドル後方からサドルの振動を拾うことで、より自然なアコースティックサウンドを実現しています。

ES2

ブリッジには3つのネジが顔を出しており、このネジの操作でセンサーとサドルの位置関係を校正することができます。

ES-B

いっぽう「Baby」シリーズなど小型のギターで採用される「Expression System Baby(ES-B)」は、ES2と同じピエゾシステムと、チューナー付きオンボードプリアンプの組み合わせです。


All of Me – John Legend (Boyce Avenue acoustic cover) on Apple & Spotify
Boyce Avenueは、楽曲のカバーがYouTubeで大人気になっているアーティストです。

《モデル名から読み取る》Taylorギターの選び方

Taylorギターの選び方

テイラーのラインナップは、それぞれのモデル名からだいたいの仕様や特徴を読み取ることができます。
モデル名の読み方をチェックしながら、どんなギターが欲しいのかを絞り込んでみましょう。

カッタウェイ/ピックアップシステムの有無

テイラーのラインナップは、カッタウェイとピックアップシステムの有無を「c」と「e」の表示で判別します。

  • 「ce」:カッタウェイボディ&ピックアップシステム搭載(例:516ce)
  • 「e」:カッタウェイなし&ピックアップシステム搭載(例:516e)
  • cもeもなし:カッタウェイなし&ピックアップシステム非搭載(例:516)

《一の位》ボディシェイプ+弦長

Taylorのボディシェイプ

「814ce」や「AD27」のような3ケタや2ケタの番号のうち「一の位」は、6つあるボディシェイプを表しています。
各ボディシェイプにより弦長も設定されているので、これだけで抱え心地と演奏性が読み取れます。
「0」を別格として、番号順に大型化していきます。

0:DN(ドレッドノート)

「210ce」など「0」で表示される「ドレッドノート(DN)」は、ボディ幅16″、ボディ厚4 5/8″、弦長25 1/2″で、マーチンの「D」よりちょっとだけ大きめです。
ややサイズダウンした「アカデミー」シリーズやミニサイズ「Baby」シリーズの原型ではありますが、そのほかのシリーズでは2019年に発表された「グランド・パシフィック(GP)」に置きかえられており、ラインナップは限定的です。

2:GC(グランド・コンサート)

「512ce」など「2」で表示される「グランド・コンサート(GC)」は、ボディ幅15″、ボディ厚4 3/8″、弦長24 7/8″で、マーチンの「000」とほぼ同じくらいです。
テイラーの中では小さめなサイズ感で、フィンガーピッキングに特に向いています。

4:GA(グランド・オーデトリアム)

「224ce」など「4」で表示される「グランド・オーデトリアム(GA)」は、ボディ幅16″(406.4mm)、ボディ厚4 5/8″(117.5mm)、弦長25 1/2″”で、マーチンの「0000」とほぼ同じくらいです。
1994年に発表されたテイラー初のオリジナルシェイプであり、あらゆる演奏スタイルにフィットする、同社を代表するシェイプです。

6:GS(グランド・シンフォニー)

「326ce」など「6」に象徴され、またミニギター定番機「GS Mini」の原型でもある「グランド・シンフォニー(GS)」は、ボディ幅16 1/4″、ボディ厚4 5/8″(117.5mm)、弦長24 7/8″という、大きめボディに短めスケールという組み合わせです。
現在の仕様では、メインサウンドホールから約45度の角度で配置された「サウンドポートカッタウェイ」を持つ、ソロプレイヤー向けに仕上がっています。

7:GP(グランド・パシフィック)

「317e」など「7」で表示される「グランド・パシフィック(GP)」は、ボディ幅16″、ボディ厚4 5/8″(117.5mm)、弦長25 1/2″です。
寸法の上ではドレッドノートと同じですが、ショルダー部もボディエンド部も丸みが増しており、違った印象となっています。
2019年に発表された新しいシェイプですが、伝統的な形状を好む人も納得できる、弾き込まれたかのような暖かな音色があります。

8:GO(グランド・オーケストラ) / 1:GT(グランド・シアター)

「818e」など「8」に象徴される「グランド・オーケストラ(GO)」は、ボディ幅16 3/4″、ボディ厚5″の、現在のテイラーでは最大サイズのボディで弦長25 1/2″という仕様です。
高音から低音までバランスよく、深く力強いサウンドが得られます。
また、「GS Mini」と「グランド・コンサート(GC)」の中間くらいの、ちょうどよい小型モデル「グランド・シアター(GT)」は「GO」をそのままダウンサイジングしており、「GT 811e」のように「1」で表示されます。

《十の位》弦数とトップ材

シトカ・スプルース、ウェスタン・レッド・シダー、ルッツ・スプルース、シンカーレッドウッド
左から、「1」で象徴されるシトカ・スプルース、ウェスタン・レッド・シダー、ルッツ・スプルース、シンカーレッドウッド。

「十の位」は弦の本数とトップ材のだいたいの種類を表示します。
12弦仕様なら「5」か「6」、6弦仕様なら「1」か「2」です。
そして、テイラーでは数あるトップ材を柔らかめの「ソフトウッド(1と5)」と硬めの「ハードウッド(2と6)」に大別しています。
十の位が1なら6弦仕様でソフトウッドのトップ、6なら12弦仕様でハードウッドのトップ、というわけです。

ハワイアン・コア、マホガニー
左から、「2」で表示されるハワイアン・コア、マホガニー。

《百の位》サイド&バック材

「百の位」は1から9まであり、ボディのサイド&バックの材料を表示します。
この番号がそのまま100から900までのシリーズ分けにも使用されています。
「1(100)」と「2(200)」はサイド&バックにレイヤード・ウッドが使われ、「3(300)」以降に単板が使用されます。

ウォルナット、ハワイアンコア、ローズウッド
左から、ウォルナット、ハワイアンコア、ローズウッド。

「レイヤード・ウッド」は、ウォルナット/ポプラ/ウォルナット、ローズウッド/ポプラ/ローズウッドというように、ポプラ材を中心に薄板を3枚貼り合わせた合板です。
合板は価格を抑えられるとともに頑丈で、独特の鳴りを持っています(テイラーのローズウッドは全て、インディアンローズウッドです)。
114eなど1番台はレイヤード・ウォルナット、214eなど2番台はレイヤードのハワイアンコア、ローズウッド、メイプルが使われます。
3以降は単板サイド&バック

左から、サペリ(300)、ブラックウッド(300)、オバンコール(400)、マホガニー(500)、メイプル(600)、インディアンローズウッド(400、700、800、900)。

百の位「3」以降は単板サイド&バック仕様で、木材本来の持つキャラクターをしっかり楽しむことができます。
おおむね番号順にグレードも上がっていきますが、若い番号でも特別仕様機では高いグレードとして扱われる例が多くあります。

左から、マカッサルエボニー、ハワイアンコア、ココボロ、アーバンアッシュ、アフリカンエボニー、コパフェラ。

このほかの木材については、「GT Urban Ash」や「Custom GAce-African Ebony」のように木材の名称が添えられたり、「K24ce V-Class(ハワイアンコア)」や「M12ce JPN LTD 2017(マカッサルエボニー)」のように頭文字が添えられたりします。

2ケタの番号はどう読む?

「Academy12e」や「K24ce V-Class」、「AD27」といった2ケタの番号を持つモデルもいろいろあります。
こうしたモデルのサイド&バックは、「アカデミー」シリーズならば全モデルがサペリ製サイド&バック、「K」シリーズならば全面ハワイアンコアというように、属するシリーズの仕様に従います。
2ケタの番号については通常通りで、一の位はボディシェイプと弦長、十の位は弦数とトップ材を現します。

シリーズごとの特徴を見てみよう

テイラーは多くのシリーズを展開していますが、これらもそれぞれに仕様やコンセプトが設定されています。
これらがだいたい把握できるよう、ざっと見ていきましょう。

ミニギター&小さめのモデル

エントリークラスや、比較的手に入れやすいモデル

300~700がレギュラーモデル

Taylor 300/700シリーズ
左から、314ce、414ce、514ce、714ce、614ce。

300から700までの各シリーズが、テイラーのレギュラーモデルという扱いです。ボディは総単板で、シリーズごとにトップ&サイド&バックの標準仕様が決まっているほか、それぞれに装飾が設定されます。600のピックガードは、振動を邪魔しにくい木製です。グレードはおおむね番号順ですが、600シリーズは700シリーズの上位という扱いです。
各シリーズには随時「Next Generation」版が追加されており、ボディシェイプや仕様が刷新されたモデルも展開されています。

800と900がフラッグシップモデル

左から、812ce、818e、912ce 12Fret、914ce。

「800」シリーズと「900」シリーズが、テイラーのフラッグシップです。いずれもシトカスプルーストップ、ローズウッドサイド&バックで、深く唸るような低音と明るく鈴のように輝く高音を持っています。ロゼッタなどに輝くアバロンが目を引くほか、多くのモデルでアームレストが採用されます。

以上、テイラーのギターについてチェックしていきました。
ボディシェイプと木材構成の組み合わせで、実に豊かなラインナップが展開されています。
特別仕様機や限定生産機など、今を逃したらおそらく二度と手に入れられないであろうモデルも多くリリースしています。
しかし今を逃しても、将来もっと良いギターを作ってくれるであろうと期待させてくれるブランドです。
ショップで見かけたら、ぜひ手にとってみてください。